少しだけ欠けた月―季節風 秋
少しだけ欠けた月―季節風 秋
「オニババと三人の盗賊」オニババと呼ばれるお婆さんが営んでいる文房具屋がある。近所にここしか文房具が売っていないため、小学生達はここで文房具を買うしかなかった。しかし、コンビニや大きな本屋ができるとめっきり客足が遠のく。ある日、外に置いていた花火を持ち出そうとしている少年3人を見つける。万引きをしようとしたのだが、それには理由があった。
「サンマの煙」都会から田舎へ引越してきて、娘の真希はもう友達は作らないという。母である玲子は転勤族で、真希と同じように田舎へ引越してきた時、無愛想に過ごしていた。しかし、エッちゃんという女の子だけはいつもニコニコはなしかけてきた。
「風速四十米」実家のある地方に台風が上陸するようだ。ミノルは実家へ戻り、父母と一緒に過ごす事に。いつも頼もしかった父は脳梗塞で倒れて以来、一人で自由に動く事はできなくなっていた。
「ヨコヅナ大ちゃん」小学校4年の秋から6年の春まで相撲で4連覇している大ちゃんが、今回は辞退すると言っている。理由は、好きな女の子にデブだといわれたからだ。もう、出ないって決めた。しかし、他校に強敵が現れ、同級生からは懇願され、大ちゃんの心は揺れる。
「少しだけ欠けた月」今日、お父さんとお母さんは離婚する。少しだけわがままを言って、テラスで夕食を食べようと提案する。ゆっくり食べたり、たくさんお茶を飲んだりして時間を引き延ばしても、別れの時間がやってくる。3人で帰路についている時、影踏みをしようと父が提案する。
「キンモクセイ」父の認知症が進み、母と二人の暮らしが厳しくなった。妹の芙美の家族と同居する事になった。実家へ戻らず、今も東京で暮らす自分は少し、肩身が狭い。引越しの準備をしている時、キンモクセイの香りが漂っていた。
「よーい、どん!」会社で派閥争いに巻き込まれ、降格する事になった夫。夫を元気付けようと散歩に誘う。外はいい天気で、小学校の運動会が行われていた。
「ウィニングボール」飲み仲間と行きつけの居酒屋店員とで編成された草野球チーム。今まで前線全敗。試合の後に美味しい酒を飲むためにやっているようなものだった。しかし、最近、小学生くらいの少年が野次を飛ばしてくるようになった。フリーターの鶴田はその言葉が気になる。その少年は松葉杖をついていた。
「おばあちゃんのギンナン」おばあちゃんの十三回忌。美沙は久しぶりに実家に帰ってきた。離婚したばかりで、両親にも事後報告。今日も実家に泊まらずに帰る気だった。料理に出てきた茶碗蒸しの中に入っていたギンナンをみて、おばあちゃんのことを思い出す。母と一緒にギンナンを取りにいくことになる。
「秘密基地に午後七時」毎週金曜に幼馴染の5人が集まる。ある日突然桑田が秘密基地に息子を連れてきていいかと訪ねる。工藤は桑田に理由を尋ねようとする。すると、桑田は自宅に近い場所で飲もうとやや遅い時間を指定してきた。
「水飲み鳥、はばたく。」若手社員の尻拭いに終われる毎日。謝罪する場所に選んだカフェで水飲み鳥を見つける。かつて父と喫茶店に行ったことを思い出した。
「田中さんの休日」娘がカンニングをしたと言う理由で母親が学校に呼び出された。田中さんも父として同行する。そのとき、何故か「今度の日曜日に家族で出かける」ことでカンニングについては目を瞑るという。田中さんはどこへ行こうか出発しても悩んでいた。

1日で読んでしまった…。今年は抑え気味にしようと思っていたのに、中毒がまた進んできている。マズイ。他の事もせねば。
秋って、難しい季節ですよね。北海道なんて、秋はあるようなないような感じです。夏が終わったら一気に冬って言う感じだし。最近は温暖化のせいか初雪の時期は遅いけど、早かったら10月下旬には初雪が降るし。
普通に考えると、秋は…スポーツ、食欲、芸術?そんな感じでしょうか。
美味しい食べ物がたくさん収穫できる時期ではありますね^^サンマとか。大好き^^
今回も素敵な家族の話がたくさんありました。
中でもすきなのは「オニババと三人の盗賊」と「ウイニングボール」かな。
素直じゃないオニババが子ども達にしてあげた事が何だか素敵でした。
「ウイニングボール」もいいですね。男の友情ですね。女には真似できない熱いものを感じました。
40代の男性が主人公の時が多いですが、ちょっと私にとっては世代が違うんですよね。
私の両親よりは下だし、私よりは上だし。
共感できる所がちょっと少ないかな。なんて、思ったり。それは仕方ないんですけどね。

〈文芸春秋 2008.9〉H21.2.17読了