人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)
著者:三木 笙子
東京創元社(2008-08)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

オススメ!
心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集。
「点灯人」里見高広の勤務する至楽社に1人の女の子がやってきた。兄が行方不明になっているので、広告を出してほしいと言う。人探しを始めた里見だったが、一向に手がかりはつかめない。そこで、ずっと頼らずにいた天才絵師有村礼を尋ねることにした。
「真珠生成」宝石店美妃で1番の真珠プリンセスグレイス3粒が盗まれた。そして見つけたものには1粒につき百円を渡すとまで言っている。どうやら盗難にあったときに、大物のお客が来ていたらしいのだが。
「人魚は空に還る」越後出身の「蝋燭座」と言う一座が話題になっている。同業者は田舎から来た一座を始めは冷たい眼で見ていたが、一座が親方以外は仮面をつけていることと、人魚を見世物にしていることで人は注目を浴びていた。かつて礼が仕事でであった花遊鞠子という成金の妻が人魚を買うといったのだという。
「怪盗ロータス」今、巷では怪盗ロータスという泥棒が話題となっている。盗んだ場所に必ず蓮の木彫りを置いていく事からそう呼ばれていた。豪邸に住む大黒という男のところへロータスから手紙が来たのだという。今回はそこから何かを盗むらしい。

好きだ!この作品好きだ!
何だか雰囲気がとても好きでした。時代も明治の中期?後期?あたりなのがまたちょっと時代を感じて良いです。
主となる2人もとても良いです^^
超美形だけど性格がきつめな礼と、心優しいまっすぐな里見。
2人のコンビが帝都内で起きた事件を解決していくのが良いです。
マイペースで里見をホームズ、自分をワトソンの役割だと思い込んでいる礼が良いですね。ホームズに関することでは目をキラキラさせるのが可愛いです。
2人もいいのですが、周りを固める登場人物もまた個性的で好きです。
里見の上司である編集長(海坊主)や佐野、養父の里見基博もいい味出してます。
そして、主要の人物ではないのですが高広のお姉さんの聡子や「点灯人」に出てきた桜、「真珠生成」に出てきた珠子など女性が自分の意思を持っていてとてもかっこよく、頼もしく見えました。女性がかっこいいっていうのがまた良かったです^^
どの事件の内容も真相も興味深くて、また私は全然想像がつかない展開でした。
2人の何だか素敵な雰囲気が「月魚」を思い出してちょっとドキドキ。
でも、私の勝手な思い込みです。お気になさらず。
そう思ってしまうのは、礼の描写がとても面白かったからです。
例えば「礼が美しい眉をひそめた」とか「描く絵よりさらに美しいと言われている美貌で礼が微笑む」とか。礼の行動に何かしら前置きがつくんですよね^^;
それだけの顔を持っている礼を見てみたいです・・・。
このシリーズは第3弾まで出ているようなので、読み進めていこうと思います。
あー面白かった^^

〈東京創元社 2008.8〉H23.3.31読了