少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)

あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した…
あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。
誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。
だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから―。

何故桜庭さんの作品はこうも痛くて切ないんでしょう。
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と似てるかと思ったけど、雰囲気はまた違う。
だけど、どちらにもいえることだけど、この少女達は、他に道はなかったのかな。
大人たちがちゃんと愛情を注がなかったからかな。
何だか冷めていて、怯えていて、辛辣な言葉を吐く。
周りの大人たちが、もっと彼女達の表情に気付いていたら、違う結果になったのかもしれない。
葵の変化に気付いたのは、颯太だったもんね。
ラストが辛い。また、心に残るなぁ。

〈東京創元社 2005.9〉H20.4.14読了