ガール (講談社文庫)
ガール (講談社文庫)
「ヒロくん」武田聖子は30代で管理職に抜擢された。旦那よりも給料は良い。配属された部署では聖子よりも年上の部下がいた。
「マンション」石原ゆかりは友人のめぐみがマンションを購入したと聞き、驚く。自分もマンションを探し始める。
「ガール」滝川由紀子は32歳。仕事柄、今でも若いファッションで決めている。でも、たまに不安になる。
「ワーキング・マザー」平井孝子はシングルマザーとなり、3年が経った。再び仕事に生きがいを見出したいと営業部に復帰する。
「ひと回り」小坂容子は34歳にして初めて新人を指導する事になった。その新入社員はイケメンで、久しぶりに胸が高鳴る。しかし、ライバルも多かった。

「ララピポ」を読んでから、奥田作品は何を読んでいいのか分からなかったのですが、会社で先輩が「面白かったよ〜」と本を貸してくださったので、読みました。
本当に面白かった^^奥田作品のトラウマから逃れられたかも。
それぞれ、働く女性の姿がかっこよかったです。
私は小学生の頃、早く結婚して仕事を辞めたいと思ってたんだけど、それはホント、言ってはいけない事だなと。
働く女性も子育てに励む女性もそれぞれ幸せで、それぞれ不安を抱えてる。
私が考えていた事は、ただの現実逃避だったなと。
社会人になって見えてきたことがある。私の入社した会社は歴史は長いから、年功序列な部分はのこっていて、入社2,3年目の女性だからって、俺様のような物言いをする人もいる。実力が伴っていないから今は私は言い返せないけど、やっぱり悔しい。男女雇用機会均等法なんて、ただのうわべだけのものだと思う。
もちろん、そんな人は少ないし、ほとんど良い人なんだけど。それでもたまにもの凄く腹が立つし、悲しくなるし、悔しくなる。
でもそれが、社会人になるってことなのかな。なんて、思ったりして。
どの作品も好きだけど、私が好きなのは「ヒロくん」かな。聖子の葛藤が分かるし、男性社員の態度もイライラするほど伝わってきた。でも、旦那さんが素敵です。本心で、奥さんの方が給料が高くても全然気にしてないってのも分かったし、子どもに対してのフォローだって、涙が出るほど素敵です。でもそれは、聖子が旦那を見下してるわけではもちろんなくて、互いに尊敬し合ってる部分があるからなんじゃないかなと思う。聖子は自分の酔っ払った恥ずかしい姿を、旦那さんにさらけ出してたし。「傷ついておるのだよ。」って言う言い回しが可愛かったです。素敵だな、こんな夫婦関係。

〈講談社 2006.1〉H21.4.8読了