こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり

オススメ!
江戸・橋本町の下っ引き宇多が、恋しい思いを伝えられぬまま亡くしたはずの、於ふじが帰ってきた―幽霊の身となって!
神田川でこときれた於ふじと千之助兄妹の死の真相を探るうちに、九人の幼なじみたちそれぞれの恋や将来への悩みが絡み合ってきて―ほんのりせつない大江戸青春恋物語。

宇多、於ふじ、千之助、お染、弥太、おまつ、重松、お品、お絹、9人の幼馴染の物語です。
於ふじと千之助は同日に溺れ死んでしまった。それから二月。
下っ引きの宇多が於ふじと千之助の父由紀兵衛の元へ赴くと、亡くなったはずの想い人於ふじがいた。
連作短編集なのですが、於ふじと千之助の死の謎がずっと根底にあります。
そして、かつては仲良く遊んでいた幼馴染達が大人になり、それぞれの道を歩んでいくという成長の姿もかかれています。
2人の死の真相は、胸が痛くなるほど切ないです。
悪人はいたけど、2人が死んでしまった事に対して悪い人は一人もいなかった。
なんて切ない結末なんだろう。
恋については鈍感である宇多も下っ引きとしての仕事ぶりはすばらしい。
みんな、離ればなれになるけど大人になっていくんだろうな。必ず別れはついてくる。
それが今生の別れでも。でも、一生懸命生きていたら、いいこともあるし、またみんなで会える時が来る。最後は切ないけど、素敵な終わり方だったと思います。
畠中さんの時代物、好きだなぁ。
「しゃばけ」シリーズ、早く読まなくちゃ。

〈光文社 2008.1〉H20.5.4読了