ダイイング・アイ
ダイイング・アイ
記憶を一部喪失した雨村槇介は、自分が死亡事故を起こした過去を知らされる。
なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろう。
事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、思い出せない。
しかも、関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める…。

気付いたら予約して1年が経っていました。凄いな。
シリーズもの以外は久しぶりに読みました。
面白かったです。
誰も彼も怪しく見えてしまって。どうなるどうなると思っていたら、読む手が止まらなかったです。
いつもとテイストが違うなぁと思ったら、10年前の作品だったんですね。
美菜絵と玲二の深い愛情は伝わってきましたけど、だからか憎悪ももの凄くて。
悔恨、怨念。そういった感情がひしひしと伝わってきました。
ラストも怖かった〜。
でも、ちょっといい気味だとも思いました。だって、ひどすぎるんだもの。
被害者に対して。
だけど、判決って、人を殺してもあれくらいの刑で済んじゃうのかな。
人の命が失われているのに。そう考えると、悲しくなった。

〈光文社 2007.11〉H21.2.2読了

ネタバレはこちら。
雨村は事件を起こす前までは「シリウス」と言うバーで働いていたが、事件をきっかけに「茗荷」というバーで働くようになる。
雨村は事故当時の記憶を失い、妻を失った恨みから岸中玲二に殴られ、殺されそうになる。
それ以来、雨村は事件の真相が気になってくる。
彼女の成美が行方不明になった事で警察に行き、そのときに複合事故だった事をしる。
雨村の運転していた車に岸中美菜絵の乗っていた自転車がぶつかり、木内春彦の運転していた車につぶされ、美菜絵は死んでしまったということだった。
木内についても調べるようになったが、平社員にもかかわらず、あまり会社に行かずにお金を大盤振る舞いしているらしい。何故そんな生活をしているのか。
「茗荷」に魅惑的な女性、瑠璃子が現れる。
謎に包まれた女性なのに、雨村は惹かれていく。そしてそれが仇となる。
木内と接触し、互いに加害者をかばっていることがわかった。
瑠璃子は美菜絵そっくりの女性。玲二が作ったマネキンと同じ顔をしていた。
外見は木内のかつての婚約者、上原ミドリ。しかし中身は、おそらく美菜絵が乗移っているのだった。
「シリウス」バーのオーナー江島が本当は運転をしていた。雨村とは金で取引をしていた。雨村が記憶を全て取り戻した時、再び取引をしようとする。
上手くいったかに見えたが、江島の策略だった。
雨村が殺されそうになったとき、瑠璃子が現れた。瑠璃子は、自分を殺したのが本当は江島だった事を知る。
瑠璃子は江島に殺され、終わったかに見えたが、江島はすでに瑠璃子にとりつかれていた。
目を開けると、瑠璃子の目が睨んでくるのだという。
その恐怖に怯え、自ら光を失くした。