室温―夜の音楽室温―夜の音楽
著者:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
論創社(2002-08)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
ホラーとコメディは、果たしてひとつの舞台の上に同居できるものなのか。2001年7月青山円形劇場で初演された、人間の奥底に潜む欲望をバロックなタッチで描くサイコ・ホラー。第5回鶴屋南北戯曲賞受賞作品。

以前読んだ「本に埋もれて暮らしたい 桜庭一樹読書日記」の中で、道尾さんが「ケラリーノ・サンドロビッチの室温を読もうとしたら違う方の室温を読んでしまった」というくだりがあり、戯曲が出ていることが分かったので、読んでみました。
「室温〜夜の音楽〜」はかつてフジテレビの深夜に放送されていた「少年タイヤ」と言う番組で舞台の作品をドラマで演じるという企画?があり、トニセンが主役で演じていたものです。
実際に舞台化されていたほうは知りませんでした。佐藤アツヒロ君が主演だったんですね。舞台が2001年、ドラマが2002年でした。
リアルタイムでドラマを見ていたときは、舞台のドラマ版というコンセプトが当時高校生だった私には理解が難しく^^;意味が分かっていなかったんです。
他にも「少年タイヤ」内でV6が出ていた作品があったのだけど、あんまり分かっていなかったような・・・。まあ、それは置いておいて。
今回、戯曲を読んだ事で改めて作品の内容を知り、ようやく理解できたような気がします。
素晴らしい、ホラー・コメディでした。
舞台はホラー作家の豪邸。そこにはホラー作家の海老名と娘のキオリ、海老名のファンの赤井、頭が痛いとやってきた木村、この家に入り浸る警察官下村。そして、海老名のもう一人の娘サオリを殺した元少年、間宮が出所し、謝罪のために家へ訪れる事で物語は動き始めます。
私が見たキオリ役はともさかりえさんでした。舞台版は中嶋朋子さんだったんですね。
ドラマは間宮役が長野君、下村役が坂本君、木村役が井ノ原君でした。
始めのノリはコメディタッチなのだけど、いろんなものが12年前の少女リンチ事件へを結びついていくのが、怖かったです。
それぞれの登場人物が抱えているものがあまりにも濃くて残酷で、あんな結末になろうとは、というのが感想です。
ドラマの中でも登場したのですが、「たま」の音楽がもの凄くあっています。そして、出てくる歌の歌詞は舞台のために作られたわけではないのが驚き。それくらいとてもマッチしていました。
最後のキオリはサオリだったのでしょうか。それともキオリがサオリを演じた復讐劇だったのでしょうか。
何もかもがなくなってしまった後では、確かめようがありません。

この「室温」ドラマ版、リアルタイムでビデオに録画していたのですが、DVDに移す作業をしていた際、取って置いてなかった気がします。
あ〜あ。失敗したなぁ。
あの頃は健君が映ってないものは取っておいてなかったんですよね。
あの頃の自分にバカと叫びたい。

〈論創社 2002.8〉H23.3.14読了