狼の寓話―南方署強行犯係 (トクマ・ノベルズ)

警察に入ってから、ずっと刑事になるのが夢だった。
刑事課に配属が決まって小躍りするくらいうれしかったのに。
会川圭司はドアを開けた途端に血の匂いにたじろいでしまった。
それだけじゃない。犯行現場のバスルームで間違って、たじろいだ瞬間にシャワーの蛇口をひねってしまい、鑑識が見つけた髪の毛を流してしまった。
先輩の城島と鳥居係長に捜査班を移された。
組んだ相手が、黒岩という女性刑事。どうやら、こちらも刑事課でお荷物扱いの人間のようだ。
与えられた事件は一週間前の殺人事件。夫が殺され、疾走した妻が疑われるのだが…。
著者が初めて挑んだ、本格の薫り高き、書下し警察小説。

近藤さんの刑事ものです。
ストーリーも文体も近藤さんらしい感じで読みやすくて私は好きです。
やっぱり痛々しいですけど…。
冒頭は童話から始まります。そのストーリーも面白くて読みいってしまいます。
そして、本編。新米の会川が黒岩という女性刑事と共に事件を追っていきます。
その事件に童話が大きく関係していくわけなのですが。
ネタバレになってしまうのであまりいえませんが、この事件の背景にあるものが本当にやりきれないです。
今でも実際に当然のように行われている出来事なのだと思います。
「ラストフレンズ」の錦戸君の役みたいな人っていっぱいいるんだろうしな。私は見てないけど。
って、これで大体分かっちゃうか^^;
会川君は新米だけど頑張ってて好感が持てます。お兄さんの宗司も警官なのですがとても良い人だし。
続編もあるみたいなので楽しみです。

〈徳間書店 2003.10〉H20.6.10読了