
デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)
クチコミを見る
驚愕の一夜
明かりの消えた深夜のデパートのあちこちに蠢く人の気配。不穏な空気が流れ出し、静かに騒ぎが始まった。
所持金143円、全てを失った男は、深夜のデパートにうずくまっていた。そこは男にとって、家族との幸せな記憶がいっぱい詰まった、大切な場所だった。が、その夜、誰もいないはずの店内の暗がりから、次々と人の気配が立ち上がってきて――。一条の光を求めてデパートに集まった人々が、一夜の騒動を巻き起こす。
ネタバレあります
タイトルからするに明るそうな本ですが、まあ真保さんの作品だから明るくはないとは分かっていましたが、よくもまあ、こんなに明るいタイトルをつけたもんだ^^;
まず登場人物が多すぎるので、まとめます。
加治川英人―会社をクビになり、派遣で食いつないできたがそこからも仕事が来なくなり、所持金も底をついた。妻と娘に逃げられ、母との思い出のあるデパートへ向かう事にした。
山添真穂―鈴膳百貨店に勤める販売員。宝飾コーナーでトップのセールスを誇っていたが、今は特選和食器コーナーに配属となっている。今日は早く上がり、ある計画を立てていた。
矢野純太郎―鈴膳の社長。デパート内で賄賂が行われていた事で窮地に立たされている。
赤羽信―鈴膳の警備員として働いている。元々は鈴膳のセールスマンだった。
半田良作―鈴膳の警備員として働いている。異動するのが嫌で正社員ではなく契約社員として働いている。鈴膳の生き字引と一目置かれている。
コージとユカ―2人は家出をしてきているらしく、コージの父親が逮捕されたらしい。2人はお金を使うだけ使って、泊まる場所も決まっていない。目の前にある鈴膳デパートへ向かう。
塚原仁士―手に怪我を追い、逃げ切れないと思ったところで目の前にはデパートが。塚原はデパートに入る。
佐々岡―宝飾コーナーに勤める。
・・・他にいたかな。夜のデパートが舞台だったので、以前読んだ「魔法があるなら」を思い出しました。
でも、今回はいろんな人が登場するから、覚えるのが大変^^;
本当にそれぞれの人たちがいろんなことを抱えていていろんな出来事に遭遇するから、いったいどうまとめるんだろうと思っていたら。
見事ですね。
この一晩で、いろんな人の運命が変わっていったのではないでしょうか。
良かったのは半田主任の事。
戦争孤児で、このデパートにお世話になったからここにいるって言う理由だけではなかったんですね。
感動しました。
〈講談社 2009.8〉H22.5.28読了
想像とは違った内容でしたが、楽しく読みました。