
人柱はミイラと出会う
リリー・メイスは一木家にホームステイし、博士号取得に向け、勉強に励んでいた。
それと同時に、日本の不思議な習慣を数多く目にする。
パラレルワールドの日本で展開する、奇っ怪な風習と事件の真相とは。
「人柱はミイラと出会う」
リリーは慶子と人柱に出くわした。建築物を造る際、安全を祈念して人間を生きたまま閉じ込めるというのだ。彼ら「人柱」は、工事が終わるまで中でじっと過ごし、終われば出てきてまた別の場所にこもる。ところが、工事が終わって中に入ってみると、そこにはミイラが横たわっていた。人柱職人で慶子の従兄弟の東郷直海が事件に乗り出す。
「黒衣は職場に消える」
政治家は会議で黒衣を使う。その黒衣が一人、会議から消え、死体となって発見された。
その男は、慶子の父、三郎の黒衣の弟だった。
「お歯黒は独身に似合わない」
結婚した女性はお歯黒をする。
慶子の母を歯医者に送っているとき、隣の車に乗っていたのはいつも行っている歯医者の一人と、慶子の通う大学の大学院生だった。
大学院生の先輩は独身なのにお歯黒をしていた。何故なのか。
「厄年は怪我に注意」
日本では、厄年に入ると1年間休暇を取る事になっている。もしも仕事をしたら、怪我をするといわれているのだ。
今年は大学で3人が休暇に入ったのだが、そのうち2名が怪我をした。
何故厄年とはいえ2人は怪我をしたのか。
「鷹は大空に舞う」
現在は鷹匠が警察に協力出来る事になっている。
大ベテランの安田と鷹のカズマは有能で有名だった。
しかし、カズマが人を殺してしまったという。
「ミョウガは心に効くクスリ」
嫌な事があったらミョウガを食べて忘れるという習慣がある。
慶子の母がひき逃げ事故を目撃してしまった日、夜にミョウガが食卓に並んだ。
数日後、ダンボールいっぱいに詰め込まれたミョウガが贈られてきた。
「参勤交代は知事の務め」
三郎が北海道知事に就任した。日本には参勤交代の制度があるため、一定期間は東京に住まなくてはならない。
知事公館に引っ越した日、ベットのマットの下から大量のお札が発見された。
一体誰が何の目的で置いたのか。
石持さんの作品、はまってます。
今作は連作短編集です。
留学生のリリーと慶子、直海が事件に巻き込まれ、ヒントを頼りに直海が探偵として解決していきます。
直海は人柱職人で、短いと数ヶ月、長いと何年もその土地を守るため、地下に篭もります。
頭脳明晰で博識。事件を次々と解明していきます。カッコイイです!
そして一つ一つの話が面白いです。
かつて日本であった風習が現代にも生きているパラレルワールド。
その習慣を上手く使った事件。石持さん、流石です。
私も東郷さんは素敵だと思います。
リリーとの今後も気になりますね^^
それから、個人的に舞台が札幌なので親近感が沸きました。
きっと二人が行ってる大学は北大だな〜とか、「ポールタウン」とか「駅前の東急」など、地元に入ると「ぷっ」と思える地名が登場したのがまた良かったです。
〈新潮社 2007.5〉H20.10.16読了


人柱やお歯黒などの風習が現代でもあったら、という設定が面白かったですね。
留学生の視点で語られているので、違和感もなく親しみ易くて好きでした。
石持さん、この作品しか読んだことがないので、他の作品も興味があります。