雪蟷螂 (電撃文庫)
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涙も凍る冬の山脈に雪蟷螂の女が起つ。この婚礼に永遠の祝福を―。
長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。
その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。
それは、想い人を喰らう“雪蟷螂”とも言われるフェルビエ族の女族長アルテシアと、永遠生を信仰する敵族ミルデ族長オウガとの政略結婚だった。
しかし、その約束の儀は、世代を超えて交錯する人々の想いにより阻まれる。
果たして、山脈の地に平和は訪れるのか。そして、極寒の地に舞う恋の行方は…。
『ミミズクと夜の王』『MAMA』に続く“人喰い物語”最終譚。
紅玉さんの作品はいつ「人喰い物語」でシリーズ化してるんですか^^;凄い括り。
でも、そういう言葉一言で片付けて欲しくないです。
紅玉さんの書かれる愛はいつも究極。
必ず、死が関わっている気がします。だから、相手のことを強く強く想っていて。
その想いからか強く惹きこまれます。
今回の作品は、その愛という部分で、アルテシアとオウガのくだりはもうちょっとなにかあってもいいような。物足りない部分も感じなくもなかったのですけども。
でも、2人の民族の長い長い争いと、淡くて深い悲しい恋は良かった。
それが最後につながっていくんですよね。
まさかあんなラストになるのは思わなかったですけども。
でも、それがそれぞれにとっていいラストだったのかなと思いました。
序章の段階で、真実は見えていたんですね。
〈アスキーメディアワークス 2009.2〉H22.7.15読了
この作品、私自身は、紅玉さんの作品の中でも、最も好きな作品です。
過酷な自然の地の、苛烈な女性の凛々しい姿。そして、その愛もまた、というのが率直に綴られていて……。
話として書かれているように、もっとこれがあっても、と思うところがないわけではないのですが、山地の過酷だけど美しい景色と、アルテシアの姿が重なって感じられました。