フリーター、家を買う。
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大学を卒業して就職したは良いものの、「ここは俺の居場所じゃない」と三ヶ月ほどで辞めてしまった武誠治は、以後再就職も出来ずにだらだらとフリーター生活を送っていた。しかし、母がうつ病になってしまったことを知り、姉からもだらしのない現状を容赦なく指摘され、このままではいけないと考え始める。
当座の目標としてまず就職することと100万円を貯めることを決め、誠治は家族のために一念発起し、バイトに就職活動に母の看病にと奔走する。

「植物図鑑」の方が先に予約して人数も少なかったはずなのに、こちらの方が先でした。
誠治が同じくらいの歳だし、誠治の経歴が私がこれからそうなるかもしれないっていう経歴だったので、凄くリアルな気持ちで読みました。
始めはどうなるかと思ったけど、最後はきっとそうだるだろうと予想できたけど、良かったと思いました。
お父さんは酷い人です。きっと昔気質で、プライドが高くて、女性は結婚したら家庭に入って家族を支えろと思っていて、でも主婦という仕事に対してはきっと上から目線で、持論は絶対的なものだと信じているのだと思う。
今と昔では時代が違うんだから、もっと頭をやわらかくしたっていいのにって思う。
お父さんはうつ病は心の弱い人がなる病気だって言うけど、それは違う。
うつ病は心の病気でもあるけど、脳の病気でもある。
自分がやらなきゃと思っても出来ないのは、そういうのも関係してるんだと思う。
誠治は最初はいまどきの若者っていう感じだったけど、変わりましたね。
社会人になってからは変わりすぎってくらい。
でもそれは、今まで当たり前にしてくれたお母さんの優しさや気配りが病気になって初めてわかったからで、自分がいかに甘えていたのかが分かったからなんだろうな。
家に帰ったら当たり前のようにあったかいご飯があって、お風呂も用意されていて、愚痴も聞いてくれて、近所づきあいも一心に引き受けてくれて。
お母さんは弱い人なんかじゃない。とても強い人だと思う。
病気になった事は、家族にもういい加減甘えなさいという暗示だったのかもとも思うくらいだった。
誠治は偉いね。お母さんは病気になってしまったけど、でも病気になってからの誠治の行動を読んでいたら絶対に「間に合った」んだとおもいます。
途中で千葉さんが登場したときに「もしや・・・」と思ったけど、やっぱりそういう展開なのね。
いつもならドキドキして読むのに、今は心が荒んでいるから、2人の姿を読んでいて、けっって思ってしまいます。
有川さんの作品はときめくはずなのに、おかしいな。
でも、とっても鈍い2人は可愛らしいので応援したくなります。
有川さんは知識の幅が凄いですね。
土木は全く考えた事のない業種だったので、勉強になりました。

〈幻冬舎 2009.8〉H21.11.23読了