魚神
オススメ!
生ぬるい水に囲まれた孤島。ここにはかつて、政府によって造られた一大遊廓があった。赤ん坊の頃に捨てられていた、白亜とスケキヨ。
2人は血がつながっているのかは分からない。
しかし2人はずっと寄り添いあい、生きてきた。
しかし、白亜は廓に売られ、スケキヨは薬売りとして暗躍している。
美貌の姉弟のたましいは、惹きあい、そして避けあう。
ふたりが再び寄り添うとき、島にも変化が…。第21回小説すばる新人賞受賞作。
いろんな方のブログでこの作品を拝見し、読んでみたいと思いました。
この作品が処女作という千早さん。素晴らしいです!
スケキヨと白亜の醸し出すぬらぬらと澱んだ水の中にいるような感覚を、読んでいて感じました。
どっぷりとこの世界観を楽しみました。
伝説の遊女と同じ名を持つ白亜。その名前に恥じない美しい女性になり、遊郭一の遊女となる。でも、心の中は空っぽ。心の奥底には、幼き頃に共に過ごしたスケキヨの事しかない。
スケキヨと白亜の深い深い絆を感じました。
だけど、大人になっても2人は捨てられた時のように子どものままの部分を持っていて。互いに相手の事しか考えていないのに、会うことを拒む。
ちょっとじれったさも感じましたが、最初から最後まで、この作品を堪能しました。
白亜は周りの男達にも恵まれているんですよね。きっと、一人では生きていけない。
スケキヨももちろんですが、剃刀男も魅力的でした。男らしい〜。
白亜にとってのスケキヨとの暮らしは、伝説の白亜の住み着いた雨極と同じなんですよね。きっと。
〈集英社 2009.1〉H21.4.28読了
>ぬらぬらと澱んだ水の中にいるような感覚
本当にそんな感覚が全編に漂ってましたね〜。でも、不思議と息苦しくなく、かえって美しいとさえ思ってしまいました。
これから千早さんがどんな世界をつむぎだすのか、楽しみです♪