君の百倍、僕は君が好きだ。
僕の世界の真ん中は、もう僕じゃない。それはひどく幸せなことだった。
総合病院の長男である加賀谷は、周囲の期待が重苦しかった。
そんな時に出会った蓮に好意を示され、舞い上がるような心地になる。
借金を背負いながらも一生懸命に生きている彼の力になりたいと思う。
なのに──愛した「蓮」は恋愛詐欺師だった。
彼と過ごした甘やかな時間、それが嘘だとはどうしても受け入れられず……。
短編『ありがとう』も初収録。
凪良さんのわりと初期の頃の作品だそうです。何となく雰囲気というか文章の感じが凪良さんの作品だよね?と思うところがあったので^m^納得でした。新装版のあとがきでも凪良さんが恥ずかしいとおっしゃっていて(笑)そういう頃の作品を読めたのは良かったかなと思います^^
始めは蓮がどうしようもない奴で、加賀谷はどうしてそんなに中身がないのに惹かれているんだろうと思ったら、過去の長い間の想い人に似ていたからなんだなぁと分かって納得しました。まあ始めはそうだったとしても、ちゃんと蓮を一人の人として好きになっていったんだろうな。蓮は相手をお金から、加賀谷は相手を顔から入ったから性格は正反対で、一緒に暮らすとなったらそれはまあ衝突もあるだろうなと思いましたけど、境遇から蓮は甘えられないし自分の意見を押し殺してしまうところがあるので、そこはもどかしいなと思って読んでいました。それでもいくつかきっかけがあって、少しずつ2人が歩み寄っていく感じがとても好きでした。終盤から登場した万里がとってもいい味を出していましたね^^三浦しをんさんがBLが好きだけどBLでは割とタブーな女の子も私は登場させたいみたいなことを言っていたの思い出して、確かに男性しか出てこないより良いなと思って読んでいました。これからまた様々な壁にぶち当たることもあるかもしれないけど、2人は言い合いしてケンカしながら絆を深めていってほしいと思いました。
<フランス書院 2024.3>2024.9.27読了