戯曲 毛皮のマリー・血は立ったまま眠っている (角川文庫)
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美しい男娼マリーと養子である美少年・欣也とのゆがんだ激しい親子愛を描き、1967年の初演以来、時代を超えて人々に愛され続けている「毛皮のマリー」。
そのほか1960年安保闘争を描いた処女戯曲「血は立ったまま眠っている」
「さらば映画よ」「アダムとイヴ、私の犯罪学」「星の王子さま」を収録。
寺山演劇の萌芽が垣間見える、初期の傑作戯曲集。
ネタバレしてるかもです
剛君が舞台をする!ということで、原作があると知り購入してしまいました。
悩んだけど、多分舞台は観に行かないと思うので、原作は読んでおきたいなと思いまして。
戯曲を買ったのは「二万七千光年の旅」以来ですよ。
全部で5作収録されていました。正直分からないのもあったけど^^;
結構面白かったです。私の中では野田秀樹さんよりも分かったかも・・・
「毛皮のマリー」が1番面白かった。
男娼のマリーが息子として美少年の欣也を育てている。でも、その子供の出生には大きな秘密があって。それが本当に自分本位で生まれてきた欣也は可哀相で。
それに欣也は外へ出たことがなく、部屋の中で蝶を追いかけて生活をしてるから、やっぱりどこかゆがんでいて狂っていて。蝶も人も何でも同じものに捕らえていて、母親であるマリーだけが絶対で。
なんてかわいそうな子なんだろうと、読んでいて悲しくなりました。でも、引き込まれた。実際に観てみたいです。
「血は立ったまま眠っている」も面白かったけど、こっちも可哀相で切なくて胸が痛くなりました。
安保闘争は学生運動のことですよね。映画や舞台で見たことがあります。
この頃の学生は熱いですよね。自分の意思をしっかり持っていて実行して。
灰男と良もその一人で。自分達の意思を貫いて物を盗んだり壊したりして政府に刃向かっている。
2人はまだ若くて、心には揺らぐものもあって。2人の道はずれてしまった。
夏美に出会ったことで自分のやってきたことに対して疑問を持ち始めた灰男と、雑誌記者に唆されて灰男を裏切ろうとした良。
二人の行く末が可哀相でしょうがなかった。
最後にアレを実行できて、良かったのか、悪かったのか。
心にしこりが残ったまま読み終えた感じです。
でも、舞台は見終えた後に観客が自分で考えることも必要だと思うので、これで良いのかなとも思う。凄いですね。
<角川書店 1976.1
角川書店 2009.2改版>H21.10.15読了