堂場警部補の挑戦 (創元推理文庫)
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当代一のひねくれ作家が描くのは、ある警察官の奇妙な運命の変転。いずれ劣らぬトリッキーな4編を収録。連作としても意外な展開を辿るので、頭から順番にお読みください。 文庫オリジナル作品。
「堂場警部補とこぼれたミルク」
矢木が死んだ。古瀬洋輔は葬式へ行く。矢木は大学時代、多くの友達をゆすってきたため、恨んでいる人間は多かった。葬式に来たのは元カノのマキとマキのことが好きだった井口だけだった。矢木はゆすりのネタが記録された「黒ヤギファイル」と言うものがあった。古瀬はそのファイルが入っているらしいCDを入手していたが、開く事ができない。古瀬は2人に一緒にみてほしいと頼む。
「堂場巡査部長最大の事件」
堂場夫婦が恩義のある女性との縁から、女性関係のトラブルに巻き込まれた男性に堂場は力を貸す。奇怪な形をしたマンションで堂場は男性を監視する事になる。そこで堂場はとんでもない大失態をしてしまう。
「堂場刑事の多難な休日」
死体を隠そうとした男性の家を偶然訪れた堂場刑事は、相手が怪我をして動けない事から、家の中に泥棒が入っていないか確認するために、上がりこむ。そこで堂場は数々の問題点を指摘する。
「堂場?/切実」
「俺の小説が賞を取れないのはあいつのせいだ」私の兄はそういって小説家の青羽家貴を恨む。しかも愛犬が吠えてうるさく、仕事に集中できないのだと言う。しかし、その犬がどうやら誘拐されたらしい。私は運良く、青羽の家に潜入して協力する事になった。
創元推理文庫って、面白い作品が多いから楽しみにしていました。ミステリ・フロンティアのシリーズも面白いミステリばかりだし。そしてこの作品の感想は・・・。
・・・わからーん!!
です。一応あらすじを書きましたが、これを信用してはなりません^^;
というか、このあらすじを読んだだけでは全く持って予測不可能な作品です。
解説者が、蒼井さんはひねくれものだとおっしゃっていましたが本当にそうですよ。
よくもまあこんなに二転も三転もどんでん返しもする作品をたくさん書けるものです。
この作品は始めから仕掛けがあって、堂場=ウィルフレッド・ドーヴァーで、イギリス人作家のジョイス・ポーター氏が書かれている小説の登場人物だそう。しかも最後の作品のタイトルは「ドーヴァー4/切断」のパロディだそう。
蒼井さんもものすごく作品を読み込まれているのが分かります。
いやはや、凄いです。
ちゃんと順番に読んでくださいと冒頭に書かれているのですが、「堂場巡査部長最大の事件」と「堂場刑事の多難な休日」の流れが正しいのかどうなのか分かりません・・・。何かカラクリがあるのでしょうか・・・。う〜ん、わからん。
唯一分かったカラクリは「堂場警部補とこぼれたミルク」のカラクリだけです。しかも大体解説されていたし。でも、全く違和感なく読めました。あのトリックは凄い。読み返したら・・・確かに。と思いました。
あぁ・・・上手く説明できません。
面白かったです。蒼井さんには、ずっと、騙され続けていこうと思います。
〈創元推理文庫 2010.2〉H22.6.15読了
何ともコメントに困る作品だな、という感じでした(^^;)
正直なところ、序盤の3編を通じての感想は「微妙」という感じだったのですが、それが全て伏線とは……という感じで、それはそもそもが狙ってのものなのか、どか、そういうのを考えると、本当に頭が痛くなる思いです。
これまでの作品でも、色々と「ひねくれている」とは思ったのですが、この作品ほど「ひねくれ者作家」がふさわしいとは思いませんでした。