
著者:千早 茜
販売元:集英社
発売日:2010-08-26
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「迷子のきまり」母親から虐待を受けている幼い兄妹2人は、母親と3人で出かけたときに花火大会に行くためにわざと母親とはぐれた。母親に多く睡眠薬を飲ませたから、家に帰ったらきっと眠っているよと兄が妹に言っていると、若い女性に話しかけられる。(ヘンゼルとグレーテル)
「鵺の森」かつて同じように転校生でいじめられていた翔也という同級生がいた。僕は彼に再会し、仕事場に誘われる。(みにくいアヒルの子)
「カドミウム・レッド」私の叔父は画家で、妻である美智子先生も画家。私は画家であることを諦め、叔父の助手をしている。美智子は美に固執しており、私はその美に興味を抱かなかった。(白雪姫)
「金の指輪」フリーターの青年は、実は莫大な財産があり、昔知り合った女性を探していた。手がかりは、彼女が落としたらしい金の指輪だけ。(シンデレラ)
「凍りついた眼」私が老婆に連れられて着いた場所には、1人の少女がいた。彼女に何をする事もなかったが、老婆に勧められた覗き穴により、また訪れるようになる。(マッチ売りの少女)
「白梅虫」同棲している恋人とマンネリ化しており結婚に踏み出せない僕。彼女が持ってきた盆栽の紅梅がきっかけで、不思議な魅力を持つ女性に出会う。(ハーメルンの笛吹き男)
「アマリリス」不倫に悩み仕事を辞め、実家に戻った真由。実家には認知症になった祖母がいた。その祖母を探していたのか、1人の男性が訪れるようになる。(いばら姫)
千早さんは「魚神」以来でした。というか2作目?
童話を現代風に変えた官能的な作品でした。
千早さんはこの作品を書かれたときに、童話の元の話は編集者の方に任せていたらしい。理由は童話が嫌いだったから。編集者の方は見事に嫌いな作品をよく用意したものだと褒めてました^^;
どの作品も白濁とした液体にずぶずぶ入ってくみたいな・・・なんでしょう。
どろりとした感覚です。
「魚神」もそんな雰囲気でしたが。
この童話の数々をぬるいとおっしゃっていた著者さんなので、ストーリーはどれも容赦がないと思います。読み終えた後に背筋が凍るような、何かしこりを残すような作品ばかりでした。
でも、それがイヤではなくて、よく描かれているなぁと私は思いました。
私は、なにも疑いもなく童話を読んでいた子どもだったので^^;
ハーメルンの笛吹き男だけ、あまり話は知りませんでしたが。
好きだったのは「金の指輪」と「アマリリス」ですね。
この2作品だけ前向きだったと言うか^^;
ですが、どの作品も良かったです。
千早さんの作品はこれからももっと読んでいきたいです。
〈集英社 2010.8〉H22.9.6読了
千早さんの『魚神』が大好きだったので、次の作品楽しみにしていました。
またこんなに毒々しくて美しいお話たちが読めて嬉しかったです。
ひとつひとつがゾクゾクしましたよね。
そして、そう、どろりとした感覚でした。
ずぶっと落ちたらもう抜け出せないような絶望感があって。でも救われたお話もあったので、良かったです(*^-^*)
私もこれからも追いかけていきます!