天地明察
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江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること―。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。

正直、本屋大賞を獲られるまでは知らない作家さんでした。
そしてミーハー心からこの本を予約して読みました。
読み終えて、一言。素晴らしかったです。
時代小説でもあるので、難しい部分も多々ありましたが、この渋川春海という人物が素晴らしいです。
実在の人物を描いているということは、受賞された後に知りました。
渋川春海という名前をそのとき初めて知りました。
実在の人物が主人公で史実に基づいているはずなのに、誰かが作り上げたようなドラマのような生涯で、驚きました。
それは周りの人たちだったり、奥さんとの馴れ初めだったり、暦の研究だったり。
解答さんの関孝和や塾の村瀬、水戸光圀、保科正之、そして伊藤と建部、安藤。
奥さんになる、ことやえん。
春海は、何だか分からないけどちょっと頼りなくてよく怒られる。女性にも年下にも年上にも。
でも、新しい暦を確立する研究を重ねた素晴らしい人。勿論実力もあったのだけど、周りの人たちの助けもたくさんあって。春海の人柄なんでしょうね^^
紆余曲折ありながらも大きな事を成し遂げた春海は素晴らしいです。
そして奥さんとの恋もまたドラマチックですね!
こととの夫婦関係ももちろん素敵だったけど、えんとも一緒になるとは思わなかった。
そしてこの夫婦がまた素敵なんです。
完全にえんの尻に敷かれているけど、それがいい夫婦間を築いているんだろうなと思いました。
そして1番最後に驚きました。
史実もそうなのでしょうか。だとしたら、えんは本当に春海のことを愛していたし、生涯約束を守ったと言う事になりますよね。
理想の夫婦ですね。

〈角川書店 2009.11〉H22.7.28読了