サンタ・エクスプレス―季節風 冬
サンタ・エクスプレス―季節風 冬
「あっつあつの、ほっくほく」仕事で女性初の管理職となった。しかし、古い考えを持つ同僚や上司に苦労する日々。私は、高校のときによくよった「カオルのおじさん」の石焼いもを思い出す。
「コーヒーをもう一杯」マンデリンを頼んだ時、かつて付き合っていた彼女の事を思い出す。大学生のときに付き合っていた、年上の女性だった。
「冬の散歩道」男は疲れきっていた。どうなってもいいと思っているところに、次から次へと男に人がよってくる。
「サンタ・エクスプレス」なっちゃんはパパとママに会いに行き、その帰り道。汽車に乗っていた。ママは子どもを生むために帰郷していた。なっちゃんはいつもお姉さんらしくしているのだが、ママの所から家に帰るときだけ、不機嫌になる。
「ネコはコタツで」父が突然亡くなった。母親は田舎で一人暮らし。元気がなくなったようで心配だった。正月に帰ると、母親はネコを飼っていた。
「ごまめ」毎年お正月は皆で過ごし、皆で初詣に行っていた。しかし、今年は違う。娘が「おめでとう」の一言もなく、彼氏と出かけてしまったのだ。
「火の用心」私は近所を回る火の用心の当番になった。高校が離れてしまったワクちゃんとともに近所を回る。一緒に周っている男性二人は知り合いのようだが、一人は気に入らない人で、もう一人は頼りなさそうだった。
「その年の初雪」泰司は雪が降るのを待っていた。この地に引っ越してきて初めての冬。そして、この地で過ごす、最後の冬。仲良しの三上には、また引越す事を伝えていなかった。
「一陽来復」離婚した。これから娘と二人暮らし。今日は豆まき。2人で豆まきの豆を買いに行く。
ひいおじいさんが死んだ。97歳だから大往生だった。自分は、ひいおじいちゃんと家族でいられたのか、考える。
私立の中学に落ちた。4月からは公立の中学に通う。父親が励まそうと豆まきをしようと提案する。
「じゅんちゃんの北斗七星」じゅんちゃんのことを久しぶりに思い出した。ずっと仲の良かったじゅんちゃん。いつも一緒だった。小学校に入ってからも、席替えをしても、何故か2人は隣どおし。じゅんちゃんが他の子と少し違う事を、僕は知っていた。
「バレンタイン・デビュー」息子の達也を刺激してはいけない。落ち込んでいる時に家族がどう対応するのか。それが大事なのだと、父は力説する。母親と娘は、そんな父を呆れた様子で見つめている。
「サクラ、イツカ、サク」先輩と一緒に僕は合格した子達に「バンザイ」と言い、お金を取っていた。一人の女の子に合格おめでとうと言うと、泣き出してしまった。先輩はお詫びにと出ている間、僕は彼女と2人きりになってしまった。

重松さんの季節風シリーズ。制覇してしまいました。
長かった。4冊読んで一体何話読んだんでしょう。
冬も良かったです。特に好きだったのは「サンタ・エクスプレス」「ネコはコタツで」「バレンタイン・デビュー」かな。
「サンタ・エクスプレス」でのなっちゃんの気持ち、何となく分かるな。私も1番上だから。お母さんの粋な計らいは感動でした。
「バレンタイン・デビュー」のお父さん、本当にバカですね〜^m^でも、子どもへの愛情がひしひしと伝わってきました。
重松さんの作品は怖かったり、イライラする人間が登場したりしますけど、人のあったかさもたくさん感じます。
今回も、良かったです^^
私の中での好きな順番は夏→冬→春→秋でしょうか。

〈文芸春秋 2008.12〉H21.3.31読了