ZOO

「カザリとヨーコ」
カザリとヨーコは双子の姉妹で母と3人で暮らしてる。
カザリにはやさしいが、ヨーコには部屋も食事も与えず、虐待を繰り返す母親。
母の目を盗んで、カザリが分けてくれる食事を食べて生きている。
ヨーコにとって、カザリは天使だった。
ヨーコは最近、犬を見つけた。その犬と過ごす時間が、ヨーコにとって1番落ちつく時間となった。
「血液を探せ!」
ワシは目を覚ますと、血だらけだった。
ワシは10年前、交通事故に遭い、痛みを感じない身体となった。
そのせいで、血を流していても気が付かなかったのだ。
主治医がもってきた輸血用の血液を探すも、見つからない。
確かにあるはずなのに。一体どこへいってしまったのだろうか。
「陽だまりの詩」
私が目を開けると、そこには男の人がいた。
私を作った人だという。私は人間ではない。
彼は、自分が死んだとき、埋葬させる人がいるように、私を作ったのだという。
「SO−far そ・ふぁー」
僕はもうすぐ中学生になる。かつて幼稚園のときにあったことが今でも続いているのだ。
昔、父と母と僕は幸せに暮らしていた。
ところがある日、父と母が互いに、互いの姿が見えなくなってしまったというのだ。
僕は2人とも見えているため、不思議に思った。
どうやら、互いの世界で互いが死んでしまったらしい。
不思議な3人の生活が始まる。
「冷たい森の白い家」
おじの家に引き取られながらも、馬小屋で生活を強いられる。
唯一の味方は、娘だけだった。
その小屋を追い出されたとき、自分も家を作ろうと考える。
「Closet」
ミキはリュウジに呼び出されていた。
秘密を知られてしまったからである。リュウジはミキの義弟だ。
数分後、ミキの手から灰皿が落ち、リュウジは死んでいた。
ミキは急いでクローゼットに死体を隠すことに。
「神の言葉」
自分には不思議な能力がある。
動植物に言葉を放つと、そのままのことが起きるのだ。
自分は周りから、優等生と呼ばれ、成績もよく、人もよく集まってきた。
しかし、親友と呼べる人は1人もいない。人が自分の周りから居なくなることを恐れていた。
「ZOO」
僕の家の郵便受けには、いつも彼女の死体の写真が届く。
いつも犯人を恨み、出かける。
毎日僕は、彼女を殺した犯人を捜している。
「SEVENS ROOMS」
僕と姉ちゃんは誰かに誘拐され、部屋にいた。
身体の小さい僕は、そこから抜け出し、今自分がどこにいるのか、探ろうとしていた。
同じような部屋が7つあり、その部屋一つ一つに、僕達と同じように誘拐された人間が隔離されていた。
「落ちる飛行機の中で」
飛行機がハイジャックにあっている。
T大の校舎に飛行機を落とし、皆殺しにしようとしているらしい。
しかしその中で、平然としている2人がいた。
その2人は、確実に死ねる安楽死の薬の売買についてをはなしていた。

・・・暗い気持ちで読んでいる人だったら、ひょっとしたら自殺しちゃうかもしれないですよ。
もの凄くグロテスクです。言葉の残酷さ。表現が褒めたくないがすばらしい。
簡単に人は死んじゃうし、その死に方も酷いです。
乙一さんはこういう作品も書くんですね。
怖いよ〜><
でも、星が4つついているのは、読んでいて止まらなくなったから。
怖い!って言って読むのをやめるんじゃなくって、読み進んじゃうんです。
にしても、よくこんな話が思い浮かぶよなぁ。
乙一さんは凄いです。

〈集英社 2003.6〉H15.12.11読了