あの名作が、京の都に甦る!?暴走する恋と友情――若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!
その時、彼の腕を通りすがりの女性が必死で掴み、「ちょっとすいません!」と叫んだ。
思わず見返した相手は驚くほどに可憐な乙女であり、目に涙を溜めている。
芽野は決して女性に腕を掴まれたぐらいでのぼせ上がるような人間ではないけれども、理由を聞く前から彼女の涙にもらい泣きしていた。(「走れメロス」より)
異様なテンションで京都の街を突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意(リスペクト)が切なさと笑いをさそう、五つの傑作短編。
山月記/薮の中/走れメロス/桜の森の満開の下/百物語を収録。
実際に読んだ事があるのは、「山月記」「走れメロス」のみな私。
そして森見さんは初読で、最初読み進めるのに時間がかかりました^^;
私が好きなのは「桜の森の満開の下」ですかね。
男の成功の裏に潜む戸惑いがとても伝わってきました。
舞台は京都。登場する人も同じ大学に在籍している人みたいですね。
「百物語」で勢ぞろいしたのがまた良かったです。
「走れメロス」は、あんな展開になるとは思わなかったです^^;
でも、現代風にアレンジするのなら、そうなるのかなぁ。
〈祥伝社 2007.3〉H19.8.5読了
くだらないパロディなのかもしれませんが、僕はこの本、好きでした。
本を読みながら笑えるって、なかなかありませんよね。いいですよね。
この軽さが嫌いでなければ、『夜は短し歩けよ乙女』がお薦めです。