本日は大安なり本日は大安なり
著者:辻村 深月
角川書店(角川グループパブリッシング)(2011-02-26)
販売元:Amazon.co.jp
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一世一代のたくらみを胸に秘める美人双子姉妹、クレーマー新婦に振り回されっぱなしのウェディングプランナー、大好きな叔母の結婚にフクザツな心境の男子小学生、誰にも言えない重大な秘密を抱えたまま当日を迎えてしまった新郎。憧れの高級結婚式場で、同日に行われる4つの結婚式。それぞれの思惑と事情が臨界点に達した、そのとき―。世界一幸せな一日を舞台にした、パニック・エンターテインメント長編の大傑作。

結婚式を舞台にした4つの物語。
1日に行われる4つの結婚式が上手く交差していてそれぞれの人の感情や想いが見えて面白かったです。
でも、相変わらず痛い感じもありつつ、それでもそれが嫌じゃなくて。
面白かったです。
はじめの結婚式の双子の企みは信じられなかったけど、双子ならではの悩みがあるのかなぁと思いましたが。にしても本当に性格でも何でも、ややこしい人たちでしたね^^;旦那さんもよくあんなややこしい人と結婚するもんです。
でも、この旦那さんなら、この双子と上手くやっていけるんだろうなと思いました。
2つ目のクレーマーははじめは本当に腹が立ったのだけど、プランナーさんは本当に頑張りましたねぇ。ただクレーマーなだけではなくて、新婦さんととんでもない関係があったとは。驚きました。あの演出も、良かったと思います。
にしてもプランナーさんの過去。どうして男の人って「お前は1人でも生きていけるだろう。でも、彼女は俺がいないと生きていけないんだ」なんて自信持って言えるんだろう。自意識過剰もいいところだ。・・・って、ちょうど「阪急電車」の映画を観て、同じようなことを言っている愚かな男を見たので尚更そう思ったのだけど。
私は男の人が苦手であんまり喋った事がないから、こういう話をしたことがないけど、こういう男の人ばっかりじゃないとは分かっているけど、こういう台詞を吐いているのを見ると「うぜー」って思う。山井さんも最後はよかったね。素敵な女性だと思いました。大変で辛い経験をしたけど、その分更なる幸せが迎えてくれて良かったって思いました。
3つ目のりえちゃんの結婚式。真空が本当に叔母のりえちゃんのことが大好きなんだろうなと思って微笑ましかったです。きっと、結末のような事なんだろうなと思いましたが、真空の想いがいい形で裏切られてよかったなと思います。後日談で義兄・・・じゃないか^^;と仲良くしている姿もとっても微笑ましかった。「私の事を好きって言ってくれた」と言ったりえちゃんは、読んでいるだけでもとても可愛らしいと思いました。真空が途中で気付きましたよね。「りえちゃんを泣かしていたのは東くんではなく、家族だ。その中に僕も含まれる」って。それに気付いたのがいい男だなと思いました^^真空のお母さんやおばあちゃんよりも、ちゃんとりえちゃんの事をわかってるなって。
4つ目の結婚式は、バカバカしくて仕方ない。救いようがない。いい年して情けない。あんな男なんだから、520万を払わせてもよかったじゃんとか、酷い事を思いました。
辻村さんの作品、以前は痛々しすぎて読むのが辛いなって思ったこともあるのですが、最近はその痛さもありつつ、救いがあると言うか、変化が出てきたように感じます。これからもずっと読んでいきたいです。

〈角川書店 2011.2〉H23.4.22読了