小暮写眞館 (100周年書き下ろし)小暮写眞館 (100周年書き下ろし)
著者:宮部 みゆき
講談社(2010-05-14)
販売元:Amazon.co.jp
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花菱英一は高校生。両親が念願のマイホームを購入し、引っ越す事になったが、そこはかつて写真館だった場所で、両親はその場所をそのまま残しておこうと言う。この変わった両親と、自分は合わないと思っていた。
「小暮写真館」
引っ越してきてすぐに女子高生に「心霊写真が写っている。この写真屋のせいだ」といきなり抗議をしてきた。
「世界の裏側」
前に心霊写真の謎を解き明かしてしまったがために変な噂がブログに立ちこめ、花ちゃんはまた、ある写真について頼まれる。同じ高校の田部という女子高生に頼まれたのだが、卒業生の家族写真でみんな泣いている写真なのだと言う。
「カモメの名前」
不動産の社長に頼まれたのは、1枚の写真に写りこんだ物体。これを見たある小学生が、「カモメだ」といいはるのだという。
「鉄路の春」
花ちゃんの父英夫が家出してきたと言う。そこから離婚問題にまで進みそうになる。それは、父親の親族に関することだった。家族の問題は解決しそうだったが、それから、弟、ピカの様子がおかしくなる。

面白かったけど、長かったと言うのが感想です^^;
私は通勤中にいつも本を読むのだけど、この本はさすがにもって行く事は出来ず、なかなか読み進めませんでした。
時間はかかりましたが、本当に素敵なお話でした。
英一が本当にいい子!出来すぎなくらい、思いやりを持った良い子だったと思います。
友達のテンコも、コゲパンちゃんも鉄道ファンの子達もとってもいい人たちでした。
不動産の須藤社長も垣本も良いキャラでした。
写真からわかる、数々の人の思い。写真には、たくさんの想いがこめられているんですね。
それがひしひしと伝わってきました。
1番好きなのは、やっぱり「鉄路の春」でした。
ピカちゃんもとってもしっかりしていていい子。だから、物分りが良すぎて悩んでしまう事も多いのだと思う。
英一が親族に向けて放った言葉は、よくやった!と思います。
親族以外の人間は、そう思うと思います。
垣本との関係も、何だか気になるところですね。
「バッカみたい」っていうけど、いろいろ経験してきている分、人の痛みも分かる人なのかなと思いました。
最後は切なかったけど、またいつか、きっと。

〈講談社 2010.5〉H22.11.2読了