苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

村山早紀

百貨の魔法 村山早紀5

百貨の魔法 (ポプラ文庫 む 3-1)
村山 早紀
ポプラ社
2021-04-07


時代の波に抗しきれず、「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。エレベーターガール、新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――。百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される猫が織りなす、魔法のような物語!

コンビニたそがれ堂で星野百貨店が登場していたので気になって手に取りました。
以前読んだ「桜風堂ものがたり」シリーズに登場する銀河堂書店も中に入っているんですよね。こういうつながりが楽しいです。時代の流れにより百貨店が下火になり、ここも危ういのではないかとスタッフの間でうわさされている星野百貨店。それでも社員の皆さんがここに深い愛情をもって信念をもって働いている姿が本当に素敵だなと思いました。そして突然現れた新人コンシェルジュの芹沢結子の秘密。みんながどこかで見た事があるような…と思っていて、その理由ににっこりしてしまいました。
現実はとても厳しいと思うのだけど、それでもきっと星野百貨店は大丈夫とそう思える作品でした。

<ポプラ社 2017.10、2021.4>2023.8.10読了

コンビニたそがれ堂 千夜一夜 村山早紀5



風早の街の駅前商店街のはずれ、古い路地の鳥居が並んでいるあたりに、「たそがれ堂」という不思議なコンビニがあるという。神様が街の人たちの暮らしを見守るために、こっそり開いている店だというのだが、ならば教えて欲しい。どうすればこの街を守れるのか。街の守護神を祭る風早神社の娘、沙也加は願わずにいられなかった。この街にふたたび賑やかな灯がともり、穏やかな暮らしが戻りますように――。今を生きる人に温かな癒しを贈る人気シリーズ、特別編。

コロナ禍になり始めの時に書かれた作品で、ワクチンもなにもなく、ただ茫然と世界の状況を知っていく状況下、やっぱりあの頃が1番怖かったですね。
風早神社の娘沙也加はこの現状をどうにかしなければと願う。心の優しい女の子です。
でも、沙也加は風早三郎の存在もコンビニたそがれ堂の存在も信じていません。それは沙也加が本当に助けてほしくて願っても、現れなかったから。そんな沙也加にようやくあらわれたコンビニたそがれ堂。みんなが優しくて、沙也加をずっと見守っていた猫たちも本当に温かくて、こちらも優しい気持ちになれました。このシリーズはいつもそうです。
これからもずっと続いて行ってほしいシリーズです。

<ポプラ社 2021.6>2023.7.19読了

コンビニたそがれ堂 花時計 村山早紀5



地味で目立たぬ若者が、若くして世を去り幽霊に。影の薄さに磨きをかけて暢気に暮らしていたが、街で見かけた善意の学生をその死の運命から救おうと思い立ち……。優しい幽霊の物語、『柳の下で逢いましょう』。遠い昔に別れた人との不思議な時間を描いた『約束の夏』、すれ違う少女たちの願いが切ない『踏切にて』の三本。大切な探しものがある人だけがたどり着ける不思議なコンビニたそがれ堂、大人気シリーズ第9弾!

あぁ…こちらの作品も切なかったなぁ…そして温かい。今回は特に生と死について考えさせられる作品が多かったですよね。
最初の「柳の下で逢いましょう」の主人公が影の薄い幽霊だったんですから^^どうして自分が死んでしまったのかもわからない、ふわふわした主人公だったけど、未来のある若者が死ぬ運命だと分かった時に何とかしようと行動していた姿は素敵でした。その勇気ある行動を青年にちゃんと伝わっているのが分かった時、涙が出ました。
「踏切にて」も切なかった。親友の少女2人がお互いを思い合っている姿が優しくて切なかったです。でもこの2人は近い将来また逢えますね。そこまで読みたかったな^m^

<ポプラ社 2020.3>2023.7.1読了

コンビニたそがれ堂 猫たちの星座 村山早紀5



本当にほしいものがある人だけがたどり着ける、不思議なコンビニたそがれ堂。人生の終幕に差し掛かった周太郎さんが、街の人たちに幸せを贈る「サンタクロースの昇天」、取り壊しの決まった雑居ビルで占い師をしている女性が来し方をふりかえる「勇者のメロディ」など、他者の幸福を願って生きた人たちの顛末を描く。各話に「猫」が登場、機知にとんだユーモアで包みながら、生きることの意味を温かく伝える大人気シリーズ第8弾!

今回は小さな子猫ちゃんがコンビニたそがれ堂に現れ、その願いを聴いた後、店員のねここが今までにあった猫が関わっていたお話をしていくという展開でちょっと珍しい形だったかもしれません。
しっぽの短い麦わら色の子猫の優しさ。飼い主家族の優しさ。ねここのお話に登場する周太郎さんと占い師の優しさ。村山さんの作品は、いつも優しさに溢れています。
周太郎さんのその後は良かった…と思ったけど、占い師さんのまさかの展開には驚いて切なくなったり。それでもみんなが幸せそうで、お裾分けを頂いたようでした。

<ポプラ社 2019.2>2023.6.30読了

コンビニたそがれ堂 小鳥の手紙 村山早紀5



千花が幼い頃、隣家の庭に不思議なポストがあった。そこに手紙を入れると、なぜか空の上の「あの人」から返事がくる。結婚を控え故郷を離れようとしている千花は、もう一度だけ優しい手紙を読みたくなって。知らぬ間に見守ってくれていた温かなまなざしの物語、「小鳥の手紙」。春の風早の街を舞台にした二話と、話題作『百貨の魔法』の番外編を収録。大切な探しものが見つかる不思議なコンビニたそがれ堂、大人気シリーズ第7弾!

コンビニたそがれ堂シリーズ、久しぶりに読みました。
読み終えた後に心が温かくなって、私もこの物語に出てくる人たちのように、優しい心を持ちたいといつも思います。
「雪柳の咲く頃に」淳君が本当にいい子で、いい子過ぎて切なくなりました。お母さんが夢をあきらめきれず、きっとこう言った方がお母さんは喜ぶのだと、多分自分が言いたいこととは違うことを言ってしまった。お母さんは夢を叶えるために淳の元を去って行った。もしもあの時正直に言っていれば。子どもにそう思わせてしまうのは過酷です。それでも、淳君はちゃんと前に進めたみたいでよかった。最後の魔人の末路に笑っちゃいました。
「小鳥の手紙」おかあさんとの1年間の手紙のやり取り、風早という街の出来事だからそういうこともあるのだろうと思っていたらまさかの真相に驚きました。あぁ…優しい世界。優しい世界が広がっています。千花は風早の街を離れてもきっと笑顔で幸せに暮らしていく事ができますね。
「百貨の魔法の子どもたち」私「百貨の魔法」未読でしたー!!!いやー!!!もったいない!読まなければ!大人になってパティシエとなった瑛太と、医者になった想の子供の頃の不思議な一夜の話。2人にとっては大冒険だっただろうな。これがきっかけになって友人関係が戻って良かった。「百貨の魔法」早めに読みます(笑)

<ポプラ社 2018.3>2023.6.19読了

不思議カフェNEKOMIMI 村山早紀5

不思議カフェ NEKOMIMI
村山早紀
小学館
2023-01-25


あなたの、ささやかな生には意味がある。
毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。
人ならぬ身となり、黒猫メロディとともに空飛ぶ車に乗った律子は、旅先でいろんなひとや妖怪と出会ったり、時にはカフェを開いてお客様に料理やお茶をふるまったり…。2017年本屋大賞ノミネート作品『桜風堂ものがたり』や2018年同賞ノミネート作品『百貨の魔法』、そして「コンビニたそがれ堂」シリーズなど、ファンタジー小説の名手が贈る、ささやかな、小さな魔法の物語。

まず初めに、律子がまだ人であったときの丁寧な生き方がとても素敵だと思いました。
食べるもの、器、生活空間、全てが想像でしかないけどちょっと良いものを長く使っているような、ひと手間をかけて丁寧に作りだしているようなそんな印象を持ちました。人見知りであまり人と関わりを持たなかった律子だけど、私は律子のような生き方に憧れます。どうしても楽なほう楽なほうに行ってしまって、料理は簡単なものしか作らないし飲み物もそんなに丁寧には作らない。でもひと手間をかけて1秒1秒を大切に生きたいと思えました。
そして善い魔法使いになってからの律子も好きです。出会った人、動物、神(笑)たちの関わりが温かくて優しい。ひな人形と人の再開も、たぬきたちと人の再開も、読んでいて温かい気持ちになりましたし、ちょっとうるっとしてしまいました。
最後は戦争のことにも触れられていて、胸が締め付けられるような気持にもなりました。今日本では戦争は起きていないけど、それでも世界に目を向けると戦争が続いている。哀しみ苦しんでいる人がいる。哀しいです。そんな哀しさを包み込んでくれるような、優しい物語です。たくさんの人が触れてくれたらいいなぁ。

<小学館 2023.1>2023.2.28読了

100年後も読み継がれる児童文学の書き方 村山早紀5



大人気作家・村山早紀による小説の書き方本がついに登場! 本を出すための方法や文献の見つけ方といった基本的なことから、新人賞への応募まで、主に子どものための物語の書き方についてわかりやすくお伝えします。
巻末には、自作に創作意図を細かくコメントした「付録 「トロイメライ」〜ひとつの参考例として」も掲載。作家が実際どういうことを考えながら創作をしているのかがわかり、実践的に学ぶことができるでしょう。

小説を書けるようになりたいなぁという思いは本を読むようになってから感じていることで、実際多少書いては見たものの、1度友人に冒頭だけ書いたものを読んでもらったらそのあとはこうなってこうなるんでしょ?って簡単に見破られたので向いてないんだなって思った苦い記憶があります^^;
小説の書き方のハウツー本というよりは心意気というかメンタルというかそういう部分が多かったような気がします。エッセイ風で村山さんらしい優しい文章なのですが、ピシッと書かれているところもあって、ちゃんと仕事として、お金をもらって書くならちゃんとしなさいよという叱咤激励のように受け止めました。いや、そこまできつく書かれていませんが。
でもやっぱり本当になりたいならとにかく書いて書いて書きまくることが大事なんだろうな。私はやっぱり読む専門かな…

<立東舎 2022.4>2022.10.4読了

風の港 村山早紀5

風の港 (文芸書)
村山早紀
徳間書店
2022-03-10


そんな時は待とう、静かに。諦めず。いい風があなたに吹く日まで。そこに降り立ち、飛び立つまでのひととき。旅人たちの人生が交差し、奇跡が起こる。
第一話 旅立ちの白い翼
夢破れて、故郷の長崎へ戻る亮二は荷物をまとめて空港へ。似顔絵画家の老紳士と出会い思わぬ言葉をかけられる。
第二話 それぞれの空
「本は魔法でできているの」小さな書店を営んでいた祖母の言葉。いま空港の書店で働く夢芽子が出会う、ちょっと不思議な物語。
第三話 夜間飛行
恵と眞優梨は33年ぶりに空港で再会する。少女の日のすれ違いと切ない思い出を名香の香りに乗せて。
第四話 花を撒く魔女
老いた奇術師幸子は、長い旅の果て、故国の空港に降り立つ。自分の人生が終わりに近いことに気づき、来し方を振り返る。

昔からお世話になっている香桑さんがこちらの本をブログに掲載されていて、気になって読んでみました。
私は北海道に住んでいるので、道外に出るときは必ず飛行機を使います。私の場合は推しに逢いに1年に何度も空港を利用します。それにちょうど今、空港が舞台のドラマを見ているからタイムリーだったかも。でも、私はせっかちだからこんなに空港を楽しんだことはない気がするなぁ…。いつも利用する新千歳空港も、中にある施設を利用したことはほとんどないし…。こちらの本を読んで今までもったいないことをしていたかもしれないと思いました(笑)
私は最近、本を読むのは勤務先でのお昼休憩の時で。いつもと同じようにこの本を読んでいたら第一話の終盤で涙が止まらなくなったため職場で読むことを諦めました^^;第一話を何とか読み終えて次のページをめくった第二話のタイトルが「それぞれの空」V6の、大好きな、でも切ない別れの曲を思い出してとどめを刺されましたよね(笑)すぐ本を閉じました。涙腺が崩壊しそうなのを何とかこらえました。
家でゆっくりと読みました。村山さんの描かれる作品は皆が優しい。読んでいる人にも優しい。傍で大丈夫だよって寄り添ってくれているみたいです。そして、こちらに登場する女性たちがそれぞれ前向きに、素敵に働いて生きているのを感じて、元気づけられた気がしました。最初の漫画家さんも絵描きさんもとてもすてきでしたけども。いつも前を向いて生きる勇気をいただいています。今回もそうです。ありがとうございました。

<徳間書店 2022.3>2022.8.11読了

桜風堂夢ものがたり 村山早紀5

桜風堂夢ものがたり
村山 早紀
PHP研究所
2022-01-12


「会いたかったひとに会える奇跡」があるなら、あなたは誰に会いたいですか?
小さな町の書店と、そこに関わる優しいひとびとの姿を描く、本屋大賞ノミネート『桜風堂ものがたり』最新作!
月原一整がいる桜風堂へ向かう道。
それは「会いたい人に会える」、という奇跡の起こる道。
今回も「温かい涙」が流れます!
第一話「秋の怪談」
桜風堂に月原一整がやってきたことで救われた少年・透。彼は友人たちと、町外れにある「幽霊屋敷」に冒険に出かけるのだが……
第二話「夏の迷子」
一整のかつての上司、銀河堂書店の優しい店長・柳田。彼は桜風堂書店を訪ねた帰り道で迷子になる。不安に襲われた彼に語り掛けてきた声とは。
第三話「子狐の手紙」
一整のかつての同僚、三神渚砂は桜風堂へ向かう途中、両親の離婚でもう何年も会っておらず、今は病床にいるはずの父と出会う。
第四話「灯台守」
かつて家族と哀しい別れをして天涯孤独の一整。しかし、彼と暮らす猫は、ずっと一整のことを見守っている人物の気配に気づいていた。

桜風堂ものがたりの続編!物語の続きというよりはスピンオフのような形でしたね。そしてどの章も少し不思議な物語でした。すでに人ではないものとの遭遇であったり、その場にはいない人と関わったり…。村山さんの書かれる優しい物語が大好きです。出てくる人たちが皆優しくて温かくて涙が出ました。
最後の一整の物語が良かったですね…。天涯孤独となりながらも一整なりに一生懸命生きてきて、それを父親とお姉さんはちゃんと見守っていたんですね…。優しい雰囲気にこちらも温かな気持ちになりました。
私は今はもうこの世にいない誰かに逢えるなら、祖母に逢いたいです。
亡くなってから3年が経ちました。まだ3年なのか、もう3年なのか。
今の私に、生きていた時のように「頑張ってるね」って「優しい子だねって」って言ってほしいです。

<PHP研究所 2022.1>2022.5.11読了

星をつなぐ手 桜風堂ものがたり 村山早紀5



田舎町の本屋と、ある書店員の身に起こった奇跡を描き、全国書店員の共感を集め、2017年本屋大賞5位になった『桜風堂ものがたり』。その続編の登場です!
郊外の桜野町にある桜風堂書店を託され、昔の仲間たちとともに『四月の魚』をヒット作に導いた月原一整。しかし地方の小さな書店であるだけに、人気作の配本がない、出版の営業も相手にしてくれない、という困難を抱えることになる。そんな折、昔在籍していた銀河堂書店のオーナーから呼び出される。そのオーナーが持ちかけた意外な提案とは。そして一整がその誠実な仕事によって築き上げてきた人と人とのつながりが新たな展開を呼び、そして桜野町に住む桜風堂書店を愛する人たちが集い、冬の「星祭り」の日に、ふたたび優しい奇跡を巻き起こす。

最新刊がこちらのシリーズの第3弾だと知り先にこちらを読みました。
10年間勤めた書店を離れなければならなくなり、今は桜風堂書店で働く一整。
小さな町の小さな書店であるために、いくら人気の作品でも配本がないこともある…んですね。全く来ないということもあるのだとこの本を読んで知りました。
既に銀河堂書店を離れている一整にオーナーが提案した内容、このご時世大変なのでは…と思いつつも、生きる伝説と化しているオーナーだからこそできる提案なのかなと思いました。めったにないチャンス。これをものにしない手はないですよね^^
そして一整は更にたくさんの人たちと出会い関わっていきます。自分が気づかぬところで人の役に立っていたりして…
「星祭り」で起きた奇跡は、奇跡なのだけどそれでも一整の人柄が生んだものなのだと思いました。こんなことがあっても良いじゃないかと思えました。
そして一整と苑絵の関係も気になるところ。あと渚砂と純也の関係も。
次回作も読むのが楽しみです。

<PHP研究所 2018.7、2020.11>2022.3.17読了

桜風堂ものがたり 村山早紀5

桜風堂ものがたり
村山 早紀
PHP研究所
2016-10-07


百貨店内の書店、銀河堂書店に勤める物静かな青年、月原一整は、人づきあいが苦手なものの、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てるケースが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で起こった万引き事件が思わぬ顛末をたどり、その責任をとって一整は店を辞めざるを得なくなる。傷心を抱えて旅に出た一整は、以前よりネット上で親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるために、桜野町を訪ねる。そこで思いがけない出会いが一整を待ち受けていた……。
一整が見つけた「宝もの」のような一冊を巡り、彼の友人が、元同僚たちが、作家が、そして出版社営業が、一緒になってある奇跡を巻き起こす。

冒頭の万引き事件の顛末が哀しかったですねー…。なぜ一整が責められなければならないのか理解に苦しみました。渚砂が一整にかけた言葉がとてもかっこよくて救われました。書店に訪れたこともない、お客様でもない人の言葉なんかより、書店の従業員やお客様の言葉の方が大事。そうですよね…。それでも、自分のせいで同僚や百貨店の人に迷惑をかけていると思ったら、やっぱり辞めてしまうんだろうな…と思います。それにしても一整の境遇が哀しくて哀しくて…だから居場所だった銀河堂書店にいられなくなったというのは切なかったですね。
それでもネットを通して出会った書店を営む老人とのご縁で新たなる居場所を見つけられて良かった。そして「宝探しの月原」が見つけた「四月の魚」が思わぬ展開になっていって良かったです。それにしても、ただ見つけただけではなくて、一整のルーツから導き出して発掘された本なのだと思うとそれもまた切なくて…。最後はうるうるしながら読みました。
あたたかくて素敵な物語でした。こちらは続編が何冊か出ているようなので楽しみに読みたいと思います。
そして、本当に読みたいと思う本は、できるだけ本屋さんで買いたいなと思いました。

<PHP研究所 2016.9>2022.2.23読了

かなりや荘浪漫2 星めざす翼 村山早紀5



傷ついたひとたちが立ち上がる姿を優しく描く人気シリーズ、待望の第二弾。
母親が失踪し、アルバイト先もクビになったが、ひょんなことから「かなりや荘」で暮らすことになった茜音。彼女は元漫画家の幽霊・玲司や、編集者の美月にその才能を見出され、漫画家をめざすことに。そして新しく創刊される漫画雑誌の「新人賞」を巡り、茜音と美月のコンビに好敵手たちも現れ!?
そんな折、かなりや荘に怪しい新住人がやってきて、事件が……。
茜音の母・ましろの旅を描いた番外編「空から降る言葉」と、PHP文芸文庫版のための書き下ろし番外編「冬の魔法」も収録。

前作から数か月後の物語。といっても読んだのが結構前だったので忘れかけていたのですが^^;
読んでいくうちに思い出していきました。
主人公の茜音が相変わらず。お人好しで優しい。茜音と幼馴染で親友のユリカはモデルの仕事をしていて何だか遠い世界に行ってしまいそうと茜音は寂しいと感じています。でもそれはユリカも同じで、2人は似た者同士だなと思いました。そして、その悩みは杞憂なのにと読んでいるほうは思います。2人ともお互いの事を思い合っているし大切に想っている。その関係性が素敵で、羨ましく感じました。
美月と絵馬のライバル関係も素敵。切磋琢磨して生きてきたんだろうなー。絵馬の息子の翔馬も真っ直ぐな優しい子。みんな魅力的です。
以前出版された時はこちらの作品から次は出ていなかったようなので、今後の物語の展開が楽しみです。絵馬の秘蔵っ子の漫画家さんも登場するのかな。ましろも出てきたりするのかな。

<PHP研究所 2020.1>2020.3.21読了

コンビニたそがれ堂 祝福の庭 村山早紀5



本当にほしいものがあるひとだけがたどりつける、不思議なコンビニたそがれ堂。北国の高校を卒業し、いまは街角の洋品店で働くつむぎが、たそがれ堂で手にしたものは―。かつて諦めてしまった夢の続きを描いた「ガラスの靴」、老いた人気漫画家と少女の交流がユーモラスな「神様のいない家」、サンタクロースに手紙を書いた少年たちの物語「祝福の庭」。すべてを突き抜けてあふれだす魔法のようなきらめきと温もり、大人気シリーズ第六弾!

今回の作品がクリスマス時期の物語だったのでタイミングがとても良かったです。私のところにもサンタクロースが来てほしいななんて思いながら読みました^m^
村山さんの作品は本当に優しい。そして温かいです。
そういえば前作は神無月だったから神様がお休みでしたね。今回は三郎さんとねここが揃っていました。
「ガラスの靴」つむぎって本当に可愛い名前ですよね。本人が気に入っているの分かります。複雑な家庭の事情があっても、腐らずに負けずに生きてきて、それでもちょっと斜に構えていたようなつむぎ。それでも心優しいつむぎにはちゃんとサンタクロースが待っていました。最後は涙が出ました。2人が再会できて良かった。
「神様のいない家」母親にサプライズをしようと母親が大好きだった漫画家からサインをもらおうとやってきたこずえ。冒険が大好きな少し無鉄砲だけど心の優しい女の子でした。人気漫画家だった由利原先生だけど、実際の自分の物語は色々あって。それでもこずえという少女に出会ったことで少し心が氷解していくのを読んでいて感じて、本当に良かったなと思いました。
「祝福の庭」こちらも心の優しい男の子2人の話。優しすぎて社会の荒波にもまれて行けるのか大丈夫かと余計な心配をしそうになりましたが^^;それでもこれからも秀一と圭介は一緒なのですから、きっと大丈夫ですよね。

<ポプラ社 2016.12>2019.12.19読了

コンビニたそがれ堂 神無月のころ 村山早紀5

(P[む]1-11)コンビニたそがれ堂 神無月のころ (ポプラ文庫ピュアフル)(P[む]1-11)コンビニたそがれ堂 神無月のころ (ポプラ文庫ピュアフル)
著者:村山 早紀
ポプラ社(2015-09-01)
販売元:Amazon.co.jp

本当にほしいものがあるひとだけがたどりつける、不思議なコンビニたそがれ堂。今回は、化け猫「ねここ」が店番として登場!遺産相続で廃墟のような洋館を譲り受けた女性と忘れられた住人たちの物語「夏の終わりの幽霊屋敷」、炭坑事故で亡くなった父と家族の温かな交流を描いた「三日月に乾杯」など、ちょっぴり怖くてユーモラスな5つの物語を収録。深い余韻がいつまでも胸を去らない、大人気コンビニたそがれ堂シリーズ、第5弾!

少しずつ読み進めていたこのシリーズ。もう少しで追いつきます。
今回は神無月なので神様はお休み。代わりに「ねここ」がコンビニたそがれ堂で働いています。
今回も、可愛くて優しい物語が詰まっています。
どの作品も面白かったけど私が好きなのは「三日月に乾杯」かな。夫婦ともども強運だと思っているけど実は不運で強運だった理由が素敵です。
前作で登場した斉藤さんもまた出てきました。2回も行けるなんて、うらやましい。
私もコンビニたそがれ堂へ行ってみたいです。そして行けたとして、私が買うものはなんだろうと想像したりします。

<ポプラ社 2015.9>H30.4.19読了

コンビニたそがれ堂 空の童話 村山早紀5

(P[む]1-7)コンビニたそがれ堂 空の童話 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[む]1-7)コンビニたそがれ堂 空の童話 (ポプラ文庫ピュアフル)
著者:村山 早紀
ポプラ社(2013-01-04)
販売元:Amazon.co.jp

本当にほしいものがある人だけがたどり着ける、不思議なコンビニたそがれ堂。今回はその昔小さな出版社から刊行された幻の児童書『空の童話』をめぐって、優秀な兄に追いつこうと頑張ってきた若い漫画家の物語、なぜかおやゆび姫を育てることになった編集者の物語、閉店が決まった老舗の書店の書店員と謎めいたお客様たちの物語、そして老いた医師が語る遠い日の夜桜の物語の四作を収録。感動の声が続々寄せられる大人気シリーズ、待望の第四弾。

そういえば最近このシリーズを読んでいなかったなと思って久しぶりに手に取りました。
このシリーズは読んでいて、何だか擦れていた自分の心を潤してくれるようです。出てくる人たちがみんな優しい。自分の事よりも人の事を考えてる。私もそうありたいです。
今回は4編とも「空の童話」という物語が登場し、キーとなっています。面白いですね。
「追いつけない」お兄さんを助けようと何度も夢の中でお兄さんを追いかける航。切なかったです。5歳年上の何でもできる兄貴。兄弟って良いなと感じた作品でした。
「おやゆび姫」不思議なお話でした。実際に親指姫を育てる!?それでも2人の生活は素敵でした。織子はとても魅力的な女性でした。干物女とか言うのは早いです^m^
「空の童話」書店員さんと闇の秘密結社の人と宇宙人の話。ちょっと変わったお話でしたけど、みんな優しくて温かかったです。
「エンディング〜花明りの夜に」ずるい!ずるいよー!私はまだ村山さんの作品は全然読めてないんです。なのに色々リンクさせてるなんて〜!ほかの作品も読んでリンクを見つけなければ!←
女医さんの昔話、感動しました。妹さんはきっとお姉さんを誇りに思っていると思います。

<ポプラ社 2013.1>H30.3.28読了

かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち 村山早紀5

かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち (集英社オレンジ文庫)かなりや荘浪漫 廃園の鳥たち (集英社オレンジ文庫)
著者:村山 早紀
集英社(2015-03-20)
販売元:Amazon.co.jp

雪のクリスマスイブ。母親が失踪し家を追い出された茜音は、天使のような少女の導きによって古い洋館アパート「かなりや荘」に招き入れられる。そこには心の片隅にさびしい廃園を抱えた人々と、道半ばにして亡くなった天才漫画家の幽霊・玲司がひっそりと暮らしていて…。古アパートを舞台に、歌を忘れたかなりや達が繰り広げる、優しく力強い回復と救済の物語。

とても可愛い素敵なお話でした。
主人公の茜音がもう痛々しいくらいにいい子で、最初は恵まれなさ過ぎて悲しかったですが。それでも自分で運が強いと言っていただけあって素敵な出会いがたくさんありましたねー。
ちらっと言っていましたけど、ここは風早の街。
都会過ぎず田舎過ぎず、人と人との距離がちょうどいい気がします。
私もここに住みたくなります。
このかなりや荘に住む人たちはどこか陰を持っている人たちでしたね。美月が特に痛々しかったですね。でも、その原因も解消されてよかった。
この物語はこれからも続いていくんですね。
確かに茜音の母親も、父親のことも気になりますし、玲司はこれからもずっと幽霊としてこのアパートにいるのかとかカーレンも謎と言えば謎だし。
続編も楽しみです。

<集英社 2015.3>H27.9.1読了

コンビニたそがれ堂 星に願いを 村山早紀5

コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)
著者:村山 早紀
ポプラ社(2010-05-07)
販売元:Amazon.co.jp

大事な探しものがある人だけがたどり着ける、不思議なコンビニたそがれ堂。
今回のお客様は、お隣のお兄ちゃんに告白したくてがんばる少女、街角で長くコーヒーをいれてきた喫茶店のマスター、子どもの頃、変身ヒーローになりたかった会社員......
夜空の星に切なる願いをかけた時、やさしい奇跡が起こる----。
つまずきがちな毎日に涙と笑いを運んでくれる、好評シリーズ第3弾。

いやー…やっぱり良いなぁ。風早という街が読めば読むほど好きになります。ここに住みたいなーなんて思います。出てくる人たちがみんな温かくて優しい。癒されます。今回は前回よりは泣きませんでした^m^前回が号泣過ぎたのもあります^^;
「星に願いを」
遠くへ行ってしまう大好きなお兄ちゃんのためにお弁当を作ろうと頑張る小学校6年生の女の子の話。女の子を応援するみんなも可愛かったなぁ。女の子がちゃんと自分の気持ちを伝えたシーンは何て素敵で、かっこいいんだろうと思いました。
最後の男女の出会いもとても素敵!
「喫茶店のコスモス」
何となく最初から予感めいたものがあったんですよね…そしたらやっぱりそうで。マスターと奥さんのお話が温かくて優しくてちょっとワガママで^^
喫茶店に集まる常連さんたちの会話に涙しました。
「本物の変身ベルト」
主人公の良太はずっと憧れていた女性に相手がいることを知りひどく落ち込んでいました。同じ職場にいるのは辛いと転職を考えるのですが、傷心の間に同じアパートに住む人々との関わりについて考えるようになります。
人との関わりって良いなぁと読んでいて感じました。特に高校生との会話が私は好きでした。良太も純粋で優しい青年なんだろうなぁ。私はこの世界が綺麗だとか美しいとまでは思わないし、今のこの世界が良いことばかりだと思えない状態ではあるけど、そう感じられるようになりたいなと読んでいて思いました。

<ポプラ社 2010.5>H27.6.19読了

コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状 村山早紀5

コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状 (ピュアフル文庫 む 1-2)コンビニたそがれ堂 奇跡の招待状 (ピュアフル文庫 む 1-2)
著者:村山 早紀
ジャイブ(2009-07-10)
販売元:Amazon.co.jp

大事な探しものがある人だけがたどり着ける、不思議なコンビニたそがれ堂。ミステリアスな店長が笑顔で迎えるのは、大好きな友だちに会いたいと願う10歳のさゆき、あるきっかけからひきこもりになってしまった17歳の真衣、学生時代の恋をふと思い出した作家の薫子…そこで彼女たちが見つけるものとは?ほのかに懐かしくて限りなくあたたかい4編を収録したシリーズ第2弾、文庫書き下ろしで登場。

またコンビニたそがれ堂へ行きたくて、すぐに2冊目を借りました。
全部読み終えたら揃えて買っちゃおうかなと目論見中です。
前から気になっていたのに、どうして読まなかったんだろうとただただ後悔しています。
今回も素敵な物語でした。ではそれぞれ感想を。
「雪うさぎの旅」可愛らしいお話でしたねぇ。さゆきの不安な気持ちもよく分かりますし、その不安を聞いていた雪うさぎと雪だるまたちの気持ちも伝わってきました。雪うさぎたちの旅も切なくてでも温かかったです。さゆきが幸せそうで良かったです。
「人魚姫」このお話を読んで、私仕事帰りの電車の中でボロボロ泣いて読んでました。すんごく怪しい人でした。でも、涙が止まりませんでした。秋姫はとても強い子ですね。真衣が心の支えになっていたことがよく分かります。でも強いだけじゃなくてとても優しい人でした。秋姫が真衣に書ける言葉の数々が私の胸にもグサグサ突き刺さって響いて、だから泣けてきたんだと思います。私事ですが、大学生の時に大事な大切な友人を亡くしました。その友人は秋姫のような強い子という印象ではありませんがとてもとても優しい人でした。私が悩んでいるときはいつもちゃんと話を聞いてくれて、励ましてくれて、優しい言葉をかけてくれました。社会人になっていつも辛くて死にたいなんて思ったこともあって、そんな時、私はいつも友人の事を想い出していました。生きたくても生きられなかった人もいるのに、そんなことを考えてはダメだと自分を奮い立たせていました。と、同時にいつも辛い気持ちの時に思い出してごめんねとも感じていて。この本を読んで今もそんな状況で、だめだなぁ私と思って。秋姫が真衣にかける言葉の数々が、私に言ってくれているような気がして。もう涙腺が崩壊しました。私も頑張る。強く生きると思わせてくれました。私のお友達の事を、今度は幸せだなって思っているときにちゃんと思い出したいなと思いました。
「魔法の振り子」このお話も切なくてでも凄く凄く温かい物語でした。薫子は10年間、待っていたけどでも気づいていたんですよね。でも、その想いと決別することが出来なかった。でも大切な人は、ずっとそばにいてくれたんですよね。
クリスマスのシーンは、またうるうるしながら読んでいました。ホテル側の皆さんもとても素敵でした。
「エンディング〜ねここや、ねここ」少しテイストは違いましたが、でも人を大事に大事に思っていることは同じ。ねここの生きる道はとても苦しくて辛いのだろうけど、でも現世でようやくねここはささやかな幸せを得ることが出来たのかな。

〈ポプラ社 2010.1〉H27.5.28読了
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コンビニたそがれ堂 村山早紀5

コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)
著者:村山 早紀
ポプラ社(2010-01)
販売元:Amazon.co.jp

駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。
大事な探しものがある人は、必ずここで見つけられるという。
今日、その扉をくぐるのは…? 
慌しく過ぎていく毎日の中で、誰もが覚えのある戸惑いや痛み、矛盾や切なさ。
それらすべてをやわらかく受け止めて、昇華させてくれる5つの物語。

ずっと読みたかったのですがなかなかタイミングが合わなくて読まないで来てました…。
職場の休憩中に読んでいて泣きそうになって慌てて本を閉じたくらい^^;
どれも温かくて優しい物語でした。
村山さんの作品は今までも読んだことがあるのですがどの作品も素敵です。
「コンビニたそがれ堂」このくらいの男の子にはありがちな後悔ですねー。うふふ、可愛い。でも男は硬派じゃないとって時代遅れだと思うから素を出しちゃっていいと思うよ←拾った猫のその後をずっと心配しているなんて凄く良い子。美音ちゃんだってきっとわかっているんですよね。
「手をつないで」えりかちゃんがホント可哀想で可哀想で…。でもお母さんもこれがきっかけで変わりそうで良かったです。
「桜の声」桜子の声って本当に素敵なんだろうなぁと思います。私も聞いてみたい。櫻子の声が誰かを元気にして励ましているなんて素晴らしいですよね。羨ましいです。もっと誇りに思って良いと思いました。
「あんず」私、この物語が1番好きでした。家族みんなが愛情たっぷりに育てられたことが分かります。自分ばかり大事にされて、助けられてきたとみんなが想い合っているその姿が素敵すぎて、もう涙が出そうでした。あんずも、お兄ちゃんも幸せ者ですね。
「あるテレビの物語」このお話もとても可愛くて素敵でした。物にも命はありますよね。大事に大事にされたら大事にしてくれる人の事だって大切に思いますよね。私もちゃんと物を大事にしようと思いました。

〈ポプラ社 2010.1〉H27.5.15読了

ルリユール 村山早紀5

ルリユール (一般書)ルリユール (一般書)
著者:村山 早紀
ポプラ社(2013-10-11)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!黒猫工房では、あなたの大切な本を修復いたします。魔法のような手わざ、傷んだ過去の思い出も、静かに包み込んで―本を愛するひとの美しく不思議な物語。

村山さんの作品は2冊目です(多分)
「ルリユール」という本のタイトルを見てすぐに「読みたい!」と思いました。
ルリユールとはフランス語で製本、装幀のことです。
「ユリユールおじさん」という絵本が大好きで、その物語を想像しながら読みました。
主人公は13歳の瑠璃という少女。
叔母が亡くなり新盆で祖母のいる風早という街にやってきます。そこで、洋館で暮らすクラウディアという女性に出会います。その方はルリユールでどんな本でも直せるといいます。
そんな館へ本の依頼にやってくる人たち。その人たちの物語も切なくて温かかったです。
瑠璃の大好きな本を作っている出版社に勤める時林さんに親友から借りていた本を直してほしいという大竹さん。お父さんとお母さんを死なせてしまったと悲しんでいる智史君。
自分の事ではなく相手のことを思っている心優しい人たちだからこそ、このルリユールのいる「黒猫工房」へ来ることができたのかなと思います。
瑠璃もとてもいい子ですね。出生の秘密を抱えつつも、前を向いて生きてる。素敵な子でした。
最近本の修繕に関する書籍や映画によく遭遇します。その度に何だか心が温かくなります。瑠璃にとってもクラウディアにとっても本は大切な存在だけど、私にとっても本はなくてはならない、大切なものです。

p.163「世の中というのはね、真っ当に生きてさえいれば、物語のようにうまくまわっていくものなのよ」
p.171「不幸にして挫折することがあっても、あきらめず立ち上がってください」

<ポプラ社 2013.10>H25.11.13読了

黄金旋律 旅立ちの荒野 村山早紀3

黄金旋律  旅立ちの荒野 (カドカワ銀のさじシリーズ)
黄金旋律 旅立ちの荒野 (カドカワ銀のさじシリーズ)
神崎臨は両親と従兄弟の優と一緒に暮らしている。頭が良くて人望も厚く、いつかは医者になることを夢見て一生懸命勉強をしていた。
最近、変な夢にうなされる。ただの夢ではないような気がしていた。
臨には、歳の離れた兄、律がいた。しかし、律は交通事故で死んでしまった。臨は律に最後にかけた言葉によって兄は死んでしまったのだとどこかで考えていた。
親の期待を一心に受けていた律が死んだことで、家族は少しずつ関係が歪んでいった。
ついに父が逃れようとしたとき、家族は壊れた。
臨は道路に飛び出し、それから意識を失う。
目を覚ましたとき、臨は病院にいた。そこにいたのは、人間の形をしたロボット、佐藤ひまわり。
彼女から、自分の今の境遇について聞かされる。
臨が当時の技術では治せなかった為、技術が発達するまで冷凍保存されていたこと。臨が生きていた時代から数百年が経過していること。
自分の境遇にショックを受けるも、ひまわりやテディたちと一緒に暮らし始める。次第にこの時代の生活に慣れるも人との触れ合いを求めて臨は外へ飛び出した。そこで、地図にない街に手紙を届けるソウタと出会う。

この作品を読み始めて、最初はすいすい引き込まれたのですが、だんだん違和感を感じるようになりました。
う〜ん、なんででしょう。文章の進み方なのかなぁ。私には馴染めなかったんです。
臨がとってもいい子だっていうことと、可哀相な子だっていうことは読んでいて強く感じました。
母親はひどい。自分の理想を息子に押し付けて、慰めてくれている息子に対して「嫌い」なんて。言っていいことと悪いことがあります。何を考えているか分からなくて、人の顔色ばかり伺っている子に育てたのは誰?
一生懸命親の期待にこたえようとがんばっている息子に対して言う言葉ではないです。
そこで一気に冷めてしまいました。
家族の崩壊から再生へ向けて動き出すのかと思ったら、いきなり数百年後になるからそこでも違和感。
家族に対してや優に対することが全部うやむやになってしまった気がして何だか心の中にしこりが残りました。
う〜ん・・・いいこと書いてないですね^^;
でも、言葉の一つ一つは素敵な事を言ってるな〜と思って読んだりしてました。
友情に対しての言葉とか。
臨とソウタの関係はかっこよかったです。
きっと、終わらないんですよね。続編があるんですよね・・・?
始めの臨の夢の中に出てきたハルシャも出てこなかったし。
続きも気になります。
臨とソウタはこの世界で、どうやって生きていくのかな。

〈角川書店 2008.12〉H21.9.28読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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