寒椿ゆれる
「猪鍋」
千陰の母、お駒が妊娠し、つわりがひどくほとんど食べ物を食べなくなった。このままでは母体にも危険が及ぶ。なにか変わったものなら食べてくれるかもしれないと、千陰は巴之丞に何か変わった食べ物はないかと訊ねる。猪鍋がいいのではないかと言われ最近繁盛している「乃の字屋」へ行った。行った先で男が暴れていた。彼は幸四郎といった。店主の龍之介が幸四郎の父を殺し、味を盗んだと言うのだ。
「清姫」
女形の巴之丞が何者かに刺され怪我を負った。刺したのは18,9くらいの若い娘だったらしい。大事には至らなかったが、舞台を続ける事は出来ない。雪弥に代役を任された。巴之丞にはまだまだ及ばないが徐々に良くなってきているようだ。犯人は誰なのか。千陰は巴之丞と雪弥を贔屓にしている女性を洗う。
「寒椿」
千陰と同じ同心の大石新三郎が盗賊の手引きをしたと疑われている。千陰は大石の無実を晴らしたいと身辺を調べ始める。すると、大石は何故か吉原の梅が枝を訊ねていたと言う。遊女を身請けしたいと思うなら動機も生まれる。大石の行動を探る。
第4弾…なんですよね。1,2冊目はまだ未読ですが好きなシリーズです。
千陰の真面目な雰囲気が好きですし、事件の展開も引き込まれます。
今回は千陰の周りの人間が関わっている事件が多かったので、尚更気になりました。
千陰はまた、見合いの席を設けますが、相手のおろくは3作とも登場します。
算術に長けている女性で、肝も座っている、ちょっと変わった女性です。
ですが、小さな頃に目撃してしまった心中事件をきっかけに、恋に対して恐怖を抱き、結婚する事を拒んでいた。
読んでいてもちょっと不思議な女性なんですけど、それでも魅力も感じました。
千陰とも、なかなかお似合いなんじゃないかと思ったけどな。
お駒とのお見合いのときよりも。
読んだ時はまさか千次郎と結婚するとは思わなかったけど。
最後の「寒椿」でのあの2人の恋は素敵でした。
千陰は結ばれる事は出来なかったけど、仕方ないね。
お互いの家に植えられている椿。素敵でした〜。
〈光文社 2008.11〉H21.2.4読了
この作品は、おろくが魅力的でしたよねえ。
残念ではありましたが、今後もきっと出てきてくれますよね。
続きも楽しみです♪