苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

宮下奈都

スコーレNo.4 宮下奈都5

スコーレNo.4 (光文社文庫)
宮下 奈都
光文社
2009-11-10


自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へと変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは…。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。

麻子の中学時代から社会人までの長い時間が4つの章に別れて描かれています。
特にティーンの時代の繊細で上手く言葉に出来ない感情を宮下さんは綺麗に文章に表されているなと思いました。麻子の七葉に対する想いも、友達に対する想いも、共感できるところがたくさんありました。
私が好きだったのは社会人になってからの麻子でした。自分は何がしたいのか分からず、でも目の前の仕事に邁進する姿は素敵だなと思いました。自分は好きではないからと言って仕事があまりできないと思っている。それがもどかしかったです。靴屋で戸惑いながらも働き、2年しかいなかったのに電話を掛けたら喜んでくれる人たちがいる。それが答えなのだと思います。買い付けに海外に行った時の麻子はキラキラしていてかっこよかった。社内での評判と全く異なる茅野という存在もまた面白くて良かったです。家族について、母親について、自分の中でくすぶっていた感情が大人になってちゃんと理解できるようになって本当に良かった。
茅野が大好きで通っていた古物店が自分の実家なんて運命的過ぎる。その場面を読んでいるときは一人ニヤニヤしながら読んでいました^^;
素敵な物語を読むことが出来て良かったです。

<光文社 2007.1、2009.11>2023.6.28読了

ワンさぶ子の怠惰な冒険 宮下奈都5

ワンさぶ子の怠惰な冒険
宮下 奈都
光文社
2021-02-23


北海道トムラウシの山村留学から福井に帰ってきた宮下家。当時、子供たちの妄想犬だった白い柴犬ワンさぶ子が家族の一員に。三人の子供たちは、大学生高校生中学生となり、思春期真っ只中。それぞれが自分の道を歩き始めていく。しなやかに自由を楽しむ、宮下家五人と一匹の三年間の記録。

トムラウシでの生活から月日が流れましたね…上のお兄ちゃんは当時中学生だったのに今は大学生。下のお兄ちゃんは高校生で娘ちゃんは中学生…早い。早すぎる。
宮下家のエッセイを読むのが大好きなのですが^^相変わらず、宮下家とワンさぶ子の生活は素敵で癒されます。私が言うのもおこがましいですけど、お子さんたちが本当にまっすぐに成長されていて素敵です。読んでいても性格が全然違うのが分かりますがそれぞれ素敵。3年間の間に上のお兄ちゃんが家を出て、受験をして、下のお兄ちゃんが家を出て…と環境が変わっていきます。読んでいてもちょっと切なくなります。でもみんなが逞しく生きていてかっこいいなぁと思いました。
下のお兄ちゃん、大学に無事合格して良かったです。でも、去年の事ですよね?入学した年は大変な年になっちゃいましたね。少しはキャンパスライフを味わえたのかな…。
そして娘ちゃんは高校生に。あぁ…TSUKEMENから飴玉をもらった、ちっちゃかった娘ちゃんも高校生…本当に早い。
皆さんがお互いを想い合っているのがひしひしと伝わってきてこちらも優しい気持ちになれましたし、癒されました。また、皆さんに逢えたら良いな。

<光文社 2021.2>2021.3.23読了

とりあえずウミガメのスープを仕込もう。 宮下奈都5

とりあえずウミガメのスープを仕込もう。とりあえずウミガメのスープを仕込もう。
著者:宮下 奈都
扶桑社(2018-05-25)
販売元:Amazon.co.jp

「毎月一回食べもののことを書く。食べることと書くことが、拠りどころだった気がする。」(「まえがき」より)
月刊誌『ESSE』の人気連載が、待望の書籍化!
北海道のトムラウシに1年間移住したり、本屋大賞を受賞したり……。さまざまな変化があった6年半の月日を、「食」をとおして温かく描き出す。
ふっと笑えて、ちょっと泣けて、最後にはおなかが空く。やさしく背中を押してくれるエッセイ78編に、書き下ろし短編1編を収録。全編イラストつき。

宮下さんの作品は物語もエッセイもとても優しい。
宮下さん自身がとても素敵な方だからだろうなと思える。初めてお顔を拝見した時、想像通りの優しい雰囲気の素敵な方だなぁと思ったのを思い出しました。
ご家族との食べ物のエピソードはどれも本当に素敵で可愛いし、宮下さん自身の子供の頃のエピソードもよくそんなに覚えているなっていうくらいたくさん登場します。
何百冊も料理本を持っているという宮下さん。1度食卓のお写真もみてみたいな。って言ったら宮下さんは動揺してしまうかも^m^
私の食べ物のエピソードは何だか切ないのしか思い浮かばなかった。
20歳の誕生日、大学生の私は結構ブラックめなバイトをしていて、タイムカードは9時で切るのに遅くまで働かされるような場所だった。誕生日に理由は忘れたけど凄く怒られて、家に帰ってきたのは日付が変わるちょっと前。それでも家族みんな起きて待っててくれて、一緒にケーキを食べた記憶がある。確か泣きながら。
2013年のクリスマスイブ。V6動画で6人が一緒にお祝いは出来ないからみんなで夜8時に七面鳥を食べようと言って、ファンはいそいそと準備して8時を待ってました。8時ピッタリに「メリークリスマス!」と言ってチキンを食べた思い出。みんな食べてるかなぁと思いつつ、当時の年末年始はあまりV6の露出が無くて、寂しかったな。不安だった。
当時の私に来年紅白に出るよ。露出がびっくりするほど増えるよ。小心者のVヲタが怯えるくらい仕事が増えるよ。健君の若さは変わらないよ←と伝えたいです。
他にも食べ物のエピソードを思い出したくなったし、美味しい食べ物を作れるようになりたいとも思いました。

<扶桑社 2018.5>H30.9.4読了

緑の庭で寝ころんで 宮下奈都5

緑の庭で寝ころんで緑の庭で寝ころんで
著者:宮下 奈都
実業之日本社(2017-12-08)
販売元:Amazon.co.jp

ふるさと福井で、北海道の大自然の中で、のびやかに成長する三人の子どもたち。その姿を作家として、母親として見つめ、あたたかく瑞々しい筆致で紡いだ「緑の庭の子どもたち」(月刊情報誌「fu」連載)4年分を完全収録。ほかに、読書日記、自作解説ほか、宮下ワールドの原風景を味わえるエッセイ61編、掌編小説や音楽劇原作など、単行本初収録の創作5編も収載。著者の4年間のあゆみが詰まった宝箱。

宮下さんのエッセイはいつも読んでいて癒されます。
作家さんの小説を読んで、きっとこんな感じの人なんだろうなって想像した雰囲気に1番ぴったりだったのが宮下さんだった気がします。
ふわっとした感じで優しそうで、お話も素敵で。でも、何だかちょっと天然っぽさも見えるようなそんな感じ^^
前作のトムラウシでの生活を書かれたエッセイも読んでいて思いましたが、宮下さんも素敵ですがご家族も皆さん本当に素敵です。家族みんながそれぞれ皆を信頼している感じが伝わってきます。3人のお子さんたちもとても可愛い。可愛いと思っていましたが1番上のおにいさんはもう大学生なんですね〜。何だか近所のおばちゃんな気分です。大きくなったねぇみたいな^^
兄弟みんなケンカしないとかびっくり。受験でピリピリしないとかびっくり。
うちもそうだったら良かったなぁ←そこまで凄かったわけではないけど。
なんか、母親とかに色々言ってしまった気がする。今更反省^^;
「あさイチ」に出演された時のこともちらりと書かれていました。出演されたのがすごく嬉しくて食い入るように見ていて、子育てに関しても何だか宮下さんらしいなぁなんて思いながら見ていましたけど、厳しい意見もあったんですねぇ。まあ、そんな気もしましたけど←でも、別にそれを推奨していたわけでもないし、子育て論を語っていたわけでもないんだから、なぜそんなに厳しい意見を言わなければならないんだろうと少し疑問でした。実際今はちゃんと挨拶のできるとてもできたお子さんな気がしますよ私は。
って言ったら宮下さんは謙遜されるんだろうけど。
この連載はこれからも続いていってほしいなと思いました。読んでいるこちらも癒されました。
そして余談ですが、そのエッセイの中の一つにいきなりTSUKEMENが登場してびっくりしました。そしてとても嬉しかったです^^
娘さん飴玉もらったんですねー羨ましすぎる!そうそう、二部の最初は客席に行くんですよ。そしてお子さんに飴玉をあげるんです。そういうパフォーマンスなんですよ。いいなーいいなー(子どもか)

<実業之日本社 2017.12>H30.2.28読了

つぼみ 宮下奈都5

つぼみつぼみ
著者:宮下 奈都
光文社(2017-08-17)
販売元:Amazon.co.jp

話題作『スコーレ4』の主人公麻子の妹・紗英、叔母・和歌子、父の元恋人・美奈子。それぞれがひたむきに花と向き合い葛藤するスピンオフ三編。(「手を挙げて」「まだまだ、」「あのひとの娘」)弟の晴彦は、高校を中退し勤めた会社もすぐに辞めて、アルバイトを転々とした後大検を受け、やっぱり働くと宣言して、いつもふらふらひらひらしている。不器用な弟と振り回される姉。そんな二人には、離婚した両親がまったく違って見えていた。(「晴れた日に生まれたこども」)どこかへ向かおうともがいている若き主人公たちの、みずみずしい世界のはじまり。凜としてたおやかに、6つのこれからの物語。

…え!?最初に出てきた三姉妹の長女は「スコーレNo.4」の主人公だったの!?(あらすじ読んで知った人)マジかー…まだ読んでないんだよー…そうかそうか。
なんて読み終えた後に気づいたりもしましたが^^;でもこの作品では長女はあまり登場しないので本当にちょっとリンクしているくらいのものなのでしょうか。最初の三編が人物が繋がっていたのでずっとそんな感じで続くのかと思ったら違いましたね。
「手を挙げて」は和歌子は一人でも生きていけるだろうからあんな母親の息子となんて付き合うの止めちゃえばいいのにと思った私はダメなやつでしょうか?^^;いう母親も母親だし、そのまま彼女に伝える息子も息子ですよね。最後の告白は割とかっこいいというか素敵だったけど私はこの状況なら別れたいなーと思ってしまった←
「あのひとの娘」美奈子は誰だろうと思ったら高校生の時の元カノという。30年かー。長いなー。でも、それだけその人の事を想えるって言うのは幸せなことなのかなと思う。美奈子の場合はそれが足枷のようになっていたのかどうなのか…。
「まだまだ、」紗英はきっとたくさんの人に好かれる子だと思うけど、同時にすんごく嫌われるというのも分かる気がする子だったな。天才肌というか…。末っ子って感じ。宮下さんご自身が三人のお子さんがいらっしゃるから書けるのかなとも思いました。私は多分、こういう子は苦手かも。苦手というか羨望と妬みもあるのかもしれない。長女だから。
3作の後の「晴れた日に生まれたこども」でも前の作品とどこかでつながりがあるんじゃないかと思ってそればかり探して読んでいました。この作品で登場する弟は正直ちょっと情けないし、そんな弟を構う姉も構い過ぎだとは思うけど、でもそれでも姉の彼氏は自分勝手すぎて嫌いでした^^;
「なつかしいひと」は途中で読んだことがあると気付きました…。「本屋さんのアンソロジー」で既読でした。温かい優しい物語です。
「ヒロミの旦那のやさおとこ」この旦那が何だかダメ男な気がするんですけど…。それでもヒロミに本気で惚れているんだろうなぁというのは分かりました。ヒロミもまた素直で優しくてかっこいいですね。そして友人の美波と知花も素敵。あんたはあんたで幸せになれる。いい言葉ですね。

<光文社 2017.8>H29.11.8読了

静かな雨 宮下奈都5

静かな雨静かな雨
著者:宮下 奈都
文藝春秋(2016-12-12)
販売元:Amazon.co.jp

忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない。新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在がすべてだった行助。『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。

宮下さんらしい優しい作品でした。
行助とこよみ。2人の出会いは必然だったのかなと思うくらいピースがかっちり重なっているような。明確にお互いの事をどう思っているのか言葉で示していないのだけど、お互いに思いやり大事にしていることがよく分かります。
行助の愛情は真っ直ぐでたまに窮屈だけど^m^純粋であたたかいですね。
こよみもちゃんとわかっているんだろうな。こよみは普段の生活で困っているようには感じなくて。でも、自分の年齢や時がそこで止まっているからきっとこれから苦労することがたくさんあるんだろうなと思う。
それでもこの2人ならきっと笑って乗り越えられるんだろうなと思えました。
行助の家族もみんな素敵。特にお姉さんがかっこよかったです。

<文芸春秋 2016.12>H29.1.24読了

羊と鋼の森 宮下奈都5

羊と鋼の森 (文春e-book)羊と鋼の森 (文春e-book)
著者:宮下奈都
文藝春秋(2015-09-15)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。
「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」
ピアノの調律に魅せられた一人の青年。
彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

読みました。この作品を、今読んで良かったと思いました。
主人公の外村は高校2年生の時にピアノの調律師である板鳥と出会い、衝撃を受け同じ調律師の道を歩みます。ピアノを弾くことは出来ないがそれからの日々を調律の勉強に注いで。
外村は山で生まれ育った青年で、特に目立った特徴がある人ではないです。
でも板鳥に出会ったことで自分が好きなものに出会い、好きなものを仕事にして悩みながら仕事をこなしていきます。
外村は自分には才能がない、調律師という仕事は向いていないのではないかと常に後ろ向きで悩んでいます。でも、板鳥も同僚の柳もそんな外村には気にかけつつも心配はしていない感じがしました。柳が言った言葉が私はとても好きで。
「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か。俺はそう思うことにしてるよ」
不安だから、追いつかなければ、そういう想いと、好きだという想いから外村は毎日事務所のピアノを調律し、机には何冊も専門書が並び、家ではひたすらピアノが奏でるクラシック音楽を聞いて過ごしていて。勿論才能や向き不向きはあると思います。でも「好き」という気持ちは何物にも代えがたいかけがえのないものなのだということを、この本から教わった気がします。
「好き」っていう気持ちは尊いです。
外村の好きだという気持ち、一生懸命な気持ち、不安な気持ち、たくさん伝わってきました。好きでもどうにもならないことがある。でも好きだから辛くても頑張れる。
そんな強い気持ちを感じました。
読み終えた後の余韻がとても温かくて、しばらく涙が止まりませんでした。
この作品と出会えてよかったです。

<文芸春秋 2015.9>H27.10.14読了

神さまたちの遊ぶ庭 宮下奈都5

神さまたちの遊ぶ庭神さまたちの遊ぶ庭
著者:宮下 奈都
光文社(2015-01-16)
販売元:Amazon.co.jp

北海道を愛する夫の希望で、福井からトムラウシに移り住んだ宮下家五人。TSUTAYAまで60キロ、最寄りのスーパーまで37キロ。「誰が晩のおかずの買い物をするのかしら」。小中学生あわせて15名の学校には、元気満々曲者ぞろいの先生たち。ジャージで通学、テストも宿題もないけれど、毎日が冒険、行事は盛り沢山。大人も子供も本気の本気、思いきり楽しむ山での暮らし。大自然に抱かれた宮下家一年間の記録。

宮下さんが福井県に住んでいると思ったら、あれ?北海道に住んでる?とツイッターを見て気づいたのですが^^;1年間限定だったのですね。
何だか凄く寒そうな地域に住んでいそうだなーと思ったので、白糠とか陸別あたりかななんて想像していたのですが、はずれましたね^^;新得でしたか。新得はおそばが美味しいのですよ←
宮下一家は本当に面白かったです^^トムラウシの人たちも素晴らしかったけど宮下一家が本当に素敵!旦那さんは他のエッセイを読んだときに変わった面白い人だなと思いましたが、今回も読んでいてやっぱり変わってて面白い人だなと思いました^m^
3人のお子さんもしっかりしていてユーモアにあふれていて素敵です!そして素晴らしき順応性!3人は皆さんどこでもうまくやって行けると思います。
でも素晴らしいと思うところもありますけどちゃんと様々なそれだけじゃないというところも伝えてくださっているのが良いなと思いました。
宮下さんの言葉で印象的だったのは、皆さんスーパーまで1時間というとそんなところに住めないというけど、毎日1時間かけて通勤している人もいるのにスーパーに1時間かけるのは嫌なのか。毎日の方が大変じゃないか。スーパーは1週間に1度くらいで良いのに。という言葉(言い回しは多分ちょっと違うけど)
確かに…。としか言いようがなかったです^^;
あと面白かったのが旦那さんが全然働かなくて(若干語弊が)息子さんが将来大学にも行きたいのだけど経済的に大丈夫なのだろうかと問いかけたとき、旦那さんが「だいじょうぶだいじょうぶ、今にママの本が売れるからね」と言い、今っていつだよ、売れねーよ。に吹き出しました^^

〈光文社 2015.1〉H27.3.13読了

たった、それだけ 宮下奈都4

たった、それだけたった、それだけ
著者:宮下 奈都
双葉社(2014-11-12)
販売元:Amazon.co.jp

海外営業部長、望月正幸は、贈賄行為に携わっていた。
それに気づいた浮気相手の夏目は、告発するとともに「逃げて」と正幸に懇願する。
結果、行方をくらました正幸の妻、娘、姉……残された者たちのその後は。
正幸とはどんな人間だったのか、なぜ逃げなければならなかったのか。
『誰かが足りない』の著者が、人間の弱さと強さに迫る連作短編集。

身勝手ですね。正幸はただただ身勝手な男だと思います。
最後まで読んでも贈賄をしたのかどうか確固たる証拠のようなものは出てきませんでしたけど、問題は事件ではなくて正幸と関わっていた残された人々の事でした。
自らが行った罪なのかは分かりませんけど、残された家族がどんな思いでどう生きていったかなんてどうでもいいのでしょうか。会わないことで罪を償っているつもりなんでしょうか。冗談じゃないと思います。
妻はまだ選択肢がありますけど、子供は選択肢はありません。
ルイが可哀想すぎました。
母親に連れられて住む場所を転々として。本当に大人の勝手な都合に振り回されて、昔読んだ「神様のボート」を思い出しました。子供は被害者ですよ。
それでも高校生になったルイが前を向き始めていたのが良かったです。トータと出会って良かったですね。最後の2人、とても可愛かった。
最後はなんとなく、時間の問題な気がしますね。
再会するのが良いのか悪いのか、わかりませんけども。
それでもルイの未来が明るいと良いな。
私はルイの涙という名前、結構好きです。ちゃんと読めるし、由来も何となく分かるし。
でもやっぱり涙だと、マイナスイメージになっちゃいますよね。

〈双葉社 2014.11〉H26.12.18読了

ふたつのしるし 宮下奈都5

ふたつのしるしふたつのしるし
著者:宮下奈都
幻冬舎(2014-10-24)
販売元:Amazon.co.jp

この人は何も知らない。遥名も何も知らない。それが決めてだった。
傷んだ心にやさしい雨のように降り注ぐ、傑作恋愛小説。
欠けていたものが、ぴたりとはまる。そんな風にしてふたりは出会った。
勉強のことを一秒も考えない小一のハルと、生きるための型がほしいと考える中一の遥名。
別々の場所で生まれ、まったく違う人生を歩んできたふたりの成長と出会いを描く、生きることが愛おしくなる傑作恋愛小説。

温之と遥名の幼少期から大人になるまで、そして2人が出会うまでが描かれている作品です。
男の子の方のハルは少し変わった男の子。蟻の行列をずっと見つめていられる子。
ハルの心の中を読んでいるとちょっと変わった子だなと思うくらいだけど、集団行動を行う上では問題児と捉われかねないですよね。
健太君がとってもいい子でした。ハルは健太君に見つけてもらえてよかったね。中学校の養護教諭も素敵でした。
女の子の方のハルはハルと逆で自分を出さないで学校生活を送っていましたね。その気持ち、分かるなぁ。目立つのは怖いんですよね。大学生の時の気持ち、凄くよくわかる。
真面目に授業を受けて大学生をしてるのに、代返を平気で頼んで遊んでいる友人の方が楽しく生きているように見えるっていうのは、私もそうだったから。
2人の物語は別々に描かれているんですけど、微妙に近づいているところもあって、それが良いなと思いました。
第6章が本当に良いです。
私は男の人が怖いし苦手だし、結婚も家族も興味がないけど、でも宮下さんの本を読むと、こんな家族が出来たらいいなって思えます。それはきっと、今の宮下さんの生活が充実されていて幸せだからだろうなと思います。たまにツイッター拝見しますけど、ご家族の話題も多くて幸せそうですもん。良いなぁ。
温かい気持ちで読むことが出来ました。
読んでいる間、とても幸せでした。

〈幻冬舎 2014.9〉H26.10.28読了

はじめからその話をすればよかった 宮下奈都5

はじめからその話をすればよかったはじめからその話をすればよかった
著者:宮下 奈都
実業之日本社(2013-10-10)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
瑞々しくて、あたたかい宮下小説ワールドの原風景を網羅。小説を書く理由、自著の創作秘話、三人の子供たちを愛おしむ日々、大好きな本や音楽と共にある暮らし…デビューから9年間で紡がれたエッセイ81編+単行本初収録の掌編小説4編。

私、昔はエッセイ本って好きではありませんでした。
嫌いなわけではないけど小説のように怒涛な展開がないので読み進まないし、興味を持てませんでした。でも最近は小説家のエッセイを読むのが好きです。きっかけをくれたのはしをんさんな気がしますけど、小説家の方々がどんな生活をされているのか、またどうやって物語が生まれていくのか、それを知ることができるのってなんて素敵なことなんだろうと思ってきたからだと思います。
そして今回は宮下さんのエッセイ。初めて出されたそうですね。私もたぶん読むのは初めてだと思います。主婦になってからしかもお子さんが3人いらっしゃる状態から書き始めたっていうのがびっくり。時間がかかったとはおっしゃっていますが凄いですね〜
宮下さんは何度かテレビで拝見しています。見るたびに想像通りの素敵な方だなと思っていました。エッセイを読んでいても思います。しっかりお母さんをされている顔と小説家の顔と。どちらも魅力的です。
宮下さんと旦那さんとの出会いが素敵でした。というか面白かった。社内恋愛だったんですね〜うふふ。良いなー。最初の職場の同期の男性なんて個性的でついていけない人ばっかりだったよ。まあ、私もどう思われていたか分からないけど。
宮下さんが20代には戻りたくないと書かれていて、分かるなぁと思いました。私は一応まだギリギリ20代だけど、ホント辛かったもん。宮下さんのように10年20年経って今が1番いいから20代には戻りたくないって思えたらいいな。
私が既読の小説の書評もあったりしてふんふん宮下さんはこう思うのね。と思いながら読みました。
そして「つむじダブル」秘話。小路さんとの連動企画でどうやって生まれたんだろうと思ったらまさかのツイッター発信だったんですね。時代は変わりますー。
更に宮下さんは福井県在住だとは存じていましたが今はなんと北海道にいらっしゃるとな?!しかも場所的には北の国からっぽいところのような・・・思い切りましたねー。
宮下さんの作品はまだ読んでいない本がたくさんあります。相変わらず積読本が多いですがいつかコンプリートしたいなと思います。

〈実業之日本社 2013.10〉H25.11.7読了

終わらない歌 宮下奈都5

終わらない歌終わらない歌
著者:宮下 奈都
実業之日本社(2012-11-17)
販売元:Amazon.co.jp

「覚えてる? 今、あのときの未来だよ」
高校二年の春、卒業生を送る会の合唱で、未来への願いを託した調べに心を通わせあったクラスメイト。
御木元玲、原千夏、中溝早希、佐々木ひかり、里中佳子、東条あや。三年の月日が流れ、少女たちは二十歳になった。
玲は音大の声楽科に進んだが、自分の歌に価値を見いだせなくて、もがいている。
劇団でミュージカル女優をめざす千夏が舞台の真ん中に立てる日は、もう少し先みたいだ……。
ぐるぐる、ぐるぐる。道に迷っている彼女たちを待つのは、どんな明日なんだろう――。
小説誌「紡」で発表された四編(「シオンの娘」「スライダーズ・ミックス」「バームクーヘン、ふたたび」「Joy to the world」)に、福井のタウン誌連載「コスモス」、そして、書き下ろし「終わらない歌」の全六編を収録。傑作『よろこびの歌』待望の続編!

読みました。先日読んだ「よろこびの歌」の続編です。3年後の彼女たちの物語です。
3年経って20歳になって大人になって。大人になったけどもがいている彼女たち。
その悩んでいる姿も何だかみんな美しい気がしました。
印象的なのは千夏でした。千夏の元気さ、前向きさ、一生懸命さに読みながら励まされました^^;凄いなって。でも、舞台俳優っていうのはそのくらいのタフさがないと続けられないというのも分かる気がして、千夏ならきっと真ん中に立てる日が来るよって思いました。
玲も何だか悶々としてましたね。でもその燻っている所から救い出したのも千夏なんですよね。何だか今回は千夏が主人公のように感じながら読みました。玲も型にはまらずに広い世界を見てほしいなと思いました。
2人の事を多く書きましたが印象に残っているのは東条あやの就職先の先輩のところでした。
自由に生きていいんだよっていう言葉が何だか自分に言われているようで。ちょうどその言葉がアドバイスになるような状況に今ちょっとあるので…。しかも同い年だったし…。
素敵な作品でした。出会えてよかったです。

〈実業之日本社 2012.11〉H24.12.22読了

よろこびの歌 宮下奈都5

よろこびの歌よろこびの歌
著者:宮下 奈都
実業之日本社(2009-10-17)
販売元:Amazon.co.jp

御木元玲は著名なヴァイオリニストを母に持ち、声楽を志していたが、受かると思い込んでいた音大附属高校の受験に失敗、新設女子高の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる…。あきらめ、孤独、嫉妬…見えない未来に惑う少女たちの願いが重なりあったとき、希望の調べが高らかに奏でられる―いま最も注目すべき作家が鮮烈に描く、青春小説の記念碑。

この作品の3年後が描かれた物語が今月出るということでこちらを急いで読みました^^;
章ごとに一人の女子高生が主人公でその視点で描かれています。
最初のお話しだけ「Re-born はじまりの一歩」で読んでいました。読んでいて途中で気づきました^^;
何だか、青春してるな〜と思いました。色々思い悩んでいる女子高生側からすればそんな一言で片づけるなよって怒られそうですけど。
色んなことに悩んで挫折して、でも立ち直っていく姿が素敵でした。
御木元玲が変わってからみんなが変わっていく姿が主人公が章ごとに変わっていくのに伝わってきて何だか心があったかくなりました。
みんなちゃんと自分で考えて変わっていくんですよね。
私が高校生のとき、こうやって何かに打ち込んで悩んで自分で解決出来たらよかったのにななんて、ちょっと嫉妬しました^^;

〈実業之日本社 2009.10〉H24.12.6読了

つむじダブル 小路幸也 宮下奈都5

つむじダブル (一般書)つむじダブル (一般書)
著者:小路幸也
ポプラ社(2012-09-15)
販売元:Amazon.co.jp
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本邦初!? 人気作家二人がつむぐ話題の合作!
小路幸也が兄の視点、宮下奈都が妹の視点で描く、家族の「ひみつ」の物語。
小学生のまどかと高校生の由一は、年の離れた仲のよい兄妹。ふたりとも、つむじがふたつあり、お母さんは「つむじダブルは幸運の証」と子どもたちに話している。ある日、まどかがひとりで留守番をしていると、ひとりの女性から電話がかかってきた。お母さんは知らないひとだと言うのだけど、なんとなく様子がおかしくて――兄妹それぞれの想いが胸に響く、やさしい家族の物語。

僕も宮下さんも、地方で暮らす普通の親です。
二人で描いた<家族の物語>、一生の宝物になりました。――小路幸也
自分ひとりだったら決していかない方向へ物語が広がりました。
妹まどかと兄ユイチのパートを合わせると、わくわくが溢れ出します。――宮下奈都

ネタバレあります

小路さんと宮下さん合作の今作。
兄ユイチの語りは小路さんが、妹まどかの語りは宮下さんが書かれています。
「冷静と情熱のあいだ」のように男女の視点で書かれた別々の本は読んだことがありますが、こういう合作は読むのが初めてだと思います。
別の作家さんが交互に書かれているのに全然違和感を感じませんでした。2人の書かれる文章が似ているんですかね。
でもストーリーは小路さん寄りかなぁという印象でした。終わり方とか。
ユイチもまどかもとってもいい子です。素直で、良い家庭で育ってきたんだろうなぁという印象。
それでも、一人の女性が現れたことから徐々に家族の抱えている秘密に、2人は気づきはじめます。
両親が隠している最大の秘密は、私はユイチの考えすぎだと信じたいです。
じゃないと、石郷がただの勝手な人でプロデューサーとしては失格だとしか私は思えないし…。
お父さんが何気なくまどかに言った言葉を信じたい。
まあ、どちらにしても、ユイチは真っ当に生きていけると思います。
良い人たちに恵まれて、ユイチもまどかも幸せですね。

〈ポプラ社 2012.9〉H24.9.26読了

窓の向こうのガーシュウィン 宮下奈都5

窓の向こうのガーシュウィン窓の向こうのガーシュウィン
著者:宮下 奈都
集英社(2012-05-25)
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オススメ!
十九年間、黙ってきた。十九年間、どうでもよかった。「私にはちょうどいい出生だった」未熟児で生まれ、両親はばらばら。「あなたの目と耳を貸してほしいんだ」はじまりは、訪問介護先での横江先生との出会い。そして、あの人から頼まれた額装の手伝い。「ひとつひとつ揺り起こして、こじあけて、今まで見たこともなかった風景を見る」心をそっと包みこむ、はじまりの物語。

読み終えました。タイトルからどういうストーリーなのか全く知らずに読み始めたのですが、ガーシュウィンというのは作曲家の名前だったんですね。
主人公の「私」は未熟児で生まれ、保育器に入れられなかった女の子。だから体も小さいし脳も小さいし耳も悪い。人よりも劣っていると思っている。みんな、自分よりも下がいるから安心する。そんな対象の女の子。仕事を見つけるために取得したヘルパーの仕事。そこで出会った横江先生にあの人に隼。その4人で過ごすやわらかくて暖かくてゆっくりとした時間を読むのがとても心地よかったです。
自分は褒められらことはなくて人よりも劣っていると思っている私。でも、実はものすごい何かを秘めている子なのではないか?と読んでいて感じました。人の例えや感情や想いを何もかも素直に受け止め、信じる子。どんな人でも拒否をしないで受け入れる子。そういう人はなかなかいないと思います。(鵜呑みを卯の実と間違えたくだりは私もあの人と同様に爆笑)3人が言うようにこの子は大きくて聡明で優しい子だと思いました。
額装と言う言葉を初めて知りました。本当にいろんな仕事があるんですね。主役となる絵も大事ですが、確かにその絵にふさわしい額があるはずですもんね。それを見出すのも才能なんだなぁ。
この子の家庭環境もなかなかすごいですし、私なら耐えられないですが、本人が良いのなら良いのかなぁ。
4人が七輪で蕗の薹を食べていたあの瞬間。私も額装の中に収められたら素敵だなと思いました。

〈集英社 2012.5〉H24.6.3読了

誰かが足りない 宮下奈都5

誰かが足りない誰かが足りない
著者:宮下 奈都
双葉社(2011-10-19)
販売元:Amazon.co.jp
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予約を取ることも難しい、評判のレストラン『ハライ』。10月31日午後6時に、たまたま一緒に店にいた客たちの、それぞれの物語。認知症の症状が出始めた老婦人、ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年、人の失敗の匂いを感じてしまう女性など、その悩みと前に進もうとする気持ちとを、丹念にすくいとっていく。
「予約1」原田は大学を卒業後コンビニで働いている。かつて付き合っていた彼女は、交際中に違う男性と婚約をしてしまった。あれから月日が流れ、原田の働くコンビニに彼女と結婚した男がやってくる。
「予約2」私は時々訪れる息子や孫たちに「最近あったニュース」を聞かれるのがたまらなく嫌になっている。記憶も曖昧になってきているが、孫が紹介したい人がいるからハライに一緒に行こうという。行ったことがないはずなのに、聞いたことがある名前だった。
「予約3」私は職場で尻拭い要員ということで昇進し、毎日休みなく働いていた。ある日、隣に住んでいた幼馴染のヨッちゃんが帰ってきたことを知る。
「予約4」僕は母が死んでから引きこもりとなり、さらにビデオを通してでないと人と話すことができなくなってしまった。姉は嫁ぎ、妹と2人で暮らしていた。ある日、妹と同じ学校の篠原さんという人が家にやってくるようになり、少しずつ変化が訪れる。
「予約5」調理師を目指して働きつつ勉強している俺。いつものようにオムレツを作っていたら、このオムレツはいらないときれいな女性に断られた。休憩時間、彼女に再会し、なぜか自分の部屋までついてくることになる。
「予約6」留香は失敗した人の匂いを感じ取ることができた。そのことにまだ気づいていない幼少のころ、大好きだったいとこの父親である叔父からその匂いを感じ、その後失踪している。

良かったです!宮下さんの作品は心が温まります。
今回登場する方々は何かしらの悩みを抱えていて、悩んだり少し絶望したりしているんだけど、いろんな意味で、救いの手があるのがいいなと思いました。
それは、家族だったり友人だったり見ず知らずの人だったりするのだけど。
人はいろんなところで繋がって、支えられているんだなと思う作品でした。
どのお話も好きだったけど、認知症の症状が出てきているおばあさんの話はよかったです。過去のおばあさんとおじいさんのお話も素敵でしたし、おばあさんの息子の家族が素敵。奥さんも素敵な方でした。
あとは引きこもりの青年と妹とそのお友達の話。引きこもっている青年にも大きな問題が渦巻いていて、周りの人たちも様々な想いを抱えていて、それでも支えあって前を向いて進もうと思っている姿がよかったです。青年も、最後は少しだけど前進していて安心しました。
私もみんなが美味しいと絶賛するハライへ行ってみたいです。そこで、コンソメスープやオムレツを食べたいと思いました。

〈双葉社 2011.10〉H23.11.8読了

メロディ・フェア 宮下奈都4

メロディ・フェアメロディ・フェア
著者:宮下 奈都
ポプラ社(2011-01-14)
販売元:Amazon.co.jp
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大学を卒業した私は、田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ。けれども、お客は思うように来ず、家では化粧嫌いの妹との溝がなかなか埋まらない。そんなある日、いつもは世間話しかしない女性が真剣な顔で化粧品カウンターを訪れて――いま注目の著者が、瑞々しさと温かさを兼ね備えた文体で、まっすぐに生きる女の子を描く、ささやかだけど確かな“しあわせ”の物語。

いきなりですが、私は化粧はほとんどしません。
前に勤めていた会社は広告代理店だったので人と会う機会も多く、同僚や上司からもよく化粧は女性のたしなみだと言われてきました。上司(男)に宴会の席とはいえ「中途半端な化粧してんじゃねえぞ」と言われた事もあります。
でも、基本的に面倒くさがりやなのと、目が弱いのでアイシャドウやマスカラをすると目が痛くなったり痒くなったりするので、極力しないようにしてます。
転職して、図書館司書になってからは(それがいいのかは分かりませんが)バッチリメイクも逆に浮いてしまうような気がしてファンデーションをつけて終わりって感じになってます。
だから、私も始めは主人公の気持ちはちゃんとは分かってなかったと思います。
でも、家族の溝を何とかしようと考えていたり、勤め先でもちゃんとお客さんのことを考えているのはえらいなと思いました。
私も、ショッピングモールではないけど、化粧品店で化粧をしてもらったことがあります。でも、どこか納得ができないというか、化粧している自分が気持ち悪くなっちゃったりして。主人公に私に合ったメイクをして欲しいなぁなんて、思ったりしました。
珠美が思っていることも分からなくはないけど、私は妹のくだりは読んでいて腹が立ってしょうがなかったです。
「文系の人はいいよね」みたいな台詞があったのですが、その台詞が嫌でたまらなかった。それほど嫌悪感を持ってしまったのは、珠美と自分の弟がだぶってしまったからかも知れないのだけど。
私は典型的な文系人間で弟は完璧な理系人間。理系の人がみんなそうだとはもちろん思いませんが、私も似たようなことを弟に言われた事があるんです。知らないと分かると何だかバカにしたような言い方をするし。
この本を読んでいると、お化粧のことと言い、姉妹の確執?といい、自分の古傷を抉られているような気がして、ストーリーとは全然関係ないのだけど読んでいてどんどん気持ちが暗くなってしまいました。
ミズキとのくだりや、浜崎さんとの話や、白田さんとの会話はとても微笑ましくて素敵だと思ったのですけど。
このお話は、私は入り込めませんでした。でも、まったく作品のせいではありません。あしからず。

〈ポプラ社 2011.1〉H22.2.22読了

田舎の紳士服店のモデルの妻 宮下奈都5

田舎の紳士服店のモデルの妻田舎の紳士服店のモデルの妻
著者:宮下 奈都
文藝春秋(2010-11)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、子育てに迷い、恋に胸騒がせる。じんわりと胸にしみてゆく、愛おしい「普通の私」の物語。

こちらも「王様のブランチ」で特集されたので、予約はしてましたが読みたくて読みたくて^^;
そのときに宮下さんを拝見したのですが、とても綺麗な方でした。
何となく、読んでいて梨々子は宮下さんになっていました。
宮下さんは、この物語を「ハッピーエンドの物語のその後」と言っていました。
シンデレラも白雪姫も眠り姫も、最後は王子様と結婚してハッピーエンド。
その後は?って考えると、その表現がとても的確だなと思いました。
自分の事を少なからずもてていたから綺麗だと思っていて、旦那様はとてもかっこよくてかわいい子どもにも恵まれて。
そんな幸せな時間を過ごしていたけど、ある日突然夫がうつ病となり、仕事を辞め、夫の田舎へ引っ越す事になる。
梨々子のことは嫌ではなかったけど、始めはずっと「こんなはずじゃなかった」って思って過ごしているようにしか見えなかった。実際に書かれていたけど、今住んでいる田舎は仮住まいで、いつかは東京へ帰って都会暮らしに戻るんだと。
旦那さんは私が好きだった頃に比べて15キロ太って「こんなはずじゃなかった」
旦那さんは仕事のできる人だったから病気を治して戻ってくれる。
理想を追い求めてすぎているというか、自分の思い通りに行かないと気がすまないと言うか。。。いや、違うか?
でも、夫の病気と向き合って、子どもたちともちゃんと向き合って、私が言うのはおこがましいけど、妻として母親として成長しているのが見えました。
アサヒの存在が、良い方向にいったのかなと思う。
浮気や不倫は絶対にしてはいけないけど、梨々子にとっては必要な時間だったのだと思うし。
でも、いいなぁ〜好きだった芸能人とお茶出来て。(そこ?)
実際にうつ病を患っている人と仕事したことがあるけど、梨々子が言っていた、自分は病気だけど相手はいつも元気だと思ってるっていう雰囲気が凄くよくわかる。
相手は病気だって言うのは分かるけど、ここまで相手のことは見れないのかと思ったことがあったし。
だから、梨々子は旦那さんに対して爆発せずに良く頑張っていると思いました。
達郎がしてくれる些細な事に対して嬉しいとか、感動している姿を見ると、2人はなるべくして夫婦になったんだろうなと思いましたし。
子どものことを呼び出しされても恥ずかしいと思わずに思うように育てているのも良いと思いました。あれはモンスターペアレントではないと思う。
宮下さんの作品は初めて読みましたけど、良かったです。「スコーレNO'4」を数年前に買って積読状態になっているのですが^^;いつか絶対に読もうと思います。(やっぱりいつか^^;)

〈文芸春秋 2010.11〉H23.1.22読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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