苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

近藤史恵

ホテル・カイザリン 近藤史恵4

ホテル・カイザリン
近藤 史恵
光文社
2023-07-20


クラスメイトの稚拙な行動の理由。パリに降り立った彼女の秘めた思い。甘やかに秘密を分かち合う2人の女。宿命的な死に蝕まれた村…。隠された真実に気づかせてくれる作品集。表題作など、全8編を収録。

ホテルにまつわる連作短編集なのかと思ったら違いましたね。しかも途中で読んだことがあるな…と思い、調べたら8作品中4作品は既読でした^^;しかも表題作も読んでいた。全然覚えていない…。
「降霊会」学園祭でクラスメートがペットの降霊会をすると聞き、嫌な予感がして観に来た「ぼく」
「ぼく」が1週間学校を休んでいたのは妹が亡くなったから。それを「ぼく」のせいだと思ったクラスメートの復讐のようなものだったのですが思わぬ方向へ向いていきます。この感じ、近藤さんっぽいですね^^;
「金色の風」「シティ・マラソンズ」で既読でした…が。13年前なのですっかり忘れていて良い作品だなぁと思いながら読みました。
「迷宮の松露」仕事に疲れモロッコにやってきた「私」。心も体も癒されつつあるが、1年間一緒に暮らした祖母の夢をよく見るようになり、それがくるしかった。ある日、偶然道に迷って困っている日本人夫婦を見かける。
松露という和菓子、食べたことがあるようなないような…ですが^^;松の露という綺麗な名前ですけど茸が由来とは知りませんでした。面白いですね。
「甘い生活」「アンソロジー 隠す」で既読。ですが6年前に読んだのですっかり忘れて(略)当時の感想でも同じこと書いてますけど、主人公の女性が最低でしたね。お姉さんよく一緒に暮らしていたな…
「未事故物件」「アンソロジー 迷-まよう-」で既読。こちらは覚えていました。この作品を読んで「あれ?」と思ったんですけども^^;私も一人暮らしだから、他人事とは思えないと思って覚えていたのかもしれません。
「ホテル・カイザリン」「アンソロジー 嘘と約束」で既読。読み進めていくうちに思い出してきました。最後のオチが怖すぎました…
「孤独の谷」大学で教えている「私」の元にやってきた学生がかつて住んでいた村にはある噂があった。
噂の正体は辛かったですね。そして最後に判明した真実にも。でも本人はたくさん話せて嬉しかったと言っていたから、そこまで責任を感じなくてもいいんじゃないかな…とも思いました。
「老いた犬のように」主人公は老齢の小説家の男性。読み進めていくうちになんだか気持ち悪いなこの男と思っていたらやっぱり気持ち悪かったです(笑)自分がしてきたことを1ミリも悪いと思っていないところとか虫唾が走りますね。読み終えてタイトルを改めて見て笑っちゃいました。

<光文社 2023.7>2023.8.28読了

それでも旅に出るカフェ 近藤史恵4

それでも旅に出るカフェ
近藤史恵
双葉社
2023-04-19


世界のさまざまなカフェメニューを提供する、カフェ・ルーズ。円が営むカフェもコロナ禍の影響を受けていて……。
日常のちいさな事件や、モヤモヤすることを珍しいお菓子が解決していく。「こんなカフェに行きたい!」の声続々のコージーミステリー第二弾。

待ちに待った続編。楽しみにしていましたけど、この作品の中ではコロナ禍真っただ中。カフェ・ルーズはやっていない…もうこの世界を読むのは嫌です…。
仕方ないとは思うのですが、現実逃避をするために小説を読んでいるのでまたか…と思ったりもしましたが。コロナ禍を通して円も瑛子も思うところがあったみたいでそれが分かってよかったかな。
それにしても最後の話が本当に後味が悪かったな…そういえば近藤さんはイヤミスも多かったんだと思い出しました^^;
パティシエの男性もその妻も、どちらも気持ちが悪かったな…。そして情けない。ダサい。
前作を読んだ時も思いましたが、こちらのカフェで出される世界の料理を食べてみたいです。

<双葉社 2023.4>2023.7.9読了

幽霊絵師火狂 筆のみが知る 近藤史恵5

幽霊絵師火狂 筆のみが知る
近藤 史恵
KADOKAWA
2022-06-30


その男の絵は、怖くて、美しくて、すべてを暴く。
大きな料理屋「しの田」のひとり娘である真阿。十二のときに胸を病んでいると言われ、それからは部屋にこもり、絵草紙や赤本を読む毎日だ。あるとき「しの田」の二階に、有名な絵師の火狂が居候をすることになる。「怖がらせるのが仕事」と言う彼は、怖い絵を描くだけではなく、普通の人には見えないものが見えているようだ。絵の犬に取り憑かれた男、“帰りたい”という女の声に悩む旅人、誰にも言えない本心を絵に込めて死んだ姫君……。幽霊たちとの出会いが、生きる実感のなかった真阿を変えていく。

読んでいて江戸時代のような感じがしたのだけど、東京になったと言っていたから明治初期が舞台なのでしょうか。主人公である真阿がとても聡明で良い子でした。12歳から14歳までの2年間、肺を病んでいると医師に言われたことで家に引きこもる生活を送っていたわけだけど、興四郎と出会ったことで真阿は変わっていきましたね。興四郎のお陰で家に閉じこもった生活も終わりを迎えることが出来たわけですし。2人が絵に対する謎解きをしていくのが面白かったです。
真阿も興四郎もワケありなわけですが、だからこそ絵に秘めたる想いに気づくことが出来るんですかね…。2人のコンビは可愛らしいのでまだまだ読んでいたいな…
『悲しまない男』の最後の一文『赤の他人を信じることができたら、急に世の中が優しく感じられるのだ』が好きでした。男も気づけて良かった。
序章と終章の真阿を見守る女形の登場の仕方も良かった。興四郎にはしばらくいてほしいからもう少し真阿を見守っていてください^^

<KADOKAWA 2022.6>2022.8.2読了

シャルロットのアルバイト 近藤史恵5

シャルロットのアルバイト
近藤 史恵
光文社
2022-02-22


シャルロットは七歳の雌のジャーマンシェパード。賢いけれど、普段はのんきな元警察犬。彼女と一緒にいると、いろんな事件に遭遇する。向かいの家には隠されたもう一人がいる? 偶然関わることとなったドッグスクールの不穏な噂とは? シャルロットとの日々は、いつもにぎやかで、時々不思議。謎に惑い、犬と暮らす喜びに満ちた極上のコージーミステリー!

シリーズ第2弾…?ですよね。
共働きの夫婦と元警察犬のシャルロットの3にん暮らし、その中で巻き起こる日常ミステリのような作品ですね。どのお話もなるほどと思うことが多かったのだけど、最後のお話を読んで、近藤さんはこうやってえぐる作品を書く人だったなーと思い出しました^^;
浩輔が同僚に頼まれて預かった子犬。それは同僚の妹家族が飼っている犬だったのだけど、なぜ引き取ることになったのか。それが明らかになるにつれて私は嫌悪感しか抱きませんでした…。
真澄が嫌な気持ちになった「お前が2個取ったらおばさんの分がなくなるじゃん」といった言葉。私も読んでぞわっとしたんですよね…。嫌だこんな家庭…姉妹がともに幸せになってほしいと願って読み終えましたよ。
真澄と浩輔の最後のお話。やっぱり思ったことはちゃんと言葉にしないとダメなんだなと思いました。夫婦だろうと家族だろうと言わないと伝わらない。それを2人は多分ちゃんとできるから素敵な夫婦なんだろうな。これからもシャルロットに会えたらいいなー。

<光文社 2022.2>2022.4.2読了

おはようおかえり 近藤史恵5

おはようおかえり
近藤 史恵
PHP研究所
2021-11-10


真面目な姉と自由奔放な妹。二人の姉妹に訪れる思いがけない出来事とは――
北大阪で70年続く和菓子屋「凍滝」の二人姉妹、小梅とつぐみ。姉の小梅は家業を継ぐため進学せず、毎日店に出て和菓子作りに励む働き者。 妹のつぐみは自由奔放。和菓子屋を「古臭い」と嫌い、大学で演劇にのめり込みながら、中東の国に留学したいと言って母とよく喧嘩をしている。
そんなある日、43年前に亡くなった曾祖母の魂が、何故かつぐみの身体に乗り移ってしまう。凍滝の創業者だった曾祖母は、戸惑う小梅に 「ある手紙をお父ちゃん(曾祖父)の浮気相手から取り戻してほしい」と頼んできた。
手紙の行方を辿る中で、少しずつ明らかになる曾祖母の謎や、「凍滝」創業時の想い。姉妹は出会った人々に影響されながら、自分の将来や、家族と向き合っていく。

タイトルを最初に見たときはそこまで深く考えていなかったのですが、読み始めて「おはようおかえり」は「お早いお帰りを」という意味だったのだと知りました。曾祖母が使っていた言葉。当時は遅く帰ってくるなんて不吉なことでしかなくて、だから早く無事に帰ってきてねという意味なのだと分かるとなんだかじんわりしました。
割と冒頭に意味が分かるのですがそんなじんわりとは裏腹に、曾祖母の榊さんはなかなか大変な人生を歩まれていたんですね。しっかりとされていて周りのこともちゃんと考える厳しいけど素晴らしい人だと思いました。それでも、心残りがあったんですね…。
小梅と榊のコンビは割と良かったですね。つぐみのように奔放でもないし家業が嫌なわけでもない。何かしたいことがあるわけでもない。それでも…と悶々としている小梅にはいい刺激になったんじゃないかな。ジュンさんとの出会いも好きでした。

<PHP研究所 2021.11>2021.12.20読了

たまごの旅人 近藤史恵4

たまごの旅人
近藤 史恵
実業之日本社
2021-08-11


地球の裏側で遭遇する“日常の謎”
未知の世界へ一歩踏み出す勇気がわいてくる物語
念願かなって、海外旅行の添乗員になった遥。アイスランドを皮切りに、スロベニア、パリ、西安で、ツアー参加客それぞれの特別な瞬間に寄り添い、ときに悩みながらも旅を続ける。
ところが2020年、予想外の事態が訪れて――

新人の海外添乗員である遥が個性豊かなツアー参加客に翻弄されながらも奮闘し、成長していく物語です。
遥が奮闘している姿は良いんですけど、ツアー客の中にいた不躾な男みたいな人っていまだにいるんだろうか…他人の女性にそれ以上食べたら太りますよなんて言う人いる?すんごい気持ち悪かったんですけど…。家族を卑下する人はいそうだけど…。読んでいるこっちも不快でした。そして海外に関するイベントでの話もイラっとしたなぁ。私が海外旅行に行くとすれば一人で行くのは不安だからツアーにすると思うけど…自分が出来るからってああいういい方はないと思う。ひどいなー。
少しずつ成長していった遥だけど、2020年の未曽有の感染症により遥は大好きな仕事から引き離されます。海外の添乗員…なんて最も打撃を受けましたよね…遥のような人、たくさんいたんだろうな…。海外添乗員さんが派遣が多いということも知りませんでした…。
1日も早く遥のような人たちが生き生きと仕事ができるような世界に、戻っていきますように。

<実業之日本社 2021.7>2021.10.11読了

夜の向こうの蛹たち 近藤史恵4

夜の向こうの蛹たち
近藤史恵
祥伝社
2020-06-11


小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻滅してしまう。織部の興味を惹いたのは、橋本の秘書である初芝祐という女性だった。初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった…。「第13回エキナカ書店大賞」受賞作家の最新作。

美人作家と呼ばれる新人、橋本さなぎの事が気になる妙、でもそれ以上に気になったのがさなぎの秘書である初芝祐だった。妙は祐に対して好意を持ち少しずつ距離を近づけていこうとする。それと同時に橋本さなぎという作家に対して疑念を持つようにもなる。
レズビアンである妙、コンプレックスの塊の祐、美人作家を完璧に演じているさなぎ。
3人の関係が少しずつ交わっていくにつれて様々な感情も交差するようになっていきます。
妙は言い方が何だけど本当に「上手く」生きてきたんだろうなと思います。容姿に恵まれて、レズビアンだから男に言い寄られても何の感情も持たないから適当にあしらうこともできる、仕事も持っていて食べるのにも困らない。だから「退屈」だと思っていたのかな。
さなぎと祐はまだ模索している最中のようでした。危なっかしい2人。始めは祐の方を応援していたのだけど、最後の方になったら2人ともちゃんと幸せになれば良いなぁという気持ちに変わっていました。
読み終えた後にも余韻の残る作品でした。

<祥伝社 2020.6>2020.7.14読了

歌舞伎座の怪紳士 近藤史恵5

歌舞伎座の怪紳士 (文芸書)
近藤史恵
徳間書店
2020-01-29


生活に不満はないけど、不安はある。家事手伝いの岩居久澄は、心のどこかに鬱屈を抱えながら日々を過ごしていた。そんな彼女に奇妙なバイトが舞い込んだ。祖母の代わりに芝居を見に行き、感想を伝える。ただそれだけで一回五千円もらえるという。二つ返事で了承した久澄は、初めての経験に戸惑いながら徐々に芝居の世界にのめり込んでいく。歌舞伎、オペラ、演劇…。どれも楽しい。けれど、久澄には疑問があった。劇場でいつも会う親切な老紳士。あの人っていったい何者…?

あらすじの通り主人公の久澄がバイトで芝居を見に行くので、こちらも観劇しているような気分になりました。自粛状態である今、この作品を読んでいたらますます観劇に行きたくなってしまって困りました^^;そして同時にやっぱり舞台は良いなと思いました。健康第一であることに変わりはないけど、早く観劇したいという想いも強くなりました。
歌舞伎は敷居が高いイメージがあったのですが、安いチケットもある事を読んで知りました。なかなか身に行くのは地方に住んでいると大変ですが、観に行きたいです。
舞台についてももちろん面白かったですが、毎回登場する素敵な老紳士の正体がとても気になりました。
物腰が柔らかく、久澄の言葉をちゃんと聞いてくれる優しい人。パニック障害を患っていても平常心で話せる人であるこの男性が何者なのか。
最後に種明かしがあって良かったです。そして最後の後にもまた物語が生まれそうで、余韻の残る素敵なお話でした。久澄も自分を見つめ直すきっかけにもなっただろうし、私も改めて考えることが多かったです。ありがたかったです(笑)
あー!舞台を観に行きたいなー!!

<徳間書店 2020.1>2020.4.10読了

みかんとひよどり 近藤史恵4

みかんとひよどり
近藤 史恵
KADOKAWA
2019-02-27


はじめたばかりの猟で遭難してしまった潮田亮二、35歳。相棒の猟犬と途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。かねてからジビエ料理を出したいと考えていた潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるよう交渉する。しかし、あっさり断られてしまい―。夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。謎の趣味を持つ敏腕サービス係。ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語。

雰囲気はタルト・タタンシリーズを思い出すような感じでしたが、読んでいくうちに当たり前ですが違う物語だなぁと想いながら面白く読みました。
優秀な成績で料理学校を卒業したにもかかわらずレストランの経営は失敗続きの潮田。山で1人猟師として暮らす大高。正反対の2人ですが徐々に打ち解け仕事仲間へと変わっていきます。大高の家が火事になったり、オオタカの仲間がライフル銃を盗まれたり、不穏な空気も忍び寄り、最初はフレンチの経営の話で進んでいくのかと思ったらミステリでしたね。大高の前職?は意外過ぎましたが、夢を諦めたっていうくらい懸けてやっていたものだったのかは私は読み取れなかったですが^^;大高という人物はとても魅力的でしたね。
見た目は大男で怖そうだけど、順応性はあるし料理は上手いし別に1人っきりでこもって自分の世界を持っているというわけでもない。潮田が憧れるのも分かります。2人とも互いが出会ったことで成長できたんだろうなと思います。
オーナーや若葉も魅力的でしたねー。この二人もある意味独自の世界観を持っていて生きていて楽しそう。
ジビエ料理って多分食べたことがないです。
私は胃腸弱い芸人なので^^;お肉とかも食べ過ぎちゃうとお腹壊しちゃう人だから、何となく私のお腹との相性は悪そう…。でも、オーナーがみるみる元気になったのなら、私も元気をもらいに食べてみたいなと思いました。

<KADOKAWA 2019.2>H31.3.20読了

ときどき旅に出るカフェ 近藤史恵5

ときどき旅に出るカフェときどき旅に出るカフェ
著者:近藤 史恵
双葉社(2017-04-19)
販売元:Amazon.co.jp

氷野照明に勤める奈良瑛子が近所で見つけたのは、カフェ・ルーズという小さな喫茶店。そこを一人で切り盛りしているのは、かつての同僚・葛井円だった。海外の珍しいメニューを提供するカフェ・ルーズ。旅を感じられる素敵な空間をすっかり気に入った瑛子は足しげく通うようになる。会社で起こる小さな事件、日々の生活の中でもやもやすること、そして店主の円の秘密――不思議なことに世界の食べ物たちが解決のカギとなっていく。読めば心も満たされる“おいしい"連作短編集。

良いなー良いなー。こんなカフェが近くにあったら私も入り浸りそうです。
世界の色んなメニューを日本で食べることが出来るなんて贅沢ですね。あまり食べ物で冒険したくない人には合わないかもしれないですが、私は結構冒険する人なので^^;色々挑戦してみたいかも。
また、円が素敵ですね。多分私と同世代くらいだろうなーと思って読んでいたのですが、年の割に落ち着いているような気がして、それはきっと円の秘密に隠されていたのかなと思いますけども。
連作短編集になっていて、どのお話も身近にありそうでまた分かるなーと思うところもあって、夢中になって読んでいたのですが、最後の話だけなんだか生臭かったですね…。本当に「関わらなかった人って、どうして自分には責任が一切ないって信じられるんだろう」でしたねー。
第三者が聞いたら本当におかしな話です。あんたそれで勝てると思ってるの?って言うかそこでお金使うの?バカじゃないの?って思いました←
出てきたメニューの中ではザッハトルテだけ食べたことがあります。以前グレーテルのかまどで登場したことがあって、気になって。生クリームはついてなかったな。生クリーム付きも食べてみたくなりました。確かに甘さがちょうどよくなるかも。

<双葉社 2017.4>H29.8.2読了

マカロンはマカロン 近藤史恵5

マカロンはマカロン (創元クライム・クラブ)マカロンはマカロン (創元クライム・クラブ)
著者:近藤 史恵
東京創元社(2016-12-12)
販売元:Amazon.co.jp

下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルは、スタッフ四人、カウンター七席、テーブル五つ。フランスの田舎を転々として、料理修業をしてきた変人シェフ三舟さんの気取らない料理と、身も心も温めてくれるヴァン・ショーは大人気。そして、実はこのシェフ、客たちの持ち込む不可解な謎を鮮やかに解く名探偵でもあるのです。豚足をめぐる少年と母親の再婚相手との物語、おしゃれな大学教師が経験した悲しい別れの謎、消えたパティシエが残した言葉「マカロンはマカロン」とは?…等々、胸を打つ話ばかり。ブーダン・ノワール、豚足料理、マカロン、ベリーのタルト…メインディッシュもデザートもきっとご満足いただけます。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!

またこのシリーズに会えるとは!嬉しいです^^3作目ですかね。三舟シェフが作る料理はどれも美味しそうで読んでいるとお腹が空いてきます…。
今回は短編が続いていましたね。どれも一癖も二癖もある感じで、さすが近藤さん…。最後のお話が一番後味が悪くて嫌な感じでしたねぇ…。
シェフは気難しい人ですけど、推理はピカイチで優しい人だと読み終える度に思います。
大学教授の恋はきゅんとしちゃいました。上手くいきますように。
少年と母親と再婚相手の話も好きでした。
こんなフレンチレストランなら行ってみたいなぁ。

<東京創元社 2016.12>H29.2.22読了

シャルロットの憂鬱 近藤史恵5

シャルロットの憂鬱シャルロットの憂鬱
著者:近藤 史恵
光文社(2016-10-18)
販売元:Amazon.co.jp

元警察犬シャルロットとの日常と事件をやわらかく描く、傑作コージーミステリー
シャルロットは雌のジャーマンシェパード。警察犬を早く引退し、四歳で池上家にやってきた。はじめて犬と暮らす夫妻にも、散歩などをきっかけに犬同士、飼い主同士のゆるやかな連帯も生まれてくるが、なかには不穏な事件を持ち込む者もいて──。

子どもが出来ないと思い悩む真澄に夫の浩輔が犬を飼わないかと提案するところから物語が始まります。私は犬を飼ったことがないのでそんなにたくさん散歩しなきゃいけないんだーと思ったり、井戸端会議の話でなるほどなーと思うことがあったり、読んでいて新鮮なところがたくさんありました。
連作短編集の中にはいろんな人の想いも散りばめられていて、少し胸が痛くなることもありました。奥さんに愛想を尽かされたあとで周りに取り繕って追い詰めようとする男とか、自分自身の目的のためだけに変に犬を手懐けようとする女とか。そこら辺の闇の描かれ方はさすが近藤さんだなぁと思いました。
香澄と浩輔の夫婦の雰囲気も素敵でした。本人たちも友だちみたいって言ってましたけど、私はそういう夫婦が理想です。いろんなことを話せるし意見も言えるようなそんな関係。
近藤さんの動物に対する愛情もたくさん感じた作品でした。

<光文社 2016.10>H28.12.23読了

モップの精は旅に出る 近藤史恵5

モップの精は旅に出るモップの精は旅に出る
著者:近藤 史恵
実業之日本社(2016-04-15)
販売元:Amazon.co.jp

おそうじ上手は謎解き上手――
読めば元気になれる大人気ミステリ〈清掃人探偵・キリコ〉シリーズ第5弾!
キリコは、オフィスや学校、病院に派遣される清掃作業員。
ミニのフレアにハイヒールで軽快に掃除をしながら、事件を解決する名探偵だ。
「大丈夫、世の中はお掃除と一緒だよ。汚れたらきれいにすればいい。
また、汚れちゃうかもしれないけど、また、きれいにすればいい」――
そう言ってこれまで鮮やかに謎を解いてきたキリコだが、今回の事件はかなり厄介なようで……
ハートウォーミングな連作短編ミステリ。

キリコちゃんシリーズ!!また出てくれて嬉しいです!でも今回が最後だそうで…。
寂しいですねぇ…。キリコちゃんも大介も大好きだったので…。
そして今回は色々重たいお話が多かったです。それぞれ感想をば。
第1話 「深夜の歌姫」
いきなり自分宛てに婚姻届が届いたらびっくりしますよね。恐怖に感じちゃうかも。
何となくどっちかが犯人だろうなとは思いましたけど、それにしても1番じゃなきゃいけないって思ってしまうのは負けず嫌いともまた違って怖いなと思いました。
自分の世界の中では主人公でありたいけど、世間の中での主人公じゃなくても良いなと思いました^^;
にしても大介のキリコの夫婦喧嘩の内容可愛すぎでしょ。
第2話 「先生のお気に入り」
ハンソンがチャラいわりに考え方はまっとうなのが面白くなくてイラッとしました←
でもこういう人って日本人女性はちょっと甘い言葉をかければころりと行くんだくらいに思ってると思うなー。
大人になっても、そういう子供のようなことをする人っていますよね。私もつい最近まで似たような目に遭っていたのでこの話は読んでいて辛かったです。ホントみっともないと私も思います。あの人がどうか元気になってちゃんと生活できるようになります様に。
第3話 「重なり合う輪」
これはひどい。本当にひどい…。私もすぐに気付きましたよ。男の人って本当に鈍感ですね。あの人がしたことは許されることではないけど、あの時から時間が止まったままという言葉がとても重たく感じました。どうかどうか前を向いて進むことが出来ます様に。
第4話 「ラストケース」
キリコと大介の話。2人は結婚して5年も経つんですね。
大介の家族の事は何となく知っていましたけど、キリコちゃんの家族も色々あったんですね。キリコちゃんは悪くないと思います。相手は陰険にもほどがありますね。その陰険な行動に対して動揺を全くしない大介がかっこよかったです。キリコちゃんの事が本当に大好きなんだなぁということが伝わってきて嬉しかったです。大介の家族も、キリコの家族も2人の事を悪く言う人は近づかないでほしいとすら思います。大輔の叔母さんの言葉、酷すぎますね。キリコがその場にいない(と思っている)にしても言って良いことと悪いことがあります。
終わっちゃうの本当に寂しいです。でも最後はスカッとしました。2人の笑顔が見えるようでした。物語は終わってしまっても、キリコちゃんはきっとどこかで鼻歌なんて歌いながら、掃除のお仕事をしているのかななんて思ったら気持ちも明るくなります。またいつかどこかで会えます様に。

<実業之日本社 2016.4>H28.5.19読了

スーツケースの半分は 近藤史恵

スーツケースの半分はスーツケースの半分は
著者:近藤史恵
祥伝社(2015-10-08)
販売元:Amazon.co.jp

人生は、一人旅。明日はどこへ行こう?
相棒は青いスーツケースただ一つ。
今日も残りの半分に、温かいドラマが詰まってゆく――
心がふわっと軽くなる、幸せつなぐ物語。
三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで見つけた青いスーツケースに一目惚れ、衝動買いをしてしまう。
そのとき、彼女の中で何かが変わった。心配性な夫の反対を押し切り、憧れのNYへ初めての一人旅を決意する。
出発を直前にして、過去のある記憶が蘇り、不安に駆られる真美。
しかし、鞄のポケットから見つけた「あなたの旅に、幸多かれ」というメッセージに背中を押され、真美はNYへ旅立った。
やがてその鞄は友人たちへとバトンされ、世界中を旅するうちに、“幸運のスーツケース"と呼ばれるようになってゆく――。
大丈夫。一歩踏み出せば、どこへだって行ける。
NY、香港、アブダビ、パリ、シュトゥットガルト……新しい自分に出会う、切なく優しい旅ものがたり。

読んでいたら、無性に旅に出たくなりました。私が行くところは国内ですけど^^
真美から始まったスーツケースの旅、スーツケースはそれから3人の友人に回り、元の持ち主の娘へ。
いろんな国を旅してスーツケースが羨ましいです。
「あなたの旅に、幸多かれ」という言葉が胸に染み入りました。
私は国内の一人旅をたまにしますけど、日頃行かないところへの旅って本当に良いですよね。特に北海道は歴史が浅めですけど道外は歴史が深くて見るところ見るところ歴史を感じたり。非日常を味わうことで日頃のもやもやが解消されたり何だか心が軽くなったり。不思議ですよね。
これから旅行へ行くときは、この言葉を胸に楽しみたいなと思いました。
特に好きだったのは花恵の章かな。そんな運命的な出会いをしちゃったら恋しちゃいますよねー。あー私も恋したいなー(棒読み)
「大丈夫。一歩踏み出せば、どこへだって行ける。」
という言葉、良い言葉ですね。何だか涙が出てきます。
この言葉も大切にまた一歩を踏み出していきたいと思いました。

<祥伝社 2015.10>H27.12.12読了

昨日の海は 近藤史恵4

昨日の海は昨日の海は
著者:近藤 史恵
PHP研究所(2015-07-18)
販売元:Amazon.co.jp

いつも通りの夏のはずだった。その事件のことを知るまでは……。
海辺の小さな町で暮らす高校生・光介。夏休みに入ったある日、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、心中と聞かされていた祖父母の死が、実は「どちらかがどちらかを殺した」無理心中事件であり、ここで生きていくために事実をはっきりさせたい、という決意を聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルも務めていた祖母。二人の間にいったい何が起こったのか。
残された写真が語るもの、関係者たちの歪んだ記憶、小さな嘘……。そして真相を追う光介が辿り着いた、衝撃的な事実とは……。
海辺の町を舞台に、青年のひと夏の冒険と成長を描く、切なくてさわやかな青春ミステリー。

久しぶりの近藤さん。やっぱり読ませますねー。
私は北海道から出たことがないので高知県の気候にまず驚いたかも。台風もこちらにはそこまで大きいのが上陸しないので…。
母親の姉とその子供と同居するって冒頭に言うから上手くいかないっていう「はぶらし」のような作品かなと思ったのですが違いましたね。ほっとしました。
そしてこの物語の核の祖父母の死の真相。
何もないこの地で生きていて少し退屈な光介が死の真相を知ろうと動いている姿は何だか水を得た魚のような感じでしたね。
1人で東京へ行ったくだりは詰めが甘いななんて思いましたけど^m^
祖父母のくだりはなるほどと思いましたが最後のレシートがどんでん返しなのかと思ったら裏付けのような形でちょっと拍子抜けしたかな。あれは犯人を確定したっていう意味合いなのかな。
近藤さんだからどんなえげつない最後かと思ったんですけど^m^
そこまでではなかったですね。
確かに、切なくてさわやかな青春ミステリだったと思います。

H27.8.29読了

私の命はあなたの命より軽い 近藤史恵3

私の命はあなたの命より軽い私の命はあなたの命より軽い
著者:近藤 史恵
講談社(2014-11-13)
販売元:Amazon.co.jp

「どうして人の命の重さには違いがあるの?」東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。実家で何があった?明らかになっていく家族を襲った出来事とは―。『サクリファイス』の著者が「命の重さ」を描く渾身ミステリー!!

いやー…後味悪かったですー。ずーっと嫌な感じがずっと続いていて最後にとどめをされた感じです…。イヤミスと言えば私は近藤さんを挙げます。そういう作品ばかりじゃないんですけども。
大好きだった家族の元へ里帰り出産した遼子は家族内の不穏な空気を感じます。
それが妊娠中で神経質になっているのか、違うのか、その真相について徐々に明らかになっていくお話なのだけど、もうずーっと重たくて暗い。
嫌な展開になるんだろうなと思って読んでいるからなおさらで^^;それでもその真相が気になるから読む手が止まりませんでした。
真相が分かって、まず思ったのは親の身勝手さでした。
確かに大きな出来事だったと思う事件と言ってもいいと思う。それでも両親がしたことは、自分の保身のためにやったとしか思えない。若者にはどんな形であれ未来があるのに、それを握りつぶした両親の罪は私は重いと思います。
育て方を間違えたなんて、最低の言葉です。
若者たちの方が現実から目を背けずに生きていこうとしていたのに。
美和が陥った境遇は美和だけが作り上げたものでは決してないと思います。
美和のことは良かったと思ったのに最後の最後。後味悪すぎ…
本当に好きなのか、それとも何かしらの復讐なのか。どっちにしても悪い方向に進んでいくならもうあの人はダメだなと思う。そんな未来じゃなくて、前を向いた未来をもって生きていってほしいなぁ。
タイトルを最後に見て、誰の事かわかるとぞっとしました。
でも、境遇はどうあれ、命に重いも軽いもないと思います。

〈講談社 2014.11〉H27.1.18読了

胡蝶殺し 近藤史恵

胡蝶殺し胡蝶殺し
著者:近藤 史恵
小学館(2014-06-20)
販売元:Amazon.co.jp

歌舞伎子役と親同士の確執を描くミステリー
「美しい夢ならば、夢の中でも生きる価値がある」
『サクリファイス』で大藪春彦賞、第5回本屋大賞2位を獲得した、近藤史恵氏が長年温めてきた、歌舞伎の子役を主人公にしたミステリー。
梨園を背負う2人は「胡蝶」を舞えるのか? 歌舞伎の奥深さ、そしてそこに生まれる確執と妄執…。歌舞伎子役の愛と夢を描いたミステリー。『本の窓』掲載を加筆・訂正し単行本化。

舞台が梨園なのは知っていましたけど内容は全く知らずに読みました。このあらすじを最初から読んでいたら、私は手に取っていなかったかも^^;確執とか嫌い。
でも確執というほど強くは読んでいて感じなかったですね。確かに由佳利の行動は行き過ぎてるなとは思いましたけど自分で自分の首を絞めてるだけですし。一方的でしたし。病気を分かってて舞台に出そうとしたところはあまりにも自分勝手でおいおいと思いましたけども。
萩太郎が冷静だったのも良かったのかもしれない。自分の子供、俊介が勿論大事だけど秋司のこともちゃんと立ててることが分かったので。
梨園って本当にいろんな人がいろんな場面でプレッシャーに感じるんだろうなぁ…。
近藤さんらしいドキドキする展開でしたけど、最後が良かったです。険しい道だろうけど応援するよ!と思いながら読み終えました。
にしても俊介君の成長ぶりに最後おばちゃんはじんわりしてしまいましたよ^m^

〈小学館 2014.6〉H26.7.24読了

さいごの毛布 近藤史恵5

さいごの毛布 (単行本)さいごの毛布 (単行本)
著者:近藤 史恵
KADOKAWA/角川書店(2014-03-26)
販売元:Amazon.co.jp

幼い頃から自分に自信が持てず、引っ込み思案。家族とも折り合いが悪く就職活動も失敗続きだった智美は、友人の紹介で、事情があって飼い主とは暮らせなくなった犬を有料で預かる老犬ホームに勤めることになる。時には身勝手とも思える理由で犬を預ける飼い主たちの真実を目の当たりにして複雑な思いを抱く智美は、犬たちの姿に自らの孤独を重ねていく。最期を飼い主の代わりに看取る「老犬ホーム」。身勝手な過去とすれ違うばかりの愛情が、ホーム存続の危機を招いて―。『サクリファイス』の近藤史恵が紡ぎ出した新たな感動物語。

近藤さんの作品に登場する女性って、私がかつて悩んでいたり今まさに悩んでいることを抱えている人が主人公なことがわりとあって胸がキュッとなる時が多いです。でも、そんな主人公が徐々に成長して前向きになっていく姿を見ると応援したくなります。今回の主人公である智美もまさにそんな感じでした。
学生の頃は優等生だけど就職活動は全戦全敗。面接で人の目を見て話せないから。人とかかわることが得意ではなく鈍くさくて家族にまで避けられている智美。智美が友人の紹介もあってようやく得た職場は老犬ホーム。事情があって暮らせなくなった犬を有料で引き取る施設。ここで智美は徐々に仕事を覚え、やりがいを感じていきます。
老犬ホームの現状、オーナー麻耶子の事情、職員の碧の秘密に智美の抱える問題。いろんなことが起きるのだけど、そのまとめ方が見事だなと思いました。疑問に思うことがたくさんあるのだけど、それが徐々にわかってくるとさまざまな結びつきも見えてきたりして。近藤さん上手いなーと思います。
近藤さんは犬が出てくる小説をたくさん書かれていますよね。犬がお好きなんでしょうか。
私は犬が特別好きなわけではないけど、きっとここでは働けないと思います。いろんなことに対して憤ったり悲しんだりして苦しくなるような気がする。だから智美は強くてそして優しい子だと思いました。
色々あったけど、少しずつ解決していって本当に良かったです。
ほっとしてそして温かな気持ちになれる作品でした。

〈角川書店 2014.3〉H26.4.23読了

土蛍 猿若町捕物帳 近藤史恵4

土蛍 猿若町捕物帳土蛍 猿若町捕物帳
著者:近藤 史恵
光文社(2013-06-19)
販売元:Amazon.co.jp

「むじな菊」同心・玉島千蔭のもとに長屋の差配人・銀治という男から頼み事が持ち込まれた。彼の店子である新粉細工師の長六・良江夫婦と、良江の兄・作二郎の諍いを仲裁して欲しいという。
一方、吉原で火事が起き、その被害に遭った青柳屋の花魁・梅が枝が、他の遊女たちと武家屋敷に避難しているという話を聞く。そんな中、千蔭が作二郎と会いに行く前に、銀治が何者かに殺されてしまい、千蔭は捜査に乗り出す。
「だんまり」髷を切られるという事件が続いていた。その被害者である北大門町の油屋井筒屋の手代・伴蔵に話を訊きに出かけた千蔭。その帰り、中村座付きの作者・桜田利吉と娘が橋の上で言い争うのを止めたが、夕方利吉が相談に現れた。その娘は破門された兄弟子・利十郎の妹・お鈴。他に身寄りのない兄妹のふたり暮らしだが、利十郎こと権三は博打好きで巴之丞が借金を代わりに返しても、すぐに借金を作り既に見放されているらしい。どうやらお鈴を吉原に売るつもりらしい権三。そんなお鈴を玉島家でしばらく預かることにした。
「土蛍」中村座を訪れた千蔭は、人気女形・水木巴之丞から梅が枝の身請け話を聞かされる。二ヶ月ほど前、火事で焼け出された折に身を寄せていた屋敷の主・旗本の小野外記が身請けするというのだが、彼は梅が枝の同輩の遊女・雛鶴のなじみであったはず。他の女に心移りを嫌う世界であるはずなのに…。
一方、上方から中村座にやってきた岩井杉蔵は、女ぐせが悪く、あちこちに女を作っては捨てているという評判の悪い男がいた。
そんな中、杉蔵の弟子・新八が舞台のスッポンで首をくくるという事件が発生。女房のおりょうは杉蔵の女だったが、彼の子どもができるとともに捨てられたところで、新八が所帯を持ったという。しかし新八はそんな境遇を不満に思うことなく、むしろ喜んでいたというのだが。
「はずれくじ」怪我をして大工をやめ、棒手振りの八百屋をしていた直吉。しかし客がつかない貧乏暮らしで皆に見放される中、隣に棲むはる坊だけがやさしく接してくれた。
ある日、同じ長屋の後家・お米から富くじを一緒に買わないかという話を持ちかけられた直吉だったが、その後遺体となって見つかる。お米から富くじの話を聞いた千蔭はその行方を探すことにする。

猿若町捕物帳シリーズ第5弾です(多分)と言っても私は初期の方は読んでいないので千蔭と巴之丞と梅が枝の出会いはいまだに分かっていないのですが^^;
同心千蔭の元にやってくる事件の数々。千蔭の機転で解決していくのですが何とも後味が悪くて切なくなるお話が多いですね。
そんな中でも千蔭には歳の離れた妹、おたつが生まれてそこは少し癒されます。
梅が枝は相変わらず情に厚くてかっこいいです。無理かもしれないけどやっぱり2人の進展に期待したいです。まあ、身分関係なく千蔭は真面目すぎて鈍すぎるから、どうかなと思うけど…
一番印象的だったのはやっぱり表題作の「土蛍」かな。梅が枝の身を挺して後輩を守った姿がかっこよかった。事件は切なくて悲しかったけど。
でも、ここで終わればよかったのにどうして「はずれくじ」が最後添え物のように入っていたのか。ここだけなんだか異質というか番外編のように感じました。こんな軽く言ったら死んだ人が可哀想だけど…

〈光文社 2013.6〉H25.7.20読了

キアズマ 近藤史恵5

キアズマキアズマ
著者:近藤 史恵
新潮社(2013-04-22)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
決して交わるはずのなかった、俺たち。喪失を超えるように、ただ走り続ける――。命をかける覚悟? 誰かを傷つける恐怖? そんなもの呑み込んで、ただ俺は走りたいんだ。ひたすらに、自分自身と向き合うために。助けられなかったアイツのために――。一年間限定で自転車ロードレースに挑むことになった正樹。「サクリファイス」シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部! ファン待望の最新長編小説。

ロードレースシリーズの第4弾。
チカたちの話かと思ったら新シリーズになっていましたね。今回の主人公は大学生。そしてロードレースに目覚めるところから始まります。
このシリーズ、好きなのだけどいつもドーピングがあったり、ドロドロしてる感じがちょっと苦手だったのだけど、今回は何だか爽やかだったなー。
学生だったからかな。みんなが抱えている問題はそれぞれあるのだけど、でも純粋にロードレースと向き合っている姿は櫻井も正樹も、隅田だって村上だってかっこよかったです。
櫻井の抱えているものは凄く重たい重圧だけど、でも正樹も抱えることになったのだからそれでいいんだと思います。正樹も自分が抱えているものを、この人たちの前なら吐き出しても良いんじゃないかと思いました。
どこか残酷で、それでいて美しい素敵な作品でした。
櫻井や正樹の今後をもっと読んでいきたいと思います。
あ、そういえば赤城さんが登場しましたね。今までのシリーズと繋がって少し嬉しかったです。

〈新潮社 2013.4〉H25.6.18読了

はぶらし 近藤史恵3

はぶらしはぶらし
著者:近藤 史恵
幻冬舎(2012-09-27)
販売元:Amazon.co.jp
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10年ぶりに会った友達を、どこまで助けたらいい?
脚本家の鈴音は高校時代の友達・水絵と突然再会した。子連れの水絵は離婚して、リストラに遭ったことを打ち明け、1週間だけ泊めて欲しいと泣きつく。鈴音は戸惑いながらも受け入れた。だが、一緒に暮らし始めると、生活習慣の違いもあり、鈴音と水絵の関係が段々とギクシャクしてくる。マンションの鍵が壊されたり、鈴音が原因不明の体調不良を起こしたり、不審な出来事も次々と起こる。水絵の就職先はなかなか決まらない。約束の1週間を迎えようとしたとき、水絵の子供が高熱を出した。水絵は鈴音に居候を続けさせて欲しいと訴えるのだが……。人は人にどれほど優しくなれるのか。救いの手を差し伸べるのは善意からか、それとも偽善か。揺れる心が生む傑作ミステリー!

あらすじを読んだ時点できっとちょっとイラッとするような内容だろうなと思ってました^^;案の定そうでした…。
自分だったらどうだろうと物凄く考えました。
10年ぶりに会った友人から、しばらく泊めてくれと連絡があって(しかも子連れ)、どうぞと言えるかなと。
鈴音の友人の茉莉花も言っていたけど、物凄く久しぶりに会おうっていう友人って怪しいと私も思う。自分の場合だけど、もちろん久しぶりに会って近況報告して楽しかったという場合もありましたけど、私も実際に嫌な目にあったことがあったし。
私は数年ぶりに会えると思っておめかしして、何を話そうかなと楽しみにしていたのに、マルチ商法っぽいものを数時間ずーっと説明され続けたこととかあったもんなぁ・・・。あの時は私も気が小さかったから(今もか)何も言えなくてメソメソして帰ったけど。
生活環境の齟齬はしょうがない部分もあるけど、水絵は結構あからさまだったかな。本性を出すような出さないような。そこが人を頼りにしまくって得た技術なのかもしれないけど。それでも茉莉花じゃないけど、本当に鈴音はお人好しすぎると思う。子供が絡んでいるとはいえ介入しすぎというかおせっかいというか何と言うか。気持ちは分かるけど。
最後はああするしかなかったと思う。そこまで考える必要はなかったと思う。うん。
最後の耕太君の姿が救いだったかな。

〈幻冬舎 2012.9〉H24.10.17読了

シフォン・リボン・シフォン 近藤史恵5

シフォン・リボン・シフォンシフォン・リボン・シフォン
著者:近藤 史恵
朝日新聞出版(2012-06-07)
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オススメ!
さびれた商店街に花ひらいたランジェリーショップ、そこに出入りする人々の人生模様。レースやリボン、小さな花柄の下着が、行き詰まった人間関係をなぜかほどいていく。地方都市に生きる人々の屈託と希望をえがく、摩訶不思議小説集。
「第一話」
佐菜子は母親の介護をしつつパートとして働いている。
両親が介護され、お金を家に入れるのは当たり前だと言って佐菜子の優位に立っていることに対し、佐菜子は何も言わない。いつも通っていた書店が閉店することを知り、次のお店は何か楽しみにしていたが、ランジェリーショップだと知り落胆する。佐菜子は胸が大きいというコンプレックスを抱えていた。
「第二話」
均は書店の後に入ったランジェリーショップが気になっていた。理由を付けてお店の中に入ると女性が一人で商売をしており、印象は良かった。均はあるとき、息子の篤紀がそのお店に入っていくのを見てしまう。
「第三話」
水橋かなえは教師一族の家庭から飛び出し、東京でランジェリーショップを開く。がむしゃらに働いてきたさなか、30代でがんを患う。その後母親が倒れたことを知り、地元へ戻る決意をする。
「第四話」
お店に気品のあるご婦人がやってきた。彼女は「郷森の市原」と言えば誰もが分かる資産家だという。彼女はやってきてもいつも買うそぶりをするが買わずに帰る。商店街の呉服店の女主人がその女性には気をつけろと言った。

ランジェリーショップ、行ったことありません…。私には敷居が高くて…。
私ぺちゃぱいなのですよ〜。ジョギングシーズンになったら心なしか更に小っちゃくなってる気がするし。。。ちっちゃいから恐れ多くて。
でも、こんなふうにかなえさんに優しく接客してもらえたら、入ってみても良いかなと思う。
第一話の佐菜子の境遇があまりに可哀相で親に腹が立ったのだけど、何だか共感できる部分もあって。かなえさんが言った言葉があまりにも私にもあてはまってちょうど似たようなことがあったもんだから、読んでいて不覚にも涙が出てきて電車に乗っている時だったので拭うのが大変でした。
p56「いくつになってもね。親と子では絶対にわかり合えない部分があるんですよ。それでも大人になれば、親の方は無理にわかる義理もないし、子供の方じゃ無理にわかってもらう義理もないわけですからね」
この言葉を読んで涙が出るっていう事は、私は親に自分の事を理解してほしかったんだなと思って。でも分かってもらえてないと思っているから、苦しいんだなぁと思って、それが分かって涙が止まらなくなったんだと思うんです。
でも、親が完璧な人間なわけでもないし、もちろん私も全然まったく完璧な人間なわけがないんだから、仕方ないんだって割り切る部分も大人になったら必要なんだって今更気づきました。かなえさんに教えてもらった気がします。
その後の言葉も好きでした。
第二話の青年の話も好きだったし、かなえさん自身の話も好きだった。
かなえさんは凄いです。母親に酷い言葉を言われて傷つけられても側に寄り添えることが出来るんですから。私も早く大人になりたい。

〈朝日新聞出版 2012.6〉H24.6.21読了

アネモネ探偵団3 ねらわれた実生女学院 近藤史恵5

アネモネ探偵団 3アネモネ探偵団 3
著者:近藤史恵
メディアファクトリー(2012-03-02)
販売元:Amazon.co.jp
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お嬢様学校の実生女学院に通う、智秋・あけび・巴の三人は、大のなかよし。ある日、学校で盗撮事件が発生し、今後一切カメラ機能のついているものの持込が禁止された。その、盗撮犯として疑われているのが、隣の実生中学に通う光紀と時生だった。本当の犯人は誰なのか? アネモネ探偵団が動き出す!

アネモネ探偵団第3弾。最後は巴が主人公です。
今回は3人の通う実生女学院で起きたある事件。
3人のクラスメートの五月がある事件に巻き込まれます。そして光紀と時生も知らないところで巻き込まれています。
光紀が子供は不条理だとすねていたところにおじさんが言った、大人だって不条理なところはたくさんあるといって諭すところがとても印象的でした。おじさんはいつも子供っぽいけどたまにカッコイイことを言うんですよね。
智秋・あけび・巴と五月が4人でやったあること、お嬢様だから思いつくし実行するんだろうなぁ・・・と若干呆れて、ドキドキして読みました。
事件はわりとあっさりと解決しましたけど面白かったです。
子供は親を選べないといっていたけど、どんな形であれ子供は親に愛されているんですよね。
っていうことを伝えてくれた作品だったと思います。
これで3人それぞれの物語は終わりましたね。近藤さんのあとがきを読むとこれからもまだまだ続きそうですが、4弾はどんな形になるのでしょうか。いずれにしても楽しみです。

<メディアファクトリー 2012.3>H24.3.14読了

ダークルーム 近藤史恵4

ダークルーム (角川文庫)ダークルーム (角川文庫)
著者:近藤 史恵
角川書店(角川グループパブリッシング)(2012-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
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「マリアージュ」シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、不審に思った内山が問いかけると、女は意外な事実を語りだして…
「コワス」明充は好きな女性が出来、3年間付き合っていた友子に別れを切り出した。友子はその後自殺をし、それ以来、彼女の貴佐の様子がおかしくなった。
「SWEET BOYS」真紀と孝哉には親友同士で夫婦になった涼子と毅がいた。2人には忍という子供がいた。しかし、涼子が育児ノイローゼになって自殺したという。真紀には涼子の死の理由が分からない。少しの間真紀たちは忍を預かることになった。
「過去の絵」芸術大の同級生に牧という男がいた。彼の叔父は小野寺という画家だった。その小野寺に学生が注目していたころ、牧に盗作疑惑が浮上する。
「水仙の季節」はるのとあきのという双子モデルの写真を撮ることになった木下は双子と親しくなる。しかし、その双子のマネージャーが何者かに殺害された。
「窓の下には」久美の住むアパートの下の階に親子が引っ越してきた。そこには人形のように可愛い女の子とウサギがいた。久美は彼女と仲良くなりたかったのだがなかなか会うことが出来ない。
「ダークルーム」琢己が榊と出会ったのは専門学校だった。カメラを専門としており、琢己は榊のカメラ技術に惹かれた。2人は次第に恋愛へと発展していくが、琢己には気になることがあった。実家で暮らす母と、やたらと自分にべったりしている友乃の事だった。
「北緯六十度の恋」多佳子と園子は旅行でフィンランドへ来ていた。2人は恋人同士だ。多佳子はもしかしたらこれが園子との最後の旅行だと思っていた。多佳子には園子にずっと隠し続けていることがあった。

近藤さんの短編集です。
いや〜凄いです。解説の方も書かれていますが、近藤さんは本当にたくさんの引き出しがありますね。どの作品もちょっとミステリっぽいのですが、ほわっとしたいい感じで終わるものもあれば、ぞぞっとする終わり方もあり。近藤さんの書かれる本はどっちの終わり方も好きです。
全く予期していなかった終わり方だったのは「SWEET BOYS」かな。終わり方が怖くて痛かった。自分たちが良ければいいの?って、容姿に自信のない私は主人公の女の子たちと同じようなことを想った。
良かったのは「北緯六十度の恋」2人の共通点と多佳子のもくろみは驚いたのだけど、それでも本当に気づいて良かった。幸せな気持ちになれた話でした。
やっぱり近藤さんの作品は好きだー!
また今月新刊が出るので楽しみです。

<角川書店 2012.1>H24.3.1読了

ホテル・ピーベリー 近藤史恵4

ホテル・ピーベリーホテル・ピーベリー
著者:近藤 史恵
双葉社(2011-11-16)
販売元:Amazon.co.jp
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不祥事で若くして教師の職を追われ、抜け殻のようになっていた木崎淳平は、友人のすすめでハワイ島にやってきた。宿泊先は友人と同じ「ホテル・ピーベリー」。なぜか“滞在できるのは一度きり。リピーターはなし”というルールがあるという。日本人がオーナーで、妻の和美が、実質仕切っているらしい。同じ便で来た若い女性も、先客の男性3人もみな、日本人の旅行者だった。ある日、キラウェア火山を見に行った後に発熱した淳平は、和美と接近する。世界の気候区のうち、存在しないのは2つだけというこの表情豊かな島で、まるで熱がいつまでも醒めないかのごとく、現実とも思えない事態が立て続けに起こる。特異すぎる非日常。愛情、苦しみ、喜び、嫉妬―人間味豊かな、活力ある感情を淳平はふたたび取り戻していくが…。著者渾身の傑作ミステリー。

近藤さんの作品は何が起こるんだろうと、事件が始まる前の段階が読んでいてドキドキします。伏線があるのに私はいつも全然気づかないしわかりません^^;
この作品の舞台はハワイ島で日本人が経営しているホテル。ピーベリー。
素敵なホテルなのだけど、ここに滞在できるのは一生に一度きり。期間は最長3か月。
主人公の木崎が訪れた時にはすでに日本人がいて、誰もが自分に対して干渉しない自由な雰囲気。それに木崎はほっとする。初めは木崎の過去は語られないのだけど、徐々に明らかになっていきます。
木崎が日本を離れたかった理由。木崎という人間と長い間関わっていくとノーマル?で危険性はないと分かるのだけど、日本でしたことは・・・う〜ん。しょうがないのかなというか、そう思われても仕方ないというか・・・。疾しいことを何も一切していないのならせめて6年待てばよかったんじゃないか?とも思うし、相手の本気度なんて信頼性が薄すぎるのは目に見えてるし・・・。やっぱり軽薄としか言えないかな。かわいそうだとは思うけど。
他の旅行者たちも何も語らない分、最初はなぜ長期旅行をしているのか、謎で怪しかったけど、桑島さんの気持ちは共感できる部分はあったかな。私も割と桑島さんと同じようなタイプ。綺麗な人ではないけど^^;そこじゃなくて。小中高大と大きな問題もなく割と「いい子」で育ってきた。そういう人を見る男性の目も何となくわかる。相手の言った「許す」という言葉。それが桑島さんに対する想いのすべてなんだと思いました。すべてが自分の思うようにしないと気が済まない。そしてそうしてくれると思ってるしそれが当たり前だと思っている人なんだろうなと思います。
あ〜あの上から目線はムカついた〜。
読んでいない人には意味不明な文章だと思いますが^^;私も、叱られても愚痴られても良いから毎回遠くででも迎えに来てくれる人が良いな。
ミステリ部分は結構終盤になるのですが、なるほど。と納得。だからリピーターは受け入れなかったんだなと思ったし、青柳は避けていたんだろうなと思う。
事件は何とかなるけど、あとは木崎の問題かな。最後の一文が好きです。たぶんこれからはちゃんと前を向けるようになるんだろうなと思ったので。
残念だったのは「夏への扉」が未読だったこと。読んでいれば心情の深い部分までちゃんと理解できただろうなと思ったらちょっと悔しいです。

〈双葉社 2011.11〉H23.12.19読了

サヴァイブ 近藤史恵4

サヴァイヴサヴァイヴ
著者:近藤 史恵
新潮社(2011-06)
販売元:Amazon.co.jp
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他人の勝利のために犠牲になる喜びも、常に追われる勝者の絶望も、きっと誰にも理解できない。ペダルをまわし続ける、俺たち以外には―。日本・フランス・ポルトガルを走り抜け、瞬間の駆け引きが交錯する。ゴールの先に、スピードの果てに、彼らは何を失い何を得るのか。
「老ビプネンの腹の中」
チカは日本の雑誌の取材を受けることになった。しかし、そのライターはロードレースのことは無知な人間で、中身は聞かずとも決めているようだった。取材中、チカの元へ電話が入る。チームメイトが亡くなった。死因は薬物の過剰摂取だった。
「スピードの果て」
伊庭和実は自転車で車道を走行中にオートバイに乗った若者に呷られ、撒こうとしたときにワゴン車が現れ、オートバイを運転していた若者は死亡した。それ以来今までは感じたことがなかった恐怖を感じるようになる。
「プロトンの中の孤独」
「Story Seller」に書いているので割愛。
「レミング」
「Story Seller2」に書いているので割愛。
「ゴールよりももっと遠く」
「Story Seller3」に書いているので割愛。
「トゥラーダ」
「Story Seller2011」に書いているので割愛。

「サクリファイス」「エデン」に続いて続編だ〜と思ったのですが、短編集。
しかもアンソロジーで読んだことのある作品ばかりだったのでちょっと拍子抜けでした。楽しみにしていたんだけどな。
「老ビプネンの腹の中」と「トゥラーダ」はチカこと白石誓の物語。
「スピードの果て」はチカのオッジ時代のチームメイト伊庭和実の物語。
他3作品は石尾と赤城の物語です。石尾と赤城の物語は1度読んでいるので懐かしさを感じました。「サクリファイス」を読んだのもだいぶ前なので、もう1度読み返したいな。
それでも、近藤さんの作品は大好きなのだけどこのシリーズは読むのに、ちゃんと意気込まないと読めません。
「ドーピング」「薬物摂取」「八百長」「チーム内の不仲」「人の死」たくさんのものが渦巻いているからです。爽やかさを感じたくても感じられないというか・・・。
そんなにロードレースの世界はひどいのか!?と思わずにはいられなくて。
もちろんそんなことはないと思っているのですけど。
それでも自分よりも何回りも大きな選手がまわりにいる中チカはその環境に溶け込んでロードレースに挑んでいてそれはすごいと思います。
その過酷なレースを超えたところに何かが見えるんでしょうね。
読むのに意気込むとか言っておいて、結局読むんですよね。
また続編が出るのを楽しみにしています。

<新潮社 2011.6>H23.8.2読了

三つの名を持つ犬 近藤史恵4

三つの名を持つ犬三つの名を持つ犬
著者:近藤史恵
徳間書店(2011-05-17)
販売元:Amazon.co.jp
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愛犬エルとの生活を綴ったブログがきっかけに、ようやく仕事が入り始めたモデルの草間都。彼女にとって、エルとの絆はあらゆる意味で人生の救いだった。だがある夜、デートから帰るとエルは死んでいた。犬嫌いの男と会っていたばかりに……。自分を責める都。エルの死は、モデルの仕事の危機も意味していた。追い込まれた都の前に、エルそっくりの犬が現れる。犬を愛するひとなら号泣必死のサスペンス。

ネタバレあります

久しぶりに近藤さんのサスペンスもの?を読んだ気がします。暗めと言いますか^^;
始めのあまりにも怒涛な展開に「え〜!」と思いついていけなくなりつつも読む手は止まらずあっという間に読んでしまいました。
愛犬家は必読かどうかは分からないけど、犬を飼っていない人でも十分楽しめた作品でした。でも、泣きはしなかったな。愛犬家は泣くのだろうか、どうだろう。
都が恋人と会っていたがためにエルが亡くなってしまい、モデルとしての仕事がなくエルありきの生活をしていた事で混乱したのは分かります。
そこでそっくりの犬をホームレスの男が飼っているのを見つけ、つい誘拐してしまうと言うのも、必死の状態だと分かる気がするんです。
でも、その後の修羅場というか何というか・・・。いや〜サスペンスですねぇ。
そもそも都は、どうしてこんな男と付き合っていたのだろう。妻子持ちの男でも、魅力的ならまあそういう関係になってしまっても仕方がないのか。とは思うけど(私はしませんよ!容認もしてませんよ!)にしては橋本と言う人物に魅力はあるのかと言えば私は全く感じなかった。何だか女遊びをもの凄くしてそうだし、簡単に「俺と犬とどっちが大事なんだよ」なんていう愚問を簡単に言うし、相手の弱みに平気でつけこむし・・・。あぁ、何だかイライラしてきた。何だかキレたあとの橋本の言葉が「てめぇが言うな!」とぶん殴りたくなりました。奥さんのした行動も分からなくもなかったりして。愛想着かしてたんだろうなぁ。
と言う事で最初の展開はポカンとしてしまったところもあったのだけど、都の犯した罪についてを嗅ぎ付けた輩がどう行動するのか、都はどうなるのか、江口との関係は?といろんな部分が気になってドキドキしました。
江口は始めから割りと好感を持っていたのですが、都と出会った事で自分の若気の至りを反省して前を向ける事ができてよかったと思います。奈落の生活から自力で抜け出したと思うし。
最後の都の選択は私は正しかったと思います。どんな形であれ罪は罪だから。
でも、都にはちゃんと待っていてくれる人がいるのだから、幸福ですよね。

〈徳間書店 2011.5〉H23.5.31読了

モップの精と二匹のアルマジロ 近藤史恵5

モップの精と二匹のアルマジロ (ジョイ・ノベルス)モップの精と二匹のアルマジロ (ジョイ・ノベルス)
著者:近藤 史恵
実業之日本社(2011-02-18)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
ぼく(大介)の妻は、清掃作業員として働くキリコだ。ある日キリコは見知らぬ女性から「夫の浮気を調べてほしい」と頼まれる。ところが思いがけない事故が発生して―。地味な妻と目が覚めるほど美形の夫、どこか不釣り合いな夫婦に秘められた謎に、キリコ&大介の名コンビが迫る本格ミステリー。

読みました〜^^ずっと会いたかったキリコちゃんと大介。
おばあちゃんが亡くなって、もうシリーズはないのかなぁと思っていました。
でも、ありましたね^^良かったです。
そして今回は初の長編!そして1作品目以来の主人公が大介っていう。
確か2作目と3作目はキリコちゃんが働いているところのオフィスの誰かが語りでそこに登場するキリコちゃんっていう感じだったような。その中の1作品が大介が主役とか、そういうのはあったけど。
キリコちゃんも23歳になったんですね。若いんですけど、それでも始めは10代だったと思うので、大人になって・・・と思います^^気分は近所のオバちゃんですね。キリコちゃんは掃除も凄いですが、料理も上手なんですね〜。言葉だけなのだけど、料理がとっても美味しそうでした。
今回は大介の語りなのですが、結婚して5年経っても大介はキリコちゃんのことが本当に大好きなんだなって言う事が伝わってきます。「キリコにまかせるよ」って言う台詞があるんですけど、普通この台詞は責任を押し付けてるように感じるのですが、大介は決してそういう言い方ではないんですよね。キリコちゃんの意見を尊重させてるんです。それで、もしキリコちゃんが何かを誤ってしまっても、きっと大介はフォローして助けてくれるんだって言うのが分かる。その関係性がとても素敵で可愛らしい。
キリコちゃんが大介の事を「恋愛感情が薄れてきてる」と言った時の大介の「ええええぇ!」っていう台詞がたまらなく可愛くて愛おしく感じました。
久しぶりに、こんな恋人もしくは旦那さんが欲しいなって思えました。
そして事件?についてですが、なるほどーと言う感じでしょうか・・・
美形夫の病気?性質?の言葉は初めて知りました。本当にそういう病名?があって、闘っている人がいるんですよね。だから、夫の事は責められないと思いました。
でも、確かにキリコちゃんの言うとおり、愛情の感じ方は人それぞれで、ただ一緒にいて楽しいとか、落ち着くとか、そういう感情だけでもいいと思うんですよね。そういうさりげない感情が、愛情へと結びつくんじゃないかなって思います^^
やっぱりこのシリーズ大好きです!
また、ぜひ出して欲しいなぁ。

〈実業之日本社 2011.2〉H23.4.5読了

アネモネ探偵団2 迷宮ホテルへようこそ 近藤史恵5

アネモネ探偵団 2 迷宮ホテルへようこそアネモネ探偵団 2 迷宮ホテルへようこそ
著者:近藤 史恵
メディアファクトリー(2011-03-04)
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"智秋、巴、あけびの三人は、私立実生(みしょう)女学院に通う中学生。お嬢様学校として有名な彼女たちは、隣の中学に通う普通の男子中学生、光紀と時生に出会いました。5人がくりひろげる、わくわくドキドキの本格ミステリー。今回の主人公は、キュートな見かけとクールな内面のギャップが人気の、あけび。
あけびのパパのもとに届いた、脅迫状を読んでしまった、あけび。
そこには、パパが仕事を辞めなければ、ママに不幸が襲うと描かれていて--。"

以前書かれたアネモネ探偵団の第2弾です。
何となく続編がありそうだなと思いましたが、シリーズ化されそうですね。
児童書でのシリーズは初と言う事で、前回に引き続いていつもとは少し違う近藤ワールドを楽しみました。
大人向けの小説を書かれている方の児童書バージョンって、振り仮名が振られていても意味が難しかったりする場合もありますが、近藤さんはそんな事はなくて。
きっと、中高生もちゃんと理解できる内容だと思います。
前回の智秋の話も面白かったけど、今回はあけびの話。あんなに複雑な家庭の事情を抱えていたのか。
大人はいつまでも子どもだと思うけど、子どもは心は結構早く大人になるんですよね。
その複雑な心情が上手く書かれていたなぁと思いました。
そしてそれが難しく書かれていたわけでもなく。
光紀と時生もまさかの展開で大活躍で^^;良かった良かった。
そしてそして、今回は何と近藤さんのあとがきつき!
中高生に向けてメッセージを書かれていました。
自己紹介の中に自転車レースを見ることとかかれていました。
だから「サクリファイス」や「エデン」が生まれたんですね〜
やっぱり好きじゃないとあそこまで書けないですよね^^
第3弾は巴ちゃんの物語。
今からとても楽しみです。

〈メディアファクトリー 2011.3〉H23.3.19読了

砂漠の悪魔 近藤史恵3

砂漠の悪魔砂漠の悪魔
著者:近藤 史恵
講談社(2010-09-30)
販売元:Amazon.co.jp
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大学生の広太は小さな悪意から親友を死なせてしまう。平凡な大学生活から一転、極寒の北京で日本人留学生の鵜野と出会い、広大な中国西部を旅することに…。終着地のウイグル自治区で、広太は生きる意味を見いだせるのか。

展開がいろいろありすぎて、気になってあっという間に読んでしまいました。
最初の話の雰囲気で、私、石持さんの作品を読んでいるのかと思いました。
雰囲気が似ている気がしたんです。私だけかな^^;?
小さな悪意から、ヤクザにゆすられ、中国に渡り、密輸をし、逃亡。
始めは普通の大学生だったはずなのに、展開が速いです。
広太がした事は、許される事ではないと思う。でも、広太が人殺しではない。
いろんな想いが合わさってしまったもので、広太だけが悪いのではないと私は思う。
広太は、広い世界を見て、どう思ったんだろう。
読んでいるだけで、私の生きている世界は、何て小さいんだろうと思った。
ニュースを見たり、新聞を読んだりはするけど、世界情勢については報道された事しか分からないから、実際問題はどうなのかって良く考えると分からないことだらけだなとも思う。
広太は雅之やユウに出会えて幸せだったのだと思う。
あそこまで懸けて助けてくれる人は、日本にはいないと思う。
多少の見返りはあったとしても。
だから、最後の展開は衝撃だった。
あんな目に遭うくらいの罪を、2人は背負っていないと思う。
最後の最後に、ずしっと来た作品でした。

〈講談社 2010.9〉H22.11.3読了

あなたに贈るX 近藤史恵5

あなたに贈るキス (ミステリーYA!)あなたに贈るキス (ミステリーYA!)
著者:近藤史恵
販売元:理論社
発売日:2010-07-28
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オススメ!
感染から数週間で確実に死に至る、その驚異的なウィルスの感染ルートはただひとつ、唇を合わせること。昔は愛情を示すとされてその行為は禁じられ、封印されたはずだった………。
全寮制の学園リセ・アルビュスである日、一人の女生徒が亡くなった。人気者の彼女の死は学園に衝撃を与えた。さらに、死因が禁断の病によるものだとの噂が。
誰が彼女を死に至らせたのか?不安と疑いが増殖する中、学園内での犯人探しが始まった。甘やかで残酷な少女たちの世界を鮮烈に描く。

現代よりも数十年先の未来の設定の話です。
すでに書物は電子化し、DVDやブルーレイも存在しない、未来の話。
そんな未来に、1つの奇病が発見される。その病気は致死率が100%で感染すると2週間で死に至る。そして何故か、眠る事に対して恐怖を抱くらしい。その病気はソムノスフォビアと名づけられた。
主人公の笹森美詩は高校1年生で、3年生の先輩である北嶋織恵に憧れていた。
しかし、織恵が死んだと言う訃報を聞くことになる。
ただ死んでしまっただけでも辛いのに、奇病で亡くなった噂が学園中に立ち込める。
この未来はキスは気持ちの悪いものと認識され、概念がなくなりつつある世界。
キスをすると病気になる。死んでしまう可能性があると刷り込まれてしまっている世界。
美詩は始めはただただ落ち込んでいるだけだったけど、2年の田丸梢から織恵の死因と死に至らしめた犯人を見つけ出そうと持ちかけられ、生活は変わっていく。
このちょっと未来の時代背景がリアルで見事だと思います。
児童書のくくりになっていますが、もったいないくらい。凄い世界観だと思います。
閉鎖された学園、近未来、奇病。上手く折り重なっているなぁと思います。
始めは犯人探しに乗らなかった美詩も、次第に核心に迫ってくるにつれて変わっていきましたよね。たくましくなっていっている気がしました。
織恵の死の原因は、とても切なかったです。
こんな時代は来てはいけないと思います。
学校の中も外も自由のない生活なんて、生きている意味があるのかと思ってしまうから。
竹内先生や砂川は自分らしく生きていて、かっこよく写りました。
切なくて面白かったけど、最後はいきなり衝撃的。
そういうことだったのかい!とちょっとツッコミ。
でも、嫌いじゃないです。
ページ数が少ないので、さらりと読めますが、内容は結構ずしっときました。

〈理論社 2010.7〉H22.8.26読了

エデン 近藤史恵4

エデン
エデン
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あれから三年―。白石誓は、たった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。だが、すぐさま彼は、チームの存亡を賭けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を知る。そしてまた惨劇が…。ここは本当に「楽園」なのだろうか?過酷なレースを走り抜けた白石誓が見出した結論とは。

前作「サクリファイス」から3年後の世界。前回の刊行からちょうど3年経っているんですね。チカも27歳になっていました。
読んでいて相変わらずロードレースのルールは分かりませんでしたが、過酷なスポーツだと言う事は分かりました。
とてもストイックで、心が強い人じゃないと出来ないスポーツだと思います。
チカは相変わらず謙虚で真面目。でも、そこがチカの良さなんですよね。
だからチカの周りには人が集まる。味方も、敵も。
この作品って、ミステリと言う位置づけなのでしょうか。ミステリ要素よりもスポーツ小説、青春小説と言った方が近いような気もしますが。
前作ではフェアじゃない部分を見せ付けられてイラっとしましたが、今回も同じでした。いろんなものが、渦巻いているんですよね。
チカはバカ正直だと言われたけど、意思を貫き通して立派だと思います。
自分の名前は残らないけど、味方が栄誉に輝くために必要なアシスト。
それをチカは見事にこなしていたと思います。
ものすごく気になるところで終わってしまいました。
続編が出るかどうかは分かりませんが、チカの勇士をまた見れたら良いなと思います。

〈新潮社 2010.3〉H22.7.21読了

薔薇を拒む 近藤史恵4

薔薇を拒む
薔薇を拒む
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施設で育った内気な少年・博人は、進学への援助を得るため、同い年の樋野と陸の孤島にある屋敷で働き始めた。整った容姿の樋野には壮絶な過去が。博人は令嬢の小夜に恋心を抱くが、陰惨な事件で穏やかだった生活は一変する。それは悪意が渦巻く屋敷で始まる、悲劇の序章に過ぎなかった――。

ネタバレあります

うわー!うわー!怖い怖い。最後がぞぞっとしましたよ、怖いですよ〜。
といっても、ホラーではありません。
人の悪な怖い部分が存分に出ているなと思ったんです。
冒頭から、イタイ話なんだろうなと思いました。近藤さんの作品でこういう感じ、久しぶりに読みました。
見ず知らずの男2人、博人と樋野がなぜこの家に呼ばれたのか。
3年間ここで働き、大検を取得すれば4年間の学費と生活費を援助するなんて、何か企みがあるとしか思えない。
その理由が分かった時、やっぱり人としてすら見てもらえていなかったんだなと思って、悲しくなった。所詮は金持ちの考える事だなとも。娘をも利用するなんて。どこか狂った家族でした。
でも、それを利用して、博人の行く末は良かったのかと思いますが、小夜に関しては怖くて怖くて。
見ているだけで良いと言っていたのに。あの屋敷に住んで、博人もどこかが壊れてしまったのかもしれないですね。
小夜も、本当に樋野のことを好きだったんだろうか・・・。どこか演技じみているような気がする・・・。
博人も、あんな結末なら一生どこかしらに後悔の念を持って生きるしかないじゃないですか。それは、決意の上なのかもしれないけど。
でも、1番かわいそうなのは、樋野のような気がします。

〈講談社 2010.5〉H22.6.18読了

アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎 近藤史恵5

アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎
アネモネ探偵団 香港式ミルクティーの謎
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大人気ミステリ作家・近藤史恵が手がける、初の児童書!
お嬢様中学生+普通の男子中学生が活躍する、ドキドキ☆わくわく♪の探偵ものがたり
お嬢様中学校に通う智秋・巴・あけびの三人。
女優の母をもつ智秋。父が警視総監の巴。あけびの父は有名な賞をとった学者。
仲良しの三人は、隣の学校に通う普通の男子中学生、光紀と時生に出会います。
ある日、光紀と時生は、智秋の誘拐計画を偶然知り、「助けなければ!」と決心。
智秋のママ(女優)の仕事について香港へ行く三人を追って、光紀と時生も香港に行くのですが、なんと、福引で香港行きのペアチケットを当てようという計画!
果たして、香港へ行くことはできるのか? そして、事件の真相は?
友情、親子愛、トキメキ、ドキドキ……読みごたえたっぷりの探偵物語☆

昨日の夜にちらっと読み始めたら止まらなくなり、明け方まで読んでました。(バカ)
近藤さん初の児童書と言う事で、どんな感じなんだろう・・・と思ったのですが、とても面白かったです^^挿絵もかわいらしい。
でも、探偵・・・って言うところまではいかなかったような気がします。
知り合う過程もあるので、初めが長くて、ページ数が減っているのに本当にこれ、問題が全部解決するの?と思いつつ読んでました。確かに全部事件の真相は分かるのですが、もうちょっと長くてもよかったのではと思いました。何だか最後はさささ〜っと展開していった気がするので。
女の子3人も男の子2人も、変に大人びていなくて、年相応のかわいい中学生でした。
やっぱり私が好きなのは光紀だな。
恥ずかしがりやだけど勇気もあるし、料理も上手。
智秋とお菓子の渡し合いがとっても可愛い。
恋愛の一歩手前って感じで、学生っぽくていいじゃないですか^^
探偵団って言うくらいだから、これから探偵っぽい事をしてほしいなと思います。続編も是非とも出していただきたいです。
こういう可愛らしい近藤作品もいいですね^^
かわいい感じがキリコちゃんシリーズを思い出しました。

〈メディアファクトリー 2010.3〉H22.6.14読了

Shelter(シェルター) 近藤史恵

シェルター
シェルター
江藤恵は妹から逃げ、東京へやってきた。そこで可愛らしい少女、いずみに出会う。彼女は行く所がなく、殺されてしまうから一緒にいて欲しいという。嫌な予感がしたが、断る事ができなかった。
一方、恵が中国旅行へ行くと告げていたのに自宅でパスポートを見つけた妹、歩は動揺する。勤務先の院長合田力はあまり気にするなという。歩の彼である小松崎は仕事のため東京へ出張となり、歩の側にいることができない。しかし、その出張先の東京で、恵を見つける。

シェルターって、隠れ家、逃げ場所みたいな意味ですよね。いろんな深い意味を捉えられると思うのですが、私はちょっと違う^^;Shelter(シェルター)と聞くと胸が高鳴るのです。妄想に浸るのです。理由は下の下の下の記事に載ってますが。
という、何とも簡単な理由で手に取ったこの作品。
最初は気付かなかったのですが、合田先生のシリーズだったのですね。
まだ1作目は読んでいないのですが2作目の「茨姫はたたかう」は読んでいました。
小松崎がようやく歩と恋人同士になれてよかったなぁと思いながら読みました。
小松崎は素直だし一生懸命だし、素敵だなぁと思いました。本当に歩のことを大切に思っているんだろうなと思いましたし。
恵と歩は過去に深い深い傷を負っていたと言う事は知っていたのですが、第3弾でようやくその出来事が分かりました。
本当に、酷いです。2人の関係が変わってしまった原因が本当に切なくて可愛そうで酷いと思います。2人はまだ幼くて、大人に頼っていないと生きていけなくて、それにつけ込んだ父親の行動。許せません。
でも、これでようやく2人の距離は縮まるのかなと思うと、良かったなぁと思います。言いたい事はたくさんありますけど。
恵と歩もそうですけど、いずみちゃんも、どんな道であれ自分にとって良い方向へ向かっていってほしいです。

〈祥伝社 2003.9〉H21.4.21読了

猿若町捕物帳 寒椿ゆれる 近藤史恵4

寒椿ゆれる
寒椿ゆれる
「猪鍋」
千陰の母、お駒が妊娠し、つわりがひどくほとんど食べ物を食べなくなった。このままでは母体にも危険が及ぶ。なにか変わったものなら食べてくれるかもしれないと、千陰は巴之丞に何か変わった食べ物はないかと訊ねる。猪鍋がいいのではないかと言われ最近繁盛している「乃の字屋」へ行った。行った先で男が暴れていた。彼は幸四郎といった。店主の龍之介が幸四郎の父を殺し、味を盗んだと言うのだ。
「清姫」
女形の巴之丞が何者かに刺され怪我を負った。刺したのは18,9くらいの若い娘だったらしい。大事には至らなかったが、舞台を続ける事は出来ない。雪弥に代役を任された。巴之丞にはまだまだ及ばないが徐々に良くなってきているようだ。犯人は誰なのか。千陰は巴之丞と雪弥を贔屓にしている女性を洗う。
「寒椿」
千陰と同じ同心の大石新三郎が盗賊の手引きをしたと疑われている。千陰は大石の無実を晴らしたいと身辺を調べ始める。すると、大石は何故か吉原の梅が枝を訊ねていたと言う。遊女を身請けしたいと思うなら動機も生まれる。大石の行動を探る。

第4弾…なんですよね。1,2冊目はまだ未読ですが好きなシリーズです。
千陰の真面目な雰囲気が好きですし、事件の展開も引き込まれます。
今回は千陰の周りの人間が関わっている事件が多かったので、尚更気になりました。
千陰はまた、見合いの席を設けますが、相手のおろくは3作とも登場します。
算術に長けている女性で、肝も座っている、ちょっと変わった女性です。
ですが、小さな頃に目撃してしまった心中事件をきっかけに、恋に対して恐怖を抱き、結婚する事を拒んでいた。
読んでいてもちょっと不思議な女性なんですけど、それでも魅力も感じました。
千陰とも、なかなかお似合いなんじゃないかと思ったけどな。
お駒とのお見合いのときよりも。
読んだ時はまさか千次郎と結婚するとは思わなかったけど。
最後の「寒椿」でのあの2人の恋は素敵でした。
千陰は結ばれる事は出来なかったけど、仕方ないね。
お互いの家に植えられている椿。素敵でした〜。

〈光文社 2008.11〉H21.2.4読了

猿若町捕物帳 ほおずき地獄 近藤史恵4

ほおずき地獄―猿若町捕物帳 (幻冬舎文庫)
ほおずき地獄―猿若町捕物帳 (幻冬舎文庫)

ほおずきを落として姿を消す幽霊が吉原に出るという噂が、同心・玉島千蔭の耳に入る。
そして殺人事件が起き、その下手人もほおずきを残していく。
偶然か、それとも本当に幽霊の仕業なのか?
千蔭は女形の歌舞伎役者・巴之丞と花魁・梅が枝の協力を得て事件の解決に乗り出す。
運命が結んだ男女三人が怪事件を解決していく時代ミステリー小説。

またまたシリーズものの2冊目を読んでしまったらしいです。
でも、直接影響はなさそうだったので、読みました。
面白かった。近藤さんの時代小説は初めてでしたが、読みやすかったです。
猿若町でおきた殺人事件。そこには、かつて起きた叶屋の火事が関与していた。
怨恨はあるかもしれないけど、やっぱり人殺しは幽霊では出来ません。
生きた人間が行うんですよね。
同心・千蔭は30過ぎて、浮ついた噂も無く、真面目な人間。
千蔭に縁談が持ち込まれる。それがなんと、16歳の少女だった。
少女は「堅い人間とは一緒にならない」と言い放ちます。
千蔭は真面目だけど、かたすぎないと思うし、私は千蔭のような人とだったら一緒になってもいいな。なんて^^
前作でどう知り合ったのか分かりませんが、花魁の梅が枝と歌舞伎役者の巴之丞もなかなか素敵です。
千蔭のいい助手と言うか・・・。3人の関係、良いですね。
最後は、いい形で終わったの…かなぁ。
私は謎解きも出来なかったし、人の正体もまったく気付かなかった。
前の作品も読んでみようと思います。

〈幻冬舎 2002.10〉H20.11.26読了

茨姫はたたかう 近藤史恵4

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「童話の眠れる茨姫は、王子様のキスによって百年の呪いが解け、幸福になった。もしそれが、ストーカーのキスだったら?」
対人関係に臆病で頑なに心を閉ざす梨花子は、ストーカーの影に怯えていた。
だが、心と身体を癒す整体師合田力に出会ったのをきっかけに、初めて自分の意志で立ち上がる!
若者たちに贈る繊細で限りなく優しい異色のサイコ・ミステリー。

また失敗した…。
この作品、続編なんですね。あぁ・・・小松崎や歩や恵の事がネタバレになってしまった。
でも、それでも面白かったです。
主人公は小松崎という雑誌の編集記者と、弟ができちゃった結婚をしたために一人暮らしをする事になった梨花子。
梨花子は24歳。今の私と同じ年です。
梨花子のこと、最初は好きではなかったです。隣人の早苗や礼子を見た目で判断してるし、何だかオドオドしている感じがするし。
でも、それはそのまま私にも同じことが言えました。
合田先生の言った言葉は、そのまま私の心にもぐさっときました。

「誤解すんなや。臆病な事自体は決して悪い事やないで。少なくとも、自分、臆病でいたお陰で、今までそれほど傷つかんですんだやろ」
「自分のみを守るために、臆病でおるのは悪い事やない。それはただ、そういう生き方や。平凡でなだらかなな。だが、悪いのは、臆病でおれば、誰かが守ってくれる、と思い込むことや」

グサグサですよ。私も、多分梨花子と同じ。
梨花子が日常で思うこと、実家だったらしなかった事。今実家で暮らしてる私はきっとそうしてしまうかも。って思うことが結構ありました。
梨花子はストーカーと立ち向かう事で、ラストはとっても明るく、雰囲気も変わった気がします。
私はまだ、殻を破ってないかな〜。
合田先生の言葉を教訓にして、ちょっとはいい加減成長しないとなぁと思った作品でした。
最後はスカッとしました。みんな、いい人たちでした。

〈祥伝社 2000.6〉H20.11.17読了

ヴァン・ショーをあなたに 近藤史恵5

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下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。
二人の料理人はシェフの三舟さんと志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソンの僕。
気取らない料理で客の舌と心をつかむ変わり者のシェフは、客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。
「錆びないスキレット」三舟シェフが猫に料理の与えてしまった為、猫が寄り付くようになってしまった。これはまずいと、飼い主を探すことに。
「憂さばらしのピストゥ」今夜の予約で突然ベジタリアンの予約が入る。乳製品もダメだという。お客様は若い女性。シェフはどんな料理を作るのか。
「ブーランジュリーのメロンパン」パ・マルのオーナーが新しくパン屋をオープンさせるという。しかしその店の近くには、古くからあるパン屋があった。
「マドモアゼル・ブイヤベースにご用心」お店に来ると必ずブイヤベースを頼む女性がいる。金子と高築はシェフがその女性に恋をしていると考える。
「氷姫」ずっと一緒に暮らしていた杏子が出て行った。きっと、前の男のところだろう。ヤケ酒のせいで気分が悪い。しかし、人と会うため、フランス料理のお店へ行くことになっていた。
「天空の泉」コルド・シュル・シエルでフランス料理を食べるため、オススメといわれたお店へ入ることに。そこで日本人男性に会い、同席することに。
「ヴァン・ショーをあなたに」貞晴は旅行中に体調を崩し、ドミトリーであった三舟に日本料理を作ってもらい、ルウルウにはヴァン・ショーの美味しいお店に連れて行ってもらうことになる。

「タルト・タタンの夢」の続編です。
シェフの若かりし頃とか、意外な一面が見れたりして、楽しめました。
お店の4人とも、個性的で優しくて、良いですね^^好きです。
どの作品も好きだけどお気に入りは「マドモアゼル・ブイヤベースにご用心」ですね。
三舟シェフが激しく動揺しているのが面白かったです。
前回とは違ってお店の人以外の人が主人公になっていたりして、新鮮でした。
何だかまだまだ続きそうな雰囲気ですし、楽しみです。

〈東京創元社 2008.6〉H20.9.16読了

南方署強行犯係 黄泉路の犬 近藤史恵4

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どんな職場にも忙しい時期と暇な時期がある。珍しいことに南方署は暇だった。
圭司がここに配属されてから既に三ヶ月。
同僚の黒岩から、いきなり文庫本を渡されページを開けという。
真中あたりを開くと83ページ、八+三でインケツ、會川くんの負けといわれてしまう。
なんとオイチョで四人分のジュースを買いに行かされるはめに。
いまやヘタレだけでなく、パシリにされてしまう。そんなときに事件は起こった。
東中島で強盗、家にいた姉妹に刃物をつきつけて脅し、二万円を奪取。
でも、それだけじゃない。可愛がっていたチワワも取られたという。
事件はそのままになったかと思われたが、二ケ月後、思わぬところから顔を出したのだった。

会川君第2弾です。
1弾から2ヶ月後くらいでしょうか。
新人なのに、結構ずばずばしていて頼りになりそう。
黒岩さんともいいコンビになってきましたし。
ストーリーも面白かったですね。こんな病気があるんだ〜と思いました。
犯人もちょっとビックリでしたし。
また圭司も宗司もいい奴なんですよね。この兄弟、どうして彼女がいないのかな^^;
そして今回はあまり登場しなかった美紀ちゃんも大好きです。
このシリーズはまだ続いてくれるのかな。

〈徳間書店 2005.9〉H20.6.19読了

南方署強行犯係 狼の寓話 近藤史恵4

狼の寓話―南方署強行犯係 (トクマ・ノベルズ)

警察に入ってから、ずっと刑事になるのが夢だった。
刑事課に配属が決まって小躍りするくらいうれしかったのに。
会川圭司はドアを開けた途端に血の匂いにたじろいでしまった。
それだけじゃない。犯行現場のバスルームで間違って、たじろいだ瞬間にシャワーの蛇口をひねってしまい、鑑識が見つけた髪の毛を流してしまった。
先輩の城島と鳥居係長に捜査班を移された。
組んだ相手が、黒岩という女性刑事。どうやら、こちらも刑事課でお荷物扱いの人間のようだ。
与えられた事件は一週間前の殺人事件。夫が殺され、疾走した妻が疑われるのだが…。
著者が初めて挑んだ、本格の薫り高き、書下し警察小説。

近藤さんの刑事ものです。
ストーリーも文体も近藤さんらしい感じで読みやすくて私は好きです。
やっぱり痛々しいですけど…。
冒頭は童話から始まります。そのストーリーも面白くて読みいってしまいます。
そして、本編。新米の会川が黒岩という女性刑事と共に事件を追っていきます。
その事件に童話が大きく関係していくわけなのですが。
ネタバレになってしまうのであまりいえませんが、この事件の背景にあるものが本当にやりきれないです。
今でも実際に当然のように行われている出来事なのだと思います。
「ラストフレンズ」の錦戸君の役みたいな人っていっぱいいるんだろうしな。私は見てないけど。
って、これで大体分かっちゃうか^^;
会川君は新米だけど頑張ってて好感が持てます。お兄さんの宗司も警官なのですがとても良い人だし。
続編もあるみたいなので楽しみです。

〈徳間書店 2003.10〉H20.6.10読了

ガーデン 近藤史恵3

ガーデン (創元推理文庫)

小函を抱えて今泉探偵事務所を訪れた奥田真波は「火夜が帰ってこないんです」と訴える。
燃える火に夜、人を魅惑せずにはいない謎めいた娘だ。
函の中身を見て只事ではないと諒解した今泉は、助手山本公彦と共に火夜の行方を追う。
やがて探偵は、死を招き寄せるあやかしの庭へ…。
周到な伏線と丹念に組み立てられた物語世界、目の離せない場面展開がこたえられない傑作ミステリ。

この作品も大分前に買っていて積読してました。
そしたら、3部作の最終巻らしいですね・・・うお〜失敗した。
内容は…痛かったですね〜。
報われないし悲しいし…。
だけど引き込まれるんですよね。不思議だ。
私は火夜の事は好きになれない。
自分勝手で他人を巻き込んで、人も不幸にして。
どうして火夜にみんな惹かれるのかが分からなかった。
火夜を居候させていた真波も、どうして火夜を住まわせようと思ったのかも分からなかった。
う〜ん・・・ひどい書き方してるな。
今泉探偵が他のシリーズでも登場するらしいですね。
それが気になります。
助手の小林君もどうやら何か秘密がありそうですし。
「ねむりねずみ」と「散りしかたみに」も読みます^^

〈東京創元社 1996.2
 東京創元社 2002.12〉H20.5.19読了

青葉の頃は終わった 近藤史恵3

青葉の頃は終わった

「ねえ、知ってる?瞳子が死んだんだって」
瞳子は孤高の存在で、ガラス細工の天使のようだった。
繊細で儚げで、他人を魅了する少女に見えた。
彼女のことが、可愛らしくて、愛おしくて、腹立たしくて、憎らしくてたまらなかった。
死後に届いたハガキには「私のことを殺さないで」とあった―。
彼女の不在と、ぼくたちの季節の終焉。ほろ苦い青春ミステリー。

ずっと積読していた作品。ようやく読みました。
切ないですね〜。最初から最後まで切ない。
最後はすこ〜しだけ救いがあるのかな。どうかな。
いいのか悪いのか、思うところは人それぞれだと思うな、うん。
ちょっと違うかもしれないけど、この作品を読んでいて加納朋子さんの「ガラスの麒麟」を思い出しました。
亡くなった人が美しい人で、小説を書いてたって言う所だけだけど。
瞳子は自殺だった。家庭が裕福で、働かなくても困らない。死ぬ理由が見つからない。
大学時代からの仲間だった、弦、法子、サチ、加代、猛は自殺の原因を追究する。
そして、悲しい真実を知ることになる。
最後まで読んでみて、瞳子は、やっぱり弱い人間だったのかなと、私は思う。
死ぬという選択だけじゃなくて、他にも逃げ道はあったと思う。
自分で思いを抱え込んでいて、自分だけではなくて、周りの人間も翻弄し、傷つけてるんだもの。
自分が傷ついているのを、人のせいにしている部分もある。
最初から最後まで、瞳子のことは嫌いだったなぁ。
他の5人は、幸せになってほしいなぁ。

〈光文社 2002.10〉H20.3.10読了

サクリファイス 近藤史恵3

サクリファイス

かつて陸上のエースだった白石誓は、その座を捨てロードレースの選手となる。
チームメートには、エースとなる才能を持った伊庭がいる。
伊庭が勝てるよう、アシストするのが、自分の役割だと思っていた。
出場したレースで、誓は海外チームが日本人選手を引き抜こうとしていることを知る。
また同時期に、現在のエースである石尾の過去の事故について疑問を抱いていた。

切ないけど、情熱的な作品だな。というのが感想です。
青春小説ですね^^
どのスポーツもそうだと思うけど、プロの選手は純粋にそのスポーツが好きだからやり続けていると思うんだ。
なのに、マスコミや周りの人たちが囃し立てて変な方向へいってしまう事が実際にあると思うんだよね。
チカの苦悩はそういうものだよね。
ただ、純粋に楽しみたいだけなのに。
そして、スポーツといえば、爽やかなイメージなんだけど、勝ちたいがために汚い手を使うって言う事ももしかしてあるのかもしれない。
嫌だなぁ。そういうの。私は関係ないけど腹ただしくなる。
スポーツはフェアじゃないとね。
石尾さんは、真面目で、心の中は情熱的な人だったんじゃないかな。
誓が尊敬したのもわかる。
ストーリーは面白かった。
でも、チカは若いのに、なんだか爺さんみたいな性格だよね。
私は嫌いじゃないけど。

〈新潮社 2007.8〉H20.3.7読了

タルト・タタンの夢 近藤史恵5

タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)

オススメ!
カウンター七席、テーブル五つ。下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのシェフは、十年以上もフランスの田舎のオーベルジュやレストランを転々として修行してきたという変わり者。
無精髭をはやし、長い髪を後ろで束ねた無口なシェフの料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。
そんなシェフが、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。
定連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか?
甲子園をめざしていた高校野球部の不祥事の真相は?
フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか…。

連作短編集です。
舞台がフレンチレストランということで、どういうストーリーなのかと思ったら、やはり日常ミステリでしたね。
どの作品もフランス料理にまつわる事情を抱えたお客様の話が絡んでいて、どれもなるほどと納得。
シェフがいつも寡黙なのに、事件?のことになると饒舌になり、料理を通して解決に導くんですよね。
私が特に好きだったのは「ぬけがらのカスレ」かな。
こういう恋愛ものは弱いです。
どの作品も、最後はあったかい気持ちになりました。
やっぱり近藤さんの作品は大好きです。

〈東京創元社 2007.10〉H20.1.28読了

モップの魔女は呪文を知ってる 近藤史恵5

モップの魔女は呪文を知ってる (ジョイ・ノベルス)

オススメ!
清掃作業員キリコちゃんシリーズ第3弾。
スポーツクラブでの「水の中での火傷」の真相とは―
希少種の猫を入手するために、バイトをかけもちしていた女子大生が―
小児病棟に配属された新人看護師の前に現れた"魔女"の正体とは―
妹を殺害してしまったアクセサリー通販会社社長が起こした行動とは―

読みました!キリコちゃんシリーズ第3弾。
残念ながら、大介は登場しなかったけど、まあちらほら出てたね。
そしてキリコちゃんの年齢も分かった。
私と1コ差〜。あんまり変わらなかった。嬉しい^^
キリコちゃんは19歳の時に大介と結婚したんだね。
どのミステリも面白かったなぁ。
でも、キリコちゃんの家族の話でも進展がありましたね。
この出来事を乗り越えて、キリコちゃんと大介にはもっと幸せになってほしいなぁと思います^^
まだまだこのシリーズは続いていってほしいなぁ。

〈実業之日本社 2007.6〉H20.1.19読了

モップの精は深夜に現れる 近藤史恵5

モップの精は深夜に現れる (ジョイ・ノベルス)

オススメ!
部下や自分の娘とのコミュニケーションに悩む中年課長。
取引先の仕事や自分の容姿にためいきをつく女性ライター。
同じ事務所でつきあっていた男に二股をかけられたモデル。
こんな彼らが遭遇した不可解な事件の謎を、女清掃人探偵キリコが解明する本格ミステリー。

第2弾。キリコちゃんにまた会えました^^
何だかかわいさが増しているように思います。
相変わらず掃除に勤しんでいるんだね。
自己紹介をするときに、名字の言い方が慣れてない感じでそれがまた良いです。
いろんな事件がおきて、解決するキリコちゃんは凄いです。
そして、大介も登場しましたね〜
何だかニヤニヤしちゃいました。
そして、キリコの告白。素敵ではないですか。
いろいろと障害があるかもだけど、2人はずっとかわいいカップルでいてほしいな^^
第3弾も出ていますよね。
読むのが楽しみです。

〈実業之日本社 2005.2〉H19.11.28読了

ふたつめの月 近藤史恵4

ふたつめの月

「たったひとつの後悔」契約社員から正社員になってわずか2ヵ月後、リストラ対象となり会社を辞めさせられた久美子。
しかし、後に辞めたのは自分ひとりで、しかも自主退社扱いとなっていた。その真相とは?
「パレードがやってくる」イタリアへ留学していた気になる男性、弓田が一時帰国して早々久美子に頼んだのは、弓田の幼馴染と言う明日香の話し相手になってほしいと言う事。
「ふたつめの月」いつも相談に乗ってくれていた赤坂が轢き逃げされ、重症を負った。赤坂は久美子に、あの街灯を壊してほしいと頼み込む。

近藤さん2冊目です。
続編だったんですね。何だか繋がっているような気はしていたのですが。
何だか最近、続編の後を読んでしまう事が多いです。
でも、面白かったですね〜。
久美子のうじうじした感じ、もの凄く共感できます^^;
でも、弓田と一緒にいるときの2人はじれったかったですね〜
なんて鈍いんだ!と^^;
まあ、当人達の思いは気付かないものなんでしょうかね。
久美子と同い年って事もあって、何だか凄く気持ちが分かったんです。
ちょっと前向きにさせてくれました。
そして、赤坂さんも素敵です。
「勉強した事は、必ずどこかで役に立つ。今ではなくても、いつかどこかでね。」
「勉強した事が、ひとつも役に立たないなんてことはない。役に立たなかったとしたら、それは自分で役立てようとしなかったからだ。」
と言う1説がありました。
ドキッとしました。
何だかとってもいい言葉。
赤坂さんありがとうって思いましたよ^^
「賢者はベンチで思索する」も読んでみようと思います。

〈文芸春秋 2007.5〉H19.9.2読了

天使はモップを持って 近藤史恵5

天使はモップを持って

オススメ!
深く刺さった、小さな棘のような悪意が、平和なオフィスに8つの事件をひきおこす。
書類紛失、保険外交員墜死、マルチ商法勧誘社員の台頭、派遣女性社員の突然の昏倒、ロッカールームの泥棒、切り裂かれた部長のぬいぐるみ、黒い液体で汚されたトイレ。
社会人一年生の梶本大介にはさっぱり犯人の見当がつかないのだが―
「歩いたあとには、1ミクロンの塵も落ちていない」という掃除の天才。
オフィスを騒がす様々な“日常の謎”を、女性清掃作業員だが、お洒落で可愛い女の子、キリコが鋭い洞察力で真相をぴたりと当てる。

近藤さん初読です。
ずっと気になっていたんです〜^^
というか、ずっと家にあったのですがようやく読めました。
オフィスで起こる事件を解決する短編集です。
大介とキリコのコンビがとってもかわいらしいですね。
オフィスで起きる日常ミステリというと、加納朋子さんの「月曜日の水玉模様」を思い浮かべますが^^
男女の立場は逆ですね。
キリコが頭がよくって頼りになります。
再び、日常ミステリの天才を見つけましたよ^^
実際にありそうな話でしたもん。会社の現場はこんな感じなのかな〜と思ったり。
たくさんの女性に囲まれている男性がどれほど立場が辛いかも分かりました^m^ナンチャッテ。
大介は頼りなくて容姿も抜群じゃないかもしれないですけど、自分の思い通りに女を動かそうとしている奴よりよっぽどカッコイイです。
かっこいいヒーローじゃないかもしれないけど・・・。
キリコがどうしてあえて掃除を仕事としているのか、ちゃんと理解しているんだもんね。
2人を応援したくなりました^^
多分、続編も出ているんですよね。
そちらも読んでみようと思います。

〈実業之日本社 2003.3
 文芸春秋 2006.6〉   H19.3.6読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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