日々、命の重みを実感する場所、NICU(新生児集中治療室)。
看護師、清掃員、臨床心理士、医師……。様々な立場の人が交差するこの場所で、小さな命から、そしてともに闘う両親から教えてもらうこと。
赤ちゃんが健康に育っていくことも、無事に生まれてくることも、すべてが奇跡。
与えられた人生は、1分1秒でも無駄にできない大切なもの。
当たり前すぎて誰もが忘れてしまいそうなことに、NICUという命の場所に身を置いたことで気付かされた7人の物語。
NICUという場所を初めて聞いた気がします。
私は子供を産んだことがありません。でも、赤ちゃんが無事に生まれてくることは奇跡的であることを理解しているつもりです。
NICUにお世話になったことはありませんが、おそらく姪っ子が入っていたのではないかと思います。生まれてくるまで順調だと言われ、でも予定日よりも1ヶ月早く生まれてきた姪っ子。詳しくはわからないけど生まれてから数時間で天使となって旅立っていきました。
新しく生まれてきた小さな命をNICUで働く人たちは必死で助けようとしているのだとこの作品を読んで改めて感じました。
間宮夫婦の章は姪っ子のことを思い出して涙が出ました。当時からいる人たちが忘れられない心(ここ)ちゃん。私も強く印象に残りました。
何となく、竹下先生が最後に登場するんじゃないかなと思っていました。竹下先生も過去につらい経験をされているんですね。
最後に登場した赤ちゃんに、私もありがとうと言いたくなりました。
素敵な物語でした。
<講談社 2021.4>2021.7.29読了