苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

似鳥鶏

唐木田探偵社の物理的対応 似鳥鶏4



都市伝説が実体を持ち、人に危害を加えるようになった“新種の怪異”。
その存在は政府によって極秘として取り扱われ、“偽の月”を見ることができるごく一部の人間たちだけが認知できる。
国内の被害者が急速に増加する中、怪異に立ち向かう方法はたったひとつ――物理攻撃だった。
怪異駆除の専門業者・唐木田探偵社新入社員の〈ネズミ〉は、入社早々、同僚たちからあらゆる戦闘方法を叩き込まれ、実戦に駆り出される。
最前線の戦闘班は10年生存率25%といわれ、生き残っている現メンバーたちも、特殊な事情を抱えた問題児だらけだった。
ルール無用に襲いくる怪異に命からがら立ち向かううち、同僚たちとの間にも不思議な絆が芽生えるが、依然として怪異の被害者は指数関数的に増えるばかり。
果たしてネズミたち探偵社の面々は、怪異急増の原因を突き止められるのか――。

何も前情報がない状態で読み始めたのですが何ですかこのスプラッターな物語は…。似鳥さん、たまにものすごくヘビーなものを書くからな…。読んでいて闘っているところはホラーでしたね…スプラッタというか…攻撃が物理的だから恐ろしい…
ただ、ネズミはこういう仕事をしつつも人間の心を持ち続けているというか(笑)いい意味で平凡さも持っていたのでネズミ目線で読んで行ったのは良かったのかもしれません。この仕事をしている人たちは何かしらの理由があって仕事をしていて、それぞれ違うのだけど、それでも全部そうなのか…と納得できることもあって納得できるのか自分、怖いなとも思いました←
同僚たちの距離感もちょうどよかったですね。友達以上恋人未満みたいな^^;
そしてネズミの成長も読んでいて面白かったです。

<KADOKAWA 2023.10>2023.12.23読了

育休刑事(諸事情により育休延長中) 似鳥鶏5



事件現場に赤ちゃん入ります! 新感覚本格ミステリ、続編が登場
捜査一課の巡査部長、事件に遭遇しましたが育休中であります! 男性刑事として初めての長期育児休業を延長中、1歳になる息子の成長で手一杯なのに、今日も事件は待ってくれない!?

前作を私は単行本で読んだので、秋月刑事は可愛らしい感じだったんですけど、文庫になるにあたり表紙のイラストレーターさんが変わったんでしょうか…ちょっとびっくりしました^^;
前作同様育休中にも拘らず現場へ行けと命令される秋月刑事。せっかく蓮くんが寝付いたのに起きちゃったところではあぁ!と声が出てしまいました^^;
奥さんがめちゃくちゃ有能なのは分かるんですけど、秋月刑事も有能なんですよね。そしてお姉さんは一体何者なの…法医学者なのは知ってるけど。この3人の関係性もとても好きです。
1番最後に秋月刑事が育休に入る直前の事件が書かれていましたけど、警察という特に特異な環境というのもありますけど、理解が無さ過ぎて凄く嫌な気持ちになりながら読んでいました。
でも、見ている人は見ているんですよね。秋月刑事を捜査一課から離すのは惜しいと思ってくれる人がたくさんいて良かったです。
今度は時短刑事に名前が変わるのでしょうか(笑)蓮くんの成長も併せて楽しみです。

<KADOKAWA 2023.4>2023.7.30読了

名探偵外来 泌尿器科医の事件簿 似鳥鶏5

名探偵外来 泌尿器科医の事件簿
似鳥 鶏
光文社
2022-12-21


「なんでこんなになるまで来なかったんですか…」泌尿器科医・鮎川のもとには今日も多くの患者が訪れる。中には、羞恥心から嘘をついたり、人に言えない秘密を抱えている人も多く……。泌尿器科ならでは多様な謎に真摯に向き合う鮎川。元ヤンキーの看護師長、忍者のようなソーシャルワーカーなど心強い仲間たちとともに病と事件の早期解決に挑む!

泌尿器科…小さい頃に何度か通院したことがありますけど、確かに思春期以降はちょっと恥ずかしくて行きにくいイメージがあります…。でもそれは危険なんですよね。よく分かりました!←
今回は男の人の診療が多かったですけど、どれもなかなかにヘビーでしたね…。泌尿器科を訪れた患者さんたちの背景にどんな問題があるのかを調べて発覚したまさかの事態…いやそれがまさか過ぎますよね…。最初は羞恥心だけかと思っていた中学生の背後にあったSNSの恐ろしさや教育ママの怖さは本当に怖かった…。あれは虐待だよ…。そして幻肢痛。聞いたことがあります。初めて聞いたのは福知山線の脱線事故で脚を喪った青年のインタビューだったと思います。そんなものがあるのかと驚き、そしてその事件の悲惨さを改めて目の当たりにした記憶があります。どんな場所でも身体に大きな変化があったら生じる場合があるんですね…。
そして最後の事件。これはもう事件ですね。鮎川先生の医師としての姿が本当に素晴らしかったです。そして同僚の皆様も本当に素敵です。大神師長かっこいい!メディカルソーシャルワーカーの忍さん素敵!院長先生もかっこいい!皆さん素敵すぎたので続編を希望します。

<光文社 2022.12>2023.2.8読了

小説の小説 似鳥鶏4

小説の小説
似鳥 鶏
KADOKAWA
2022-09-02


「立体的な藪」……いつものように殺人に出くわしてしまった名探偵。華麗な活躍で事件が解決したはずだったそのとき、思わぬ“伏兵”が推理を始め――!?
「文化が違う」……異世界転生し、チート能力で無双する。誰もが夢見るシチュエーションで、最大の敵は、言葉の“イメージ”だった!!
「無小説」……「小説」とは何か、「書く」とは何か。創作の限界に挑む、禁断の×××小説!
「曰本最後の小説」……新法が成立し、検閲が合法化された「曰本」。表現の自由が脅かされる中、小説家の渦良は、あらゆる手を尽くして作品を書き続ける。

いやー…挑戦的でしたね…。「立体的な薮」は途中で読むのを諦めようかと思いましたよ。っていうかどう読んでいいか分かりませんでしたよ^^;
「無小説」が凄かったですね。よく一つの物語が出来ましたね!たくさん小説を読んでないとできないですよあれは。
メタフィクションは初めて経験しましたが面白く読みました。
でも…しばらくは…いいかなぁ←

<KADOKAWA 2022.9>2022.11.15読了

夏休みの空欄探し 似鳥鶏5

夏休みの空欄探し
似鳥 鶏
ポプラ社
2022-06-22


あの夏、僕は人生と恋の謎にぶち当たった――。 会員が2名しかいないクイズ研究会会長の高校2年生・成田頼伸(ライ)は、クラス内で「じゃない方」と呼ばれている。ライと同じ姓で、野球部サッカー部より人気であるダンス同好会に所属する成田清春(キヨ)がクラスにいるからだ。クラスで「成田君」といえば、キヨのこと。「役立たたない」ことが好きなライと、大学受験に向けて効率重視で「役立つこと」が好きなキヨ。二人は対照的だ。ファミリーレストランで謎解きをしている姉妹に出会い、彼女たちの謎解きを手伝ってあげたライは、「他にも暗号がある。知恵を貸して欲しい」と頼まれる。姉妹と、偶然出会ったキヨの四人で、謎解き手伝うことになり――。 すべての謎が明かされた時、切なさと温かさが胸を満たす、青春恋愛ミステリー。

はー!甘酸っぱいなー!青春だなー!
ライのこじらせ具合が凄まじかったですけど^^;でも気持ちは分かるんですよ…。私もいまだにそうやって人の目を気にしちゃう。そして同じく好奇心が旺盛なのか色々気になるし、知りたいという欲もあります。
言われたことあるんですよ私も「それ、意味あるの?」って。結構ショックだよね…。分かる。分かるよ。でも、今回は大活躍だったね!本当にかっこよかった!
キヨは最初は本当に印象が悪かったけど、ライにちゃんと謝ったし、雨音に振り向いてほしいという想いがあったのもあるけどキヨなりに頑張っていて^^良い奴じゃないか!となりました。
ライが七輝に振り向いてほしくて洋服を買いたいのにお店の中に入れなくてキヨに助けを求めるところとか、逆におすすめの本を教えて!とライにお願いするキヨとか、その感じも青春だなぁとだんだんニヤニヤしながら読んでいました^^
でも、そんな展開だとは思わなかったなぁ…そうか。
それでも、ライと七輝の関係がとても愛おしかったです。可愛かった。
最後が詳細に分からない形で終わったのが良かったです。幸せのまま終わって良かった。良いお話でした。

<ポプラ社 2022.6>2022.7.19読了

卒業したら教室で 似鳥鶏5



伊神さんの卒業から丸一年、市立高校にまた卒業の季節がやってきた。今年は柳瀬さんをはじめ、仲のよかった先輩たちが高校を巣立っていく。そんな、しんみりとしたある日の放課後、秋野麻衣が、おずおずと不思議な出来事を目撃したと相談に来た。鍵のかかった真っ暗なCAI室のパソコンに向かって、誰かが何かをしていたらしい。調査の結果、書道室をはじめ部室棟でも同様に謎の人物の出現と消失の情報が寄せられる。卒業生でもある教師によると、神出鬼没で出現する「兼坂さん」という市立七不思議の一つだと分かるが……。トリックメーカーである著者が贈る、〈市立高校シリーズ〉最新作。

いや本当にこのシリーズ史上1番トリッキーな作品でしたよね(褒めてる)
物語の途中で似鳥さん登場するし!12年後もあるしよくわからん異世界の物語も入っているしmくじを見たら何だこれは…!となります。
このシリーズを読むたびに柳瀬さんの卒業が頭にちらついていましたが、ついに卒業を迎えましたね…。
そして最後の最後にやってきた七不思議の謎。
確かになんだか違和感というか変な感じを節々に感じてはいたのですが、それでも何が変なのか分からず、最後まで読んでそういうことか!と納得ができました。面白かったです。
12年後は葉山君と三野君しか登場しませんでしたが、2人ともパートナーはいるみたいですね。予想がつくようなつかないような焦らされた感じで終わりましたけども。
あとがきを読むとこのシリーズは終わりではないようですが、それでも一区切りついたような感じがします。
むしろこの後にどういう展開で持っていくのかも気になる…。
面白かったです!

<東京創元社 2021.3>2021.11.4読了

推理対戦 似鳥鶏5

推理大戦
似鳥 鶏
講談社
2021-08-25


日本のある富豪が発見したという「聖遺物」。
世界的にも貴重なその「聖遺物」を手に入れるため、世界中のカトリックそして正教会は、威信と誇りをかけ「名探偵」を探し始めた。
いったい、なぜ?
それは、「聖遺物争奪」のために行われる、前代未聞の「推理ゲーム」に勝利するため。
アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジル――。選ばれた強者たちは、全員が全員、論理という武器だけでなく「特殊能力」を所有する超人的な名探偵ばかりだった。つまり、全員が最強。しかし勝者は、たったひとりだけ。
つまり、真の名探偵も、たったひとり――。
世界最強の名探偵は、誰だ?

世界中の名探偵が日本に集まり推理ゲームを行う。
前段として各国の名探偵の能力が分かるお話があって、そのあと本編?でもある名探偵たちが集結して推理ゲームが行われるという流れ。名探偵一人一人の能力が凄すぎて驚き。
推理に関してはよくこんなに思いつくなぁ驚きながら読んで、物語の展開としてはやはり、えぇ!?と驚く展開があり^^;
最終的に名探偵たちが日本を満喫して帰っていったみたいで良かったです(笑)
いつもの似鳥さんによる注釈が今回も面白かったです。多分いろんな名探偵に関するネタがちりばめられていたんだろうなぁ。私は全然わかっていなかったけど。1番笑ったのは椎堂さんに向かって高崎さんが「せやかて工藤」って言ったところでした^m^このネタは分かる。
今回の名探偵の推理ゲームの舞台は北海道でしたが、似鳥作品って結構北海道が舞台だったり北海道ネタが出てきたりするんですよね。何でだろうと思って調べてみたら一時期北海道に住まれていたみたいで。道産子としては嬉しい限りです。北海道あるあるが分かるものがあって嬉しいです。キツネはエキノコックスが心配だから見つけても触らないとか^m^
またこちらも毎回恒例のあとがきもぶっ飛んでいて面白かったです。似鳥さん最高です。
似鳥さんの描くミステリを堪能しました。

<講談社 2021.8>2021.9.18読了

生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班 似鳥鶏5

生まれつきの花: 警視庁 花人犯罪対策班
鶏, 似鳥
河出書房新社
2020-09-14


特殊能力を有し、知力・体力も常人以上、さらに性格も温厚で、犯罪など起こさないはずの「花人」による日本初の殺人事件が発生。警視庁捜査一課の火口竜牙は、花人警察官・水科此葉とともに捜査を開始、ほどなく事件は解決する。しかしその矢先、第2、第3の犯行が―急展開する本格ミステリ!

実在しない「花人」という人物が事件のカギを握ります。
日本人のうち2%だけ存在する花人、ほとんどの人が容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能で性格も穏やかで、年収も常人に比べると高めという妬み嫉みを受けそうな人々。
日本はマイノリティー側として生きるには辛い国ですからね…。実際にこういうことがあったらこの物語のような展開になることもあり得るだろうなーと思いました。似鳥さんは本当にこういう世界観を作られるのが上手いなと思います。
読んでいて嫌な気分にしかならなかったですよねー。偉そうに話すコメンテーターが腹が立って腹が立って^^;
事件は一体どのようになっていくのかと思いましたけど、予想だにしない展開になって驚きました。警察の闇を見た気がしましたよ←
火口が正義感が強くてかっこよかったですね。「全部失うつもりか?」という問いに対して「最悪でも「今の仕事を辞める」だけです」って言葉にしびれました。
水科さんも博識で明るくて素敵でした。でも、その明るさには今まで生きにくかったからこその処世術のようなものだったんですね。
2人の未来が明るいものになりますように。

<河出書房新社 2020.9>2020.10.14読了

難事件カフェ2 焙煎推理 似鳥鶏5



隠れ家的喫茶店プリエールに県警秘書室の直ちゃんが持ち込んだのは、企業の御曹司が殺害された事件。事件発生時に一緒に別荘にいた友人三人の犯行は否定され、外部犯の可能性も否定されてしまう。犯人がいない(!?)殺人事件を、店主の季と、元警官でパティシエ役の弟・智はどう解くか?(「第1話」)スイーツが彩る奇妙な三つの事件を、名探偵の兄弟が華麗に解決に導く。

タイトルを見て、以前似たような感じのお話が出てたよねーと思ったらやっぱり7年前に刊行された「パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から」の改題でした。で、こちらが第2弾。
どうしてタイトル変えちゃったの…表紙の絵も前の方が季や智の繊細さがよく出ている気がして好きだったんですけど…。葉山くんシリーズの絵が変わったこともいまだに納得がいっていないのですが(それは今回とは関係ない)
ということで前回が7年前ということで記憶がぼんやりだったのですが、読んでいくうちに思い出してきました。元キャリアの弟智を再び警察に呼び戻そうと奮闘する直ちゃんとその上司(出てこないけど)が未解決の事件についてを相談しにやってきます。
今回の事件は3つ、と+αみたいな感じかなー。幕間のように登場する女性はどういう意味があるんだろうと思いましたけど、その正体はまさかまさかでした。怖っ。
最初の御曹司が殺された事件に関しては容疑者に同情してしまうなー…遊ばれるだけ遊ばれて苛め抜かれて、人生がめちゃくちゃになったのに、数年前の事なのにいじめた方は全く覚えていないなんて。こういう人達はホント、上に立ってほしくないですね。政治家としても医師としてもなんにしても。
2つ目の事件に関しては被害者に同情してしまいましたねー。被害者の母親の無駄に執拗に謝る姿勢が最初からいけ好かなかったですし←でも被害者の女性は自分を持っていないわけではなかったんですよね。事件をきっかけに独り立ちしてちょっと明るくなったような気がして素敵でした。ただ、智の事が気になっているようですけど当人は全く気付いていないのが残念でしたねー。
最後の事件はおぞましすぎますね。季と智と直ちゃんが遭遇した事件ではないほうですもちろん。子供だから騙せると思ったんでしょうか。最低ですね。でも、その子どもが勇気を出した結果全ての事件が解決したんですから良かった。この少年真広君は直ちゃんの事が気になっているようですがなかなか難しそうですよ。でも頑張ってね←
そして、前回は分からなかった智が警察を辞めた理由が明らかになりましたね。繊細だからじゃなったのか…でもそれも一因としてあるのかな…。兄弟2人で喫茶店を続けていってほしいなと思います。まだまだ続きが読みたいです。

<光文社 2020.5>2020.9.1読了

七丁目まで空が象色 似鳥鶏5

七丁目まで空が象色 (文春文庫)
鶏, 似鳥
文藝春秋
2020-01-04


マレーバク舎を新設する事となり、飼育方法などを学ぶ為に、山西市動物園へ「研修」に来た桃本ら楓ヶ丘動物園のメンバーたち。そこでは、桃本の従弟である誠一郎が働いていて、邂逅を喜ぶ二人だったが、園内ではある異変が―。なんと飼育している象が脱走してしまったのだ。象はどうして逃げたのか?待望のシリーズ第5弾!!

ただの飼育員なのに、桃本君始め皆さんはよく事件に巻き込まれますね…。でも皆さん色々特殊能力をお持ちだから見事に解決するんだから凄い。
今回は象の脱走。桃本君の従兄弟も奮闘します。
象の脱走から国を跨いだ問題に発展するとは思いませんでした…更に人間も絡んだ事件まで。
このシリーズは動物が絡んでいるのに、いや絡んでいるからか?結構ヘビーな内容が多いんですけど、今回もヘビーではあったけど今までのよりはまだ大丈夫だったかなと思います^^;
精神的にけっこうずっしり来るんですよね…。面白いんですけど。
桃本君も服部君も七森さんも鴇先生も大好きなので、動物が人間に利用されるの図は嫌ですけどこのシリーズは続いていってほしいなと思います。
そしてやっぱりあとがきが最高ですね^m^

<文藝春秋 2020.1>2020.6.19読了

目を見て話せない 似鳥鶏5

目を見て話せない
似鳥 鶏
KADOKAWA
2019-10-31


千葉の房総大学の新入生・藤村京は入学早々、友達づくりに乗り遅れ、愕然としていた。自らの“コミュ障”ぶりを嘆いていると、教室に高級な傘の忘れ物を発見する。他人と会話をするのが苦手な藤村は、推理だけで傘の持ち主を特定しようとするが!?セレクトショップの試着室から消える女子大生の謎、カラオケルームで起きた泥酔事件の真実…大学内外で起きる事件をひとつずつ解決していくにつれ、藤村の周りは少しずつ賑やかになっていって―。

入学早々のガイダンスの時に高級な傘の忘れ物の持ち主を見つけたことで加越さんというお友だちが出来た藤村。小学校の同級生である里中と、加越さんと同様に最前列で授業を聞いている皆木さんとも仲良くなっていきます。
何となく大学生活を過ごしていく中で巻き込まれていく藤村。人と話をするのは苦手だけど、持ち前の推理力で事件(?)を解決していきます。1話から4話までは大学生活の中でありそうなものだったけど(いや、お祭りでお財布をすられるというのはないか?)最後の話は腸が煮えくり返るようでした。パソコンが無くなり勝手に犯人を仕立て上げたこともそうだけど、更なる事件を巻き起こした犯人は本当に許せません。自分の地位を利用してセクハラにパワハラ。そして大学生には大切な内定をちらつかせるなんて最低です。同じゼミの人たちも藤村が言うように大っ嫌いです。人の事を平気でバカにしてあざ笑うような人と一緒にいたいなんて思えません。加越さんの行動はなかなか大胆だけど素直でかっこいい。でも、ちょっと生きにくそうな気がします。それは4人全員がそうかもしれないけど…。
小学生の時の失敗からコミュ障になってしまった藤村だけど、大学ではいい友達に巡り合えたんじゃないかな。ちゃんと靴紐がほどけて結んでいる時にいないと気付いて声をかけてくれる人がいるなんて、とても素敵なことだと思います。

<KADOKAWA 2019.10>2019.11.21読了

育休刑事 似鳥鶏5

育休刑事
似鳥 鶏
幻冬舎
2019-05-23


県警本部捜査一課・秋月春風(あきづきはると)巡査部長。生後三ヶ月になる可愛い息子・蓮(れん)くんのため、刑事としては初めての“育休"に挑戦中——。
七キロの蓮くんと大きい赤ちゃん用バッグを抱え外出するのに慣れた頃、ひょんなことから質屋強盗殺人事件の人質になってしまう。だが蓮くんのウンチやミルクの時間は事件とお構いなしにやってきて。果たして無事に生還できるのか?! (「人質は寝返りをする」)
六ヶ月になった蓮くんを連れて実家からの帰り道、春風は高速道路で特徴的なラッピングカーを目にする。その模様は乗車に疲れぐずる蓮くんをひと時ご機嫌にしてくれたが、知らず知らずのうちに犯罪のアリバイ作りに協力してしまうことに。(「瞬間移動のはずがない」)
県警本部庁舎に不審物が届けられた。それは最近刑務所から出所したある人物からの、復讐予告。春風はある晴れた休日の昼下がり、家族連れで賑わうショッピングモールに出かけた。姉に蓮くんをあずけ、久しぶりにデート気分を味わうはずだったが。(「お外に出たらご挨拶」)
母性神話、育児放棄、DV、親権争い、乳幼児突然死症候群……現代社会の育児における様々な歪みや問題点を、軽やかかつ徹底的にミステリとして描ききった著者渾身の代表作。

育児と刑事、相反する言葉だな…と思いましたが、やはり刑事初!ということになっているみたいですね。
育児の大変さやパパ目線がとてもリアルだなと思い、似鳥さんが経験したことなんじゃないかなと思ったらやっぱりそうだったみたいですね。とてもリアルに伝わってきました。これが日本の現状なんですよね…悲しいことに。
ミステリ部分に関しては鈍すぎる私でも読めてしまうところもありました。最初の事件の事とか、奥さんの沙樹さんのこととか。でも、瞬間移動のトリックはなるほど!と思い面白かったです。
そしていつもの通りの注釈とあとがきが面白かったです。
できれば2人の馴れ初めとかも詳しく読みたかったなー。
あと破天荒なお姉さん最高です^^

<幻冬舎 2019.5>2019.7.22読了

そこにいるのに 似鳥鶏

そこにいるのに
似鳥 鶏
河出書房新社
2018-11-26


曲がってはいけないY字路、見てはいけないURL、剥がしてはいけないシール……読み進めるほど後悔する、13の恐怖と怪異の物語。

似鳥さん初のホラー作品。ホラーは読みたくない人なんですけど、似鳥さんの作品だから読みました。
ひー…怖い作品は本当に怖かったですー。
その中でもほっとする作品もあってそれが印象的でした。特に「帰り道の子供」ですね。立ち食い蕎麦屋で働く「私」は遅番の時に小学生くらいの女の子を目撃するようになる。その女の子が突然「七人目だよ」と話しかけてくる。「七人目」の意味は?そして自分が「八人目」になってしまうのか。思い悩み仕事にも影響が出るようになっていきますがその答えは悪いものではありませんでした。毎日頑張って働いている人に希望や勇気を与えてくれるような作品でした。
後は最後の「視えないのにそこにいる」10年前に離婚し、離れ離れになった父親が7年前から行方不明になり「死亡」とされた。それを機に父が住んでいたアパートへ行った兄弟。そこで父が行方不明になる直前に追っていた事件を知ります。行くな!行くなー!と思いながら読んでいましたが、最終的に2人は父親が助けてくれたのだと思います。父親が最期に願ったことがとりあえずここで絶たれなくて良かった…。この作品が最後で良かったです。

<河出書房新社 2018.11>H30.12.15読了

叙述トリック短編集 似鳥鶏5

叙述トリック短編集叙述トリック短編集
著者:似鳥 鶏
講談社(2018-09-20)
販売元:Amazon.co.jp

*注意! この短編集はすべての短編に叙述トリックが含まれています。騙されないよう、気をつけてお読みください。
本格ミステリ界の旗手が仕掛ける前代未聞の読者への挑戦状!
よく「叙述トリックはアンフェアだ」と言われてしまいます。これが叙述トリックというものの泣きどころです。
では、アンフェアにならずに叙述トリックを書く方法はないのでしょうか?
答えはノーです。最初に「この短編集はすべての話に叙述トリックが入っています」と断る。そうすれば皆、注意して読みますし、後出しではなくなります。
問題は「それで本当に読者を騙せるのか?」という点です。最初に「叙述トリックが入っています」と断ってしまったら、それ自体がすでに大胆なネタバレであり、読者は簡単に真相を見抜いてしまうのではないでしょうか?
そこに挑戦したのが本書です。果たして、この挑戦は無謀なのでしょうか? そうでもないのでしょうか?その答えは、皆様が本書の事件を解き明かせるかどうか、で決まります。

読みました!面白かったです!
叙述トリックという言葉は初めて聞きましたが、こういう内容のミステリですね。はいはい分かります←
倉知淳さんとかこういう作品多い気がするなぁ。
でも、今回似鳥さんはあらかじめ注意書きしてますからね。こういうトリックが出てきますよーとお知らせしていて、色々ヒントも出しています。
私は冒頭に書かれていたことをスッカリ忘れていて、あぁ!そういえば!とあとがきを読んで気づいたりしました^^;
どの作品も面白かったです。そして相変わらずの注釈も面白かったです^^
この作品に登場する別紙さんが面白かったですね。雰囲気が猫丸先輩みたい。
特に好きだったのは「背中合わせの恋人」かな。もうずっともどかしく読んでいたのですが、最後は騙されました。でもふんわりとした可愛い終わり方で良かったです。
またこういう作品を読みたいです。

<講談社 2018.9>H30.10.26読了

名探偵誕生 似鳥鶏5

名探偵誕生名探偵誕生
著者:似鳥 鶏
実業之日本社(2018-06-01)
販売元:Amazon.co.jp

「神様。どうか彼女に幸福を」
――王道かつ斬新。似鳥鶏が放つ直球の青春ミステリー!
となり町の幽霊団地に謎の「シンカイ」を見に行く――
小学4年だった僕は、学校の友だちとささやかな冒険に出た。
その冒険に不穏が影が差したとき助けてくれたのが、名探偵の「お姉ちゃん」だった。
彼女のとなりで成長していく日々のなかで、日本中を騒がせることになるあの事件が起きる――。
ミステリとしての読み応えと、青春小説としての瑞々しさが高純度で美しく結晶した傑作。著者ならではの軽快な筆致で読みだしたら止まらない、老若男女すべての方におすすめしたい作品です。
「名探偵の初恋と青春。だけど、誰もがちょっとなつかしい、『あの頃の僕』のお話しです」――似鳥 鶏
第一話 となり町は別の国
第二話 恋するドトール
第三話 海王星を割る
第四話 愛していると言えるのか
第五話 初恋の終わる日

装丁の男の子がイケメン!とまずそこが気になったこの作品←
主人公はこの装丁の男の子、星川瑞人。名探偵の「お姉ちゃん」は近所に住む7歳年上の女の子、波多野千歳。この物語はほぼ探偵役は千歳の方です。
第一話では小学校4年生と高校2年生だった2人が、話が進むごとに4つずつ歳を重ねていくという流れも新鮮でした。
そしてその過程には意味があり、瑞人と千歳が事件にかかわっていくことで、瑞人は千歳から探偵としてのポイントを学んでいきます。
千歳という女性がとても魅力的。聡明で美人で強い。こんな存在が身近にいたら、そりゃぁ同級生の女の子なんて眼中にないですよね、みーくん。でもたぶん、自分が千歳しか見ていないから気づいていないだけで結構モテる子なんじゃないかなと勝手に思っていたのですが…。どうなんでしょう。
年齢を重ねても千歳への想いは変わらず、それが健気で可愛かったけど、2人の関係はきっと変わらないんだろうなと思ったら切なくて。
第4話と第5話は4日しか経過していません。最後の最後でこの小説のタイトルの意味が分かって更に切なくなりました。まさに「名探偵誕生」でした。

<実業之日本社 2018.6>H30.8.13読了

破壊者の翼 戦力外捜査官 似鳥鶏4

破壊者の翼 戦力外捜査官破壊者の翼 戦力外捜査官
著者:似鳥鶏
河出書房新社(2017-11-24)
販売元:Amazon.co.jp

海月&設楽の捜査一課凸凹コンビの前に、最凶の敵〈鷹の王〉降臨! ボウガンで無差別に襲撃し、ビルなどに放火する殺人ドローンを従えて、さらに大きな企みで首都・東京に襲いかかる!

このシリーズも第5弾まで出たんですねぇ。このシリーズは毎回スケールが大きくて東京全体とか日本とかそういう規模になるので一体どうなってしまうんだろうとドキドキします。あとは設楽刑事がどれだけ怪我をしてしまうのかにもいつもドキドキしますね。
今回の装丁では怪我をしていないなと思ったけど、左腕が見えないな…まさか左腕無くなっちゃうとかそんな怪我はないよね…とかすんごい恐ろしいことまで考えましたけどそこまではいきませんでしたね^^;私の予想はあながち間違ってはいませんでしたけど…。
今回は東京全体が巻き込まれる大きな事件。東京中に飛び回るドローンによって東京都民は徐々に追い詰められていきます。大きな被害が出なくて良かったです。
それにしても私は文系人間なのでこの容疑者が行ったことはどこまで可能なんですかね…。容疑者がここまでドローンを器用に操って東京全体を恐怖に落とし込むとは…と思いましたが結末がまたスッキリしないというかなんというか…。高遠遙一みたいな人物がいるってことですよね←怖い怖い。
犯人の動機はかなり根深いものでしたね…。当時ニュースを見ていて最初の大きな被害もそうだけど非難したことによる二次被害(と言って良いのでしょうか)については見ていてこちらもショックを受けました。生活の場を奪われた人にどうしてこんなことが言えるんだろうと本当にショックで。当事者じゃない私がショックを受けるのも失礼というか申し訳ない気がしますが。その時の気持ちを思い出しました。
シリーズも何だかまだ続きそうです。
それでも最後の伊藤巡査のまっすぐさに救われた気がしました。

<河出書房新社 2017.11>H30.1.14読了

モモンガの件はおまかせを 似鳥鶏5

モモンガの件はおまかせを (文春文庫)モモンガの件はおまかせを (文春文庫)
著者:似鳥 鶏
文藝春秋(2017-05-10)
販売元:Amazon.co.jp

お馴染みの楓ヶ丘動物園の飼育員たち――大型哺乳類担当の僕(桃本)、げっ歯類担当の七森さん、ツンデレ獣医の鴇先生、そしてカルト的人気、爬虫類担当の変態・服部くん――が、動物たちにまつわる謎を解き明かす、人気ミステリーシリーズ最新刊!
楓ヶ丘動物園飼育員たちが休日にバーベキュー、僕と服部くんは買出しに出かける。犬の散歩をしている男に道を訪ねたのだが、連れていた柴犬の様子に僕は不審を抱く。
(「いつもと違うお散歩コース」)
七森さんに憧れるボランティア少年長谷井翼君の友人・今成君の家猫スコティッシュフォールドのトビーが男に連れ去られたという。トビーは夜帰ってきたのだが、オートロックで密室の家に、男はどうやって侵入し、トビーを連れ出したのか?(「密室のニャー」)
楓ヶ丘動物園飼育員メンバーの面々が、警察署から連れ立っての帰り道、僕の頭部にフクロモモンガが飛来してきた。どうも古いアパートの二階から逃げたらしいのだが、部屋の様子がおかしい。ドアを開けたところ、そこには部分的にミイラ化した死体が……。ケージもあり、ここで飼われていたことは間違いないのだが、いったい誰が何の目的で死体のある部屋でモモンガ(モモモ氏)の世話をしていたのか?(「証人ただいま滑空中」)
体長は最低でも1メートル、体重も最低50キロという謎の大型生物が山の集落に出現。その「怪物」を閉じ込めたと聞いて向かった廃屋はもぬけのからだった。「怪物」はどうやって抜け出したのか?考え込んでいた鴇先生の顔が蒼ざめる……。(「愛玩怪物」)

シリーズ第4弾です。
今回は短編集なのですが、どの作品もなかなかヘビーですね…。
このシリーズは舞台が動物園なのにどの作品も結構内容が濃くて読み始める時はちょっと気合を入れないといけないような内容です^^;
でもそれは実際に動物園で起きている事だったり現代の日本で起きている事だったりするんですよね。私は動物を飼っていないですし飼おうとも思っていないので、この作品を読んで知ったことがたくさんありました。
ペットショップの現状も本当だったら怖いし、外来種の動物を飼えないからと平気で捨てたりする人がたくさんいるんだとしたら怖いし、でもそれは現実問題なんですよね。
そして最後の愛玩怪物…こちらも人間のやっていることは問題ですがそれよか密室殺人のトリックの真相←が怖すぎました…。ある意味ミステリというよりホラー…
桃くんって女性に対するあの優しさは何も考えないでやってるんですかね?言ってるんですかね?だとしたら相当罪な男ですね←

<文芸春秋 2017.5>H29.12.11読了

100億人のヨリコさん 似鳥鶏5

100億人のヨリコさん100億人のヨリコさん
著者:似鳥 鶏
光文社(2017-08-17)
販売元:Amazon.co.jp

極貧学生寮の寮生たちが世界破滅の危機に挑む!…嘘みたいですが、ホントにそういうお話です。某大学キャンパスの奥の奥、深く大きな池と農学部演習林に挟まれた未開のエリアにあると噂される「富穰寮」。個性的すぎる学生その他(?)が住むという。緑色のキノコや医療用のアルコールをはじめ、奇妙な食材を取りそろえ、夜な夜な宴会が開かれているという。血まみれの女性が天井や窓の外に出現するという。その女性の名は、ヨリコさんだという。…あくまで噂。しかして、その実態は!?エンタメ史上に残る凶悪ヒロイン、大量出現!?圧倒的な熱量で奇想が暴走する、傑作パニックサスペンス!

似鳥さんの新刊だ!ということで内容を知らずに読んだのですが…いやー凄い。
何が凄いって色々凄い(語彙力)
まずタイトルがどういうことだろうと思いますが読んでいくうちにタイトル通りだということが分かっていきます…。実際にこんな現象になったら本当に大変だ!
ヨリコさんに関することもそうなのですがとにかく主人公の小磯君がお金がないために移り住んだ富穰寮もとにかく興味深い。住んでいる人たちは時代錯誤な上に自分の所属する学部で研究しているもの以外のことに熱心でまたお金がない人がほとんどのため食べ物が自給自足…のような違うような。
お腹弱い芸人の私は1日で病院送りにされそう…。
そしてなぜかシングルマザーとその子供まで住んでいるという…。この親子、とても勇ましくて生命力が強くて好きでした。母親の奈緒さんは聞くのが怖いくらいに謎の知識をたくさん持っているし、ひかりちゃんも小学4年生とは思えないほどしっかりしていて、読んでいて何だか頼もしさを感じました。
内容はなかなかホラーでパニックものなんですけど不思議と怖さは感じなかったんですよね、なんでだろう。
そして地味に地元の話題が割と豊富に登場したのが嬉しかったです。似鳥さんは北海道にゆかりのある方なんでしょうか…と全然関係ないところが気になりました。
富穰寮のみなさんが個性的で本当に面白かったです。またどこかで会えると良いな。

<光文社 2017.8>H29.9.12読了

彼女の色に届くまで 似鳥鶏5

彼女の色に届くまで彼女の色に届くまで
著者:似鳥 鶏
KADOKAWA(2017-03-29)
販売元:Amazon.co.jp

画廊の息子で幼い頃から画家を目指している緑川礼(僕)は、期待外れな高校生活を送っていた。友人は筋肉マニアの変わり者一人。美術展の公募にも落選続きで、画家としての一歩も踏み出せず、冴えない毎日だった。だが高校生活も半ばを過ぎた頃、僕は学校の絵画損壊事件の犯人にされそうになる。その窮地を救ってくれたのは、無口で謎めいた同学年の美少女、千坂桜だった。千坂は有名絵画をヒントに事件の真相を解き明かし、それから僕の日々は一変する。僕は高校・芸大・社会人と、天才的な美術センスを持つ千坂と共に、絵画にまつわる事件に巻き込まれていくことになり…。二人のもどかしい関係の行方は―?見ていた世界が鮮やかに裏切られる、仕掛けと驚きに満ちたミステリー!

気になっていた作品、ようやく読めました。
似鳥さんらしい、ちょっと変わった子たちが青春してましたね←ざっくり
章を追うごとに主人公たちは成長していき、高校生から最後は社会人へと移り変わっていくのですが、その間に何度か主人公たちは事件に巻き込まれます。
どれも絵画にまつわる事件で、いつも千坂桜がひらめき、礼が千坂の想いを言葉にしていきます。
どの事件もなるほどと思うのですが、読んでいくうちに更なる真実をも知ることになります。いやー面白かったです。
そして冒頭を読んで最後は悲しい感じになるのかと思ったら、優しくて可愛くて青春っていう感じ←こういうラストが良いなぁ。
主人公の礼も少し変わった男の子でしたが、なぜか高校時代からまとわりつく風戸も千坂ももちろん風変り。それでもみんな優しくて相手の事を思い合っているのも分かって、3人は良い関係を築いていましたね。羨ましい。
千坂は不思議な女の子なのかと思ったら、いや、実際そうなんですけど胸に秘めている想いが大きくてそしてそれが悲しくて切なくて、そんな大きなことを抱えていたのかと驚きました。
それでも礼はちゃんとそんな千坂を受け入れていましたね。それが可愛かった。
素敵な作品でした。絵ももうちょっと勉強しよう。「光の帝国」しか知らなかった。そしてそれも同名小説を読んでいたから知っていたという事実…

<角川書店 2017.3>H29.6.2読了

シャーロック・ホームズの十字架 似鳥鶏4

シャーロック・ホームズの十字架 (講談社タイガ)シャーロック・ホームズの十字架 (講談社タイガ)
著者:似鳥 鶏
講談社(2016-11-17)
販売元:Amazon.co.jp

名探偵の遺伝子を守るため、兄妹は不可能犯罪に挑む!
世界経済の鍵を握るホームズ遺伝子群。在野に潜む遺伝子保有者を選別・拉致するため、不可能犯罪を創作する国際組織――「機関<シンクタンク>」。保有者である妹・七海と、天野直人は彼らが仕掛けた謎と対峙する!
強酸性の湖に立てられた十字架の謎。密室灯台の中で転落死した男。五百メートルの距離を一瞬でゼロにしたのは、犯人か被害者か……。
本格ミステリの旗手が挑む、クイーン問題&驚天動地のトリック!

「シャーロック・ホームズの不均衡」の続編です。
最初の事件で天野兄弟が出てこないからあれ?と思ったのですが、話が進んでいくとなるほどと思いました。七海と同じ境遇のこの話だったんですね。
それから目線は直人に変わります。
今作は前作からあまり時間は経っておらず、直人が今の自分の仕事に就いて色々苦悩している姿がうかがえます。
七海への負担、自分の役割。
でも、みんなちゃんと直人の事を見ていて心配していて。
あんまり一人で考えすぎるなーってはっぱをかけたい感じです。
それでも現実は辛いものですけど…。
これからも直人と七海の成長していく姿を見ていきたいと思います。

<講談社 2016.11>H29.2.3読了

一〇一教室 似鳥鶏4

一○一教室一○一教室
著者:似鳥 鶏
河出書房新社(2016-10-27)
販売元:Amazon.co.jp

カリスマ教育者・松田美昭がつくった全寮制一貫校・私立恭心学園。高い進学実績を誇り、ひきこもりや反抗まで“治る”と話題の学校で、一人の高校生が心臓麻痺で死んだ。健康だったはずの彼がなぜ…?一度も開けられない棺、異様に礼儀正しい生徒たち―。有刺鉄線の生えた、高い壁に囲まれたこの学園で、一体何が起きているのか?青春ミステリで人気の著者が満を持して放つ、爽やかさゼロのダークミステリ!!

いやー恐ろしかったですね。
恭心学園で学ぶ小川や唯香がどうなるのかドキドキして読んでいました。
教育ではないですね。訓練ですよ。縛られて支配されて暴力を受けて。読んでいて本当に腹が立ちました。ただの体罰でした。ここの高校を卒業した人たちはどんな大人になっていったんでしょうね…。悲しい。
ここまでくると宗教ですよね。学校側も親も悪魔にしか思えませんでした。
小川は本当に強い人でしたね。唯香もおじいちゃんがいてよかった。
拓也と沙雪のコンビも良かったですね。コンビというか沙雪が一方的でしたけど。
金尾先生の存在も大きかったです。あんな隔離された空間で、少しでも救いの手がないと本当に人として壊れちゃいますもんね…。
沙雪は裏切ることもあるかもしれないと言いましたけど、金尾先生は最後まで闘っていてかっこよかったです。
本編とは別に松田のインタビューが入っているのですが、そのカラクリが分かった時、何だかなぁと物悲しくなりました。でもきっとそうなるんだろうなと思って…。
それでも変な教育や信仰が少しでもなくなればいいなぁ。今もきっとあるだろうから。
最後が好きです。6年くらいかな、経過して、どっちと結婚したのかなーなんて思いながら読み終えました。

<河出書房新社 2016.10>H28.12.24読了

家庭用事件 似鳥鶏5

家庭用事件 (創元推理文庫)家庭用事件 (創元推理文庫)
著者:似鳥 鶏
東京創元社(2016-04-28)
販売元:Amazon.co.jp

市立高校に入学したばかりの頃は、こんなにも不可思議な事件に巻き込まれて、波瀾万丈な学園生活を送るとは、僕は想像だにしていなかった――。『理由あって冬に出る』の出来事以前に映画研究会とパソコン研究会との間に起こった、柳瀬さん取り合い騒動を描く「不正指令電磁的なんとか」。葉山君の自宅マンションで起こった怪事件「家庭用事件」。葉山君の妹・亜理紗の学校の友人が遭遇したひったくりから、葉山家の秘密が垣間見られる「優しくないし健気でもない」など、5つの謎を描いたシリーズ第2短編集。

このシリーズ、市立高校シリーズっていうんですねー。勝手に葉山君シリーズって呼んでましたけど^^;そしてもう7弾ですか。っていうか表紙の絵がイマドキっぽくなっていて何だか嫌です←前のでいいじゃんかー。その絵のせいでこのシリーズだって気づくのが遅れましたよ。ということで感想をば。
「不正司令電磁的なんとか」柳瀬先輩の取り合い(笑)で契約書が作られて契約成立かと思いきや騒動に発展。だったのですが、これ、実際にも実行できるんですよね?そう考えたらちょっと怖いかも…。
「的を外れる矢のごとく」とあるものが盗まれるのですがどうしてなのかなーと読みながらずっと考えていたんですが悪意のある理由じゃなくて良かったです。それにしてもあれが出来ないのは大変ですよねぇ。
「家庭用事件」葉山君の家のブレーカーが突然落ちた事件←どうしてブレーカーが落ちたのか。大した内容じゃないかもと思ったのですが真相がまさかまさかでビックリでした。一歩間違えば本当に大きな重大な犯罪になるところでしたよ。伊神先輩流石です。
「お届け先には不思議を添えて」出来事の内容からどう発展していくんだろうと悪いほうへ悪いほうへ考えていたのですが、そうでもなくて良かったです。若気の至りですね。でも犯人は予想外過ぎました。
「優しくないし健気でもない」葉山家の秘密が垣間見えるってなんだろうと思ったら本当にびっくりな内容でした。ひったくりの犯人と動機はなんとなく予想がついたんですけど、その裏に隠された壮大な秘密には気付きませんでしたねぇ。
犯人の思惑はひどすぎる物でしたけど、でも少なからず偏見の目はみんな持っているような気がします。犯人のように彼女はきっとこういう人って思ってしまうのはあると思います。テレビの影響もありますけど。私は自分が相手に何をしたら正しくて何をしたら間違っているのか分かりません。正解はきっとないのだと思うけど…。某あの人のお陰で私は自分が知らなかった世界を知ることが出来ました。でもこのお話を読んで、改めてまだまだ知らないことがたくさんあるなぁと思うことも読んでいて感じました。色々考えさせられました。
ネタバレしないで書くと意味が分からないな^^;

<東京創元社 2016.4>H28.11.2読了

シャーロック・ホームズの不均衡 似鳥鶏4

シャーロック・ホームズの不均衡 (講談社タイガ)シャーロック・ホームズの不均衡 (講談社タイガ)
著者:似鳥 鶏
講談社(2015-11-19)
販売元:Amazon.co.jp

妹を守るため、僕は探偵になった。
両親を殺人事件で亡くした天野直人・七海の兄妹は、養父なる人物に呼ばれ、長野山中のペンションを訪れた。待ち受けていたのは絞殺事件と、関係者全員にアリバイが成立する不可能状況!
推理の果てに真実を手にした二人に、諜報機関が迫る。名探偵の遺伝子群を持つ者は、その推理力・問題解決能力から、世界経済の鍵を握る存在として、国際的な争奪戦が行われていたのだ……!

東京遠征の際に読んだ本2冊目です。
こちらも面白くてあっという間に読んでしまいました。
殺人事件で両親を失った直人と七海。児童養護施設で生活をしていた2人が直人が高校3年生となり施設を出なければならなくなった。妹と離れ離れになるのか悩んでいた時に2人を引き取ってくれるという人物が現れた。しかしその人物を待っている時に殺人事件が起きる。
その事がきっかけで2人の運命は大きく変わります。
展開が早くてあっという間に読んでしまいました。
2人の運命が過酷で切なすぎます。
それでも妹は自分を必要としてくれる状況を受け入れ、兄を守ろうとしていて、本の中に出てくるように直人が七海を守ろうとしているよりももっと強く、七海は直人を守ろうとしていたのかなと思います。
最後の事件で直人の身に起きたこと、あれからもう一線を越えてしまって、もう逃げられなくなりましたね…。
幸村さんの存在が大きかったです。優しくてかっこいい。素敵な女性でした。
直人と七海の人生はこれからです。2人の未来がどうなるのか気になります。
続編も出てほしいなと思います。
それにしても講談社から出してるのに講談社を敵に回すような展開もあって面白かったです。出版元だから書けたんですかね^^

<講談社 2015.9>H28.5.5読了

レジまでの推理 本屋さんの名探偵 似鳥鶏5

レジまでの推理 本屋さんの名探偵レジまでの推理 本屋さんの名探偵
著者:似鳥 鶏
光文社(2016-01-19)
販売元:Amazon.co.jp

荷ほどき、付録組み、棚作り、ポップ描きにもちろんレジ。お客さまの目当ての本を探したら、返本作業に会計、バイトのシフト。万引き犯に目を光らせて、近刊のゲラを読んで、サイン会の手配をして…、書店員って、いったいいつ寝るの?力仕事でアイディア仕事で客商売。書店員は日夜てんてこ舞い。しかも、彼らは探偵という特殊業務まで楽しげにこなしてしまうのです。渇いた現代社会の知のオアシス、本屋さんにようこそ!

タイトルから惹かれました。「本屋さんのアンソロジー」で1作目を読んでいたのですが、こうやって短編集となって1冊になって、嬉しいです。
『7冊で海を越えられる』
こちらはその本屋さんのアンソロジーで既読でした。
内容も素敵ですよね。海外に行くことが決まった男性に対する彼女から送られてきた7冊の本。全くトリックには気付きませんでしたが^^;可愛らしいラストで良かったです。
彼女の正体にもびっくりでした。
『全てはエアコンのために』
本屋さんの中のエアコンが壊れたために男性が友人に盗まれたという本をどうやって持ち去ったのか推理することになる。
本屋さんならではのトリックでしたねぇ。
『通常業務探偵団』
蓮見喬のサイン会が行われ、無事に終了したが、その本のポスターにもサインを書いて飾っていたが何者かに落書きをされ、なぜかテディベアが吊るされていた。
怪しい人を目撃したがその時に落書きはまだなかったというところでどうやったんだろうと思いましたが、なるほどと思いました。
犯人の動機は本当に自分勝手としか言いようがないなぁ。
『本屋さんよ、永遠に』
青井の勤める本屋の業績が悪化し、更に雑誌に怪文書が挟まれる事件が何度もあり、店長は追い詰められているようなった。
途中からあれ?あれ?と思っていたのですが、そういう事だったんですね。またしても気づきませんでした^^;
本屋さんは本当に大変だなぁと思わされた回でした。あの万引きの親子は本当に酷い。でも、実際にこういう人たちいるんでしょうね。払えばいいんでしょ?みたいな。
平台に乗っている本の上にかばんを置く人の神経も私は分からないんですけど…
何だかとても悲しくなりました・・・
店長の行動は決して許されることじゃないですよね。追い詰められていたのかなとは思いますが・・・
青井や一ノ瀬さんの言葉が染み入りました。
そして同時に、胸が痛くもなりました。
私は本は買う派ではなく借りる派なので…
でも、好きな作家さんの作品は出来るだけ貢献したいなとも思っています。

<光文社 2016.1>H28.4.15読了

青藍病治療マニュアル 似鳥鶏5

青藍病治療マニュアル青藍病治療マニュアル
著者:似鳥 鶏
KADOKAWA/角川書店(2015-02-26)
販売元:Amazon.co.jp

「異能症」―別名を「青藍病」という。原因不明、特効薬なし、患者の症状は様々で、一説には、心の病と密接な関係があるとされる。たとえば犬嫌いが昂じて動物全般から威嚇攻撃される能力を得たり、自覚なく虫を潰す恐怖から、それに触れる前に殺す能力が発現したり、金にだらしない肉親への嫌悪感が、年収を読み取る能力を開花させたり、胸に灯る青い蛍の光を見て、人の死期を悟る能力、であったり…。共通点は能力の発動時に「青い発光を自覚する」、ただそれだけ。治療法を模索する静先生とその患者たちのドラマを描く、“異能”青春小説!

この本が刊行されていたことを知らなくて出遅れました。
タイトルと装丁を見ると何だか怖そうなイメージだったのですが中身は不思議な病を抱える若い男女の青春物語でした。
ホント青春!清々しいったらなかったです。
最初の高校生の青年は好きな女の子のために色々行動しているのが可愛かったし←
虫を殺す能力を持つ少年は正義感にあふれていたし、年収を読み取る能力を持つ女性はハードボイルドな展開になったし、最後の死期を悟る能力はもう幼馴染の二人がひたすら可愛かったし。
奇妙な「異能症」という病気、でもその病気のきっかけを知りまた自分はどう付き合っていきたいかそれを考えていくことでコントロールも出来ていけそうだしとにかく10代の爽やかな甘酸っぱいきゅんきゅんを拝めて楽しかったです^m^
そして余談ですが最後の最後にローカルネタがたくさん登場して札幌に住んでいる身としては嬉しかったです。

<角川書店 2015.2>H28.1.7読了

世界が終わる街 戦力外捜査官4 似鳥鶏5

世界が終わる街 戦力外捜査官4世界が終わる街 戦力外捜査官4
著者:似鳥鶏
河出書房新社(2015-10-27)
販売元:Amazon.co.jp

早朝の東京を恐怖に陥れたテロのあと、解散に追い込まれたカルト教団「宇宙神瞠会」。その残党の中に革命を起こそうと地下活動を続ける強硬派「十字軍」がいた。海月警部&設楽刑事が行方を追うなか、準備がととのったある日、彼らは史上最悪の同時多発テロに向けて動き出す…。

予想通り今回も設楽刑事が満身創痍でお疲れ様という感じでしたね…ほんっとうにお疲れ様です…しかもそれに本人も慣れてきてる感じが怖いですね…。
今回もカルト教団と警察との戦いでしたね。鉄道のテロというのはやはり地下鉄サリン事件を思い出しました。当時小学生だったのでとんでもないことが起きた、くらいの認識しかなかったんですが、あまりにも残虐な無差別殺人ですよね。当時のテレビはこの話題ばかりでそれも怖かったです。
小説の中でも書かれていましたけど、特に東京はたくさんの人がいてみんなが流れに沿って動いていて、実際に起きそうなテロだと思うと恐怖を感じました。
でもテロを最小限に抑えることが出来て良かったです。運転士さんたちの強い想いと勇気に感動しました。一緒に諸手を挙げて喜びたくなりました。
最後の設楽刑事と女子高生の想い合いが面白かったです。変な意味じゃないですよ^^
それにしても、このシリーズはずっとこういう重たい事件ばっかりなんですかねぇ。
萌え〜な感じのキャラクターが出てくる割にすんごい事件ばかりなのですが^^;

<河出書房新社 2015.10>H27.12.18読了

ゼロの日に叫ぶ 戦力外捜査官3 似鳥鶏4

ゼロの日に叫ぶ: 戦力外捜査官3ゼロの日に叫ぶ: 戦力外捜査官3
著者:似鳥 鶏
河出書房新社(2014-10-10)
販売元:Amazon.co.jp

白昼堂々、都内の暴力団が何者かに殲滅され、偶然駆けつけた刑事2人も重傷を負う事件が発生。警視庁の威信をかけた捜査が進む中、例のごとく失態をおかし戦力外となった海月と設楽は、暴力団同士の抗争であるという捜査本部の見立てからあえて外れて、単独で事件を追うことに。しかし、必死に駆け回る警察をあざ笑うかのように、東京中をパニックに陥れる夜が迫っていた…。凸凹コンビが活躍する、人気シリーズ第3弾!

予感はしてたんですけど、あまりにも予想通りで同情しました。
何が予想通りって設楽刑事のボロボロ感^^;
今回も死にかけてるっていうか傷だらけっていうか血みどろっていうか←
この2人が関わる事件は不特定多数の大人数が被害に遭う可能性があるのでドキドキします。展開も流石です。
似鳥さんの力量はハンパないですね。
犯人はまさかまさかでした。
最初からすべての話が繋がっていたんですね。
キティ事件については私も知っています。大学の心理学の授業で習いました。
私がその場にいたらどうだろうと考えると、確かにそうしてしまうかもしれないなと思いました。そう思う自分も怖かったです。
このシリーズ、嫌いじゃないですけど設楽刑事の不遇さが悲しすぎるのと生々しすぎてちょっと読むのに気合いを入れないといけないので、次は設楽刑事が無傷だといいなと願ってやみません←
まあ表紙の設楽刑事が包帯巻いてる時点で嫌な予感がしましたよ、はい。

〈河出書房新社 2014.10〉H27.1.21読了

迷いアルパカ拾いました 似鳥鶏5

迷いアルパカ拾いました (文春文庫)迷いアルパカ拾いました (文春文庫)
著者:似鳥 鶏
文藝春秋(2014-07-10)
販売元:Amazon.co.jp

「ちょっとここで、アルパカ拾いまして」―楓ケ丘動物園のアイドル飼育員・七森さんの友人が失踪した。行方を探る鍵はアルパカ?ハムスター?それとも…飼育員仲間の桃くん、ツンデレ獣医の鴇先生、アイドル飼育員の七森さんや変態・服部君らおなじみの面々が大活躍する、大人気動物園ミステリーシリーズ第3弾!

このシリーズも3冊目ですか。舞台が動物園ですし、タイトルもいつも可愛いので可愛らしい話なのかなと思ったらいつも痛い目を見ます←
動物にまつわる、重たくて悲しい現実を突きつけられることが多いです。今回もそうでしたねー。これを言ってしまうとネタバレになるので言えませんが、動物だって生き物で、動物園で飼育されているにしたって人間がどんなことをしてもいいというわけではないですよね。本当に酷いな…と思います。
今回もなぜか桃君たち楓ケ丘動物園の職員たちが巻き込まれて行きますが、桃君たちだからこそ解決できるのかなとも思います。
桃君は相変わらずちょっと頼りないし、鴇先生はツンデレで、七森さんは可愛くて服部君は変態で^m^関係性が変わっていなくてほっとします。
前回、鴇先生と七森さんとどっちを選ぶんだ!と思いましたが、今回は鴇先生寄り…?
桃君の恋愛模様も気になるところです。
今回も面白かったです。
そして毎度のあとがき。
笑っちゃったんですけど^^そうか、似鳥さんは17歳の美少女だったんですね^m^
あーはいはい。プロフィールに1981年生まれって書いてますけどそうなんですね。はいはい。

〈文芸春秋 2014.7〉H26.10.5読了

迫りくる自分 似鳥鶏4

迫りくる自分迫りくる自分
著者:似鳥 鶏
光文社(2014-02-19)
販売元:Amazon.co.jp

顔も声も自分と瓜二つ。人間性は最低。この出会いは、何をもたらすのか。船橋から東京に戻る総武線快速。本田理司は、併走していた各駅停車の車窓に、自分と同じ顔をした男を見つける。血縁ではなく、服装も髪型も違うのに、まるで鏡を見ているようだった。やがて、二人は偶然再会し、その夜を契機として、世にも不条理な逃走劇が幕を開ける―。

いやー…ひどい。理不尽にもほどがありますねー。
理司と自分にそっくりな男が出会った後、それから不運が始まります。
理司に起きた理不尽な出来事が怖すぎて読んでいて辛かったです。いくら説明しても、理解してもらえないですよねー。
似鳥さんの作品はいつも装丁やタイトルが可愛くて、でも中身はブラックなことは多々あるんですけど^^;今回はまたちょっと違う気がしました。
逃亡を続ける中、誰も信用できない時に出会った佐伯という人物が素敵でした。この人の言葉は本当に理司を勇気づけてくれただろうなと思います。
そして事件の真相。
ぬー…理司に自業自得な部分があったにせよそっくりさんの意見はそれこそ自業自得な気がする。ほっとしたと思ったらのまさかの展開にびっくりしてドキドキもしましたけど、本当に最後ほっとできて良かったです。
お兄さんや朴さんのキャラも良かったなぁ。
余談ですけど、朴っていう名字って日本人でもあるんですか?学生の時にこの名字の同級生がいて、私勝手に韓国人だと思っていたけど違ったのかも。この場を借りて何だかすみません←
読んでいて辛かったけど、たまにある似鳥作品にお決まりの注釈や気の抜けるあとがきにちょっと救われました^^;

〈光文社 2014.2〉H26,6,19読了

神様の値段 戦力外捜査官2 似鳥鶏4

神様の値段: 戦力外捜査官2神様の値段: 戦力外捜査官2
著者:似鳥 鶏
河出書房新社(2013-11-29)
販売元:Amazon.co.jp

捜査一課の凸凹コンビ、再び登場! 新興宗教団体がたくらむ“ハルマゲドン”……。妹を人質にとられた設楽と海月は、最悪のテロを防ぐことができるのか!? ドラマ化決定のシリーズ第2弾!

そういえばドラマ化されてますね(遠い目)まさか似鳥さんの作品が映像化されるとは思いませんでしたよ。もう誰かに伝えたいこの気持ち。でもうまく伝えられないこのもどかしさ←
私は前作よりも好きです。海月警部に前回はイライラしてたのですが、今回はその鈍くささがあまり出ずに結構活躍してました。
設楽刑事も頑張っていましたねぇ。ホント、色々巻き込まれて可哀想としか言えません…警察官が全治3週間て…。
読んでいてイテテテテと思うことが多々ありましたが何とかなってよかったです。
冒頭の文章が面白かったです。色んな人のプロローグが書かれていてどういうことだろうと思うところから始まったので。
今回のテーマは新興宗教。いやー怖かったです。
オウム真理教の名前が何度も出ていましたけど、その当時のこと覚えています。どこのニュースもこのことばかりでしたし。友達が教祖の歌を歌ってて気持ち悪いから歌うのをやめてって言ったら「だってみんな歌ってるじゃない」って言ってるのが子どもながらに怖かった記憶が。事件を起こした人たちのことも以前特集で見て、洗脳されるって怖いなと思いました。人の心の隙間に入ってくるなんて卑怯ですよね。
でも、弱い部分が前面に出ているときって何かに縋りたくなるんですよね。だから自分は大丈夫って言いきれないのが怖いです。
私、街中を歩いていたら2回ほどそういう怪しげな人に話しかけられたことがあります^^;え、私幸薄そうに見えるの?困ってるように見えるの?←
1回目は社会人として日が浅い時で最初は訝しげながら質問に答えていたんですけど怖くなって後ずさりしてたらそのあとをついてきたんですよね。それが怖くて逃げた記憶が。2回目は数年前でもうスッカリ図太くなってたので睨みつけて「結構です!」って言いました。この差←
私の話は置いておいて。
面白く読みました。個人的にわざとらしい北海道弁が若干イラっとしましたけど^^;
このコンビの話が面白かったです。また続編が出るのが楽しみです。

〈河出書房新社 2013.11〉H26.2.22読了

パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から 似鳥鶏5

パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)
著者:似鳥 鶏
幻冬舎(2013-09-04)
販売元:Amazon.co.jp

証拠よりメレンゲを、手錠よりケーキを。
パティシエに転向した繊細すぎる元・刑事。
事件解決の裏には、必ず彼がいる。
警察を突然辞めた惣司智は兄の季が継いだ喫茶店でパティシエとして働き始めた。鋭敏な推理力をもつ智の知恵を借りたい県警本部は秘書室の直ちゃんを送り込み難解な殺人事件ばかり相談させている。弟をお菓子作りに専念させたい兄は、なくなく捜査の手伝いを。人の良い兄の困り果てた事態を見かねた弟は、しぶしぶ事件解決に乗り出す羽目に……。
華麗な解決と究極のデザートを提供する、風味豊かなミステリー。
「喪服の女王陛下のために」中沢正樹が崖から転落死した。転落した場所は自殺とも他殺ともとりづらく、捜査は難航した。季と直ちゃんはすでに全員のアリバイは成立していたが、学校の同級生や彼女に再度聞き込みにあたる(ヴィクトリアン・サンドウィッチケーキ)
「スフレの時間が教えてくれる」南逸郎という男が殺された。第一発見者は被害者と釣りに行こうとしていた手嶋慎也で、容疑者と疑われていた。だが現場近くには大量のたばこの吸い殻が残っていたのだが彼は非喫煙者で犯人は別にいるのではないかと疑う(スフレ)
「星空と死者と桃のタルト」みんなで直ちゃんの親せきが所有しているログハウスへ束の間の休暇を過ごそうとしていた一向。その地域で揉め事が起きているようだった。そしてその日、山奥の小屋で人が殺されているのを見つけてしまう(タルト・タタン)
「最後は、甘い解決を」20年前、母親を殺された。更にその13年後に母親代わりをしてくれた女性も殺された。凶器はどちらも同じ拳銃が使用され同一犯ではないかと言われていたが迷宮入りしていた(モンブラン)

なんだかシリーズ化されそうな感じの作品ですね。弟君がそもそもどうして警察を辞めたのかという根本的な理由が詳細には書かれていなかったのでこれから明らかになるんでしょうか。まあ、凄く繊細だから耐えきれなかったのかなとも思うのだけど。
似鳥さんの作品は大好きなのだけど今回は葉山君シリーズや動物園シリーズのようなユーモアが少なくてひたすら事件がブラックで後味が悪いっていう印象かな。出てくる人たちは凄く個性的で良かったのだけど。
作品はどれもよかったです。
事件のトリックに関しても面白かった。
ただ、事件の中に直接ケーキが登場するというわけではなかったのでお腹がすいて仕方がないという事はなかったかな^^;2つ目の事件はスフレが関係してはいますけど。
最後に登場したケーキの歴史が書かれていて、NHKのお菓子にまつわる番組(グレーテルのかまど)が大好きなのでとても興味深かったです。
それでもなかなかヘビーでした。似鳥さんの作品を読んだことがなくて表紙をみて読もうと思った方はビックリするかも^^;これが似鳥さんの作風でもあるんですけどねー。特に最後がなかなかのブラックで後味悪い悪い。途中からもしや…とは思ったけども。
ただ、智は刑事じゃなくなったことで言い方は悪いけど責任がなくなった。だから直ちゃんたちに利用されてもいるのだけど、最後にあんな言葉をかけることもできて、そこは救われたんじゃないかなと思います。刑事だったら決して言えないもの。
色々かいちゃってるけど面白く読みました。ただ外見と中身のギャップは結構激しいので似鳥さん初読みの方は気を付けて読んだ方が良いかもですね。
そしていつも楽しみにしている似鳥さんのあとがき。今回もぶっ飛んでいて面白かったです。

〈幻冬舎 2013.9〉H26.1.10読了

ダチョウは軽車両に該当します 似鳥鶏5

ダチョウは軽車両に該当しますダチョウは軽車両に該当します
著者:似鳥 鶏
文藝春秋(2013-06-10)
販売元:Amazon.co.jp

県民マラソン大会のコースを駆け抜けてくるのは「ダチョウだって?」―そして発見された焼死体。捕獲したダチョウと被害者とをつなぐものとは?キリン飼育員・桃くんにツンデレ女王・鴇先生、変態(?!)・服部くん、アイドル飼育員・七森さんら、楓ヶ丘動物園の怪しく愉快な面々が活躍する動物園ミステリー第2弾!

続編が出るとは思いませんでした。また皆さんに会えてうれしかったです。
タイトルが可愛いし、最初もダチョウが一般道を走っているというところから始まるので前回のようなヘビーな感じではないのかなと思ったのですが、ものすっごくヘビーでびっくりしました。前作以上かも…
脱走事件からストーカー事件に発展し、最後はもっと凶悪な事件に結びついてびっくり。
冒頭の会話や数々の事件がこんな形で結びつくとは全く持って想像していませんでした。全然構えてなかったからただただ唖然。
こんなことがあったらたまらないです。何のために仕事をしているのか。
実際に起きたら…と考えるとぞっとします。
ドキドキしながら読みました。
鴇先生が今回もとてもかっこよかったけど、鴇先生にも若気の至りがあったんですねえ…。あんな男の人を選ぶとは。
桃君のほうが良いよ。
というか、桃君はいったい誰が好きなんだい。鴇先生?七森さん?
可愛いアイドルの七森さんがあんなに好いてくれてるのにもったいない。
服部君は変人だけど、桃君のこと好きなのかなぁ。それはそれで萌えるけど←
内容はヘビーですが好きな作品なので続いていってほしいなと思います。

〈文芸春秋 2013.6〉H25.10.27読了

昨日まで不思議の校舎 似鳥鶏5

昨日まで不思議の校舎 (創元推理文庫)昨日まで不思議の校舎 (創元推理文庫)
著者:似鳥 鶏
東京創元社(2013-04-26)
販売元:Amazon.co.jp

超自然現象研究会が配布した“エリア51”の「市立七不思議」特集が影響を与えたのだろうか?突如休み時間に流れた、七不思議のひとつ「カシマレイコ」を呼び出す放送。そんな生徒はもちろん存在しない。さらに「口裂け女」「一階トイレの花子さん」の悪戯まで見つかった。なぜこの三つなのだろう…。調査を進めた葉山君は、ある真実に気づく。ますます快調な、シリーズ第五弾。

葉山君シリーズです。葉山君は自分が何もしていなくても厄介ごとがついてくるキャラ(?)ですが今回は自分が引きこんだ形になっちゃいましたね。可愛そうに。
今回は学校七不思議がテーマ。
七不思議ってよくあるよね、うちにもあったもん。って思いながらふんふんと読んでいたのですが、だんだん雲行きが怪しくなっていきました。
昨日読んでいて止まらなくなって深夜まで読んでいたのだけど、怖くて怖くて意味もなく周りを見ながら^^;読みました。
いつもは日常ミステリっぽい感じだったのだけど今回はテイストが違いました。ちょっと…いや、かなり怖かったです。
でも、今までのシリーズのなかで伏線があったりして、気になっていたことが落ち着いた気がします。
何となく柳瀬先輩が卒業するときがシリーズが完結するときなのかななんて思っていたのですが、似鳥さんはどうして完結と思われるのかわからないとあとがきで書かれていて面白かったです^^
確かに勝手に決めているのは読者ですよね。柳瀬先輩が伊神先輩のように卒業してから登場するっていうのもあるでしょうし^^
どうなるのかわかりませんが、これからもこのシリーズを楽しみにしていようと思います。2人の展開もとっても気になります。

〈東京創元社 2013.4〉H25.9.15読了

戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 似鳥鶏5

戦力外捜査官 姫デカ・海月千波戦力外捜査官 姫デカ・海月千波
著者:似鳥 鶏
河出書房新社(2012-09-11)
販売元:Amazon.co.jp
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捜査一課に配属されてきた身長150cm未満(推定)でアイドル並みにかわいい海月警部は、周囲のかすかな期待を裏切る捜査能力の低さで、たった二日で戦力外通告されてしまう。お守役の設楽刑事と独自に連続放火事件を追ううち、「冤罪」と噂される7年前の事件に辿り着くが―。すべての点が繋がった時、真犯人の壮大な復讐計画が明らかになる。連続放火、女子大生殺人を結ぶ復讐計画とは…!?注目の著者による書き下ろしミステリ。

似鳥さんの新刊が単行本だ!とまずそこにちょっと感動したこの作品。
表紙が何だかラノベテイストだなぁと思ったら内容も最初はドジっ子刑事が何だか頑張ってる感じで、半ば巻き込まれた感じの設楽刑事が可哀相だなぁ。出世できるかぁなんて思いながら読み始めていたのですが。
海月警部の推理は驚きました。本当に二重人格か?と思うくらい。
それでも見た目のせいなのでしょうか、最初はおっさんたち・・・もとい現場のベテラン刑事たちは聞く耳を持たず…。
どこまでメンツとか世間とか気にしているのかはわかりませんが、川萩警部の考えは腹が立ちました。仕方ないのかなぁ。多少は最後頑張ったみたいですけど…。
事件も面白かったです。放火事件に殺人事件、初めは違う刑事たちが取り調べをしているのですが、次第に7年前の事件に繋がっていきます。そして一つに繋がった時、警察は窮地に追い込まれます。
犯人側の言い分も分かります。恨む理由も分かります。でも、それで全然関係ない人をも巻き込むのはお門違いです。ラストはドキドキして一気読みでした。
越前刑事部長がいい味出してます。お偉い人ですけど、柔軟な頭を持っているのが好感が持てます。まあ、偉いからそういう頭を持てるのかもしれないけど。
最後に設楽刑事が海月警部の相棒になった理由がわかります。ほのぼのとして可愛かったけど、警官として、また人として大切なものを設楽刑事が持っているんだろうなと思ってほっこりして読み終えました。
オチが何とも可哀相でしたけど。
何だかシリーズ化も行けそうな作品です。
今までの似鳥作品とはちょっと違いますが、面白かったです。続編が出てくれるのを待ってます。

〈河出書房新社 2012.9〉H24.11.4読了

午後からはワニ日和 似鳥鶏5

午後からはワニ日和 (文春文庫)午後からはワニ日和 (文春文庫)
著者:似鳥 鶏
文藝春秋(2012-03-09)
販売元:Amazon.co.jp
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「イリエワニ一頭を頂戴しました。怪盗ソロモン」凶暴なクロコダイルをどうやって?続いて今度はミニブタが盗まれた。楓ヶ丘動物園の飼育員である僕(桃本)は解決に乗り出す。獣医の鴇先生や動物園のアイドル七森さん、ミステリ好きの変人・服部君など、動物よりもさらに個性豊かなメンバーが活躍する愉快な動物園ミステリ。

似鳥さんの新刊です。
葉山君シリーズ以外で本を出されたのは初めてなんでしょうか。アンソロジーはありますけども。
舞台は動物園。設定が動物園って結構珍しいですよね。しかも盗まれたのはワニ。獰猛でうかつに近寄れないワニにどうやって近づき捕獲したのか、そしてそこまで価値がのないワニをどうして盗んだのか。更にミニブタ二匹も盗まれます。犯人の目的は何なのか、それを軸に物語が進んで行きます。
桃本(確かに言いにくいな)はあることから同僚を疑い首を突っ込んでいきますが、葉山君よりもしっかりしていて←そこは安心して読めました。
事件の真相については・・・色々やりきれなかったです。犯人が事件を刑事事件に持って行ったのは見事だと思います。今までの境遇も同情します。でも、罪は罪です。ワニをあんなことに使うのって可能なんだろうか・・・分からないけど、残酷ですね。動物を物とみなされているのが悲しかったです。桃本や七森さんのように熱意をもって、誇りを持って働いている人が見つめる現実と考えるとなおさら。
読んでいくうちに七森さんと良い感じになるのかなと思ったら後半の鴇先生の追い上げも良くて^m^鴇先生の過去に何があったのかは分からないけど、鴇先生のように強く生きなければいけない女性はいるわけで、でも桃本はそんな女性が弱さを見せられるような男の人なんだろうなと思ったり。恋愛模様はどう発展していくんだろうなと内容とはちょっと違うことを思いました。

〈文藝春秋2012.3〉H24.7.27読了

いわゆる天使の文化祭 似鳥鶏4

いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)
著者:似鳥 鶏
東京創元社(2011-12-10)
販売元:Amazon.co.jp
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夏休みも終わりに近づいた文化祭目前のある日、準備に熱の入る生徒たちが登校すると、目つきの悪いピンクのペンギンとも天使ともつかないイラストが描かれた貼り紙が目に飛び込んできた。別館中に貼られた、部活にちなんだ様々な怡好の“天使”を不思議に思いつつも、手の込んだ悪戯かと気を抜いていると―。波瀾万丈で事件に満ちた、コミカルな学園ミステリ・シリーズ第四弾。

久しぶりの長編です。相変わらず葉山君と柳瀬先輩が奔走する話なのですが、今回は新しいヒロイン?の蜷川奏ちゃんが登場します。色々書くと全てネタバレになってしまうので詳しく書けないのですが。変な天使の絵が校内中にばらまかれるという事件が起きます。それを葉山君と好奇心旺盛な奏ちゃんがそれぞれ独自で犯人捜しをするわけです。お互いに犯人は身近な存在だと言っているのですが、その2人は初対面のようでどうしてお互いに身近な人が犯人だと思うのだろうか。どっちかが間違っているんだろうかと思って読んでいたのですがやられました。
と、やられたーと思っていたらさらにやられた―になり^^;多分全部私は消化しきれていないような気がします。絶対に全部わかってない。結局どういう事なんだって思ってる。
でもまあ、葉山君と柳瀬先輩の職員室での一件がカナリの進歩だったと思われます。
さて、微妙に2人の進展もありつつ、時間もちょっとずつ流れていますがこれからどうなっていくんでしょう。やさしくまったりと見守っていきたいなと思います。

〈東京創元社 2011.12〉H24.7.14読了

まもなく電車が出現します 似鳥鶏5

まもなく電車が出現します (創元推理文庫)まもなく電車が出現します (創元推理文庫)
著者:似鳥 鶏
東京創元社(2011-05-28)
販売元:Amazon.co.jp
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「まもなく電車が出現します」芸術棟が封鎖され、困ったクラブや同好会が新たな棲処を探し始めた。美術部の僕は美術室に移動して、無事作品に取り掛かれるかと思いきや、美術部の領地と思しき開かずの間をめぐる鉄研と映研の争いに、否応なく巻き込まれてしまう。しかし翌日、その開かずの間に突如異様な鉄道模型が出現!?
「シチュー皿の底は並行宇宙に繋がるか?」調理実習でシチューを作ることになった。葉山は料理を作るので問題なかったが他の人間は作れなそうだった。唯一作れる藤巻さんが頼りだったが様子がおかしい。食べ終えた後に藤巻が「内田はジャガイモを食べたか?」と葉山に聞いてきた。
「頭上の惨劇にご注意ください」柳瀬先輩と葉山が猫と遊んでいた時、頭上から植木鉢が落下してきて、危うく葉山に当たるところだった。次の日葉山の靴箱から釘が見つかり、標的が自分だと気づく。植木鉢が落ちた部屋はESSと園芸部とが利用していた。
「嫁と竜のどちらをとるか?」伊神先輩と共に先輩の立花さんの家でご飯をごちそうになった葉山はそのままファストフードに入る。そこには柳瀬先輩と七五三木先輩がいた。柳瀬先輩のいとこの瞳さんという人の旦那がオタクで、今度フィギュアを買ったら離婚すると言われたそうなのだがまた買ってしまったらしい。そのフィギュアの金額を知りたいということで伊神を呼んだ。
「今日から彼氏」演劇部の手伝いで海に来ていた葉山は脚本担当の入谷菜々香に話しかけられる。その夜柳瀬先輩からメールが来て、七五三木先輩と付き合うことになったからもう一緒にいるのを止めようと言われる。次の日、葉山は入谷から「付き合いませんか?」と言われ付き合うことに。

久しぶりの似鳥さんの作品です。近くの図書館に似鳥さんの作品がなくてあきらめていたのですが、札幌の図書館にいつの間にか似鳥さんの作品が充実していて^^;急いで読んでいない作品を予約しました。うふふ。嬉しい。
ということで久しぶりの葉山君に伊神先輩に柳瀬先輩です。日常ミステリとしては本当に些細なものもありましたけど。特にシチューのくだりは^^;いや、私は好きでしたけど。でも、伊神先輩の推理力は流石でした。そして葉山君が狙われた事件に関して言った伊神先輩の言葉もかっこよかったです。
最後の出来事。これは葉山君のかなりのトホホ話でしたね〜。好きだったのは本当だったんだろうけど、色々利用されたわけだし。利用したことでもう二度と葉山君とは付き合えなくなってしまって。自業自得と言えばそうなんだけどちょっとそう言い切ってしまうのは可愛そうな気もするし・・・うーん。
でも、最後の最後に柳瀬先輩と葉山君が良い感じになっちゃってびっくり。葉山君が高2の夏ということは、柳瀬先輩が卒業するまであと半年ですよね。これから2人の関係はどうなるんでしょう。気になります。愛妾と言われている葉山君ですが^m^それから進展するのでしょうか。楽しみです。
それにしても気になったのですが、菜々香は葉山の事を「ゆーくん」って言ってましたけど、葉山君の名前って今まで出てきてたっけ?忘れちゃった^^;

〈東京創元社 2011.5〉H24.6.25読了

さよならの次にくる〈新学期編〉 似鳥鶏5

さよならの次にくる&lt;新学期編&gt; (創元推理文庫)
さよならの次にくる&lt;新学期編&gt; (創元推理文庫)
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オススメ!
第5話「ハムスターの騎士」
葉山は誰かにつけられているような気がしていた。早歩きで歩いていると、曲がり角で女性とぶつかりそうになった。名前は佐藤希。葉山と同じ高校に通う1年生だった。何故か顔がこわばっている。話を聞くと、ストーカーが怖いらしい。演劇部の人たちも協力し、ストーカー撃退作戦を行う。
第6話「ミッションS」
葉山はミノに頼まれた。職員室のカードキーをすりかえてくれと。ちょうど職員室の掃除当番に当たっていた葉山は嫌々ながら引き受ける事に。演劇部の協力もあり、無事成功するが、新たに問題が発生する。
第7話「春の日の不審な彼女」
演劇部の手伝いで、美術部の葉山と佐藤は合宿についていくことになる。葉山は佐藤が真剣な話をしようとしているのを見てドキドキするが、思わぬ邪魔が入る。ドンちゃん騒ぎも終わった次の日の朝。葉山の部屋で人形のジェシカの首が取れた状態で置かれているという事件が起きる。また、葉山は同時期に何者かに脅迫されていた。
第8話「And I'd give the world」
脅迫していた犯人を知り、安心した葉山。しかし、葉山は疑問を抱いていた。葉山は佐藤を呼び出し、話を聞く事にする。
第9話「よろしく」
葉山は悩んでいた。自分がした事が、もしかしたら人を不幸にするのではないかとおびえていた。そんな時、高校に伊神がやってくる。

完結しました。〈卒業式編〉と〈新学期編〉は見事につながっていたのですね。
凄いです。似鳥さん。いろんなところに伏線が張り巡らされていましたが、全然気付きませんでした^^;
様々な真実を知り、2冊の「断章」を読み返しました。こうやって話は1本につながっていくんですね!
葉山君のそのお人よしは武器だと思います。
だから、希も、伊神先輩も、先輩の両親も、立ち女もみんな幸せになれたのだと思う。いい子なんですよね。報われないけど・・・
いい子なのに、好きな子は先輩にストーカーしてるし、友達には振り回されるしで大変だけど、最後はとってもかっこよかったです。
柳瀬さんとの関係はこれから変わっていくのでしょうか。
もし付き合ったとしても、なんら関係は変わらないと思うけどね。
第8話と第9話が怒涛の展開で驚きました。
伊神先輩には、こんな大きな秘密があったんですね。
でも、これからは葉山のお陰で、今まで以上に円満にやっていけるのではないでしょうか^^
続編はないのかなぁ・・・。
葉山君大好きだから、また登場してほしいです。
あわよくば、柳瀬さんと付き合ってほしいなぁと思います^m^

〈創元推理文庫 2009.8〉H22.6.2

さよならの次にくる〈卒業式編〉 似鳥鶏5

さよならの次にくる &lt;卒業式編&gt; (創元推理文庫)
さよならの次にくる &lt;卒業式編&gt; (創元推理文庫)
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オススメ!
第1話「あの日の蜘蛛男」
演劇部の柳瀬先輩と舞台を観に行った帰り、葉山は小学校の時の同級生である木場と再会する。木場は何か思いつめている様子だったが、何も言わずに去っていった。次の日、柳瀬が木場から事情を聞いており、葉山は4年前の小学校の卒業式の話を始める。渡会千尋と言う女の子のことが好きだったため、葉山はラブレターを渡そうとしていた。しかし、手紙を男子に見つかり奪われる。追いかけていると手紙は風で吹き飛ばされ、「キムラビル」の屋上へいった。ビルへ行って手紙を探していると、葉山は閉じ込められた。木場は気になって戻り、葉山の居場所を探すと、葉山は隣の「第二高橋ビル」それが未だに気になっていると言う。
第2話「中村コンプレックス」
「東雅彦は嘘つきで女たらしです」愛心学園吹奏楽部の部室に貼られた怪文書。部員達が中傷の犯人は誰だと騒ぐ中、オーボエ首席奏者の渡会千尋が「私がやりました」と名乗り出た。初恋の人の無実を証明すべく、葉山が賢明に犯人探しに取り組む。
第3話「猫に与えるべからず」
庭園の中で野良猫のジャックと戯れて遊ぶお姉さんと話すのが楽しみだった僕。しかし、猫は僕になついてくれない。2人でいい感じになって話していると、伊神先輩がやってきた。猫の名前は知っているし、お姉さんとも仲良く話している。僕は悔しくなり、夜中に公園へ行った。餌をあげて猫になついてもらうためだ。餌をやると僕に擦り寄ってきてくれた。その時は嬉しかったが、次の日の朝に庭園へ向かうと、ジャックは池の上で死んでいるのが見つかった。
第4話「卒業したらもういない」
今日は卒業式。伊神先輩が卒業する。先輩の事だから、自ら進んで高校へ遊びに来ることはないだろうと感じた葉山は、式が終わってから伊神に一言伝えようとする。しかし、伊神はいない。帰ったのかと思い、先輩から教えてもらった住所に行ってみても、人自体が住んでいないようだ。携帯も通じない。不安になった葉山は、立花先輩の家を訪ね、相談に乗ってもらう事にする。

「理由あって冬に出る」の続編です。
近くの図書館は全滅だったので、買おうか悩んでいたのですが、結局相互貸借で頼んでしまいました^m^まあ、市の税金でやってる事だし。活用できるものはしないとね。
さて、葉山君や伊神先輩がまた登場。面白かったです。
それぞれの謎も面白かったですし、高校生同士の軽いテンションと会話が良かったです。「理由あって冬に出る」を読んだ時には、表紙は誰の絵なんだろう?と分からなかったのですが、葉山君と柳瀬先輩ですよね、きっと。
柳瀬先輩は面白いですね。葉山君の事が好きなんだと思いますけど、ノリが軽くて全く持って愛情が伝わっていないのがおかしすぎます。葉山君に向かって「カモン」って言ったのには爆笑しました。
伊神先輩も相変わらずで。言いように葉山君を使っていますね^m^報われない感じが面白くて良いです。
三野君と葉山君のやり取りも好き。ドラマ仕立てだったりコントっぽかったり。
ただ、残念だったのは、第2話のタイトルの意味の元ネタが私が知らなかったこと^^;う〜ん。きっとナイスなタイトルだろうに、私には分からなかった・・・。無念。
第3話は騙されました。やられた。
伊神さんの事も、最後のちょっとわかりましたね^^
ただ、物語は続いていたので、次の作品も楽しみです。今、読んでいます。

〈創元推理文庫 2009.6〉H22.6.1読了

理由あって冬に出る 似鳥鶏5

理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)
理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)
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オススメ!
某市立高校の芸術棟にはフルートを吹く幽霊が出るらしい――
吹奏楽部は来る送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。
かくなる上は幽霊など出ないことを立証するため、部長は部員の秋野麻衣とともに夜の芸術棟を見張ることを決意。
しかし自分たちだけでは信憑性に欠ける、正しいことを証明するには第三者の立会いが必要だ。
……かくして第三者として白羽の矢を立てられた葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた!
にわか高校生探偵団が解明した幽霊騒ぎの真相とは?

しんちゃんさんが、米澤さんが好きならこの方も好きになると思います〜
と教えていただいた作家さんです。
お名前は拝見しておりましたが、読んだ事はありませんでした。しかも、私、ニトリさんだと思っていたのですが、ニタドリさんなんですね。もう覚えました。
確かに、面白いミステリでした^^
好きです。コミカルな雰囲気は初野作品を思い出しましたが。
高校で話題になっている幽霊が出るという噂。そして壁男。
小学校の時に流行った七不思議みたいな感じかな。主人公の葉山君が可愛らしくて一生懸命で良いですね。
伊神さんに助手と任命されてこき使われているけど、警察のように聞き込みをするところはとても好感が持てます。
フルートを吹く幽霊の正体と元凶?となった人の結末は想像できなかったなぁ。
そして、ハッピーエンドでよかったです。
次に起きた壁男!
これもなぜこんな事が起きたのかっていう結末は驚き。その後の結末も。
雰囲気はとても良かったです。
高校生たちも頭が良すぎるって言うわけではなくて、学生らしさも見えましたし。
似鳥さんの作品、好きです。
他の作品も見てみたいです。

〈東京創元社 2007.10〉H22.3.30読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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