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「図書館ではお静かに」
女子大生が図書館へ駆け込んできた。「シンリン太郎について知りたいんですけど」という。明日に間に合うようにレポートを作成しないといけないのだという。持ってきた資料には「林森太郎「日本文学史」を読み、考えたところを記せ ※最初から最後まで読む必要はない」と書かれている。調査相談課の和久山隆彦はその紙を見て、森鴎外のことではないかと考える。
「赤い富士山」
分館が閉館することとなった。分館の資料を片付けていると初老の男性が現れた。自分が小学生のころに置きっ放しにしていた自分の本を探してほしいのだという。その本の表紙には、赤い富士山が写っていたというのだ。
「図書館滅ぶべし」
1月7日、新しく副館長が就任した。就任すると同時に副館長潟田直次は図書館廃止論を唱え始めた。和久山が反論すると、研修だといって難問を突きつける。その書物のヒントは「A意味的には、日本語における外来語の輸入の歴史を丸ごと含む B音声的には、人間の子どもが最初に発する音によってのみ構成される」
「ハヤカワの本」
井波トミという女性が図書館にやってきた。旦那の仙蔵が、図書館から20冊ほど借りたまま、返していないのだという。その本は「ハヤカワトショ」だと仙蔵は言ったらしい。
「最後の仕事」
市役所で図書館の今後をどうするか文教常任委員会が行われるのだという。そこで廃止派として潟田が演説を行うのだという。和久山は市議会議員の増川から命を受け、存続派として演説をしてほしいのだという。
面白かったです。
和久山、最初はつまらない男なのかと思ったけど、とっても仕事に対して真面目で、凄く情熱を持って、誇りを持って仕事をしているんだなぁと思いました。
図書館にいつの日か勤めたいなぁと思っている私としては、理想と現実を突きつけられたような気がします。
実際に図書館に勤めている方のお話を聞くことがあります。
公共の場ということで、ごろんと横になって寝ている人もいるし、トイレで頭を洗っている人もいるらしい。
私は友人に図書館司書になりたいといったら「カウンターに座ってるだけでらくだもんね」って言われたことがある。
違うんだ!そうじゃないんだ!
図書館はカウンターだけじゃない。レファレンスサービスがある。自分の書かなければならないテーマの資料を探したいとき、ストーリーは分かるけどタイトルが出てこないとき、論文を書くためにそのテーマの論文を探すとき。
自分で探せないときに、調べ物を一緒にしてくれる人がいる。それが図書館司書の大事な仕事の一つ。
行った図書館に欲しい資料がなかったとき、相互利用サービスで、違う図書館から取り寄せることだってできる。
これも、図書館勤めの人が言っていたこと。
レファレンスサービスを面倒くさがって、利用者はすぐに去ってしまう。まずはレファレンスの席に座ってもらうことが大切。
図書館は、ただ本があって、カウンターがあるだけじゃない。
だけど、それを伝える機会も、伝える仕事も少ない。
だから、図書館は閉鎖された空間だとか、無料貸本屋だとか、言われてしまうのだと思う。
それを脱却するために、各図書館が様々な活動を行ってる。
子ども達の活字離れを阻止するために企画をしたり、退職した方々にボランティアをお願いして読み聞かせをしたり。
公共の施設だから、本っていうテーマからいろいろ広げてたくさんの活動をしてるんです。
それを、潟田のような人に知ってほしいと思う。
って、私が偉そうなことを言う権利はないのだけど。
いろいろ考えさせられました。
和久山は素敵です。上司にはむかうことの出来る部下も必要です。仕事の鬼ですね。
でも、恋愛に関しては疎いですね。
藤崎沙理がさりげなく言っているのに、真面目に返しちゃって。
あれはダメですよ。おかしかった^^;
私も、増川の探している本は「太陽の季節」だと思いました。あの作品だけ読んで、あのシーンで興ざめして、それ以降全く読んでいないのですが。
〈光文社 2009.7〉H21.11.19読了


和久山が解くことになる本の謎、とっても面白かったです。一冊の本を探すために知識を総動員し、資料にあたる和久山の姿も良かったですね。頼もしいと思っちゃいました。