苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

女性作家(ま・や・ら・わ行)

勝手にふるえてろ 綿矢りさ2

勝手にふるえてろ勝手にふるえてろ
著者:綿矢 りさ
販売元:文藝春秋
発売日:2010-08-27
おすすめ度:3.5
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賞味期限切れの片思いと好きでもない現実の彼氏。どっちも欲しい、どっちも欲しくない。恋愛、しないとだめですか。
片思い以外経験ナシの26歳女子が、時に悩み時に暴走しつつ「現実の扉を開けてゆくキュートで奇妙な恋愛小説。3年ぶりの注目作!

綿矢さんの3年ぶりの新刊。私は読むのはカナリ久しぶり。
主人公が同い年で、何となく共感できるかなと思ったのだけど、やっぱり綿矢さんの作品は合わないなということを再認識しました。
何となく読みにくくて、主人公には全く共感は得られなかった。
オタクなことはかまわないけど、12年片思いをしていた子に対してだったり、告白されている男性に対してだったり、いちいち納得できない。
だいたい、同窓会を開く事も、東京組で会う事も、中学生の時に目立たなかった子がいきなりやろうとするかな・・・。
それに、処女とか、結婚願望が強いとか、簡単に言わないほうがいいよ。
信頼している人でも、そういうことは言わないほうがいい。
そして段々暴走してくる主人公だけど、最後に結局一緒になりそうなニの意思も分からない。
すみません、辛口で。

〈文芸春秋 2010.8〉H22.9.23読了

吉野北高校図書委員会3 山本渚4

吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ(MF文庫 ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ(MF文庫 ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
著者:山本 渚
販売元:メディアファクトリー
発売日:2009-12-23
おすすめ度:5.0
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好きと友達の境界線は、どこ?
友達でいたいと言ったのは、自分なのに。それがいまさら、こんなにさみしいなんて……。
男友達の大地に彼女ができて動揺していたかずらに、藤枝はまっすぐ想いをぶつけてきた。あれから約1年。高校3年生になり、かずらは進路に悩んでいた。そして変化しつつある自分の想い。友達でいたいと、そう言ったのは自分なのに、いまさらそれをさみしいとおもうなんてと戸惑うかずらを、大地は、「女の子」として意識しはじめて……。好きと友達の境界線は、どこ? もどかしい想いの交錯する、人気シリーズ第3弾!

うぅ・・・甘酸っぱい・・・甘酸っぱいぜ・・・。
何だかいろいろ鈍いしもどかしいしで叫びたくなりました・・・
かずらも藤枝も大地も、いろいろいいたいことが満載でしたよ。
今回は大地も割りと登場。そして意外と鈍くて空気の読めないことが判明^m^
誰も教えてくれなくても、空気で察するべきでしょ。紳士?としては。
かずらの想いも鈍すぎやっちゅーねん。私は前作から気付いていましたよ。
でも、私もかずらと大地がくっつくものだと思ったら、違うんですね。
恋愛を超越した友情ってあるんだなと、2人を見ていたら思いました。
いいな、本の趣味が合う友達って。
本が好きでも、合わない場合が多いんですよね。
私もあまりいないです。すっごく合う人は僅かですね。
この話は、もう最終章なのでしょうか。
でも、まだ続きそうなあらすじですね・・・
展開がとても気になるので、卒業らへんのことを書いてほしいな。
にしても今回のツボは壬生っちの「走れメロスや娼年をブックカバーなしで読む男性は腐女子には萌える」っていう台詞かな。
わりと同感です^m^
ま、容姿にもよるけどねぇ(ひどい)

〈メディアファクトリー 2009.12〉H22.8.31読了

告白 湊かなえ5

告白
告白
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我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。
ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。
選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。

予約者が多すぎて、予約していたのすら忘れていたのですが、映画の公開日が明日というタイムリーな時に読めてよかったと思います。
でも、感想は上手くかけません。
これ程、命の重さや尊さを感じた作品はないと思います。
この作品がデビュー作とは思えないです。構造も文章も素晴らしかった。引き込まれてあっという間に読んでしまいました。
一つの事件によって起きた様々な出来事。
でも、それはきっかけに過ぎなかったのかなとも思う。
出てくる人みんな、どこかゆがんでる。どこかおかしい。
2人に課した制裁も、2人が反省するためには正しかったのか。
何が正しいのか、何も分からない。
読み終えても、心の中では納得できないまま、ずしんと何かが残っている気がします。
でも、それが嫌なわけではないのです。
この作家さんは素晴らしいです。他の作品も、読んでみたいと思います。

〈双葉社 2008.8〉H22.6.3読了

遥かなる水の音 村山由佳5

遥かなる水の音
遥かなる水の音
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「僕が死んだら、遺灰をサハラに撒いてほしい」
パリの旅行代理店に勤める緋沙子は、若くして逝った弟の遺言を叶えるため、モロッコを旅することになる。
同行者は、弟の友人だった浩介・結衣という若いカップルと、中年のフランス人男性。資産家の彼はゲイであり、晩年の弟と同居していた。
互いを理解できないままに、さまざまな事情を抱えながら、4人は異国を旅する。
ムスリムのガイド・サイードも加わり、異文化に触れていくなかで4人は徐々に、互いの抱える問題や思いに気がついていく。
そんな折、仕事のトラブルから浩介がパリに戻ることになり・・・。
魂の拠りどころを求めて彷徨う男女の姿を通じて、同性愛、姉弟の愛など多様な愛のかたちを描いた意欲作。

ネタバレあります

村山さんの作品はほんっとうに久しぶり。読むのは4年ぶりでした。
別に避けていたわけではないんですけども。気付いたらそんなに経っていたって言う感じ。
この作品は、とても綺麗な作品でした。
言葉も、この旅自体も、周という青年も、サハラまでの道のりの出来事も、みんな。
でも、始めはジャン=クロードの事が嫌いだった。緋沙子に対する憎まれ口がイライラして。浩介も嫌いだった。結衣の想いを踏みにじっているような気がして。
読み終えた後は、そんな事は全く思わなくなってました。
自分の身も財産も何もかも全て捧げようと思っていた人に先立たれるのは、どんな気持ちなのか。私には想像できない。
ジャン=クロードの、最大の強がりだったんですよね。
本当に、ほんっとうに周の事を愛していたんだという事が伝わってきました。読み終えた後は、彼のその憎まれ口が、痛々しくて切なく感じました。
浩介が登場した段階で、周にとってどんな人か、想像がついたけど、こやつは絶対に気付かなそうだなと思いました^^;
結衣は気付いているだろうなと思ったら、やっぱり気付いていた。
周は、死んでからも後悔していたけど、浩介はともかく、結衣には伝えても良かったんじゃないかなと思いました。
そんな事を言っても、何もかもが遅いのだけど。
ハールーンという男性が、ほんの少ししか出てこないけど、印象的でした。
この人も素敵だけど、周が、死んでしまった弟に対する言葉がとても印象的。事実を言ったまでなのかもしれないけど、ハールーンはかなり、救われたんじゃないかな。
周の病気は、性病だったのかな。
病気については明らかにされていないけど、そんな気がする。
周は素晴らしい人。若くして亡くなってしまった事が悔やまれてならない。
そしてもう手遅れだけど、想いを愛する人に告げて欲しかったと思わずにはいられない。

〈集英社 2009.11〉H22.5.19読了

吉野北高校図書委員会2 山本渚3

吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 1-2)
吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 1-2)
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「委員長の初恋」
図書委員長・ワンちゃんの憧れは、いつものほほんと穏やかにみんなを見守ってくれる司書の牧田先生。ある日、進路の事で家族と揉めたワンちゃんは、安らぎを求めて図書室へ。だけど、そこで出会った牧田先生の意外な素顔に動揺して・・・。
「希望の星」
提出しなければいけない進路調査票、かずらへの想いと微妙な関係に悩む藤枝は・・・。

前作に続いてあまずっぺーですね。
こんな純情な感情はどこへ行ってしまったのでしょう。
委員長の想いは好きだって気付いていないのとか鈍すぎ!
なんて可愛らしいのでしょう。
でも、人は見た目で判断しちゃいけないよ。
綺麗で穏やかな人がパンクを好きだっていいじゃないか。
25歳の女性がV6を好きだっていいじゃないか(あれ?)
にしても。
図書委員の幹部達は本当にみんな良い人ですね。
相手を思いやるし、アドバイスもするし、怒りもするし。
藤枝が将来について悩んでいたけど、それが普通ですよ。
高2で将来を決められるわけがない。
いや、いる人はいるけど。私も相当悩んだもんな。進学校だったから。
そういう悩む時期も、必要だったとは思うけど。
みんな、それぞれの道へ進みつつありますね。
藤枝も一念発起したけど、ぜんっぜん進展してねぇ^^;
甘酸っぱいなぁ。ピュアだなぁ。
またまた続編があるらしいですね。
みんなそれぞれどうなっていくのか、とっても気になります。

〈メディアファクトリー 2009.2〉H21.12.17読了

母 三浦綾子5

母 (角川文庫)
母 (角川文庫)
「わだしは小説を書くことが、あんなにおっかないことだとは思ってもみなかった。あの多喜二が小説書いて殺されるなんて…」明治初頭、十七歳で結婚。
小樽湾の岸壁に立つ小さなパン屋を営み、病弱の夫を支え、六人の子を育てた母セキ。
貧しくとも明るかった小林家に暗い影がさしたのは、次男多喜二の反戦小説『蟹工船』が大きな評判になってからだ。
大らかな心で、多喜二の「理想」を見守り、人を信じ、愛し、懸命に生き抜いたセキの、波乱に富んだ一生を描き切った、感動の長編小説。三浦文学の集大成。

会社の方が、貸してくださった作品。今まで三浦綾子さんの作品は読んだ事がありませんでした。
何となく、怖いとか、可哀相とか、先入観を持ってしまっていたんですよね。
この作品は拷問死した小林多喜二の母、セキが人生を語る作品。
私、小樽で小林多喜二の資料館に行った事があります。作品は読んだ事がないですが、プロレタリア文学の作家で、特高警察によって虐殺されたと言う事は知ってました。
でも、多喜二の人物像は、この作品を読んで始めて知りました。
貧しい人を生んではいけないと、今の世を変えるために小説を書く事で国と闘った多喜二。
実際にも貧しい人を助け、家族を心配し、自分の事よりも他人に気にかける、素晴らしい人だったんですね。
今まで知らなかった事が申し訳なく思います。
三浦さんの旦那さんは、どうして奥さんにセキさんの心を書かせようと思ったのでしょうか。
読んでいて引き込まれましたし、本当にセキさんが話しているように感じました。
素晴らしかったです。
でも、ここまで警察や国と闘った多喜二は、今の日本を見てどう思うのでしょう。
「蟹工船」が今注目を集めていますが、売れている理由を知ったら、多喜二は嘆き悲しむのではないでしょうか。
多喜二の信念は、日本の至る所に残っていると思います。
ですが、やはり国家が変わらないと、根底のものは変わらないですよね。
多喜二のように人が動かなければ、ダメなんですよね…。
セキさんは、素敵な方だったんでしょうね。何だか大変だけど明るく生活している家族の姿が目に浮かぶようでした。

〈角川書店 1992.3〉H21.5.27読了

吉野北高校図書委員会 山本渚4

吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
男友達の大地と大好きな後輩あゆみがつきあいだした。
彼女なんてつくらないって言ってたのに—。
二人に接するうち、大地への微妙な想いに気づいてしまったかずら。
一方藤枝は、気持ちにふたをするかずらへの、一途な想いともどかしさを抑えきれず…。
悩み、揺れ動く図書委員たちを描いた第3回ダ・ヴィンチ文学賞編集長受賞作が文庫書き下ろしで登場。

甘酸っぱいですねぇ。青春恋愛小説ですね。
私が高校生のときは私が人見知りで全然クラスの男の子とも話せなくて。寂しい高校生活でしたよ。恋もしなかったなぁ。
なんと切ない!
かずらの思いも藤枝の思いもじれったい!
藤枝の気持ちはよくわかる。大地とかずらの関係、ちょっといらいらする。雰囲気とか、性格とか。人のことばっかり気にかけて自分の思いに気付いていないというか。
藤枝の恋愛を、応援したくなったな。この2人はどういう展開になっていくのでしょう。
こう考えるとワンちゃんがとても大人に感じました。この作品、第2弾も出ているそうですね。そしてそれはワンちゃんの物語だとか。
気になります。

〈メディアファクトリー 2008.8〉H21.4.20読了

かもめ食堂 群ようこ4

かもめ食堂

ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」
日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」
けれども、お客といえば、日本おたくの青年トンミただひとり。
そんな「かもめ食堂」に、ミドリとマサコという訳あり気な日本人女性がやってきて…。

映画がとっても良かったので、原作も読んでみました。
映画で出てきたお三方の細かい人物像が加えられたって感じかな。
もう内容は全部分かったっていたからね。
でも、違う部分もあったから、楽しめました。
トンミくんが、サチエ目当てで最初食堂に通っていたしね。
でも、東洋人ってそんなに若く見えるのかな。
私も21歳の時、老人ホームで実習中に、中学生かと思った〜って言われたことがあるけど。
・・・ってそれは違うか^^;

〈幻冬舎 2006.1〉H18.12.26読了

ヘヴンリー・ブルー 村山由佳4

ヘヴンリー・ブルー

斉藤夏姫、29歳。大好きだった姉、春妃が死んで10年になる。
姉の死は、自分の醜い心が引き起こしたものだと、今でも後悔の念に駆られている。
自分を赦せず、ずっと攻め続けていた。
しかし、夏姫はかつての教え子である慎一とであった事で、自分の中の何かが変わっていくような気がした。
慎一は21歳。偶然にも、歩太と春妃の年齢差と同じだった。
夏姫の視線から描かれた10年が遂に明らかに。

150ページくらいの作品で、あっという間に読めました。
「天使の卵」「天使の梯子」に次ぐ、第3弾ってことでしょうか。
私、卵を読んだ時は夏姫が嫌いだったんです。
何だか自分勝手で子どもでワガママだって思ったから。
まぁ、私も子どもだったって事だと思いますけど^^;
でも、この作品を読んで改めて、夏姫もとても苦しんでいたんだなって思いました。
後悔とか、辛さが痛いほど伝わってくる作品でした。
読めてよかったと思います。

〈集英社 2006.8〉H18.11.1読了

きみのためにできること 村山由佳4

きみのためにできること

俊太郎と日向子は高校生の時から付き合って5年になる。
日向子の家は酒屋を営んでおり、俊太郎はADとして音声の仕事をしている。2人は今、遠距離恋愛だ。
2人の会話はパソコンのメール。電話は、日向子の父が、2人の交際を快く思っていないため、あまりしていなかった。
俊太郎は、ディレクター2人とタレントと4人でロケへ行くことになった。
タレントの名は鏡響子。密かに俊太郎がファンである女性だった。

村山さんの、初読作品です。
俊太郎と日向子のカップルがほのぼのしていてかわいいです。
家が、代々伝わる家業だったりしたら、子どももプレッシャーを感じちゃうよね。
付き合っている相手も。
だから、俊太郎はちょっと寄り道しちゃったのかなぁ・・・。
まあ最後には、自分にとって何が大切で、誰と一緒にいたいのか、分かったからいいんだけどね^^
結構好きです。
これを読んでから、村山さんの作品を読むようになったしね^^

〈集英社 1996.11〉

約束 村山由佳4

約束

昭和61年の夏。
ワタル、ノリオ、ハム太、ヤンチャの4人はいつも一緒に遊んでいる小学4年生。
夏休み明けから、ヤンチャが原因不明の病気にかかり、入院する事になる。
身体中に発疹ができ、咳をしていた。
日に日にやつれ、ヤンチャの姿は変わっていった。
3人は、ヤンチャを救うため、未来から医者を連れてこようとタイムマシンを作り始める。

何だか村山作品であんまり有名でない作品を多く読んでいる気がする・・・。
って言ったら失礼だね。
かわいい作品だけど、重みがあるなぁって思った。
病気の原因が人間のせいだってことはわかったけど、それがどうしてヤンチャにくるのか。
何にも悪くないのに。
そう考えるけど、何も出来ない悔しさが伝わってきた。
タイムマシンは、完成しないって事は分かっているけど、それを作っているだけでヤンチャの支えになっているし、もしかしたら奇跡が起きるかもしれない。
そう考えて作っている3人は逞しくもあり、悲しくもあったね。
「約束」って、必ず守らなければならないけど、時間がたつとその気持ちが薄れていってしまうっていうのが、何だか伝わってきた。
何だかせつなかったねぇ。

〈集英社 2001.7〉H18.4.30読了

夜明けまで1マイル 村山由佳4

夜明けまで1マイル―somebody loves you

涯はバンドを組んでいる大学生。
大学の先生と付き合っている。先生には夫がいた。
「フリンじゃない、恋なんだ」
と、別れる気は全くない。
同じバンドの浅葱も悩みを抱えていた。

簡単に言うと不倫してる話なのです。主人公が。
ドロドロした雰囲気ではないけど、不倫はイヤだし、絶対に実らない恋だから私は好きではありません。
ただ、若いときの葛藤は何となく分かりましたけど。
浅葱の悩みは何となく、気持ちが分かりました。
この作品、高校生のときに読んだんだよね。今になって記事を載せていますが。
あの時は、きっと涯の気持ちなんて、分からなかっただろうな。

〈集英社 1998.9〉H14.2.15読了

春のオルガン 湯本香樹実3

春のオルガン

隣の家の主のせいで、家族がこわれてしまったというテツ。
昨日、小学校を卒業し、ずっと自分が怪物になる夢と頭痛に悩まされているトモミ。
そんな2人がであったのは、おじさんのようなおばさんと、捨てられたたくさんの猫達だった。
そんな人たちに少し癒されながら、
2人はバスの中で暮らしていくことを決めた。

家庭が崩れていっていて、それに戸惑っている子どもの心情が良く書かれているなぁって思った。
葛藤とか、どうしたらいいのかわからない子ども達。
信頼できるのが姉弟2人だけで、寄り添って生きていこうっていうのが伝わってきた。
ちょっと切ないけど、良かったよ。

〈徳間書店 1995.2〉H15.2.23読了

約束の庭 ゆうきえみ4

咲は数ヶ月前に引っ越してきた。
咲は母子家庭で母親は働いており、遅くまで帰ってこないため、いつも一人だった。
一人だと落ち着く図書館へ、いつも咲は行っていた。
そこで、一人の男の子が話しかけてくる。
何処かで見たことのある顔・・・。
クラスメートの丈君だった。
彼は咲にアンモナイトの化石を見せてくれたり、秘密基地を教えてくれたりした。
しかし、彼はクラスでいる時は話しかけないように咲に告げる。
咲はその約束を守っていた。
クラスでの丈君は、図書館で2人で過ごしている時とは別人のようだった。
咲を見ても、話しかけてもくれない。
本当に、彼は丈君なのだろうか・・・

が、画像がない・・・。
これは、児童書です。
小中学生向き^^;
でも、結構奥が深くって印象に残っている本です。
丈君の秘密。そして、咲と丈君の関係。
読んでいくうちにいろんな事が見えてくる本。
絵も多いんだけど、普通に読んでいて引き込まれました。

〈ポプラ社 1995.8〉H15.2.24読了

ポプラの秋 湯本香樹実3

ポプラの秋

千秋の元にかかってきた1本の電話。
母からで、大家のおばあさんが亡くなったと言う知らせだった。
6歳の時に父を失い、千秋は母と2人でポプラ荘に引っ越してくる。
そこには、不気味で不思議な大家のおばあさんがいた。
おばあさんは、私によく、天国の話を持ちかけるのだ。
自分は死者に手紙を届ける役目なのだと千秋に語った。
それから千秋は、父宛の手紙を書き始める。

湯本さんの作品は、いつも「死」が関わっているような気がする。
全部じゃないけど。
これも、そう。
おばあさんの死もそうだし、父親の死もそう。
母親が、父親のいない分、働いている間に、千秋は迷惑を掛けまいと頑張っていて。
それを分かってくれて何かと尽くしてくれたのがそのおばあさん。
2人の会話は微笑ましくて、何だか素敵。
おばあさんは、素直に優しいという感じではないけれど、おばあさんなりの愛情は、伝わってきた。
大人になった千秋は、18年という歳月の間に多くの事があって、葬式に向かう途中で昔を思い返している姿は、何だか少し切ない気がした。

〈新潮文庫 1997.7〉H14.7.27読了

青のフェルマータ 村山由佳3

青のフェルマータ

両親の不和、離婚が原因で心に傷を負い、声を失ってしまった里緒は、治療のためにオーストラリアの島に来ている。
自然や現地の人々、そして海に癒され、少しずつ心の傷を癒していく。
JBという初老の男性に、里緒は惹かれていた。
JBの鳴らすチェロは、何よりも里緒の心に響く音色だった。
そして、いつも里緒を傷つけているゲイリー。
傷つきながらも、里緒は彼の事が気になっていた。

舞台の背景はステキだって思った。
青くて綺麗な海。自然。
その地に住む人々、その人の良さ。
それが、逆に里緒を甘やかしてるような感じがしたのは、私だけかな。
JBもゲイリーもそれぞれの愛し方で里緒に接しているんだけど、それに対して里緒の彼らへの対応?接し方かな、があんまり良くないんじゃないかなぁって思ったの。
わがままなんじゃないかなって。
甘えすぎてるって。
だから、里緒に共感できなかったの。
ラストもちょっと納得がいかなくて。
辛いかな?^^;

〈集英社 1995.11〉H14.7.24読了

TUGUMI 吉本ばなな4

TUGUMI(つぐみ)

身体が弱いため、超わがままで意地悪く育ってしまったつぐみ。
そんなつぐみに翻弄されながらも、つぐみの本当の気持ちを理解しようとするまりあ。
2人の育った旅館での最後のひとときを過ごしたひと夏を描く。

面白かったね〜。
ばななさん初読でしたが、良かったです^^
文章が綺麗でした^^
いいよ〜。
つぐみは腹の立つやつだけど、悪気はないんだよね。うん。
何となく、怒れない感じだった。
やっぱり病弱で、自分の思うようにできない事が、辛いのかなぁとも思ったり。
キレイな作品でした。

〈中央公論社 1989.3〉H16.5.20読了

蹴りたい背中 綿矢りさ2

蹴りたい背中

ハツは中学の時に仲の良かった絹代が、今では1つのグループの一員となり、高校では孤独だった。
同じようにクラスで疎ましい存在とされている、にな川に気が付いた。
彼は、オリチャンというモデルのファンだった。
むしろ、追っかけといってもいいかもしれない。
ハツは、かつてその女性に会ったことがあり、その発言からにな川と行動を共にするようになる。

芥川賞受賞作品。
でも、何で賞を取ったのかわからないくらい、私はどこがいいのかわからない。
酷評?でもそうなの。
ハツが何でここまで孤独を選ぶのか分からない。
仲がいいなら、別に一緒になっても良いと思うんだけどなぁ。
にな川も好きになれない。
普通に好きならいいけど、やっぱり追っかけっぽさがある。
2人とも好きになれないんだから、良い作品とは思えないよね^^;
この作品が好きな人、ごめんなさいm(_ _)m

〈河出書房新社 2003.8〉H15.12.6読了

永遠。 村山由佳4

永遠。

短大を卒業し、地元へ帰ってくる弥生を迎えにきた幼馴染の徹也。
2人は共に片親で、寄り添うようにして育った。
弥生が上京したのは、自分の父に会うためだった。
父親は、弥生の通っていた短大の教授だったのだ。

本が分かりずらい・・・
ひたすら永遠。って書いてあるの。
「。」はミスじゃないよ。ホントにこうなの^^;
堤真一、内山理名が出演の映画「卒業」のサイドストーリーらしい。
知らなかったんだよ。
ラストのページを見るまで。
映画は見ていないんだけど、映画はどうなんだろう・・・
2人がほのぼのしててかわいいです。
ちょっとせつない話。

〈講談社 2003.2〉H15.6.20読了

ずっと、ずっと、あなたのそばに 若月かおり4



ずっと、ずっと、あなたのそばに―映画「いま、会いにゆきます」−澪の物語

最初は夢だと思った。
いつも隣りにいた大好きなあなたと結婚し、私達の間には佑司というかわいい男の子が生まれている。
29歳のわたしは、あなたと佑司とともに幸せな時を過ごしていた。
穏やかで、優しい日々を送っていた澪が、やがて知ってしまう哀しい真実。
それでも、絶対に変わらない家族への思いがあり、絶対に失いたくない人がいる。
自らの運命を分かっていながらも、大切な人と共に生きる事を決意する。
市川拓司のベストセラー『いま、会いにゆきます』の映画化脚本をもとに書き下ろした、もう一つの愛の物語。

面白かったよ。
澪目線って言うのがいいよね。
純愛さはおんなじだった。この著者は新人さんなんだね。
確かに聞いた事がないかも〜
映画の脚本を本にしてるみたいだけど、私は映画を見ていないのでドラマを想像して読みました。
成宮く〜ん。って思いながら見てました。
ドラマの2人も良かったって思うんだよね、私は。
私は好きな小説です^^

〈小学館文庫 2004.11〉H17.11.16読了 

いのちのうた 村山由佳3

いのちのうた

大きなお母さんくじらとその子どもは仲間達とはぐれ、2人で生活していました。
このまま2人で暮らしていてはダメだと思い、母親は南の島へ向かいます。
そこへ行くために、汚れた海を渡ってしまい、お母さんは日に日に弱っていってしまいます。
でも、いつも子どもが1人で生きていけるように、子どもにいのちのうたを教え続けます。

村山由佳は絵本も出してるんだね。
絵もかわいくて、思わず手にとって読んでしまった。
ホント、お母さんの子どもへの愛情を感じたよ。
子どもを守るために、自分を犠牲にする姿。
子どもを1人で生き抜けるようにするために、時には厳しくしつける姿。
お母さんって、こういうものなのよね。うん。
でも、汚れた海とか、あ〜人間のせいだよなぁ。
とか、ちょこっと思いながら読んでたよ。

〈集英社 2000.10〉 H16.12.1読了

天使の卵 村山由佳4

天使の卵―エンジェルス・エッグ

オススメ!
美大を目指している歩太は合格できず、予備校生となった。
その手続きをするため、電車に乗ったとき、一人の女性が乗り込んでくる。
ラッシュだったため、歩太はその女性をかばった。
その女性は美しく、歩太は一目惚れをした。
歩太は母と2人で暮らしている。
父は精神科の病院で10年間入院しており、母が生計を立てていた。
父の見舞いへ行った時、歩太は電車の中であった女性、五堂春妃と再会する。
春妃は、かつて歩太と付き合っていた斎藤夏姫の姉だった。
それから歩太は病院へ通うようになった。
どんどん春妃に惹かれていったが、春妃には忘れられない人がいた。

村山由佳のデビュー作(だよねぇ?)
ストーリーはごく普通に進んでいく感じ。
でも、その当たり前が心地よくって、どんどん読み進む。
歩太と春妃の相手への想いがとても素敵だと思うよ。
ラストが予想もしないものだったけれど。
とても純粋で、キレイな小説だなって感じたよ。

〈集英社文庫 1996.6〉 H14.4.25読了

天使の梯子 村山由佳5



天使の梯子

オススメ!
春妃の死から10年。歩太と夏姫は29歳になった。
お互いが10年前の傷を抱えたまま。
夏姫は8歳年下の慎一と付き合っている。
夏姫は、慎一と付き合ってみて、やっと、春妃の想いを理解できるようになった。
歩太と夏姫と慎一。3人の深い傷を、共に想い、見つめることで、縛られていたものから解放される。

「天使の卵」の続編。
賛否両論だけど、私は好き。凄い好き。
「天使の卵」では、夏姫って、あまり出てこなかったけど、
今回はかなり出てきた。
ずっと歩太と春妃の関係を認められなかった夏姫だけど、自分が慎一と付き合ってみて、ようやく分かってきたんだね。
2人の関係が何だかかわいらしかった^^
でも、夏姫はずっと悩んできたんだね。
恋人を絶対に家に泊まらせない理由とか、切なかったよ。

〈集英社 2004・10〉 H17.1.15読了

キッチン 吉本ばなな5

キッチン

オススメ!
「キッチン」
桜井みかげは最後の身寄りだった祖母を亡くし、とうとう一人となった。
一人で、違う環境で暮らしていくことの決心がつかないままでいると、祖母の知り合いで、同じ大学の田辺雄一から電話が来た。
彼は、花屋でバイトをしており、祖母はそこでよく花を買っていた。彼は祖母のお気に入りだった。
雄一は家に来ないかという。
彼の母親も賛成しているという。
そこで、不思議な同居生活が送られる。
彼氏ではない雄一と、雄一の母親(実は父親)と3人での生活。
2人に温かく迎えてくれたため、居心地はとてもよかった。
しかし、まだこれからの答えは見つかっていない。
「満月」
みかげが一人で暮らすようになって数ヶ月。
大学をやめ、今は料理研究家のアシスタントとして働いている。
秋の終わりごろ、久しぶりに雄一から連絡が入る。
それは、いい知らせではなかった。
「ムーンライト・シャドウ」
さつきは大切な人、等を失った。その傷はずっと癒えない。
朝早く起き、ジョギングをして、毎日常に人と会い、なるべく一人にならないようにしていた。
少しでも一人になると、等を思い出してしまうから。
ある日、ジョギングをして休憩をしていると、一人の女性に話しかけられる。
うららという名のキレイな女性。
彼女と会ってから、すこしずつさつきの心に変化が現われる。

これも、今更な感じですが^^;
ベストセラーだもんね。
17年前の作品だから、時代がちょっと違うなって思うところももちろんあったんだけど、でも、凄く感動した。
3編の短編集なんだけど、どれも愛する人の死からの克服がテーマ。
結構内容は重たい。
でも重さは感じなかった。読みやすかった。
愛する人や、大切な人を失って必要なのは、何も言わずに近くで見守っていてくれる人なんだね〜。
よかったよ^^

〈角川書店 1998.6〉 H17.10.15読了

巨食症の明けない夜明け 松本侑子2

巨食症の明けない夜明け

恋人と上手くいかず、自暴自棄となり過食に溺れる女子大生、時子。
友人の紀子が助けてくれているが、彼とも上手くいかず、過食をとめることができない。
過食症にも似た響きを持つ「巨食症」という単語を、自ら創りだした。
次第に1歳のときに捨てた母親を求めるようになる。
再び胎内戻り、人生をやり直したい。
都会で一人暮らしをする若い女性の不安と孤独を描く。

いつのまにやら、主人公と同い年になってるわ・・・
これを読んだのが高校のときだったから、よく分からなかったことでも、今読み返したらまた違う感想がでてくるかもしれないな。
だって、共感できなかったんだもん。
暗い!もうちょっと前向きになってもいいんじゃないの?って思った記憶がある。
それは私が子どもだったっていうのもあるのかな^^;
彼氏もそのときいなかったし。
機会があれば、再読してみようかな。
あと凄かったのは、食べ物の描写。
凄くリアルでびっくりだよ。
〈集英社文庫 1991.1〉 H14.9.7読了

雨と夢のあとに 柳美里4

雨と夢のあとに

桜井雨は小学6年生。母は2歳のときに失踪しており、父親、朝晴と2人暮らし。
父親は写真家で、海外へ出ることが多く、不在がち。
雨は一人でいることも多かった。
今回は2週間も音信不通で、父親と連絡がとれなかった。
父はずぶぬれの状態で帰ってきた。
しかし、何故だか違和感を感じる。
前と様子が違っていた。
それから、雨の周りには不思議なことが起こり始める。

柳さん初読。
初の怪談だったらしい。
全然怖さは感じなかったけどな。
これは、今年ドラマ化されてましたね。それで、タイトルを知っていたので手にとって読んでみました。
感動だね〜。
父親の娘への愛情を感じる。
ラストは哀しくて切ない。
とてもよかった。
ただ、雨の一人称で語られることが多かったんだけど、ちょっと読みにくいところも多かったんだ^^;
文章があまり区切られてなくって。
それが、ちょっと残念。

〈角川書店 2005.4〉 H17.10.10読了

インストール 綿矢りさ3

インストール

高3の朝子は今の生活が嫌だった。
そこで、全てを捨てて逃げ出し、登校拒否となる。
自分の部屋にあるものを捨てているとき、同じマンションに住む、かずよしという小学生に出会う。
それから2人は風俗チャットを始めるが・・・

すらすら読めて、すぐ読み終わった感じ。
でも、主人公と共感できることはなかった。何を伝えたいのかもよく分からなかったし・・・。
ラストはよかったかなって思うけど。
こんな小学生いたら、怖いよなぁ。
とか、思ったりした^^;

〈河出書房新社 2001.11〉H14.5.31読了

夏の庭 湯本香樹実4



夏の庭―The friends

人の死ぬ瞬間を見るために、少年3人はもうすぐ死ぬといわれている老人を観察することに。
しかし、その老人が死ぬ気配はなく、3人は老人に見つかってしまった。
3人は、老人の行うことを手伝う羽目に。
段々付き合っていくうちに、少年達と、老人には深い交流が生まれていく。

始めの死ぬ人間を観察するっていう少年達の考えにはついていけなかったんだよね〜。
イタズラがすぎるんじゃないの〜。っていう・・・^^;
でも、老人と少年達とのかかわりがすごくいいものだなぁって感じた。
老人はいつも一人で暮らしていたから、少年達と触れ合うことが嬉しかったんだろうなぁとか、
少年達もこんなに老人と関わったことがないだろうなぁとか、
いろいろ考えながら読んだような記憶が・・・
最後が凄く感動したよ。切なかった。

〈新潮文庫 1994.2〉 H14.7.31読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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