苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

女性作家(な・は行)

古本食堂 原田ひ香5

古本食堂
原田 ひ香
角川春樹事務所
2022-03-15


美希喜(みきき)は、国文科の学生。本が好きだという想いだけは強いものの、進路に悩んでいた。そんな時、神保町で小さな古書店を営んでいた大叔父の滋郎さんが、独身のまま急逝した。大叔父の妹・珊瑚(さんご)さんが上京して、そのお店を継ぐことに。滋郎さんの元に通っていた美希喜は、いつのまにか珊瑚さんのお手伝いをするようになり……。カレーや中華やお鮨など、神保町の美味しい食と心温まる人情と本の魅力が一杯つまった幸せな物語。

古書とおいしそうな食事が魅力的な素敵なお話でした。
美希喜ってなんて読むんだろうと思ったのですがそのまま「みきき」なんですね。可愛い。
大叔母さんの珊瑚も可愛い。
美希喜は母親から珊瑚が古書店を引き継ぐつもりなのか探るように言われ、お土産を持って古書店に通うようになります。
登場するたくさんの小説も、食べ物もどれも魅力的で神保町へ行きたくなります。
それももちろんですが、美希喜の進路のこと、珊瑚の想い人のこと、滋郎の人間関係と恋愛、古書店を訪れる人々、いろんな関わりも面白かったです。
やっぱり建文と美希喜の関係が気になりましたね。けんぶんとみきき、どちらも見聞、なんて素敵。
このお店に通うようになって、人生が楽しくなったという言葉が好きでした。

<角川春樹事務所 2022.3>2022.5.31読了

図書室のはこぶね 名取佐和子5

図書室のはこぶね
名取 佐和子
実業之日本社
2022-03-17


1冊の本と、10年前の謎――この世界が愛おしくなる、瑞々しい青春小説!
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、 なぜいま野亜高校の図書室に戻ってきたのか。
体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す。
未来はまだ見えなくても歩みを進める高校生たちと、それぞれの人生を歩んできた卒業生たち――
海の見わたせる「はこぶね」のような図書室がつなぐ〈本と人〉の物語。
~~県立野亜高校図書室名物~~
1オリジナル検索機「本ソムリエ」
2司書の伊吹さん
3海が見わたせる窓

怪我をしたことでバレー部の引退試合に出ることが出来ず、体育祭にも参加できなくなった百瀬は友人に頼まれて1週間図書委員をすることになる。そこで出会った図書委員の朔太朗とともに10年前に貸し出しされたままの「飛ぶ教室」の謎の解明をすることになる。
百瀬はバレーに打ち込んでいた完全なる体育会系で、最初は読みながらも苦手でした^^;挨拶の仕方とか、「飛ぶ教室」を見て勝手に謎を見つけて解決しようとして個人情報云々のご時世に土足で入り込んでくるような感じが。でも、だんだんそのまっすぐさに清々しさを感じるようになりました。
10年前には百瀬の担任の郡司も絡んでいて、10年前の図書委員も絡んでいて、最終的には大ごとになったイベントに司書の伊吹さんが絡んでいることも分かり^^
人間関係って不思議。いろんなところでいろんな人が繋がっている。それは私たちも同じことで。
私、しっかり”四月病”にかかっているらしくて結構情緒不安定な状態が続いていたのですが^^;百瀬が言った「今はとにかくただ生きてるから生きる」って言葉に泣いちゃったんですよねー…前後の言葉も良かったんですけど長くなってしまうので端折りますが。私も、別に生きてるんだから、生きてていいんだよなって思えて。少しだけ前向きになれました。
百瀬と朔太朗はお互いに出会えたことで前に進めたのなら良かったな。読めて良かったです。
「飛ぶ教室」タイトルは知っていましたが未読でした。読んでみます。いつか(笑)
私、活字中毒になったのが遅いので昔からの名作とか子どもの頃に読む名作とかあまり知らないんですよね。こうやって登場すると読むきっかけが出来るのでありがたいです^^

<実業之日本社 2022.3>2022.4.21読了

丘の上の賢人 旅屋おかえり 原田マハ5



売れないタレント・おかえりこと丘えりかは、依頼人に代わり旅をする「旅の代理人」。秋田での初仕事を終え、次なる旅先は北海道──ある動画に映っている人物が、かつての恋人か確かめてほしいという依頼だった。依頼人には、初恋を巡るほろ苦い過去があって……。『旅屋おかえり』未収録の、幻の札幌・小樽編が待望の書籍化。北海道旅エッセイ&おかえりデビュー前夜を描いた漫画も収録した特別編!

こちらは前作の続編ではなくて、角館と内子の間で行った旅のお話だったんですね。面白い。
こちらは本編も札幌と小樽が舞台だし、原田さんのエッセイも帯広で北海道が舞台。北海道民としては嬉しい限りでした。私は札幌生まれ札幌育ち札幌在住なのですが勤務先は小樽なんです^^;なので小樽駅を降り立ったおかえりさんが見た風景はそのまんま思い浮かべましたし、そのあと向かったお店までの道のりも頭の中に簡単に思い浮かべることが出来て、楽しかったです(笑)
でも、依頼人もおかえりさん自身も北海道の地に足を踏み入れられないと思っていて、ちょっと寂しかったですけど^^
依頼人さんの内容がお姉さんに対しても元彼に対しても哀しくて寂しくて、何とかなってほしいなぁ!と思ったら想像以上に何とかなって(語彙力よ)心が満たされました。ここまで相手を想い合えるなんて、なんて素敵なんだろう。本当に良かった…。でも、お姉さんの気持ちも分かるんですよね。私もきょうだいで1番上なので。お母さんから言われた言葉は、言い方は悪いですが呪いの言葉です。自分を犠牲にして妹を育ててきた。だからこそ妹には幸せになってほしいし、自分も報われたかった。だから今回お姉さんもきっと救われたはずで、本当に良かったなぁと思いました。
原田さんのエッセイも面白かったです。
私は帯広は1度しか行ったことがありません^^原田さんは何度も行かれているんですね。まあ、札幌なんで六花亭何店舗もありますし←でも中札内美術村は知りませんでした。美術館巡りが好きな身としては見過ごすわけにはいかないですね。いつか行きたいな。
最後の漫画も良かった。解説も良かった。大満足でした。

<集英社 2021.12>2022.4.9読了

名探偵に甘美なる死を 方丈貴恵5

名探偵に甘美なる死を
方丈 貴恵
東京創元社
2022-01-08


「犯人役を演じてもらいたい」と、メガロドンソフトから依頼を受け、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、そこには「幽世島」の事件に関わり現在はミステリ作家となった竜泉佑樹もいた……。しかしイベントは一転、探偵とその人質の命を懸けた殺戮ゲームへと変貌を遂げる。生き延びるには、VR空間と現実世界の両方で起きる殺人事件を解き明かすしかないーー! 『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く、 “館もの”本格ミステリ長編。

〈竜泉家の一族〉シリーズという名前が付いているんですね。シリーズ3作目。
1作目の主役である加茂と2作目の主役である佑樹が3作目でどちらも登場するというのが面白いです。こちらのシリーズは毎回マイスター・ホラからの挑戦状を受けることになるんですけど、もう全然分かりませんね←最初からあきらめてます^^;
ですが、事件自体を解決できなければ本当の死が訪れるということでハラハラドキドキしながら読みました。特に加茂は誰よりも不利な状況だったわけですし。
それにしても加茂も佑樹も頭の回る人たちですね。自分が死んでしまうかもしれない状況のなか、よくこんなに状況を把握していられるなと思いますよ本当に。
1作目はタイムスリップもので2作目は怪物との戦いで3作目はVRミステリゲーム…いやー…著者さん凄すぎますね…
1作目を読み終えた時点で加茂には存在していたかもしれない未来があったわけで、そこに絡んでくるとは思いませんでした。ちゃんと繋がっているんですね…
館ミステリの中でもなかなかにぶっ飛んだ斬新なミステリだったと思います。といっても、私もちゃんと理解できていないと思いますが^^;
こちらのシリーズはまだ続くのでしょうか。読むのは大変ですが、楽しみにしています。

<東京創元社 2022.1>2022.3.15読了

世界の美しさを思い知れ 額賀澪4

世界の美しさを思い知れ
額賀 澪
双葉社
2021-12-22


蓮見貴斗と尚斗は一卵性双生児。
弟の尚斗は人気俳優だったが、遺書も残さずに自殺した。
葬儀を終えて数日後に尚斗のスマホが見つかり、貴斗が電源を入れると顔認証を突破できてしまう。
未読メールには礼文島行きの航空券が届いていた。
自殺したのに、どうして旅行に行こうとしたのか。
その答えを知るために貴斗は旅立つ。
人気絶頂で自殺した愛する弟は何に悩んでいたのか。
止められなかった自らの後悔を胸に世界を旅する貴斗。
「生きること」と「死を受けとめること」の意味を問う、感動のロードノベル。

家族の中に芸能人がいるってどんな気持ちなのだろうと読んでいて思いました。ましてや一卵性双生児で同じ顔だとしたら。世間は一般人の兄弟は妬み嫉みを持っているんじゃないかって思ってしまうこともあるかも知れないですよね。
私は自死で家族を突然失った経験がないので、主人公の気持ちは分からないけど、同じ顔を持った片割れがいなくなったことを理解するために、弟が旅した場所を巡ることは必要なことだったのかなと思います。黒髪に眼鏡だったのに、弟そっくりに髪を染めてコンタクトにして。贖罪だったのでしょうか。自殺する弟に気づけなかったという罪。
最終的に貴斗が前を向いて生きようと思ったのなら良かったです。
最後のエンドロールが斬新でした。
そして最後は衝撃でしたね…。奥さんの名前が出てきて、あれ?あの子は下の名前出てきたっけ?と思って読み返したらしっかり最初に書いてありました^^;
面白かったです。そして私も旅に出たくなりました。海外は怖いから、国内だけど。

<双葉社 2021.12>2022.2.21読了

旅屋おかえり 原田マハ5

旅屋おかえり (集英社文庫)
原田 マハ
集英社
2014-09-19


あなたの旅、代行します!売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった―。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。

ドラマ化されたのに便乗し、続編が出たこともあって読んでみました。と言ってもドラマは見ていませんすみません^^;
唯一のレギュラーだった番組が打ち切りになり、途方に暮れていたところで病気で旅が出来ない娘の代わりに旅をしてくれないかと依頼をされる。
今回の舞台は秋田県と愛媛県。角館は行ったことがありませんが内子町は行ったことがあります。しかも去年。試験を受けに行ったんですよねーダメでしたけど。のどかで素敵な町でした。
秋田は横手市に行ったことがあります。「炎立つ」を見て家衡が最期を迎えた場所に行きたかったんです。横手焼そばを食べに行った時地元のおじいさんがいて。どこから来たのか、なぜここに来たのか聞かれて金沢柵と沼の柵を見に来たって言ったら凄く喜んでくれたのを思い出しました。
このご時世だから今はこういう交流はできにくいですけど、こういう人との触れ合いが旅の醍醐味でもあるよなーと思い、おかえりさんの気持ちも凄く良くわかりました。
どちらの旅も良かったです。依頼人の姪とも仲良くなれて良かった…。気になって一気読みでした。
続編も楽しみです。

<集英社 2012.4、2014.9>2022.2.17読了

山亭ミアキス 古内一絵4

山亭ミアキス
古内 一絵
KADOKAWA
2021-11-30


迷い込んだ宿には、美味しいごはんと、不思議な従業員が待っていた――。
――日常から逃げ出したいあなたへ――
心に悩みを抱える人が迷い込む、森の中の不思議な宿「山亭ミアキス」。
超絶美形のオーナーに不思議な従業員、ロビーでは暖炉が赤々と燃え、食事は絶品のアイルランド料理。
しかし、泊まると間違いなく酷い目に遭わされる。
ブラック部活に疲弊する少年、マタハラに悩む女性など、今日も救いを求める者がたどり着く。
人をたぶらかす、謎めいた彼らの正体と目的とは――?

最初は注文の多い料理店みたいな感じかなーと思ったのですがまたちょっと違いましたね。
猫のお話が海外の物も多くて、登場する料理はアイルランド料理ですし、全体的に海外風味。
人生あまりうまく行ってないなぁと思う中に登場するこの宿。
そこで癒されて前向きになれるのかと思いきやひどい目にあったりする。
それでもそこから学んで人生を進んでいく登場人物たちは読み始めと終わりの方だと勇ましさが違うような気がしました。面白かったです。

<KADOKAWA 2021.11>2021.12.21読了

うしろむき夕食店 冬森灯5

うしろむき夕食店
冬森灯
ポプラ社
2021-02-17


二階建てのレトロな洋館に、ステンドグラスの嵌め込まれた観音開きの扉。ドアの両側には二つずつ背の高い格子窓。そこから見える満月のような照明と、おいしそうな香りが漂ってきたら間違いなし。そこが「うしろむき夕食店」だ。
“うしろむき”なんて名前だけど、出てくる料理とお酒は絶品揃い。きりりと白髪をまとめた女将の志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。
お店の名物は「料理おみくじ」。
今宵の食事も人生も。いろいろ迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だが――。

デビュー作の「縁結びカツサンド」も好きでしたが、こちらも良いですね。
こちらは女将とその孫が切り盛りする小料理屋さん。出てくる料理も美味しそうだし、なによりも料理おみくじが気になります。私もやってみたい。
皆が多分同じような悩みを抱えていて、少し背中を押してくれるような作品でした。そして連作短編集になっていてお店にやってきた人が少しずつ知り合いになっていくのが良いですね。どのお話も良かったな。仕事を頑張る人も良かったし、夢を諦めないで頑張る人も良かった。そして希乃香も凄く頑張ってた。そして志満さんが希乃香に課したおじいさんを探してという大きな課題。何となくそんな気もしていたんですけど、ニヤニヤしちゃう展開で良かったです。最後は大団円でみんなが幸せで楽しそうでこちらも幸せな気持ちになれました。私も頑張ろうと思えました。

<ポプラ社 2021.2>2021.12.7読了

沙羅と万葉 中村有里5

万葉と沙羅 (文春e-book)
中江 有里
文藝春秋
2021-10-21


中学で登校拒否になった沙羅は、一年遅れで入学した通信制の高校で幼馴染だった万葉に再会。読書好きの万葉に読書の楽しさを教えられ、自分なりに本を読むように。一方で、大学に進学した万葉は、叔父さんの古本屋を手伝いながらも将来に迷いを感じていた――。
宮沢賢治「やまなし」、伊藤計劃「ハーモニー」、福永武彦「草の花」など、実際の本をあげながら描く瑞々しい連作短編集。

女優の中村有里さんが書かれた小説です。
沙羅と万葉2人の視点で描かれる青春小説だと思って読んでいました。
沙羅は凄く頑張っていると思います。それでもその頑張りが上手く両親に伝わらない。それを万葉がちゃんと言葉にして伝えてくれたのかなと思いました。
万葉も万葉で叔父さんとともに九州を旅行して自分のこれからを考えていきます。
通信制の高校ってこういう形何ですかね。大学もですが。
私は通ったことがないので新鮮な気持ちで読んでいました。
2人とも遠回りしているところもあるけど、それでもちゃんと前に進んでいて、頼もしく感じました。
そしてたくさんの小説が登場しました。
著者さんの読書量が伺えます。また書いてほしいです。

<文藝春秋 2021.10>2021.11.30読了

母親からの小包はなぜこんなにダサいのか 原田ひ香5



昭和、平成、令和――時代は変わっても、実家から送られてくる小包の中身は変わらない!?
業者から買った野菜を「実家から」と偽る女性、父が毎年受け取っていた小包の謎、そして、母から届いた最後の荷物――。
実家から届く様々な《想い》を、是非、開封してください。

私は今一人暮らしですが実家は近いですし1週間に1度のペースで会っているので^^;小包は届いたことがないです。でも、多分同じようにダサいのかなと思います。多分普通に買えるものでもたくさん詰めてくれるんだろうななんて妄想します。
6つの短編集が描かれていましたが境遇はバラバラで小包の届き方もバラバラです。でも、小包を送るという行為自体が少し面倒だったりするので、いろんな愛情を感じました。そのダサさに愛情を感じたりしました。
私は母親から小包をもらう環境にはこれからもならないかなーとは思いますが、ダサい小包を送ってほしいなーと思ったりしました^m^ダサい前提で申し訳ないですけど(笑)

<中央公論新社 2021.9>2021.11.29読了

リボルバー 原田マハ5

リボルバー (幻冬舎単行本)
原田マハ
幻冬舎
2021-05-25


誰が引き金を引いたのか?    
「ゴッホの死」。アート史上最大の謎に迫る、著者渾身の傑作ミステリ。
パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。
高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。
それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだという。
「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」
ゴッホとゴーギャン。
生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの、真実の物語。

どこまでがフィクションでどこまでが真実なのか分かりませんでした。引き込まれました。面白かった…。
ゴッホもゴーギャンも今の時代でも名の残る画家の二人です。
と言っても私もそこまで知っているわけではありません。ゴーギャンを引き留めるためにゴッホが自分の耳を切ったことくらい←
原田さんがどれほどゴッホとゴーギャンを愛しているかが分かります。二人の遍歴がとても分かりやすかったです。2人の心情の機微も本を読んで伝わってきます。創作ではあるけどすべてが真実なんじゃないかなって思えるくらい。
2人は幸せだったのか。それは本人じゃないとわからない。それでも自分の好きな絵を追求し続けた2人はやっぱり幸せだったのではないかな…と読んでいて感じました。
そして分かってはいましたけどテオの存在がとても大きいですね。どうしてあそこまでできたのだろう…と純粋に思います。お兄さんの絵を信じていたのでしょうか。そしてテオの奥様も素晴らしい方ですね。テオを幸福にも不幸にもしたゴッホの絵を守り続けたんですから。原田さんの作品をもっと読んでいきたいと思いました。素晴らしかったです。

<幻冬舎 2021.5>2021.10.7読了

ランチ酒 今日もまんぷく 原田ひ香5

ランチ酒 今日もまんぷく
原田ひ香
祥伝社
2021-06-10


〈見守り屋〉の犬森祥子のもとには、様々な依頼が舞い込む。話し相手になったり、頼まれれば片づけをしたり、夜から朝までひたすら人を見守るのが仕事だ。夜勤明けの楽しみは「ランチ酒」。仕事の疲れを癒しながら、離れて暮らす一人娘に、これからの人生に思いを巡らす。そんなある日、十歳になった娘から「話したいことがある」と連絡が入り――。
思い出の餃子×ビール、遠くへ行きたくなるお好み焼き×レモン酎ハイ、好きな人と食べたい白いオムライスと白ワイン……悩んでも、迷っても、食べる喜びが背中を押してくれる!

シリーズ第3弾。前回も少し展開がありましたが、今回はさらに大きな展開がありましたね。
祥子はまだ30代ですし、いろんなことに挑戦したって良いし恋だってしたって良いんですから!!
元夫のところに再婚相手との子供いなかったんだって今更思いました^^;
まあ、今の奥さんが娘さんを蔑ろにするとは思えないけど、それでもやっぱり実の娘はさらに複雑な環境になるわけですし、気になりますよね。
それにしても元夫は相変わらずクズ男ですねー。って家族がいる人に対して失礼ですね。祥子に対しては本当にクズ。祥子が言った通り。今の妻に気を遣いすぎ、祥子には気を遣わな過ぎ。ですよね。
最後に3人で笑いあえるなんて、祥子は凄いな…と思いました。
娘ちゃんのことを気にしつつ、新しい恋をゆっくりでも育てていってほしいなと思いました。相手も曲者だけど…^^;
私は元々ほぼ100%自炊な人間なので外食はほとんどしないのですが、この作品を読んでいると一人でご飯を楽しんでみたいなーと思います。

<祥伝社 2021.6>2021.9.29読了

ハグとナガラ 原田マハ5

ハグとナガラ (文春文庫 は 40-5)
原田 マハ
文藝春秋
2020-10-07


どこでもいい。いつでもいい。
一緒に行こう。旅に出よう。人生を、もっと足掻こうーー。
恋も仕事も失い、絶望していたハグ。突然「一緒に旅に出よう」と大学時代の親友ナガラからメールが届いた。以来、ふたりは季節ごとに旅に出ることに。
ともに秘湯に入り、名物を堪能し、花や月を愛でに日本全国駆け巡る、女ふたりの気ままな旅。
気がつけば、四十路になり、五十代も始まり……。
人生の成功者になれなくても、自分らしく人生の寄り道を楽しむのもいい。心に灯がともる六つの旅物語。
文庫オリジナル短編集です!

旅のお供に持って行った文庫本の中の1冊。ぴったりな本でしたね。意図していたわけではないのですが。年を重ねても1年に何度か必ず旅をする友人がいるって素敵です。ナガラがとても素敵な人でした。私も多分どちらかというとハグに似ている気がして。こうして弱っているときに優しい言葉をかけてくれるナガラのような人がいたら良いなぁーなんて思いました。
6つの連作短編で最初は30代だった2人は最後は50代半ばくらいになっているのかな。お互いも年を重ねたけど、周りの家族も同じように年を重ねて。色々ありますよね。
私は1つ目の物語の2人と同じくらいの年齢です。ナガラがハグに最初にいった「もっと足掻こう」という言葉に凄く胸を打たれました。
「足掻く」という言葉を見たとき、トニセンの「不惑」という曲を思い出しました。「赤い血を滾らせたい もう一度」という歌詞とちょっと似てるなと思って。曲のタイトルから色々察してください^^;
私もまだまだ足掻いていたいし、血を滾らせてギラギラと生きてもみたい。
改めてそう感じさせてくれた作品だったと思います。
旅のお供に持って行ったこの本ですが、1日目の目的地に着く前に読み終わってしまいました(笑)一気読みでした。
私も状況は違えど絶望のさなかにいるような気持ちでいて。私は一緒に足掻いてくれる人はいないけど、一人で足掻いて足掻いて生き抜いていきたいなって思いました。ちょっと重いですね…。
今、読めて良かったです。

<文藝春秋 2020.7>2021.9.24読了

男ふたり夜ふかしごはん 椹野道流5

男ふたり夜ふかしごはん (単行)
椹野 道流
プランタン出版
2021-04-01


芦屋の古い一軒家で暮らす眼科医の遠峯と、転がり込んできた後輩で小説家の白石。
時々喧嘩もするけれど、男ふたりの同居生活は気安くて快適だ。
なにより、食の好みが合うのがいい。
食卓で仕上げる、あったかポテサラ、祖母直伝の味噌だれで食べる水餃子、お祝いで超大人のお子様ライス、ふわふわ卵のけいらん温麺、懐かしのご褒美弁当、憧れのミートボールスパゲティちょっと豪華なさけ茶漬け、身も心も温まる、蒸し寿司──
読んだらお腹が空くこと間違いなし、禁断のお夜食歳時記。

シリーズ第3弾。今回もどれも美味しそうなお話で読んでいてお腹がすきました。
白石が遠峯の家に転がり込んで2年が経ったんですね。やっぱり一緒に暮らすとなると食の好みが大事になってきますよね。2人で美味しいものを楽しそうに食べているのが読んでいても伝わってきて、良いなぁと思いながら読んでいました。
遠峯の両親が北海道に住んでいるので、北海道にちなんだものがたまに出てくるのも個人的に嬉しい^^
この2人の関係性はまだ続くのかな…続いていってほしいなー。私、芦屋には行ったことがないんですが、もう結構行った気になってしまってます^m^

<プランタン出版 2021.4>2021.9.19読了

縁結びカツサンド 冬森灯5

縁結びカツサンド
冬森灯
ポプラ社
2020-07-08


オススメ!
駒込うらら商店街に佇む、昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。
あんぱん、クリームパン、チョココロネ。気取っていない顔が並んでいて、見ているだけでほっとするような、そんなお店。
一家で経営してきたコテンの未来を背負うのは、悩める三代目・和久。
商店街が寂れる中で、コテンを継ぐべきか。「自分なりのパン」を見つけないといけないのではないか。創業者のじいちゃんが亡くなって、店名の「コテン」の由来もわからない。
日々迷いながらパン生地をこねる和久のもとには、愉快なお客たちがやってくる。
ヒョウ柄のコートを着込む占い師に、就活に落ち続ける学生、肉バカの肉屋の息子。
人の悩みに寄り添うパンを焼こうと奮闘する和久が、やがて見つけた答えとは――
しぼんだ心を幸せでふっくらさせる、とびきりあったかな“縁”の物語。

4話からなる連作短編集です。登場する常連さんがどんどん関わりを持って行く感じがとても好きでした。
どのお話も好きだったけど、1番は「花咲くコロネ」かな。ミユキちゃんに会うために一生懸命勉強をして頑張っている花ちゃんに心打たれました。そして最後の展開に色々驚き^^
創業者のじいちゃんが名付けた「コテン」の由来。和久が最後に思った理由で良いんじゃないかなと思います。当たっていても、間違っていても。多分じいちゃんは受け入れてくれると思います。
この本を読んでいたら、無性にカツサンドがたべたくなりました。チョココロネもいいな。カレーパンもいいな。
素敵な作品に巡り合えました。この作品がデビュー作とはびっくりです。

<ポプラ社 2020.7>2021.8.26読了

最高のアフタヌーンティーの作り方 古内一絵5

最高のアフタヌーンティーの作り方 (単行本)
古内 一絵
中央公論新社
2021-04-19


老舗ホテルで働く涼音は、念願叶って憧れのマーケティング部サービス課、アフタヌーンティーチームに配属された。
喜び勇んで、アフタヌーンティーの新企画を出したものの、パティシエ・達也に「目新しければいいってもんでもないから」と冷たく却下されてしまう。
「最高のアフタヌーンティーって、一体、なんだろう」?

アフタヌーンティーって私は利用したことがないです。
確かに結構なお値段なんですよね^^;何となく敷居が高いような気がして未経験でした。
でも、この作品を読んで、おひとりさまでも全然問題ないんだなと分かって行ってみたくなりました。
桜山ホテルという名前から、モデルは椿山荘かなぁと思っていたら当たりましたね。行ったことはないんですけど^^;
涼音の考え、私は嫌いじゃないですし、働いていく上で大変だと思うけどその考えを貫き通してほしいなとも思います。
涼音の視点と達也の視点で交互に描かれる物語。だからこそ2人の関係性がちょっとずつ変わっていくのが垣間見えてニヤニヤしたりもしましたけど^^
アフタヌーンティーの鉄人や西村さんとの関わりも良かった。
お仕事の大変さ、雇用形態の格差、発達障害からくる差別、アフタヌーンティーの中に様々な問題が絡み合っていて、読みごたえもありました。
味わい深い作品でした。

<中央公論新社 2021.4>2021.7.27読了

男ふたりで12ヶ月おやつ 椹野道流5



芦屋の古い一軒家で暮らす眼科医の遠峯と、そこに転がり込んだ後輩で小説家の白石。男ふたりの同居生活は、気安くて快適だ。白石の作る晩飯もうまい。そして、甘党の遠峯が欠かさないおやつ―。ほんのり温かい手作りショートブレッド、温泉帰りに炭酸煎餅、仮想彼氏が作るティラミスっぽいやつ、大人のスイーツ、コーヒーモンブラン、夏風邪には綺麗な銘菓ういろう、罪深さで美味しさ割増な裏おやつのホットケーキ、特別なデザート、クレープ・シュゼット―。今日もおやつ箱には甘い幸せが詰まっている。男ふたりのおやつ歳時記。

2冊目です。
4月から3月までの12ヶ月を遠峯と白石の視点で交互に描かれています。
それぞれが相手のことをどう考えているのかが分かるのでなんだかにやにやしちゃいますね。
お互いに頼り頼られで、でも締めるところは締めるというか。そのちょうどいい塩梅が2人は似ているのかなと思います。じゃないと高校の時の先輩後輩という関係だけでは1年以上同居なんてできないですよねー。
それにしても白石が作る手料理も、外食先で食べる料理もおやつもどれも本当に美味しそう。
兵庫県に行ったことはありますが神戸と西宮にしか多分行ったことがなくて。こちらのシリーズを読んで芦屋市で行きたいお店が増えました。お取り寄せやお土産で登場した品々も。
あと神社仏閣めぐりが好きな人間としては湊川神社に行ってみたいです。楠木正成が祀られているなんて・・・!!!行かないわけにはいかないですよね!!!
2人の関係性が微笑ましくて羨ましかったです。先輩のおかげで両親と和解が出来てよかったね…
次回作も読むのが楽しみです。

<プランタン出版 2019.11>2021.6.23読了

男ふたりで12ヶ月ごはん 椹野道流5



今日は食べます?
仕事を終えて、気持ちよく美味しい晩飯を食べよう。
芦屋の古い一軒家に暮らす眼科医の遠峯、そこに転がり込んできた高校時代の後輩・白石。
小説家になっていた白石は、スランプだという。
気分転換しに来ましたという彼と突然始まった同居は、なかなかに快適で……。
事情説明の焼肉、男飯な弁当のみそ炒り卵、誕生日祝いで前菜がメインな中華コース、脱稿明けの分厚いハムとふわふわ卵の贅沢サンドイッチ、コロッケが乗った遠峯の「理想のカレー」、気分転換の単調作業で白菜と豚肉のミルフィーユ鍋、遠峯の帰省土産ジンギスカン、白石の人生初フォアグラ様、そうそう、甘党の遠峯はデザートも欠かせない。
くりきんとんにモンブラン、クリームパンに桜餅──。
ご飯が美味しければ、一年なんてあっという間。

「Day to Day」を読んで気になった作家さんを読んでみようと思って手に取ったこちらの作品。初読み作家さんです。こちらはシリーズ化されて何冊か出ているんですねー。
タイトルを見て「きのう何食べた?」が思い浮かんだんですけどそういうことではないんですね^m^2人の性格は全然違うのに、生活スタイルが良い感じで合わないのがはまっていたり、食の好みがあっていたりして一緒にいるのが苦痛ではないっていい関係だなと思いました。
食の好みが合うってすごく大事だと思うんですよね。一緒に暮らしていたらなおのこと大事。
2人は楽しく毎日を過ごしている感じが伺えて羨ましさも感じました。
遠峯の両親が北海道に移住したということでジンギスカンが出てきて^^昔はホットプレートで家族で食べてたなーと思いだしたりもしました。
私は兵庫には何度かコンサートや舞台鑑賞のために行ったことがありますが、食べたものの記憶があまりありません^^;結構前だし…
特にスイーツが気になりました。今後行くことがあったらちゃんとリサーチして食べてみたいです。

<プランタン出版 2018.2>2021.5.20読了

蝶として死す 平家物語推理抄 羽生飛鳥5



平清盛の配下である童子・禿髪は、なぜ惨殺されたのか? 首のない五つの死体から、どうすれば探している人物を特定できるのか? 帝の庇護下にあった寵姫を、どのようにして毒殺したのか? ――不可思議な謎に挑むのは、清盛の異母弟にして一族の裏切り者・平頼盛。平安時代ならではの、前代未聞の新しい謎を描いたと話題を呼んだ、第15回ミステリーズ!新人賞受賞作「屍実盛(かばねさねもり)」など5編を収録。

主人公は平清盛の弟である平頼盛です。
大河ドラマ「平清盛」を見ているので俳優さんでぱっと思い浮かびます。
歴史上は一族の裏切り者ですが、ドラマの中では平家を守るために裏切り、生きる道を選んだことになっています。頼盛が最終回に言った「平家は常に一蓮托生」という言葉が忘れられません。
まあ、ドラマのことはさておき、こちら読了しました。
歴史上の人物が謎解きを行う物語は以前「時省記 平時忠卿検非違帖」という平時忠が主役の本を読んだことがあります。そういえばどちらも平家ですね。面白い^^
ミステリとしても面白かったですが、その謎を解くことで家族を、家臣たちを守るために生き抜いてきた物語という形でも面白かったです。この物語は連作短編集となっていますが、一つ一つ時代が少し異なり少しずつ頼盛も年を重ねていきます。史実を織り交ぜながら展開されていくのでとても面白かったです。
歴史上は頼盛はあまり重要視されず知らない人も多いかもしれません。ですが頼盛がいたからこそ平家は断絶せずに生き延びたのだと思います。
最後の息子たちの言葉が印象的で。父親に対して気になる点はあったものの、父親の考えを受け入れ尊敬していた様子が伺えてなんだかこちらも嬉しく感じました。
最後まで読み終えてからタイトルを見直すと改めてずしっと心に響き、余韻が残りました。

<東京創元社 2021.4>2021.5.16読了

サンドの女 三人屋 原田ひ香5

サンドの女 三人屋 (実業之日本社文庫)
原田 ひ香
実業之日本社
2021-02-05


朝は三女・朝日の喫茶店、昼は次女・まひるの讃岐うどん屋、夜は長女・夜月のスナック――志野原家の美人三姉妹が営む「三人屋」は、朝日の就職を機に、朝の店を終了、業態を転換することになった。
朝日が出勤前に焼いたパンを使い、まひるが朝からランチ時まで売る自家製の玉子サンドイッチが、見映えも良くおいしいと大評判に。
かたや長女のスナックは、ラプンツェル商店街で働き、暮らす人々のサロンとしてにぎわっている。
ゲイの青年、売れない作家、女泣かせのスーパー店長など、ワケあり常連客たちが夜ごと来店、三姉妹の色恋沙汰を肴に、互いの悩みを打ち明けあったり、くだを巻いたり…
悲喜こもごも、味わい深い人間模様を描く大ヒット小説『三人屋』待望の続編! 心も体もくたくたな日は「三人屋」の新名物「玉子サンド」を召し上がれ!

「三人屋」の続編です。
私はこちらの新刊情報を先に拝見したので「三人屋」を読んでから今回読みました。実際この2冊は5年ちょっと開いてるんですよね。時系列的には前作から3年後くらいなのかな。
朝日は学生から社会人に、まひるは離婚してシングルマザーに、夜月は「三人屋」に戻って以前と変わらずスナックを続けている。
前回登場した人も今回初めて出てきた人も、それぞれワケありで、その中で仲が良くなったりして人間関係が面白かったです。
理人が良かったかなー。最初は完全に居候のようなヒモのような感じだったけど、スナックで働くようになって素が出てきて魅力的になったと思いました。素直で良い子だったんですね^^
今回は三姉妹の恋模様も描かれていました。夜月は書かない小説家と、まひるは携帯ショップの店員と、朝日は職場の同僚と。これもまたそれぞれクセがありましたねー。
まひるの恋人の望月はホントがっかりですよ。まひるが気を遣っていたところをそのまんま受け入れて何にも考えていなかった。立ち去り方も最低でしたねー。こういう男大っ嫌い(ひどい)でもその分最後にニヤニヤする展開が待っていて嬉しかったです^^まひるが1番貧乏くじを引いているような気がしたから、幸せになってほしいな。環境が変わっていってしまったから、続編はなさそうですけど、どこかで大輔と理人と森野がぐだぐだ言いながら飲んでいたらいいなーと思います。

<実業之日本社 2021.2>2021.4.30読了

転職の魔王様 額賀澪5

転職の魔王様
額賀 澪
PHP研究所
2021-02-06


この会社で、この仕事で、この生き方のままで――いいんだろうか。
若手注目作家が未来の見えない大人たちに捧ぐ、渾身のお仕事小説!
大学卒業後に入社した大手広告代理店でパワハラに遭い、三年たたずに退職してしまった未谷千晴。働く自信と希望をすっかりなくしてしまった千晴だが、どうにか「普通の大人」に戻りたいと、叔母が経営する人材紹介会社を活用しながら転職活動をすることに。彼女はその会社で、「転職の魔王様」という異名を持つ凄腕キャリアアドバイザー・来栖嵐と出会う。
「仕事内容なんて何でもいいから、とにかく履歴書の空白期間を埋めたい。それが未谷さんのご希望ですか」
面談初日から不躾な態度で接してくる来栖に、千晴は戸惑うが……。

新卒で入った会社で配属されたのが広告業でパワハラにより体調を崩し、3年で転職した人間ですこんばんは←千晴と同じですよ。でも私は壊れる前に転職先を見つけて辞められたのでまだ良かったのだと思います。千晴の職場ほどひどくなかったと思うし…多分…。千晴の社畜具合がひどかったっすね…そりゃあ来栖も引くわ…
5人の(一応)転職希望者が出てきましたけど、転職したいと思っていても希望する待遇に関しては当たり前だけどそれぞれで、転職者の希望と求職者の希望を合わせるって難しいだろうけど素敵な仕事でもあるなと思いました。
でも私は来栖に最初にあんなこと言われたらくじけていかなくなると思います(打たれ弱い人)さすが魔王様…。
最後のお話にビックリ。来栖は千晴を知っていたのか…。
2人が恋愛に発展することは無さそうだけど←いいバディにはなりそうですね^^
千晴もいい仕事に出合えてよかったね。

<PHP研究所 2021.2>2021.3.18読了

三人屋 原田ひ香4

三人屋 (実業之日本社文庫)
原田 ひ香
実業之日本社
2018-03-16


朝は三女の喫茶店、昼は次女の讃岐うどん屋、夜は長女のスナック―時間帯によって出すものが変わるその店は、街の人に「三人屋」と呼ばれていた。三女にひと目ぼれするサラリーマン、出戻りの幼なじみに恋する鶏肉店の店主、女にもてると自負するスーパーの店長など、ひとくせある常連客たちが、今日も飽かずにやって来る…。さくさくのトースト、すだちの香るぶっかけうどん、炊きたての白飯!心も胃袋もつかむ、おいしい人情エンターテインメント!

「三人屋」を営む三姉妹の物語。年は離れているし両親が病気になった時にも色々あったしで一筋縄ではいかない3人。私は女男女の3人きょうだいの1番上ですが、夜月に対して分かる分かるって言うのはあんまりなかったかもしれないな^^;夜月の1つのターニングポイントとして高校生の時の出来事があったんでしょうね。でもそれを引きずっているのは幼馴染の方だったり、商店街で生まれ育ったが故の狭いテリトリーでの生活は良いところもあれば悪いところもあるような感じですね。
三者三様、色んな想いがあって3人に関わる人たちも色々あって。
それでもこのお店を通して、三姉妹を通してみんなが良くも悪くも前に進んでいるのが良かったと思いました。
夜月が選択した道は読んでいて辛かったけど・・・最後良かったとも言えないような気がしてちょっとモヤモヤ^^;続編があるようなのでぜひ読みたいです。

<実業之日本社 2015.6>2021.3.11読了

孤島の来訪者 方丈貴恵5

孤島の来訪者 〈竜泉家の一族〉シリーズ
方丈 貴恵
東京創元社
2020-11-28


謀殺された幼馴染の復讐を誓い、ターゲットに近づくためテレビ番組制作会社のADとなった竜泉佑樹は、標的の三名とともに無人島でのロケに参加していた。島の名は幽世島―秘祭伝承が残る曰くつきの場所だ。撮影の一方で復讐計画を進めようとした佑樹だったが、あろうことか、自ら手を下す前にターゲットの一人が殺されてしまう。一体何者の仕業なのか?しかも、犯行には人ではない何かが絡み、その何かは残る撮影メンバーに紛れ込んでしまった!?疑心暗鬼の中、またしても佑樹のターゲットが殺され…。第二十九回鮎川哲也賞受賞作『時空旅行者の砂時計』で話題を攫った著者が贈る“竜泉家の一族”シリーズ第二弾、予測不能な本格ミステリ長編。

方丈さんの新刊だ!と思って手に取ったので前作と繋がっていると知ったのは読み始めてからでした^^;しかも竜泉家の一族シリーズなんて名前が付いているんですね…知らなかった。
今回の主人公は竜泉佑樹。前回の主人公加茂冬馬の奥さんの従兄弟だそう。前作では登場してないだろうけど親戚はきっと昔殺されているんだろうな(色々ざっくり)
人を殺す覚悟で転職をして離島へ赴いて機会を狙っていたのに別の誰かが標的を殺してしまった…一体だれが…っていう展開かと思いきやなんかとんでもないことが起こりましたね…いやはや凄い展開だった…。もう何もかもが想定外だった…何も当たってなかった^^;
そして何段階も謎解きが待っているからまだあるの?まだあるの??ってこっちがパニックでした。
いやー…凄いですね。物語的にトンデモになりそうなのに全然そんなことは無くって。
最後の最後の謎解きは全く気付きませんでした…。2人はどちらも頑固そうだけど、お互いに良い理解者になれば良いなぁと思いました。

<東京創元社 2020.11>2021.1.19読了

この本を盗む者は 深緑野分5



書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、深雪は残されたメッセージを目にする。“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”本の呪いが発動し、街は物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り元に戻らないと知った深冬は、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れて―。

ずっと気になっていた作家さん。ようやくの初読みです。
本が嫌いな深冬。しかし、深冬は蔵書が盗まれたことで本の呪いを解かなければならない事態となります。
始めはこの突拍子のない世界観に入り込むのに時間がかかりましたが、慣れてきたら面白くて読む手が止まりませんでした。
本の世界に閉じ込められ、盗人を探し捕まえることが出来たなら、元の世界に戻ることが出来る。
なぜそんな事態になってしまったのか。そのきっかけもまた面白くて、なるほどと唸りました^^;
ただ、そこまでした深冬の祖母の気持ちには共感できなかったですけどね。人を巻き込んで迷惑な←
真白も謎の人物でしたが、最後に真相がわかります。だから、深冬になついていたんだね。
面白かったです!

<KADOKAWA 2020.10>2020.11.2読了

まずはこれ食べて 原田ひ香4

まずはこれ食べて
原田 ひ香
双葉社
2019-12-18


アラサーの池内胡雪は、大学の友人たちと起業したベンチャー企業で働き、多忙な毎日を送っている。不規則な生活のせいで食事はおろそかになり、社内も散らかり放題で殺伐とした雰囲気だ。そんな状況を改善しようと、社長の提案で会社に家政婦を雇うことに。やってきた家政婦の筧みのりは、無愛想だが完璧な家事を行い、いつも心がほっとする料理を振る舞ってくれる。筧の食事を通じて、胡雪たち社員はだんだんと自分の生活を見つめ直すが…。人生の酸いも甘いもとことん味わう滋味溢れる連作短編集。

アットホームなベンチャー企業にやってきた美味しい料理を作る家政婦さん。
美味しそうな料理が登場してほっこりするお話なのかと思いきや、段々不穏な空気になっていったので驚きました。
ベンチャー企業の中でしこりのように残っている姿を消したかつての仲間。そして家政婦さん自身の秘密。それがまさか繋がっていくとは思いませんでした。
しこりの男←は自分の能力をちゃんと使えばいくらでも良い人生を生きられるような気がするのに、ゲスイ奴でしたねー。要は寂しかったんですよね。それを悪い方悪い方へと持って行って自分でがんじがらめになったような気がしました。自業自得です。
最後はすっとしました。
みのりさんの作るご飯はとても美味しそうだし、お話も楽しそう。またどこかでみのりさんに会いたいです。

<双葉社 2019.12>2020.4.6読了

アネモネの姉妹 リコリスの兄弟 古内一絵4

アネモネの姉妹 リコリスの兄弟
古内一絵
キノブックス
2019-08-21


兄弟姉妹に一度でも仄暗い感情を抱いたことのあるあなたへ。花言葉をモチーフにした感泣と戦慄の連作短編集。
第一話 アネモネの姉妹 花言葉「嫉妬のための無実の犠牲」
絹子と綾子の姉妹。何もかも完璧で努力を怠らない姉と愚鈍な妹。甘やかされて育った妹に対し姉はいつもイライラしていた。
第二話 ヒエンソウの兄弟 花言葉「私の心を読んでください」
一流大学を出て一流企業の内定を決めた兄。でも、リーマンショックの影響で内定は取り消され、兄は自分探しの旅に出たままどこにいるか分からない。弟は両親の結婚記念日に兄が来てくれるよう連絡を取っても返事が来ない。
第三話 マツムシソウの兄妹 花言葉「あなたは私を置き去りにする」
両親を早くに亡くした兄と妹。妹にとって5つ上の兄は大切な存在。最近彼氏の家に彼の妹が転がり込んできた。それが何だか気に入らない。
第四話 リコリスの兄弟 花言葉「悲しい思い出」
自分たちはクローンだというくらいにそっくりで共に水泳をしている2人。しかし、1人が怪我をして未来を絶たれつつあり、責任を感じた片割れが苦悩していた。
第五話 ツリフネソウの姉弟 花言葉「私に触らないでください」
両親が離婚したことで離れ離れになった姉と弟。やたらと卑屈で愚痴ばかり言う姉が苦手だった。
第六話 カリフォルニアポピーの義妹 花言葉「私を拒絶しないでください」
父が急逝し仕事を引き継いだ姉は古株の社員と上手くいかずに苦悩していた。小説家になった弟が婚約者を連れてくると母親から連絡が入る。

兄弟姉妹の物語。
私は弟と妹がいます。お姉ちゃんなんだからと言われた記憶はないけど、何をするにも自分が最初だったから、何となく損だなーと思ったことはあります。どこも同じとは言わないけど上を見ているから下の子は要領がいいような気がします。
妹は社交的で親は心配することが多かったと思うけど、いつも家にいて何ら面白みのない姉よりも妹を見る方が新鮮で楽しかっただろうなとは思います。妹と両親の間で意見が対立し、私が板挟みになった時期があって、家にいるのが辛くて辛くて仕方が無い時がありました。それなのに和解したらいつのまにか仲良くしていて、どちらも私に謝りもしなくて、本当に面白くなくて辛かった時期もありましたねー。今では笑い話…にはなりませんけど^^;未だにちゃんと思い出すと涙が出てきます。また思い出してしまった。
でもたぶん、妹にも色々言いたいことはきっとあるんだろうし、いい加減大人にならないとなと思いつつ、大人になれません。何だか何言っているかわかりませんね、すみません。
どの作品も良く終わっても悪く終わっても兄弟に対する何となく黒い感情が渦巻いていてドキドキしながら読みました。相手に対してみんな何かしらの想いをきっと抱えているんだろうなと思います。
最後のお話が好きでした。セクハラパワハラな社員のくだりは本当に腹が立ったけど、身近に味方がいることも分かったし、弟の婚約者がなかなかかっこよくて素敵でした。

<キノブックス 2019.8>2019.12.30読了

タスキメシ 箱根 額賀澪5

タスキメシ 箱根
額賀 澪
小学館
2019-11-06


箱根駅伝100年!胸熱スポーツ小説決定版
あの眞家早馬が「駅伝」の世界に戻ってきた!
大学卒業後、管理栄養士として病院で働いていた早馬は、紫峰大学駅伝部のコーチアシスタント兼栄養管理として、部員たちと箱根駅伝初出場を目指すことになる。高校時代、大学時代も陸上の名門校で長距離走選手として期待されたものの、怪我から思うような成績を残せなかった早馬。その背景にあった、嫉妬、諦め、苦い思い――。数々の挫折を経験した者として部員たちに寄り添い、食の大切さ、目標達成の楽しさを伝えようと奮闘する早馬。そんな彼のことをキャプテンの4年生、仙波千早は最初は受け入れられずにいたが……。
一度も箱根駅伝に出場できない弱小チーム。でも、だからこそ、「箱根駅伝に出たい」「箱根を走らせてやりたい」。徐々にひとつになっていく千早たち部員の熱い願い、そして早馬が見つけた新たな夢は、果たして叶うのか――。
臨場感溢れる箱根駅伝本戦の描写とともに、丁寧に描かれるそれぞれの心情。エリートではない若者たちの夢、苦悩、様々な思いが、箱根路を駆け抜ける!

そうか…箱根駅伝は第1回から数えたら2020年は100年目なんですね…(戦時中の4年は開催されていないため2020年は第96回大会)
「タスキメシ」の早馬が帰ってきた!!って「タスキメシ」から4年経つんですか!?マジですか!?
「タスキメシ」は大学時代よりも高校時代の方が長かったのでこちらの方が箱根駅伝の臨場感をよりリアルに感じられた気がします。どちらかというとこの作品を読んでいて「風が強く吹いている」を思い出しました。「タスキメシ」が箱根駅伝に対する序章で、こちらが本編のような気もします。失礼かな、この言い方…。
25歳になった早馬は紫峰大学駅伝部のコーチアシスタント兼管理栄養士として部員たちと共に寮生活を行っていくことになります。でも最初にMGCの事が書かれていたのにはニヤリとしちゃいましたよね。流石額賀さんです。春馬に助川に藤宮。苦楽を共にしたライバルであり仲間たちがみんな出場権を獲得してこの大会に挑んでいましたね。MGCの臨場感もリアルでした。私もこの大会は最初から最後まで見ていたけど、額賀さんも見ていたんだろうな、何回も。
そして早馬たちの物語。キャプテンである千早は早馬の事が苦手だった。それは箱根駅伝を目指して走れず別の道を歩んでいる姿に自分の将来を重ねてしまったから。前作を読んでいたら早馬が千早が思うような感情で生きていないってすぐに分かるんですけどね、まあそれは読んでいるから言えることで^^
それでも千早は早馬と関わっていくことで変わっていきます。他の部員たちも意識が変わっていく。出来れば出たいけど、でも無理なんだろうななんて心の奥で思っていた感情が、絶対に箱根駅伝に出てやる!という意識に変わっていく感じがとても良かったです。
そして箱根駅伝の本戦。毎年食い入るように見ているから、情景が目に浮かぶようでした。
特に9区から10区へ襷が渡される中継所。
あそこは距離があるから本当にもどかしい時はもどかしくて。繋がるかどうか…とドキドキするシーンを彷彿とさせました。
駅伝を愛している額賀さんだからこそのレース展開だなと思いました。
そしてとても細かく丁寧に取材されたことが分かります。筑波大学で取材されたってどこかでおっしゃっていたような気がします。筑波大学も久しぶりに本戦出場を決めましたよね。
筑波大学と言えば、学連選抜で5区山登りでごぼう抜きをしていた某選手の姿を昨日のことのように思い出せるのですが…あれは多分15年前くらいですよね…^^;後輩たちは母校の襷で今度は走れますね。
書きたいことはたくさんあるのですが…。最後が事実と変わってしまって凄く悔しい。それは著者さんが一番悔しいと思うけど。仕方がないことなのだけど。みんなが応援している声を聞いて一人がその方を向いて笑顔を見せたということは、他の大会で2時間5分50秒を切って選ばれたってことですよね。それはあの3人のうち誰なのか…それを想像するのもまた楽しいです。最後のシーンなので細かくは言いません。読んでいないと意味が分からないと思いますがすみません。
ゴールのシーンは涙しながら読みました。
箱根駅伝は本当に素晴らしい。一言では言い表せない。とんでもなく過酷で辛くて、でも楽しくて素晴らしい大会なんですよね。来年の96回大会もますます楽しみになりました。

<小学館 2019.11>2019.11.25読了

時空旅行者の砂時計 方丈貴恵5

時空旅行者の砂時計
方丈 貴恵
東京創元社
2019-10-11


瀕死の妻のために謎の声に従い、二〇一八年から一九六〇年にタイムトラベルした主人公・加茂。妻の先祖・竜泉家の人々が殺害され、後に起こった土砂崩れで一族のほとんどが亡くなった「死野の惨劇」の真相の解明が、彼女の命を救うことに繋がるという。タイムリミットは、土砂崩れがすべてを呑み込むまでの四日間。閉ざされた館の中で起こる不可能犯罪の真犯人を暴き、加茂は二〇一八年に戻ることができるのか!?“令和のアルフレッド・ベスター”による、SF設定を本格ミステリに盛り込んだ、第二十九回鮎川哲也賞受賞作。

ツイッターで出版社の方々が話題にされていて気になっていました。
あらすじを読んでタイムトラベルものだしSFだし私は理解できるだろうか…と思いましたが、内容自体はそこまで難しくないので夢中で読みました。まあ、タイムパラドックスの事とかは難しくて理解できていないんですけど^^;
妻の家系が代々呪われており、そのせいで瀕死の状態である妻を助けるために58年前にやってきた加茂。
惨劇を止めるはずが既に殺人が起きており、加茂は怪しまれないために探偵役を演じることに。
ワトソン役は13歳の文香という少女。聡明で可愛らしい女性です。加茂が生きている未来では文香はここで命を落としているのだけど、そうさせないために加茂は奮闘します。
事件に関してはSFが絡んでいるトリックもあり、一筋縄ではいきませんでした。いやもう絶対無理^^;
それでも分からないところもあったけど面白くて一気読みでした。
そして何よりもラストがとても良いです。凄く良い後味。やっぱりこういう終わり方が良いなー。
これからも読んでいきたい新星の作家さんです。

<東京創元社 2019.10>2019.11.6読了

20CONTACTS 消えない星々との短い接触 原田マハ4



私はある日、私からの挑戦状を受け取った。――20名の巨星との〈接触〉を開始すべし。
『楽園のカンヴァス』でルソーを、『ジヴェルニーの食卓』でモネを、『暗幕のゲルニカ』でピカソを、『たゆたえども沈まず』でゴッホを描いてきたアート小説の第一人者・原田マハが、キュレーターとして自身初となる展覧会を企画。
それに合わせ、以下20名の著名アーティストの真髄に迫る20作品を書き下ろしました。
猪熊弦一郎、ポール・セザンヌ、ルーシー・リー、黒澤明、アルベルト・ジャコメッティ、アンリ・マティス、川端康成、司馬江漢、シャルロット・ペリアン、バーナード・リーチ、濱田庄司、河井寛次郎、棟方志功、手塚治虫、オーブリー・ビアズリー、ヨーゼフ・ボイス、小津安二郎、東山魁夷、宮沢賢治、フィンセント・ファン・ゴッホ――。
アート、文学、映画、マンガ……
巨匠たちの創作の秘密を解き明かす、10年ぶりの書き下ろしアート短編集誕生!

9月に原田さんが監修のアート展〈20 CONTACTS〉が金閣寺で行われていたことは知っていました。でも、やっぱり行くことは出来ず^^;悔しい思いをしたのですが、書籍で少しでも触れることが出来て良かったです。
既に亡くなっている20人の巨星たちとコンタクトをする。面白い企画ですよね。
会ったことがないし、一緒にお話をすることは出来ないのに、インタビュアーが原田さんだから現実的でとてもリアルでした。
解説の方がおっしゃっているように、読んでいて笑みがこぼれるような対談もありました。
知らない方もいましたが、どの対談も面白かったです。でも、もう少し長くお話を聞きたかったな。質問が一つか二つだから仕方ないけれど。
個人的には宮沢賢治が印象的でした。きっと賢治だったらこうやって喋るんだろうなぁと想像しながら読むことが出来ました。

<幻冬舎 2019.8>2019.10.17読了

ランチ酒 おかわり日和 原田ひ香5

ランチ酒 おかわり日和
原田ひ香
祥伝社
2019-07-11


オススメ!
バツイチ、アラサー、犬森祥子の職業は“見守り屋”。依頼が入ると、夜から朝までひたすら人やものを見守る。彼女の唯一の贅沢は、夜勤明けの晩酌ならぬ「ランチ酒」。街で出会ったグルメを堪能しながら思うのは、一人娘のこと。別れた夫とその再婚相手のもとで暮らす娘に会えぬまま半年が経っていた。独り思い悩むが、ワケありな客たちと過ごす時間が徐々に祥子を変えていき…。恋(?)の予感の半生ハンバーグとビール、母心のスパゲッティーグラタンとレモンハイ、復活のからあげ丼とハイボール…疲れた心にじーんと沁みる珠玉の人間ドラマ×絶品グルメの五つ星小説!

続編が出るとは思いませんでした。この作品大好きだったのでまた読めて嬉しいです。
今回は前作よりも一つ一つのお話が短いような気がします。でも、祥子のことも依頼人の事も丁寧に書かれている気がしました。見守り屋という仕事があって依頼人と請負人という仕事上の付き合いではあるわけだけど、任務が終わったらそれ以上の関係になっても良いんじゃないかな。
祥子は魅力的な女性です。懐が深いと思ったら結構乙女でうじうじしてるところもあって凄く素直な人だと思います。祥子は明里の母親であることはもちろんだけど恋愛だってしていいと思う。明里とのこと、向こうの家族とのこと、自分の事、少しでも前進したみたいで良かったです。
そしてとにかく出てくる料理がおいしそう!
私はお酒は飲めないのでご飯だけですが、ふらりと入ったお店が当たりだったら嬉しいですよね。
ケチだからほぼ自炊だけど、少しは贅沢して美味しいものを食べたいなと思える作品でした。

<祥伝社 2019.7>2019.9.10読了

夢見る帝国図書館 中島京子5

夢見る帝国図書館
中島 京子
文藝春秋
2019-05-15


「図書館が主人公の小説を書いてみるっていうのはどう?」
作家の〈わたし〉は年上の友人・喜和子さんにそう提案され、帝国図書館の歴史をひもとく小説を書き始める。もし、図書館に心があったなら――資金難に悩まされながら必至に蔵書を増やし守ろうとする司書たち(のちに永井荷風の父となる久一郎もその一人)の悪戦苦闘を、読書に通ってくる樋口一葉の可憐な佇まいを、友との決別の場に図書館を選んだ宮沢賢治の哀しみを、関東大震災を、避けがたく迫ってくる戦争の気配を、どう見守ってきたのか。
日本で最初の図書館をめぐるエピソードを綴るいっぽう、わたしは、敗戦直後に上野で子供時代を過ごし「図書館に住んでるみたいなもんだったんだから」と言う喜和子さんの人生に隠された秘密をたどってゆくことになる。
喜和子さんの「元愛人」だという怒りっぽくて涙もろい大学教授や、下宿人だった元藝大生、行きつけだった古本屋などと共に思い出を語り合い、喜和子さんが少女の頃に一度だけ読んで探していたという幻の絵本「としょかんのこじ」を探すうち、帝国図書館と喜和子さんの物語はわたしの中で分かち難く結びついていく……。
知的好奇心とユーモアと、何より本への愛情にあふれる、すべての本好きに贈る物語!

タイトルに惹かれて手に取りました。
上野で出会った喜和子さん。喜和子さんが語る図書館の歴史。とても興味深かったです。
帝国図書館の歴史、なかなか波乱万丈でした。
今もそうですけど、図書館という施設はいつでもどこでも、真っ先に削減される候補になるんですね…
永井荷風の父親が図書館のためにこんなに奔走していたなんて知りませんでした。そしてその努力が生きている間に報われなかったのも辛かったです…。
喜和子さんの過去も辛く悲しいものでした。昔に結婚ってそんなものだったんですよね。
それでも上野で出会った時の喜和子さんはきっと自分らしく生きていたのだと思います。そういう時間があったことはとても幸せなことだったのではないかと思います。
そしてたくさんの有名作家さんが登場しました。
個人的に宮沢賢治が登場したのが嬉しかったです。そして「銀河鉄道の夜」について書かれていたのも良かった。カムパネルラとジョバンニは、賢治とトシと考えると何だか違和感を感じることがあったんですよね。2人がモデルなら兄弟に設定すればよかったのにと思っていたのですが、別にモデルがいたんですね。それがまた切なかったなぁ…
喜和子さんの事、喜和子さんと一緒にいた2人の男性の事、次第に真相が明らかになっていくのに読む手が止まりませんでした。でも、内容が重厚で時間がかかりましたが^^;
最後まで喜和子さんが願った通りになってきっと喜んでいますよね。
国立国会図書館の歴史も分かって面白かったです。

<文藝春秋 2019.5>2019.7.3読了

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 冬月いろり5



空間が意思と魔力を持ち、様々な魔物が息づく世界・パライナの北端に、誰も訪れない“最果て図書館”はあった。記憶のない館長ウォレスは、鏡越しに“はじまりの町”の少女ルチアと出会い「勇者様の魔王討伐を手伝いたい」という彼女に知恵を貸すことに。中立を貫く図書館にあって魔王討伐はどこか他人事のウォレスだったが、自らの記憶がその鍵になると知り…臆病で優しすぎる少女。感情が欠落したメイド。意図せず世界を託された勇者。彼らとの絆を信じたウォレスもまた、決戦の地へと赴く―人知れず世界を守った人々のどこか寂しく、どこまでも優しい「語り継がれることのないお伽噺」。第25回電撃小説大賞・銀賞受賞作。

タイトルに図書館が入っていたことと^^私が大好きな作家さんの紅玉いづきさんが絶賛されていたので、気になって購入しました。面白かった…伝説や物語が交錯して一つに結びついていく、展開が見事でした。
物語はRPGゲームのようです。はじまりの町があってレベルアップの場があって主人公たちは勝手に食べ物をかっさらっていく^m^ゲームをやったことがある人は入り込みやすいんじゃないかな。
そして最果て図書館で館長をしているウォレス。ウォレスはいつ自分がここに来て館長となったのか、ここに来る前は何をしていたのか、全く覚えていなかった。図書館には人間はウォレスと無表情のメイド、リィリしかいない。魔物に聞いても邪険にされるだけ。そんな悶々とした生活をしていたウォレスは鏡越しにルチアという少女と出会います。
2人が出会ったことは必然で、すべては繋がっていました。その展開が面白くて読む手が止まりませんでした。
全てを理解した後にウォレスが下した選択が良かった。
素敵な物語でした。

<KADOKAWA 2019.2>2019.6.25読了

常設展示室 原田マハ5



パリ、NY、東京。世界のどこかに、あなたが出会うべき絵がきっとある。その絵は、いつでもあなたを待っている。人生の岐路に立つ人たちが辿り着いた世界各地の美術館。巡り会う、運命を変える一枚とは――。故郷から遠く離れたNYで憧れの職に就いた美青は、ピカソの画集に夢中になる弱視の少女と出会うが……(「群青 The Color of Life」)ほか。アート小説の第一人者が描く、極上の6篇。

「群青」憧れのメトロポリタン美術館で働く美青。眼科へ行った時に弱視の少女と出会います。少女は食い入るようにピカソの絵を見つめます。その姿に美青は見惚れます。
「デルフトの眺望」仕事により世界各国を飛び回るなづきは少し前に父親を亡くす。なづきの代わりに父親の傍にいたのは弟のナナオだった。
「マドンナ」あおいは海外での仕事が多く、1人で暮らす母親を気にしつつも傍にいることが出来ないでいた。何気ない母親の電話にいら立つときもあった。
「薔薇色の人生」役所の戸籍課で働く多恵子は壁にかかる色紙について尋ねてきた男性の事が気になって仕事が手に着かないでいた。
「豪奢」憧れの仕事に就いた紗季だったが、若き実業家に見初められ、仕事を辞めることになる。しかし、相手は紗季をロンドンまで連れて行ったにもかかわらずドタキャンをしてしまう。
「道」新人芸術家を発掘する審査委員を務める翠はある絵画を見て過去を思い出す。

どの作品も絵画をモチーフとした原田さんらしい作品でした。
「デフルトの眺望」と「マドンナ」の主人公がリンクしていたのが面白かった。
そしてそれぞれの境遇と選択も興味深かったです。そして温かくて切なかった。
特に最後の「道」は本当に切なかった。でも新たな絆も生まれたはずで、未来に期待したいと思いました。

<新潮社 2018.11>H31.2.16読了

さよならの夜食カフェ マカン・マランおしまい 古内一絵5



これまで、苦しんできた人達を救ってきた「マカン・マラン」の店主・シャール。今回、シャールを訊ねてきたのは謎の美青年。彼の決意や未来の話を聞く中で、シャールはこの夜食カフェを始めたきっかけを思い出す――。

ついに最終巻のマカン・マランシリーズ。最初から四部作と決まっていたみたいですね。
今回登場したのは、仲間外れにされた父子家庭の女子高生、若くしてトップに上り詰めたシェフ、タワーマンションの最上階に住むセレブ妻。それぞれに悩みを抱えて追い詰められていくのだけど、そういう時って自分の事しか考えられなくて、自分が1番不幸だくらいに思っちゃうんですよね。でも、自分以外の人たちだってみんな悩んでいる。そして、自分を変えるのは自分自身。
当たり前の事なのに、それが気づけない。
シャールさんの温かくて深い心と優しい料理にいつも癒されます。
この作品は今まで出てきた人たちもちゃんと登場するのが良いですね。それも嬉しいです。
タイトルにおしまいと書かれていたから、シャールさんの身に何かあったのではないかとドキドキしましたが、そうではなくてほっとしました。また最後がシャールさんと柳田教諭の二人というのが良いです。学生時代の事を知っている人が、年を重ねても友人でいるのって凄く幸運だと思います。二人の関係がとても好きでした。
この作品に出合えて本当に良かったです。

<中央公論新社 2018.11>H31.2.12読了

カムパネルラ版 銀河鉄道の夜 長野まゆみ5

カムパネルラ版 銀河鉄道の夜
長野まゆみ
河出書房新社
2018-12-14


長野まゆみデビュー30年記念小説。表紙絵にも箔がキラキラ光る特殊仕様!
ジョバンニの旅は終わってもカムパネルラの旅は続く…あの「銀河鉄道の夜」を今夜、カムパネルラが語りなおします。
これまで、ジョバンニこそ作者の化身と考えられてきた物語を、もう一人の主人公であるカンパネルラが語りなおしたのがこの物語だ。
カムパネルラは、ケンタウリ祭の夜、友人ザネリを助けに川に入り、溺死したのだ。銀河鉄道の乗客がみなさみしいのは、ジョバンニを除いて、誰も片道切符しか持っていないからだ。
本作では、カムパネルラの目から、銀河鉄道の旅を辿り直す。すると、そこに現れるのは、これまで妹トシに隠れて見えてこなかった、賢治の秘められた恋だ。医師と結婚してアメリカに渡り、異国で早逝した恋人への強い思いがあったのだ。
いつしか物語には賢治自身もあらわれ、少年と対話する。メビウスの帯の、裏と表のように、けっして交わらない。でも、すぐ近くにいる存在。それがジョバンニとカムパネルラの旅なのだ。

タイトルに惹かれて手に取りました。長野さんの作品、久しぶりだなぁと思ったらアンソロジーで読んだのをのぞいたら9年振りでした^^;びっくり。
長野さんは今までも宮沢賢治にまつわるたくさんの物語を書かれていますよね。デビュー30周年記念作品としてはふさわしいのではないかと思いました。
でも、想像していたのと違いました。タイトルの通り銀河鉄道の夜の物語がカムパネルラの視点で書かれるのかと思ったらカムパネルラがその時の思い出を聞き手に語る…みたいな感じでした。しかも途中で中原中也が登場したりして。それはそれで面白かったです。2人の書かれた詩も考察ということで沢山引用されていました。
「カムパネルラの恋」はすなわち賢治の恋。
賢治が入院していた時に看護師さんを好きになって結婚したいと父親に言ったら反対されたというのは何となく覚えているんですけど、銀河鉄道の夜や春と修羅の中に賢治の恋が散りばめられていたんだなと考えたら何だか不思議です。若くして亡くなっているし人のために尽くしていた人だったので若干聖人君子的な扱いになっているような気がしなくもないんですけど、1人の男の人だったんですね。まあ「銀河鉄道の父」を読んでいる身としてはわがままなお坊ちゃまの顔もある事が分かりますけども^^
カムパネルラがジョバンニの事をどう思っていたのか、それをあくまで賢治はこう考えたのではないかという推察ではあるけど語られていたのも良かったです。
賢治は銀河鉄道の夜を完成させずに亡くなりましたけど、今まで何度も何度も書き直していて、この作品の中でも書かれていましたが、40歳、50歳、60歳と生きていたら、もっと違う物語になっていたのかもしれませんね。その物語を読んでみたかった気もします。

<河出書房新社 2018.12>H31.2.5読了

エンディングドレス 蛭田亜紗子5

エンディングドレスエンディングドレス
著者:蛭田 亜紗子
ポプラ社(2018-06-08)
販売元:Amazon.co.jp

32歳の若さで夫に先立たれてしまった麻緒(あさお)は、自らも死ぬ準備をするうち、刺繍洋品店で小さなポスターを見つける。
◆終末の洋裁教室◆
講師 小針ゆふ子 毎週日曜午後一時から
春ははじまりの季節。
さあ、死に支度をはじめましょう。
あなただけの死に装束を、手づくりで。

死に装束=エンディングドレスを縫う教室。
人生最後に着る服を自分でつくるということに、興味が湧いた。
教室へ足を運んだ麻緒が出会ったのは、ミステリアスな先生と、3人の陽気なおばあさん。
聞けば、エンディングドレスを縫う前に、いくつかの課題があるという。
はたちの時にいちばん気に入っていた服
十五歳の時に憧れていた服
自分以外のだれかのための服
自己紹介代わりの一着……
先生やおばあさんトリオの助けを借りながら、麻緒は洋服づくりに無心で取り組んでいく。
夫の弦一郎に、命にかかわる持病があることはずっと知っていた。
それでも二人は、一緒にいることを選んだ。
洋服の思い出が、忘れていた想いや出来事を次々に引き出して――。
あつい涙があふれる! 再生のその先を描く、希望に満ちた傑作長編。

蛭田さんの新刊。読みました。
32歳、私と同世代の女性が夫と死に別れてしまったら…全然想像もつきませんでした。
私はまだ結婚するような男性に会ってすらいない。
麻緒と弦一郎の関係は空気のようにまるくて一緒にいるのが当たり前のような雰囲気。
もしかしたら長く生きられないかもしれない。覚悟のうえでの恋愛、結婚。
そしていなくなった喪失感。始めの麻緒は見ていられないくらい弱弱しくてぽっきり折れてしまいそうなくらい儚いイメージでした。でも、服を作っていくことでどんどん変わっていきましたね。洋服を作る事で生きていく活路を見出していったような。
そして終末の洋裁教室なんて教室を作るくらいだから先生もきっと何かを失っているんだろうなぁと思ったら、先生の物語も切なかったですね。
陽気なおばあさんたち、千枝子さん、おリョウさん、しのぶさんも様々な人生を歩んでいて、年季を感じました^^
麻緒の最後のシーンがとても素敵でした。

<ポプラ社 2018.6>H30.7.12読了

三千円の使いかた 原田ひ香5

三千円の使いかた (単行本)三千円の使いかた (単行本)
著者:原田 ひ香
中央公論新社(2018-04-18)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
24歳、社会人2年目の美帆。貯金に目覚める。29歳、子育て中の専業主婦、真帆。プチ稼ぎに夢中。55歳、美帆・真帆の母親、智子。体調不良に悩む。73歳、美帆・真帆の祖母、琴子。パートを始める。御厨家の人々が直面する、将来への不安や人生のピンチ。前向きに乗り越えたいからこそ、一円単位で大事に考えたい。これは、一生懸命生きるあなたのための家族小説。「8×12」で100万円貯まる?楽しい節約アイデアも満載!

以前読んだ原田さんの作品がとてもお気に入りだったので新刊を読みました。なので、全然ストーリーは把握しないで読んでいたのですがはまって一気に読んでしまいました。面白かった。
色んな年代の色んな環境での将来の不安。分かる部分もたくさんあって勉強にもなりました。
皆素敵だったけど、1番好きだったのはやっぱりおばあちゃんの琴子さん。凛としていてでも可愛らしくて素敵。私もこんなちょっとおせっかいの優しいおばあちゃんになりたいななんて思いました。「七十三歳のハローワーク」がお話として1番好きでした。人柄って大事ですよね。一千万の貯蓄があっても将来は不安ですよね。だから琴子さんの行動はかっこいいなと思いました。安生との関係も良かったし、そのお陰で安生ときなりも幸せになれそうでよかった。でも琴子さん、働いて所得が増えると翌年から国民健康保険料が上がると思うから気を付けて!75歳になってからの後期高齢者医療保険料も同様ですよ!←
でも、琴子さんが働き始めて孫が涙ぐむ意味がよく分からなかったです。働いている姿がダメなのかな。ちょっと安そうな制服を着ているのがダメなの?どうして泣いているのか少し解説はあったけど私は理解できなかったです。それは読者側は琴子さんの心情を読んでいるからなのかな。
真帆の家庭は理想的ですね。ちゃんと節約していて旦那さんはイケメンで優しくて晩御飯がハンバーグだと喜んでくれて子供は可愛い。なんすかこれ、理想的すぎません?これで一千万貯めれたらもう何も悩みはないですね←
美帆も変わりそうだったのに、最後ちょっと心配になりましたね。前向きな最後でしたけど、私は結婚は反対だな。って言えるのは私が将来旦那さんにしたいと思えるような人と出会ってないから言えるのかな。でも、愛だけでは生きていけないからなぁ←それに、作品の中でも言っていたけど、彼とだけ家族になるわけじゃないからね。彼の家族とも家族になるんだから。私はあの家族と家族にはなりたくないなぁ←
お母さんの智子さんも自分の責任もあるけど熟年離婚を一瞬考えてしまった気持ちも分かるなー。それでもちょっと意見を言うようになったことで意外と旦那さんも柔軟な考え方が出来ることが分かって良かった。
私も独身女性ですから、将来の不安もないわけではないんですよねー。今考えるのはダメだと言われつつコンパクトマンションをいつか買うのが目標ではあるんですけど^^;私も黒船スーコさんの講習会に行ってお金が貯まるコツを学びたい。
でも『お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない。』という言葉も忘れずにいたいなと思います。

<中央公論新社 2018.4>H30.6.17読了

金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス 名取佐和子5

金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス (ハルキ文庫)
著者:名取佐和子
角川春樹事務所(2018-02-14)
販売元:Amazon.co.jp

読みたい本が見つかる駅ナカ書店“金曜堂”。アルバイト店員の倉井史弥は、すっかり店にも馴染み、日々お客様に寄り添って、業務に励んでいる。とはいえ、じつは大型書店“知海書房”の御曹司である彼は、将来についていよいよ考えねばならない時期でもあった。幼い頃に別れた母との再会、イベントごとになぜか浮き沈みする金髪オーナー・ヤスとそれを案じる栖川、南店長への想い…大忙しの冬をこえて、倉井が見つけ出すものは?シリーズ最終巻、ほっこり胸キュンなラストを迎えます!

ついに最終巻を迎えてしまいました…名残惜しかった。でもきっと終わるだろうと思っていたので仕方がありません^^;
この作品は舞台が書店なので沢山の本が登場します。そして出てくる作品に対してこういう内容だという解説があまりないので、読んでいないと悔しい想いをする作品で(笑)それがまた良いんですよね。その本も読んでみようという気にさせていて(と思いつつも結局読まないで終わってしまっているが)
今回のテーマとなる作品は4作中3作が既読でした。でも「100万回いきたねこ」は絵本だし、小さい頃に読んだきりだったので細かく読書会で語られていて改めてそういう物語だったんだなぁと思い出しました。読書会楽しそうですよね。1つの作品を読んでみんなで話し合う。私もやってみたいです。
「スキップ」私も好きな作品で登場した時は嬉しかったです。「ターン」も読んだけどなぜか「リセット」は読んでいないんですよね。これを機に読んでみようかな。倉井君のお母さんが読めなくなったという「スキップ」主人公が凄いという印象が強いです。17歳からいきなり42歳になってしまって、それでも人生を諦めずに前向きになっている姿がかっこよすぎました。そして、結末も意外で。今でも印象的です。
そして「銀河鉄道の夜」今まで何度も言ってますから私の事は省きますが^^;ヤスさんは見た目の印象からは「ザネリ」ですけど、シリーズ4冊目まで行くと違うということが分かります。結末も良かったです。
そして南店長と倉井の展開、そして倉井の卒業後、ふわっと終わってよかったような、もどかしいような…それでもまずは南店長が過去だけじゃなくて未来も見据えるようになれたことが良かったかなと思います。
またどこかで会えると良いな。
著者さんのあとがきの最後の一文がとても好きでした。
「よい読書を。よい人生を。」

<角川書店 2018.2>H30.5.12読了

樽とタタン 中島京子5

樽とタタン樽とタタン
著者:中島 京子
新潮社(2018-02-22)
販売元:Amazon.co.jp

忘れかけていた子どもの頃の思い出を、あざやかに甦らせる傑作短篇集。小学校の帰りに毎日行っていた赤い樽のある喫茶店。わたしはそこでお客の老小説家から「タタン」と名付けられた。「それはほんとう? それとも噓?」常連客の大人たちとの、おかしくてあたたかな会話によってタタンが学んだのは……。心にじんわりと染みる読み心地。甘酸っぱくほろ苦いお菓子のように幸せの詰まった物語。

タイトルを見てまずちょっと笑いましたよね。ギャグか!?ネタか!?みたいな^m^
読んでみたら本当に樽とタタンが出てきたのでそう言うことかと納得しました。
まあ、女の子にタタンと名付けた老小説家もタルトタタンとかけてはいましたけど。
樽の中から少女が見つけた常連客のあれこれ。
マスターも愛想が悪いのかと思いましたけど、女の子の対応はとても優しかったですね。というか、そもそも見ず知らずの女の子を営業中とはいえ預けて受け入れてくれるなんて相当懐が大きくないと出来ないですよね。
女の子がそこまでお客さんと距離が近くないのも良かったのかな。俯瞰して読める感じが良かったです。
女の子とおばあちゃんがこの喫茶店を利用した時のお話が1番好きでした。おばあちゃんは「ぱっと消えてぴっと入る」胸の中に入ってくるというこの表現がとても好きでした。

<新潮社 2018.2>H30.3.10読了

きまぐれな夜食カフェ マカン・マランみたび 古内一絵5

きまぐれな夜食カフェ - マカン・マラン みたび (単行本)きまぐれな夜食カフェ - マカン・マラン みたび (単行本)
著者:古内 一絵
中央公論新社(2017-11-18)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
元超エリートのイケメン、今はドラァグ・クイーンのシャールが夜だけひらくカフェ「マカン・マラン」。今回のお客様は、匿名のクレームを繰り返すアラサーOL、美味しさがわらかなくなってしまった若手料理人など。彼らにシャールが用意した《きまぐれ》料理とは――?
圧倒的人気のお仕事&お料理小説、リクエストにおこたえして第三弾が登場です!

あぁ…やっぱり好きだ…シャールさんが作り出すあたたかな雰囲気、大好きです。
シャールさんはどんな人にも優しい。それはきっとシャールさん自身がたくさんの事を経験してきたから。1人1人の切実な悩みを優しい夜食で包んでくれる。
今回も色んな悩みを抱えた人たちがお店にやってきました。最初のコールセンターで働く女の子、しょうがないなと思いつつも、分かる部分もあって。そのもやもやした気持ちをシャールさんはスパッと彼女に伝えていました。きっと変われますよね。
料理人の男性にも優しい。その男性自身もきっと優しくて真面目で一生懸命なんですよね。だから少し壊れかけてしまっていた。日本の古き良きがたくさん垣間見えて少し勉強にもなりました。
そしてシャールさんの古い友人の話。そうか、そう言うことだったのかと最後の大きなシーンで気づきました。素晴らしいプレゼント。シャールさん素敵すぎます。
最後は比佐子さんの話。私もタルト・タタンは大好きです。最初に知ったのは小説で、次に機会があったのはテレビ。そこで紹介されていたお店に何年か越しで行くことが出来て、最初の一口の感動は忘れられません。涙が出そうになるくらい。美味しかったなぁ。シャールさんが作るタルト・タタンも食べてみたいです。
読み進めるのがもったいなくて、でも読む手は止まらなくて。今回も幸せな気持ちで読むことが出来ました。いつも頑張って明日からも生きていこうと思わせてくれる作品です。またシャールさんたちに逢えるのを楽しみにしています。

<中央公論新社 2017.11>H30.1.23読了

ランチ酒 原田ひ香5

ランチ酒ランチ酒
著者:原田ひ香
祥伝社(2017-11-14)
販売元:Amazon.co.jp

犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。営業時間は夜から朝まで。ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終えた後の晩酌ならぬ「ランチ酒」。孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、離れて暮らす娘の幸せを願いながら、つかの間、最高のランチと酒に癒される。すれ違いのステーキとサングリア、怒りのから揚げ丼とハイボール、懐かしのオムライスと日本酒、別れの予感のアジフライと生ビール…今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯!心を癒し、胃袋を刺激する絶品小説。

初読み作家さんでした。タイトルが気になって読んでみました。読んで良かったー。面白かったです。
アラサー、バツイチ、職業は「見守り屋」。何だか訳あり感満載の祥子という人物。
連作短編集になっていて、少しずつ証拠の境遇が明らかになっていきます。
また深夜の見守り屋という仕事の依頼は本当に様々。軽い認知症の母親の傍に一晩だけいてほしいとか、ペットと一晩過ごしてほしいとか、部屋の片づけを手伝ってほしいとか自慢話をただ聞いてほしいとか本当に色々。それでも、物腰の柔らかそうな祥子には合っているのかもなーと読んでいて感じました。同じ空間にいて良い雰囲気の人と悪い雰囲気の人っていますよね。祥子は前者だなと。
そしてその仕事帰り、ランチを食べたら帰って寝るだけのため、祥子はランチに情熱を注ぐ。読んでいてお腹が好きそうでした。どの料理も美味しそうでまた肉が多い^^私はお酒がほとんど飲めないのでお酒のくだりは想像することしかできなかったのが残念でした。
そして祥子の事。祥子の境遇はどうなんだろうな、娘と一緒に住むのが良いのか悪いのか…祥子もずっと考えている事なのだと思うけど…。でも淋しいけど娘の事を考えたら、祥子の選択は間違ってはいなかったのかなと思います。正しいかは分からないけど…。うーん…結婚すらしていない私が言うのもなんですね…。うん、深追いはしないでおきます。
それでも祥子は素敵な友達に恵まれましたね。
1番辛い時に衣食住を与えてくれる友人がいるって本当に幸せなことだと思います。
また落ち込んでいる時に進んで外に出してくれる友人も。3人の関係がとても素敵でした。
祥子の今後も少しだけ見てみたい。続編が出るのは難しそうだけど、娘さんとの関係がどうなったのかだけとても気になりました。

<祥伝社 2017.11>H30.1.9読了

金曜日の本屋さん 秋とポタージュ 名取佐和子4

金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫)
著者:名取佐和子
角川春樹事務所(2017-08-09)
販売元:Amazon.co.jp

小さな駅ナカ書店“金曜堂”。名物店長の南、金髪のオーナー・ヤスさん、喫茶担当イケメン栖川、そして年上の南に想いを寄せる学生アルバイト・倉井の四人が働く店には、様々な想いを抱き「いまの自分にぴったりの一冊」を求める客が訪れる。ある日、倉井に大学内で話しかけてきた女子学生たちが、ひょんなことから一日だけ“金曜堂”を手伝うことに。けれども、同じ同好会だというふたりの仲は、どう見てもぎくしゃくしていて…。温かな感動を呼ぶ人と本との出会いの物語、シリーズ第三弾。

前回が金曜堂の3人の過去が明らかになって終わりましたよね。
何だか吹っ切れたというか気になった部分が無くなったのでまたうまくニュートラルに読めて良かったなと思いました。
今回登場したメインとなった作品4作で、既読だったのは「ハルさん」だけでした。しかも10年前に読んだから^^;もうさらりとしかあらすじを覚えていなくて残念。店長とかどうして暗唱できるんでしょうか。「ノルウェイの森」は気になってはいるけど未読だし。太宰治の作品も「人間失格」以外読んだことがなく。「女生徒」気になるなー。
倉井君のお父さんの書店に勤める二茅さんの話が特に好きだったかな。社長とお話しできてよかったね。
最後の親子の話も好き。当たり前だけどいろんな家族の形があるんですよね。倉井君もきっと何かを感じたはず。
将来倉井君はどうするのかな。次に恐らく出るであろう冬も楽しみです。

<角川春樹事務所 2017.8>H29.11.21読了

ゴースト 中島京子5

ゴーストゴースト
著者:中島京子
朝日新聞出版(2017-08-07)
販売元:Amazon.co.jp

温かい気持ちになったあとに、思わず涙があふれてしまう。
――風格のある原宿の洋館はGHQの接収住宅でもあった。そこに小さな女の子はなぜ出没するのか?
戦時中、「踏めよ 殖やせよ」と大活躍し焼夷弾をあびながらも生き延びたミシンの数奇な運命とは?
少しぼけた仙太郎おじいちゃんが繰り返す、「リョーユー」という言葉の真意は孫娘に届くのか?
おさるのジョージの作者たちは難民キャンプで何をしていたのか?
やわらかいユーモアと時代の底をよみとるセンスで、7つの幽霊を現代に蘇生させる連作集。
第一話 原宿の家
第二話 ミシンの履歴
第三話 きららの紙飛行機
第四話 亡霊たち
第五話 キャンプ
第六話 廃墟
第七話 ゴーストライター

久しぶりの中島さんの作品。幽霊をテーマにした作品ということで少しドキドキしましたが、ホラーではなさそうだったので読んでみました。
どの作品も面白かったけど、特に印象的だったのは2作。
まずは「ミシンの履歴」ミシン目線で描かれた作品というのがまず斬新で、ミシンが生きてきた長い長い月日が日本の歴史も思わせて深くて重たいです。私の実家にも足踏みミシンがあるのですが、何だかお喋りしながら使ってみたいです←(実は一度も使ったことがない)
そして「亡霊たち」千夏の曽祖父の仙太郎おじいちゃんが時折話す「リョーユー」という言葉。家族は戦友のことではないかと、かつて戦地へ赴いた祖父を想い推理します。最後の言葉が凄く凄く重たい。かつてはそういう時代だった。まだ72年。たった72年しか経っていないんですよね。でも、最後の一文を読んで一瞬「ワンピース」のサンジを思い出しちゃってごめんなさい←

<朝日新聞出版 2017.8>H29.10.26読了

凛 蛭田亜紗子4

凜
著者:蛭田 亜紗子
講談社(2017-03-15)
販売元:Amazon.co.jp

上原沙矢は、一人特急オホーツクにのり網走を目指していた。遠距離恋愛中の恋人が隣にいるはずだったが、急な仕事で来れなくなってしまったのだ。沙矢は途中にある金華駅で「常紋トンネル殉難者追悼碑」を、そして網走で出会ったある本により、北の大地にいきた女と男の人生を知ることになる。
大正三年。八重子は一人息子の太郎を知人にあずけ、遊郭「宝春楼」で働くために東京から網走へ向かっていた。本州と北海道を繋ぐ青函船の中で、一人の青年と出会う。この青年とはのちにも巡り会うが、そんなこととはお互い想像もせず、それぞれの行き先へ散っていく。
初見世も終わったある日、知人からの手紙を同じ遊郭の百代に読んでもらった八重子は、太郎が死んだことを知る。この日から八重子は変わる、何が何でもトップにたつのだと――。
青函船で八重子と出会った白尾麟太郎は、どういう運命の巡り合わせか、タコ部屋で働くことになる。それまでの裕福で満ち足りた生活とは一変し、生きのびることで精一杯だった。
八重子と麟太郎は過酷な運命にさらされながらも、己の生きる意味を見いだしていく。
そんな彼らの生き様を知った沙矢も、自分の生き方に一筋の光を見いだすのだった。

あまりあらすじを読まないでこの作品を読んでいたので内容の重さにびっくり…。
物語の始まりが北海道だったので、そういえば蛭田さんは北海道出身の作家さんなんだった〜なんて軽く考えていたのですが、内容はそんな軽いものじゃなかった…。
現代の沙矢も今の時代ならではの悩みを抱えていましたけど、大正・昭和のタコ部屋や身売りで借金返済をするしかなかった女性たちの現実は読んでいて本当に辛かったです。
私は生まれも育ちも札幌ですが、この大正時代の事は勉強しなかったんじゃないかなぁ。小中学生には刺激が強すぎてやらなかったのかな…。でも、知らなければいけない史実ですよね。
特にタコ部屋で暮らし、過酷な労働を強いられていた人たちに関しては忘れてはいけないですよね。この人たちが苦労して作り上げたものが現代まで続き、また語り継がれているわけですから…。
八重子と麟太郎、境遇は違えど同じ時代を過酷な状況の中生きてきた二人。本当によく耐えて生き延びてきたなと思います。でも八重子は逃げられない境遇ではあったのだけど、麟太郎はどうして居続けたんでしょうか…。それは村木に対する贖罪の念を持っていたからなのでしょうか…それにしては腑に落ちない点もあったのですが。
逞しく激動の時代を生き延びた男女の姿を見ることが出来ました。
そしてこういう時代があったのだということを、忘れてはいけないとも思いました。

<講談社 2017.3>H29.6.29読了

金曜日の本屋さん 夏とサイダー 名取佐和子5

金曜日の本屋さん―夏とサイダー (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん―夏とサイダー (ハルキ文庫)
著者:名取 佐和子
角川春樹事務所(2017-02-14)
販売元:Amazon.co.jp

“読みたい本が見つかる”と評判の駅ナカ書店・金曜堂は、アルバイトの倉井以外の三人全員が、地元・野原高校出身者。その金曜堂に、夏休みを前に現役野原高生・東膳紗世が訪ねてきた。「これぞ青春!」という高校生活を送りたい紗世は、卒業アルバムで見た店長の槙乃をはじめとする「読書同好会」メンバーのキラキラした姿に憧れ、会を復活させたくて相談にきたのだという。けれど、大の本好きなはずの店長の反応が意外にも薄くて…。人と本との“運命の出会い”を描く大好評シリーズ、第二弾。

シリーズ第2弾です。この作品は実在する作品がたくさん出てくるので好きです。
特にメインとなった4冊中2冊が既読。「六番目の小夜子」とか懐かしすぎる!
私も大好きな作品です。といってももう内容は忘れかけていますが^^;ドラマもちょっと見たかな。ホラーっぽさもあるけど最終的には青春小説だなぁと思った記憶が。
「夜は短し歩けよ乙女」も青春小説ですよね。ちょっと昭和っぽさがある感じ。実際にこの作品が好きなお客さんの時代にも合っているような感じでした。
今回は連作短編集でずっと書店員の3人の過去が繋がっていました。3人と共に仲が良くていつも一緒にいたジンという男性について。今回ようやくわかりましたね。分かったけど、内容が想像以上に重くて過酷で。8年前のことだけど3人の心にいまだに深く刻まれていることが分かります。最後のお話の記者の女性がしたことは決して許せることではないですね。職権乱用もいいところです。それでもわかってくれる人はわかってくれる。こちらも少し救われた気持ちで読み終えることが出来ました。春と夏が来たんですから、秋と冬もありますよね?待ってます。

<角川春樹事務所 2017.2>H29.4.24読了

女王さまの夜食カフェ マカン・マランふたたび 古内一絵5

女王さまの夜食カフェ - マカン・マラン ふたたび女王さまの夜食カフェ - マカン・マラン ふたたび
著者:古内 一絵
中央公論新社(2016-11-16)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
お待たせしました! シャールさん&「マカン・マラン」復活です!
病に倒れていたドラァッグクイーンのシャールが復活し、いつものように常連がくつろげるお店に戻った「マカン・マラン」。
そこには、やはり様々な悩みを抱えた人たちが集ってきて?
〈擬態〉だけ得意になる、ランチ鬱の派遣社員へ「蒸しケーキのトライフル」。
夢を追うことを諦めた二十代の漫画家アシスタントに「梅雨の晴れ間の竜田揚げ」。
子供の発育に悩み、頑張り続ける専業主婦へ「秋の夜長のトルコライス」。
そして親子のあり方に悩む柳田とシャール、それぞれの結論とともに食す「再生のうどん」。
共感&美味しさ満載、リピート間違いなしの1冊です。

読みました…。またこの作品に出会えてよかったです。こうして傍で優しく寄り添ってくれるような作品があって本当に嬉しいです。
「蒸しケーキのトライフル」私が言うのもなんだけどマナチー←はいくらでも変われるのにななんて読んでいて思いました。世界は広いのに。きっと広い世界を知ることが出来る人なのに。母親の言葉、ショックだっただろうな。何も言わずに傍にいてくれたおばあちゃんの存在が大きかったというのも凄く気持ちが分かって、変わっていく姿が読んでいて嬉しかったです。また、前作で登場した常連さんたちがみんな登場してそれも嬉しかった。マナチーにシャールさんが言った「それで充分」という言葉。私の心にも深く刻まれました。
「梅雨の晴れ間の竜田揚げ」裕紀の気持ち、凄くよく分かる。子供の頃に抱いた親に対する感情って大人になってもぬぐえないですよね。親だって人間だもん。平等に子供を育てるなんて無理ですよね。それでも子供はそれを敏感に感じちゃうんですよね。もう大人だから別にいいけどなんて思っているのも事実だけど良くないって思っているのも事実で。それでもちょっと手のかかる子供とか、結婚出産をした子供とか、そっちの方が気にかかるのは当然ですよね。当然だって分かっているけど、それでも。
以前テレビである人が「親だって自分の事をちゃんと考えてみてくれてるわけじゃないじゃないですか。皆自分のことしか結果考えていないんですよ」って言っていて当たり前のことなのにハッとしちゃって。私は親に求めすぎてたんだななんて改めて思ったりして。自分自身どうしてほしいかわからないのに。
裕紀は前に進んでいきましたね。私も早く前に進んでいきたいです。
「秋の夜長のトルコライス」辻村さんの作品でもほぼ同じテーマのお話がありましたけど、今そんなに話題になっている内容なんですかね。親が自分の子育てにズカズカ入り込んでくるの。余計なお世話ですよね←時代も違うし、自分の言葉が自分の子供を縛り付けている事、ちゃんと気づいてほしいです。
「冬至の七種うどん」シャールさんにもいろんな過去があるんですよね。前作でもちらっと言っていましたけど…。柳田という存在は意外と←大きかったのかもしれないですね。最後にシャールさんに言った言葉、かっこよかったです。メタボ親父なのにやりますね(言い方)2人はこの友人関係をずっと続けていってほしいなと思います。柳田はシャールの事をずっと御厨と呼んで良いと思います。それが良いと何だか思います。
やっぱりこの作品は温かくて優しくて少し泣いた後元気をもらえます。明日からも頑張ろうと思えます。この作品に出会えてよかったです。また、シャールさんたちに逢いたいです。

<中央公論新社 2016.11>H29.2.16読了

マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ 古内一絵5

マカン・マラン - 二十三時の夜食カフェマカン・マラン - 二十三時の夜食カフェ
著者:古内 一絵
中央公論新社(2015-11-21)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
ある町に元超エリートのイケメン、そして今はドラァグクイーンのシャールが営むお店がある。様々な悩みを持つ客に、シャールが饗する料理とは?

タイトルが気になって手に取りました。読んでよかった!
シャールさんが作る料理がどれも美味しそうで癒されそうで元気になりそうで、私も食べに行きたいと思いました。落ち込んでいる時に行ったら、シャールさんが優しい言葉をかけてくれそう。側にいてくれるだけで良い。行きたいなー。
この作品は4作からなる連作短編集。主人公はそれぞれ違い「春のキャセロール」は広告代理店に勤める城之崎塔子、「金のお米パン」はシャールの同窓生で中学教師の柳田、「世界で一番女王なサラダ」は雑誌記者のさくら、「大晦日のアドベントスープ」はシャールを尊敬しているジャダ。
それぞれ生き方が不器用ででも一生懸命で真っ直ぐな人たちばかり。少し心や体が疲れたとき、マカン・マランへ行きシャールの優しい食事を食べる。皆少し元気になって前を向いていく姿に私も元気づけられました。
続編もあるみたいなので読んでみようと思います。

<中央公論新社 2015.11>H29.1.16読了

金曜日の本屋さん 名取佐和子5

金曜日の本屋さん (ハルキ文庫 な 17-1)金曜日の本屋さん (ハルキ文庫 な 17-1)
著者:名取佐和子
角川春樹事務所(2016-08-09)
販売元:Amazon.co.jp

ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は“読みたい本が見つかる本屋"らしい」というネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。
病床の父に以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。
藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店〈金曜堂〉を訪ねる彼を出迎えたのは、
底抜けに明るい笑顔の女店長・南槇乃。倉井は南に一目惚れして――。
人と本との運命的な出会いを描くハートウォーミングストーリー、開店!

初読み作家さんです。
面白かった!実際にある作品が書く短編集ごとに1冊ずつ登場します。その物語がキーとなって物語が進んでいきます。
「白鳥の歌なんて聞えない」「長いお別れ」「モモ」「家守奇譚」
梨木香歩さんの「家守奇譚」は既読でしたが、もうだいぶ前に読んだのですっかり忘れてしまっていて…って私そればっかり言ってますね。なので、物語の大事なところが今一つ乗れず、悔しかったです。読んでいればもっと理解できたと思うのに!
それでもとても面白かったです。金曜堂の社員さんたちとお客さんとその物語との関わりがとても良かった。最後のお話はその金曜堂の人たちが関わっているお話なので尚更入り込んで読んでいました。
そして地下倉庫!なんて魅力的な場所!私もぜひ行って見学したい!
面白かったですがまだ続編がありそうですよね。
ジンさんの謎は分からないままだし、報われなさそうだけど←倉井と南の恋の展開も気になるところです。そして出来れば私が読んだことが合ってちゃんと覚えている作品を取り上げていただきたい…!←
続編に期待します。

<角川春樹事務所 2016.8>H29.1.11読了

今日から仲居になります 中居真麻5

今日から仲居になります今日から仲居になります
著者:中居 真麻
PHP研究所(2016-05-25)
販売元:Amazon.co.jp

京都市内の会社で事務員として働く坂瀬川虹子は、単純でやりがいのない仕事、加えてセクハラに倦む日々を送っていた。しかし、上司の送別会で訪れた老舗旅館のサービスに心打たれ、虹子はそこで働くことを決意する。キックボクシング世界チャンピオンで浮気者の夫を持つ妻、口うるさくて気難しい料理評価家、「おこもり」に長期逗留するわがままな脚本家など、一筋縄ではいかないお客様たちに接するなかで、虹子が見つけた「働くことの意味」とは。

OLとして働く虹子がこのままで良いのかと悩んでいた時に出会った老舗旅館。
女将さんに直談判し、仲居となって働くことになった虹子。
この子、ホントはちゃめちゃなんです^^;自分の思ったことは正しいと思ってポンポンやってしまって、取り返しのつかないことをした後も何とかしようと奔走したりするんです。
最初はこんな仲居ありえねーだろと思っていたのですが。
虹子の仕事に対する一生懸命さはとても伝わってきて、どんどん頑張れーと応援していきたくなりました。
女将さんがどうして虹子を採用したのか、最後の方に分かりますがうるっとしますね。
人間関係も、仕事も、縁ってあるんだろうなと思えるラストで良かったです。
中居さんの書かれる物語は少し胸が痛くなるけど前向きになれます。
私も仕事が大変でも「好き」と言える仕事がしたい。

<PHP研究所 2016.5>H28.10.29読了

タスキメシ 額賀澪5

タスキメシタスキメシ
著者:額賀 澪
小学館(2015-11-25)
販売元:Amazon.co.jp

陸上の名門高校で長距離選手として将来を期待されていた眞家早馬(まいえそうま・高3)は、右膝の骨折という大けがを負いリハビリ中。そんな折、調理実習部の都と出会い料理に没頭する。一学年下で同じ陸上部員の弟春馬、陸上部部長の親友助川、ライバル校の藤宮らは早馬が戻ってくることを切実に待っている。しかし、そんな彼らの気持ちを裏切って、心に傷を抱えた早馬は競技からの引退を宣言する。それぞれの熱い思いが交錯する駅伝大会がスタートする。 そのゴールの先に待っているものとは……。
高校駅伝、箱根駅伝の臨場感溢れる描写とともに、箱根駅伝を夢見て長距離走に青春を捧げる陸上青年それぞれの思いと生き様が熱く描かれる。青年達の挫折、友情、兄弟愛・・・。熱い涙、しょっぱい涙、苦い涙、甘い涙が読む者の心を満たします。
読後は爽快感と希望に溢れる熱血スポーツ小説です。

「すずらん本屋堂」で紹介されていた本です。ご本人も登場されていました。
新人賞を2作同時に受賞しデビューした凄い方なのですが受賞後最初の作品だそうです。
大変だったけど駅伝シーズン前に出そうと頑張ったそうです。
しかも額賀さん、25歳なのに「今、桜美林大学で監督をされているステファン・マヤカ選手が現役の頃から駅伝を見ていて」って一体何歳から見てるんですか!?
負けた…←
まあそんな発言聞いちゃったら読まないわけにはいかないですよね。
(それにゲストで来ていた山田さんが「今は駅伝は兄弟が熱いですよね〜設楽兄弟とか村山兄弟とか服部兄弟とか」っておっしゃって尚更興奮した)
主人公は2人の兄弟、早馬と春馬。
駅伝で兄弟で早馬と春馬なんて某大学の某兄弟を思い出しちゃいますけど^^;
でも主な舞台は高校時代。
兄早馬は怪我をしたことで陸上を辞めようとしていて、弟春馬は兄の帰りを待っている。
早馬の辞めたい気持ちも分かるし春馬の戻って来てほしい気持ちも分かるし…凄くもどかしかったです。
そんな早馬が都を通して料理と出会い、偏食の春馬に何とかして野菜を食べさせたいと奮闘する姿は確かに生き生きして見えたような気がしました。
陸上を辞めた後の目標もちゃんと出来て、そういう流れで行くのかなーと思ったら話の展開は思わぬ方向へ向かいました。
去る者、追う者、このタイトルはぴったりだなと思いました。
早馬と春馬の物語ではあるのですが、稔や都や助川や藤宮と言った周りの人たちも素敵です。藤宮との絡みをもっと読みたかったなー。
早馬が自分で選んだ道、それは決して楽な道ではなかったと思うけど、でもきっと幸せだったんだろうなと思います。
物語の幕間のように出てくる2区を走る春馬と助川と藤宮の鼓動が聞こえてくるようで、こちらも興奮しました。
この2区の早馬が登場するシーンは(多少ネタバレになるので伏せますが)数年前の東海大の2人の選手のシーンを思い出して何だか泣きそうになっちゃいました。きっと額賀さんも思い浮かべて書いたはず!(分かる人には盛大なネタバレ)
この作品を読んで、ますます箱根駅伝が楽しみになりました。
間に合ってよかったー。
そういえば余談ですけど、藤澤大学って駒大がモデルかな?藤色のユニフォームみたいだし。英和学院大学は名前は中央学院大っぽいけどえんじ色ってことは早稲田かな?日本農業大学は東京農業大学か青学か…なんてことを想像するのも楽しかったです。

<小学館 2015.11>H27.12.28読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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