
ホームズのいない町―13のまだらな推理 (FUTABA NOVELS)
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そんじょそこらにホームズのような名探偵はいない。登場人物が不完全な推理をし合い、勝手に誤解して、おかしな展開に…。様々な“つながり”が隠された傑作ミステリー。短編7編と関連する掌編を収録。
「六本のナポレオン?」
アートサークル「かたつむり」が開かれるハウスで女性の死体が見つかった。その後そのハウスは火事になり全てが燃えてしまう。その場所にいつも集っていたサークルのメンバーは、ナポレオンにまつわるものが全て壊れている事に気付く。
「被害者は二人」
早朝に男は彼女を見つけた。いつも彼について悩んでいた彼女。だから「おまえのためにあいつを殺った」と言った時に、喜んでくれると思っていたのに・・・。
「あやしい一輪車乗り」
シングルマザーの五堂早紀は息子に優しく接してくれていた先生が辞め、1番仲のいい友達が転校した後、学校でいじめられているのではないかと感じ、盗聴器を仕掛ける。ある日、家に帰ると息子の友人の<博士>がランドセルを届けてくれた。息子は「お父さんに会いに行った」らしい。部屋に戻ると電話が鳴り、息子を誘拐したと告げる。身代金は五千万。恋人に相談する事にしたのだが・・・。
「ペット探偵帰る」
アルバイト先のカフェで飼っているペットの餌を買いに行く途中、ペット探偵と言っていた知り合いに偶然出会う。
「第二の空き地の冒険」
元文房具屋の空き地からのこぎりで切られたお金1/3が見つかった。飲食店を経営している一文字は残りの2/3を探していた。そのお金を元に店の新メニューを作り出さなければ店の権利を失ってしまう。「調達屋」井之上が海外で調達したチョロチョロという生き物を使った新メニューに全てを懸けていた。しかし、それをちゃんと加熱しないと顔に赤いあざが出来、ちゃんと保存しないと変態をしてしまうため、お金が必要だった。
「赤い○」
顎ひげのあるくじ好きの先輩と名古屋への大切な荷物を運んだ帰り道に先輩にまたくじをしないかとせがまれる。
「五つも時計を持つ男」
四家と音栖はなんでも運ぶ「タイムパック」をつくり会社を立ち上げた。様々な苦労があったが、会社は軌道に乗り始める。しかし、また会社に暗雲が立ち込めた。正社員のような働きをみせてくれたアルバイトが謎の顔の病にかかり、辞めさせざるをえなくなり、パートとして雇った女性の過去が明らかとなり、仕事は激減する。
「吐く人」
マンションの3階の雨どいにしがみついている老人が発見された。4階に住む老人がなぜそこにしがみついていたのか。様々な憶測が飛び交う。
「四つのサイン入り本」
探偵事務所で働く三竹と城は「想い出の人探し」の依頼を受ける。依頼者がいうには、母親がかつて想っていた人物。自分を助けてくれたらしい。調査していくうちに明らかとなったが、その人は「トクメイ」と言う雑誌で記事を書く加美島柳という人物らしい。しかし、編集者は誰も加美島にあったことがないのだと言う。
「銀星ちゃんがいっぱい」
「トクメイ」推理新人賞の下読みをしていた先輩が気付いた。読んだ10の物語の全てに「銀星」のついた男の子が登場するのだという。
「まだらのひもで三kg」
殺人を犯し、刑務所に入っている男が書いたミステリを「トクメイ」に載せた編集者の山上は、獄中では作品は書けないため、先輩でミステリ作家の六坂に代筆させようとしていた。六坂は自分へのチャンスだと思い、男は実は無実だと言い張り、それを証明するために事件について調べ始める。
「覆面の依頼人」
男は無罪となって出所した。彼を救うために彼の知らないところで多くの人が動いていた事を知る。
「もう一本の緋色の糸」
男は覆面をつけた人たちに取り囲まれた。彼のせいで覆面をつけた人たちは不幸となり、恨んでいるのだと言う。それぞれ何があったのかを語りだした。
あらすじが非常に書きにくいです・・・。
始めはバラバラの短編集だと思ったのですが、あれ?何だかリンクしていると思い、最後は、ああ、リンクどころじゃなかったんだと思いました^^;
鈍いにもほどがあります。
蒼井さんらしく、短編でブラックな感じが良いですね。
そしてトリックも全く想像がつきませんでした。
いろんな人がいろんなところで登場するので、「あれ?あれ?」と思い、何度も読み返してしまったり。
思わずニヤリとしてしまったり。
最後はこうまとまるんだ〜と驚いたり。
面白かったです。
いつも言いますが、蒼井さんはやっぱり短編が良いです。
〈双葉社 2008.3〉H22.7.19読了
一つずつが短いけど、後から「あれ?」って思って
遡ったりしちゃいますよね。
私も蒼井さんは短編がいいなぁって思います。