
氷室夕紀は父の死をきっかけとして、心臓外科医を目指している。
今は研修医として、数々のオペに立ち会っている。
夕紀が医師を目指したのは、父の死に対して、ひとつの疑惑を感じていたからだった。
看護婦の望の恋人である譲治はエンジニア。
望に対して、入院患者のことをやたらと詳しく聞きたがっていた。
その真意は。
同時期に、病院へ1通の脅迫状が届く。
東野さんの新刊、ようやく読めました。
今回は内容が難しかったですね。
大動脈瘤という病気は知っていましたが、手術前にたくさんの検査や準備が必要なんだなぁと、初めて知りました。
心臓の手術ですもんね〜。
想像するだけで胸がキリキリ痛みます^^;私は医療の仕事は出来ません・・・。
「人間と言うのは、その人にしか果たせない使命というものをもっている。かっこよく生きていこう」
という、夕紀の父親の言葉がとても印象に残りました。
刑事も医者も、それ以外の仕事もその人にしか出来ないことがあるんだよね。
そして、自分の頑張りはきっと誰かが見ていてくれる。
そう思わせてくれる作品でした。
夕紀にとって、複雑な存在である西園教授の貫禄は、文章からも伝わってきましたね〜。
ただ、西園と母親の関係はちょっと嫌でした。
夕紀が疑惑を持っているときの2人がドロドロしているように感じたんです。
でも、疑惑が晴れてからやたらと関係が急に爽やかに見えて。
その違和感だけ、ちょっと気になりました。
私がそれだけ感じるのだから、夕紀に10年以上言わなかったっていうのはちょっと可哀相に感じましたねぇ。
まぁ、ラストの台詞が、夕紀の答えなんですよね。
夕紀が、医療ミスは医師の実力からくるもので、作為的に出来るものではないといった言葉が印象的でした。
〈新潮社 2006.12〉H19.3.31読了
手術シーンの緊迫感はさすがだな、と思いました。ただ登場人物がみんないい人すぎてちょっときれいにまとめすぎじゃないの?東野さん、と思っちゃいました。読後感はいいんですけどね。
夕紀の父親の台詞は印象的ですよね。
でも「誰もがそういうものを持って生まれてきてるんだ」って言われると私もだよな、私の使命って?と考えてみたりしましたけど。