苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

女性作家(さ・た行)

図書室の奥はあやしい相談室 櫻井とりお4



リベルタス学園中等部図書委員には、新たに金髪のカイトと、はりねずみみたいな女子のキョーコの一年生ふたりが加入。そして相談室を引き継いだはづきと図書委員たちが今回も様々な相談事を解決します!
密室で割れた写真立て、本が落ちた本棚……怪異な出来事が図書室で頻発! まさか図書委員の中に犯人がいる!?

前作で1年生だったはづきも2年生になって後輩が出来ましたね。
前委員長の弟のカイトとジャーナリスト志望のキョーコ。どちらもクセの強い子ですね^^;
それでも変わらず図書委員たちは様々な相談ごとについて調べて解決していきます。
相談事に対しての謎を解き明かしていくのも面白いけど、読んだ本についてを話せる人がいるって言うのが羨ましいなと思います。会話自体が楽しそう…。
1年間の出来事が最後に繋がっていくのも面白かったです。
キサラギ先輩がイギリスへ留学してしまったけどちょこちょこ登場するのも嬉しい。
面白かったです!

<PHP研究所 2022.2>2022.4.5読了

虹いろ図書館のかいじゅうたち 櫻井とりお5

虹いろ図書館のかいじゅうたち (5分シリーズ+)
櫻井とりお
河出書房新社
2021-11-26


柿ノ実町にある古い図書館。司書のイヌガミさんは今日も大忙し。
ある日図書館にやって来たのは、小学六年生のケンと、かおり。
図書館と学校の図書室が居場所のケンは、クラスのはせがわくんにいじめられていた。
お姫様の物語が大好きだったかおりは、ある出来事で心を凍らせている。
イヌガミさんとうつみさん、スタビンズくんたち図書館の人々と本のあたたかさが、二人の心をじんわりと溶かしていく――

シリーズ第3弾です。またイヌガミさんやうつみさんに会えて嬉しいです。
1冊目でこの図書館の未来にイヌガミさんがいないことは分かっています。だから、今回もスタビンズくんや名前は出ないけどひなとゆんも登場して嬉しかったです。
1冊目でほのかをいじめていたかおりが登場します。詳細は覚えていないですが、かおりが不当にほのかをいじめていたことは覚えていました。でも、かおりもいろんなものを抱えていたんですね…。だからと言っていじめをしていいわけでもないし、本人もそれは分かっているみたいですが。
ケンは頭が良い子でしたね。クラスメートにはいじめられ、先生も我関せずな中、それでも土日に図書館へ行くのを楽しみに毎日頑張って生きている。えらいえらいって頭をなでたくなります。それでも、春原先生に出会えて本当に良かった。図書室の本を全部読んだケンちゃんを褒めてくれて、図書室のお仕事を手伝わせてくれて、ケンちゃん自身をちゃんと見てくれる春原先生。素敵すぎて涙が出そうでした。
それにしてもこのお話のからくりには気づきませんでした…最後まで読んだ後に読み返しました。
読み返すと伏線のようなものがあったのに…悔しい←
あぁ…素敵なお話でした。ケンちゃんとはせがわくんの関係も素敵でした。
そしてケンちゃんが言った「呪いはほとんど、自分で自分にかけちゃうものなんだな、だから、呪いを解くには、自分ががんばるしかないんだ」という言葉が刺さりました。私も自分にかけてる呪いがある気がするなぁって…。
それにしても、この自治体は自動ドアを金がないから年度内に直すのは無理ーって言って次年度に持ち越そうとしてましたけど、ってことは指定管理の民間に丸投げして払わせようとしてたってことなのでは…?どんだけケチなんですかこの自治体←って細かいところでイラっとしました^m^
あとは新年度から指定管理になるから職員がまるっと変わって、優秀な人が来るのに給料が減るんだよ、おかしいよね。ってケンちゃんがさらっと言ってましたけど著者さんと図書館員さんの想いが代弁されているような気がしました。分かる人には分かる案件…。

<河出書房新社 2021.11>2022.3.1読了

占い日本茶カフェ 迷い猫 標野凪5



一杯の温かいお茶が、不思議とその悩みに効きますよ。
猫を連れた女性が日本各地で開く「出張カフェ」の物語。
ご当地のお茶、器、お菓子の情報も盛り沢山!
日本全国津々浦々を愛猫のつづみを連れて巡りながら、小さなスペースを間借りしたり、ギャラリーやイベントの一角に招かれたりして、出張カフェ「迷い猫」を営んでいる如月たんぽぽ。占い師としての顔も持つ彼女は、ご当地のお茶、お菓子を出しつつ、訪れる客の悩みを聞いていく。そして彼女自身も各地で「あるもの」の行方を探していた……。
心がほんのり温かくなる癒し系連作短編集。

お茶は身近にあるものなのに、まるで初めて知った飲み物のような感覚でした。分かってはいましたが奥深いですね…。そしての見方も多種多様!そんな飲み方があるのか!と思う方法もあって読んでいて面白かったです。お茶についてもお茶菓子についても依頼先の土地の物を大事にしているのがいいですね。お水もその土地の物っていうのが素敵。
そしてお話の中には落語も登場するのでいろいろ学べます。また図書館の利用の仕方も玄人っぽくて^m^おぉ!と思いました。
連作短編なので少しずつ繋がっているのも面白かったです。
売茶翁という方のこと、初めて知りました。伊藤若冲とお知り合いだったとは!
最近舞台を観に出かけてもこのご時世なので観光はほぼしていないのですが、その土地に根付いた飲み物や食べ物を大事にいただきたいなぁと読んでいて感じました。
最後のお話もとても好きです。
タイトルが気になって手に取った初読み作家さんでしたがとても面白かったです。ほかの作品も読んでみたいと思います。

<PHP研究所 2021.3>2021.10.19読了

図書室の奥は秘密の相談室 櫻井とりお4



リベルタス学園の様々な相談事をキサラギとはづきの凸凹コンビと個性豊かな図書委員たちが解決する、「本」が鍵となる12か月12通りの謎解きショートストーリー。
四月 『人間失格』
五月 『まど・みちお詩集』
六月 『黄金のがちょう』
七月 『怪談』
八月 『銀河鉄道の夜』
九月 『D坂の殺人事件』
十月 『雪の女王』
十一月 『話上手』
十二月 『サンタクロースっているんでしょうか?』
一月 『手袋を買いに』
二月 『黄金虫』
三月 『走れメロス』

図書委員の生徒たちが関わる数々の謎についてキサラギとはづきが解決に導いていきます。
学校で起きることですから、事件というものでもなく日常ミステリという感じですかね。
図書委員のお話なのでタイトルだけでもたくさんの物語が出てきましたが、読んだことのある作品はほとんどありませんでした…悔しい。
可愛いお話だなぁと思って読んでいましたが、最後に「えぇ!?」という展開が待っています。
半分は気づいたのですが半分は気づかず驚きました。
たくさんの作品に出合えますし、物語も面白いです。本をあまり読まないお子さんも、ひと月ずつでも読んでみてほしいなと思います。

<PHP研究所 2021.2>2021.5.12読了

処方箋のないクリニック 仙川環5

処方箋のないクリニック
環, 仙川
小学館
2020-12-15


東京郊外にある古びた洋館。そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者の医師青島倫太郎。目が悪くなったのに車の運転をやめない父。怪しげなサプリにはまる母。仕事のストレスで血圧が上がった息子。民間治療に心酔した妻……。そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。マドレーヌと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、青島と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう……。現代の赤ひげ先生が、鮮やかに患者と家族のトラブルを解決するハートウォーミングお医者さん小説。

この物語に登場するのは総合内科という診療科です。
自分の今の病状で何科にかかって良いか分からない場合に相談する診療科…ですよね?
私は幸いなことに持病などがないので、定期的に行くのは人間ドックと歯医者くらいなのですが^^;
それでもたまに病院にかかると、ほとんど目線が合わずに診療が終わることがあったりして、不信感まではいかないまでも本当に分かってる…?と思うこともありました。
青島先生のような人が近くにいてくれたら、高くても診療を受けてみたいと思います。
看護師のミカも、見た目は奇抜でもお仕事がしっかりできる看護師さんなのが分かって安心できます。
どのお話も身近にありそうな問題であったり病状であったりしたので身につまされるというか、ある程度の年齢になったら自己判断せずに病院に行って定期的に検査を受けるようにしよう・・・と思いました。
同じ病院が舞台なので連作短編のような形になってもいて、リンクも面白かったです。

<小学館 2020.12>2021.1.25読了

虹いろ図書館のひなとゆん 櫻井とりお5

虹いろ図書館のひなとゆん (5分シリーズ+)
櫻井とりお
河出書房新社
2020-10-21


わたしの大事な大事な一番の友達へ。友達がいない小学4年生のひなは、ある日、不思議な少女ゆんに出会う。世界中をめぐってきたゆんとゆんのお話に魅了されるひな。ゆんが大好き!ずっと友達でいたい!そう思っていたのに―。かけがえのない友達のために、ひなは一歩、踏み出す。虹いろ図書館で今日もひとつ、奇跡が起きます。

続編です。また逢えると思っていなかったので続編が出ると知った時は嬉しかったです。
今回の主人公はひなという女の子。腎臓の病気で長く入院をした経緯があり、また給食を食べられないため午前中で帰宅するため自分の居場所がクラスにはないと思っている女の子です。
ひなは図書館の常連さんでイヌガミさんとも仲良し。イヌガミさんは対する人で対応を変えているのだろうか…前回と随分印象が違うのだが。でも、根本的な優しさは同じ。ちょっとやる気がなさそうに見えるのも^m^また逢えて嬉しいです。
ひなが大型犬に怯えているところにゆんという女の子が助けてくれて、それから仲良しに。ゆんが話す物語に、ひなは魅了されゆんと毎日一緒に遊ぶようになります。
ひなのおばあちゃんのえっちゃんがいい味出していて好きでした。ひなのことをちゃんとひとりの人として扱っているような感じが好き。でも孫に激甘な感じもまた良いです。
ひな以上に学校に行ってなさそうなゆんは、きっと巷の評判は良くないんだろうなーと思っていました。ひなは素直な子だから人の言葉をそのまんま受け入れちゃうし。仕方がないけど。でも、えっちゃんと同じようにひなのことを一人の人として見てくれるイヌガミさんの言葉にひなはゆんの優しさに気づいていきます。
図書館に勤める方だからこそのカラクリも散りばめられていて、読んでいて楽しかったです。
そしてほのかとスタビンズ君が登場したのも嬉しかったな。ミーシャって呼ばれてたね。弄ばれているスタビンズ君^^
最後はどうなるかドキドキしたけど、ほっとしました。よかった。

<河出書房新社 2020.10>2021.1.12読了

五色の殺人者 千田理緒4

五色の殺人者
千田 理緒
東京創元社
2020-10-10


高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希(めいじみずき)はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった!ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、ミステリ好きの素人探偵として、彼の無実を証明しようと奮闘するが…。不可能犯罪の真相は、切れ味鋭いロジックで鮮やかに明かされる!選考委員の満場一致で決定した、第30回鮎川哲也賞受賞作。

実際に介護施設で働かれていたみたいですね。だからこそのリアリティを感じました。 
メイちゃんは元気で明るくて素敵な女性でしたね。こんな子が働いていたらそれはおじいちゃんおばあちゃんの人気者になりますよ。
目撃証言の5人の服の色がバラバラというのは似たようなのを別のミステリ(子供が主人公の探偵もの←)で見たことがある気がしますけど、そういうことか!と思うこともたくさんあって面白かったです。メイとたまに行動を共にする藤原さんに関しては早めにカラクリが分かってしまってもどかしさもありましたが^^;偉そうな言い方ですけど、これからの作品が楽しみな作家さんですね。

<東京創元社 2020.10>2021.1.4読了

虹いろ図書館のへびおとこ 櫻井とりお5

虹いろ図書館のへびおとこ (5分シリーズ+)
櫻井とりお
河出書房新社
2019-11-19


オススメ!
いじめがきっかけで学校に行けなくなった、小学6年生の火村ほのか。たどり着いたおんぼろ図書館でみどり色の司書、謎の少年、そしてたくさんの本に出会い、ほのかの世界は少しずつ動き出す!こころを彩る感動の物語。世界一美しいラストが、あなたを待っています。第1回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作。

ずっと気になっていた作品。ようやく読めました。
だってタイトルに図書館って書いてある!やはり舞台は図書館。
いじめられたことで学校へ行けなくなったほのかは図書館にたどり着きます。それがきっかけで毎日図書館へ通うようになるのですが、職員は平日に毎日図書館に来ているほのかに対して何も言いません。ほのかは図書館で沢山の発見をし、本を読み、図書館の仕事を手伝うようになります。
紙上で読んで覚えていたはずの「図書館は利用者の秘密を守る」という言葉。そういう意味か…と今更ながら思ったりして。イヌガミさんの言っていることは正しい。「問いただしたら、その子はここに、もう来られない。(略)そうやって子供の行き場を無くし、追いつめろというのですか?」ほのかに対して何も言わなかったイヌガミさんの想いがこの言葉に込められていて、泣きそうになりました。それはきっと、イヌガミさん自身もきっと経験したことで。
イヌガミさんは優しい。でも、ただ優しいだけじゃない。ほのかがイヌガミさんに伝えた言葉に対してのイヌガミさんの返事はなかなかヘビーだ。でも、ほのかならきっと分かってくれると思ったから言ったんですよね。ほのか「さん」っていつも言っているし、子ども扱いをしていないところがとても良いなと思いました。ほのかが本を好きになったのも嬉しかったです。「真理がわれらを自由にする」という言葉がこんなにも納得がいって胸が熱くなったのは初めてです。勉強していたことがこんなにすとんと納得できるなんて。現職の図書館司書の方が書かれたから尚更納得できたのかなと思いました。変に勉強しているもんだから指定管理になったその後の図書館、職員がおそろいのユニフォームって書かれていて指定管理先はあの会社か…?とか変に探ってしまう自分にちょっと突っ込んだりしましたけど^^;
最後が唐突でびっくりしたのですが、なにこれー!めちゃくちゃきゅんきゅんする展開!
そうかそうか、からかっていたのは好きだったからなんだね(ニヤニヤ)一生会えないかもしれないと思ったら会えたから素直になったんだね。もー!!可愛すぎ!ニヤニヤしながら、ほっこりしながら、読み終えました。今も余韻に浸っています。
双方の著者さんに失礼かもしれないけど、全然違う作品だし、境遇も違うのだけど、イヌガミさんの最初の印象は御子柴さんだった。子どもだろうと対等に話す感じと、見た目は怖そうだったり何を考えているか分からない感じだけど図書館司書という仕事に誇りを持っている熱い男だってところとか。こちらの本も読み返したくなりました。

<河出書房新社 2019.11>2020.11.16読了

遠の眠りの 谷崎由依5

遠の眠りの
谷崎 由依
集英社
2019-12-05


生き延びましょう。私たちらしく生きられる世が訪れるまで。昭和初期、女工の絵子は、福井に開業した百貨店の「少女歌劇団」の脚本係をすることに。出会ったのは“看板女優”の“少年”だった―。一途な少女の淡い恋と、自我の目覚めを描く長編小説。

ツイッターで新井さんが紹介されているのを拝見して気になったので読みました。
初読み作家さんです。
舞台は大正から昭和にかけての時代の福井県。
女性の人権がまだ認められていない頃。貧しい農村で育った絵子は本が大好きで裕福な旅籠屋の娘まい子から本を借りることを楽しみにしている子だった。でも、本を読むことを親はいい顔をしない。女に学はいらないと思っているから。その当たり前のような風潮に反発し父親から家を追い出されます。
そして女工となり、福井に大きな百貨店が出来ることを知って雇ってほしいと直談判をします。その百貨店に後に少女歌劇団が出来、絵子はそこでキヨという「看板女優」に出会います。
これは史実なんですよね。福井に百貨店が出来て少女歌劇団があったということに驚きました。戦前にこんな世界があったんですね。それでも戦争が始まって巻き込まれていくのが悲しくて切なかったです。作中で敦賀港に海外から戦火を追われ逃げてきた外国人たちが多くいるということが書かれていました。そうだ、敦賀港はリトアニア領事だった杉原千畝の「命のビザ」を得た何千人ものユダヤ人難民がシベリア鉄道経由で到来した港でした。物語の中に歴史で知ったことが出てくると改めて実際に起きたことなんだと思わされます。当たり前の事なんですけど…。
福井も空襲に遭い、絵子が働いていた百貨店も焼失してしまいます。
朝子が最後に語った「生き延びましょう」という言葉が強く心に刻まれた気がします。
絵子はたくさん悩んで迷うのだけど、それでも信念を貫き、戦後に強く生きていこうと決意する姿がかっこよかったです。いつの日かキヨと再会することが出来ますように。

<集英社 2019.12>2020.7.24読了

語らいサンドイッチ 谷瑞恵5

語らいサンドイッチ
谷 瑞恵
KADOKAWA
2020-06-01


大阪の靭公園にある、手作りサンドイッチの専門店『ピクニック・バスケット』。おっとりした姉・笹子がつくる絶品サンドイッチと、しっかり者の妹・蕗子の切り盛りに惹かれ、多くの客が店を訪れている。笹子のサンドイッチは、誰かが胸の内で大事にしている味に、そっと寄り添ってくれるのだ…。そんななか蕗子は、笹子が元彼と会っているらしいと知る。フランス帰りのシェフだという彼は、自分のレストランに笹子を誘おうとしているのかもしれない―。心穏やかではいられない蕗子だが、一方、彼女のほうにも新たな変化の兆しが…!?

続編が出たんですね。前作がとても好きだったのでまた会えて嬉しいです。
今回はシスコンの蕗子がやきもきする展開でしたね^m^
元カレとかシェフとか自分の今後にも影響しそうなことだから気になっちゃいますよね。
お話もそれぞれ面白かったです。
「青い花火」のキューカンバーサンドイッチ、凄く気になります。きゅうりだけのサンドイッチ…かなり高度ですよね。でも笹子さんのサンドイッチなら本当に美味しいんだろうな。高校生の2人も可愛かったです。
「オーロラ姫のごちそう」アコちゃんが決めた嫌いなものを食べたら好きなものも食べるって良いなと思いました。おばあちゃんの栄養のあるものをっていう気持ちも分かるけどやっぱりみんなで笑顔でご飯を食べることが1番良い事だと思いました。
「明日の果実」ニット帽さんのおじいさんが小さい頃に食べたジャムサンドの真相。おじいさんが大阪で空襲に遭って最終が終わっているはずの電車が来て梅田までたくさんの人を乗せて助けたという話。「ごちそうさん」を思い出しました。全く同じシーンが出てきたので。たくさんの物語が繋がっているなぁと何だか感激したんですよね…。終戦の年の3月13日だったそうです。ちょっと話がずれましたが、笹子さんがちゃんと答えを見つけましたね。面白かったです。
「祝福のサンドイッチケーキ」ついに蕗子が笹子が今後をどう考えているのか聞くことになります。でも、彼を好きでいることとやりたい仕事を続けていくことを両立できないっていうのが切なかったです。でも、笹子はやりたいことを見つけたんだから良かったんですよね。蕗子とこれからも一緒に続けていってほしいなと思います。にしても蕗子も川端さんも鈍すぎますね…。この2人、進展することがあるんでしょうか^^;

<KADOKAWA 2020.6>2020.7.21読了

シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗 高殿円5



2013年秋のロンドン。オリンピックイヤーだった前年に怪我で除隊した女医のジョー・ワトソンは、ベイカー街221bで、頭脳と電脳を駆使して英国の危機に立ち向かう世界唯一の顧問探偵シャーリー・ホームズと同居していた。シャーリーのもとには、女刑事レストレードや政府高官の姉マイキーから難事件が舞い込み、ジョーは助手としてシャーリーと現場に赴いてはwebストランド誌に事件の成り行きを(自分たちを男性化して)連載している。ある日、ジョーの叔母キャロルが結婚するとの報せが。夫となるヘンリーはデヴォン州アルスターの名家バスカヴィルの子孫で、最近、前当主が亡くなって跡を継ぐことになったという。ジョーはバスカヴィルの屋敷に招待されるが、脱獄した殺人鬼と魔犬伝説が街を騒がせ、さらには叔母夫妻に脅迫状が届く。ジョーたちに危険が迫っていた。半電脳と人工心臓のためになかなかロンドンを離れられないシャーリーは、ジョーを助けることができるのか!?突出した独創性とキャラ立ちで話題をさらった女性化現代版ホームズ・パスティーシュ『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』に続く、冒険と友情の第2弾!

前作を読んで私は日が経っていないのですが、第二作が出たのは結構経ってからだったんですね。
物語の中では1年半しか経っていないんですね。
今回の舞台はバスカヴィルの屋敷で起きた事件について。
ジョーの叔母が旅行先で出会った男性と電撃結婚をし、その相手の男性がバスカヴィルの子孫であることが判明。そのバスカヴィルの屋敷には使用人がおり、また脱獄犯が近くに潜伏していることが分かり、叔母とジョーは魔犬伝説で登場する魔犬を目撃。そしてついに事件も起きる。
何だかいろんなことが起こりすぎて読んでいるこちらもキャパオーバーになりそうなのだけど、それでもジョーのコミカルな感じが事の深刻さを感じさせないというかなんというか^^;
ジョーのピンチにシャーリーは心が無いなんて言っておいてちゃんと助けに来てくれる。
2人はもう信頼関係が出来上がっているんだなぁとニヤニヤしてしまいました^^
今回も面白かったです。まだまだ続いてほしいです。1冊目のラストに書かれていたことも気になりますし…

<早川書房 2020.1>2020.4.9読了

シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱 高殿円5



2012年、オリンピック開催に沸くロンドン。アフガン帰りの軍医ジョー・ワトソンは、早々に除隊したものの、物価の高さと仕事のなさに鬱々としていた。このままでは路頭に迷ってしまう。そんな折、友人ミカーラからフラットシェアをすすめられた。シェアの相手はシャーリー・ホームズ。ちょっと変わった女性だという。だが、実際に会ったシャーリーは、ちょっとどころではなく変わっていた。乗馬服に身を包んだ清楚な美貌、人工心臓を抱えた薬漬けの身体、初対面で経歴を言い当てる鋭い観察眼、死体置き場で寝起きする図太い神経。なにより驚いたのは、彼女が頭脳と電脳を駆使して英国の危機に立ち向かう、世界唯一の顧問探偵であることだった。 ベイカー街221bで同居を始めてまもなく、ヤードの女刑事グロリア・レストレードが訪ねてきた。死体がピンク色に染まる中毒死が続発しているらしい。いまだ無職のジョーはシャーリーに連れられて調査に赴く。それは二人がコンビを組む、初めての事件だった。 表題作に短篇「シャーリー・ホームズとディオゲネスクラブ」を加えた、目覚ましい独創性と原作への愛に溢れた、女性化現代版ホームズ・パスティーシュ登場!

高殿さんの作品は4冊目です。もっと読みたいと思っているのですが、なかなか進みません…。トッカンシリーズも気になっているのですが。
こちらの作品は現代の物語。ホームズの女性版。現地取材もされたそうで、イギリスの空気感を感じることが出来ました。イギリスの情勢も分かったし…そんなに雇用問題は深刻なんですね…。深刻だからこそ起きた今回の事件。凶器がアレとは…想像もつきませんよ。女性版ならではという気がします。
人工心臓で生きている美しいシャーリーと元軍医のジョー。確かに意思疎通が大変な^^;シャーリーの通訳としてジョーは適役かもしれません。そしてシャーリーのお姉さんもとても気になる存在。
この物語の続編が最近出ているのは分かっているのですが、この表題作の3年半後のジョーの語りがとても気になります。それは新刊に書かれているのかなぁ。
私のシャーロックホームズの知識はコナンから得た物しかないのですが^m^
聞いたことのある名前の登場人物ばかりで(みんな女性)面白く読みました。
続編も楽しみです。

<早川書房 2014.7>2020.3.13読了

めぐり逢いサンドイッチ 谷瑞恵5



「思い出のとき修理します」シリーズの著者が贈る、優しくも愛おしい物語
忘れていた幸せの味、思い出してみて。子供のころの記憶に苦しむOLや、父の再婚に悩む少女──
迷える人々の心を、絶品サンドイッチが癒やします。
大阪の靱公園にある『ピクニック・バスケット』は、開店して三年を迎える手作りサンドイッチの専門店。蕗子が、姉の笹子──笹ちゃんのこの店を手伝いはじめて、半年になる。
笹ちゃんは店を訪れた人たちの、具材への思いや記憶、そして物語をやさしくパンにはさんで、誰が食べてもなつかしいような新しいような、そんなサンドイッチをつくっているのだ……。
おっとりした姉としっかり者の妹、店を訪れる個性的な人々──常連客の小野寺さんやパン職人の川端さん──が織りなす、優しくも愛おしい物語。

笹子さんが作るサンドイッチ、どれも美味しそうです。笹子さんがお客さんの事を想って作っているから、優しい味がするんですね。
玉子が嫌いな2人のOL。父の再婚相手を笹子だと思って敵意を向ける少女。常連小野寺さんのコロッケの思い出。そして笹子と蕗子の思い出のカレー。
笹子は色んな思い出をサンドイッチに込めて作ります。
著者さんが書かれる作品はいつも温かくて優しいです。
みんなが相手の事を想い合っていますよね。それが素敵。
蕗子も自分は必要ないんじゃないかなんて悩んでいましたけど、そんな必要はないですよね。笹子が蕗子を誘ったんですから。
それに、蕗子は笹子に良い相手をと言って小野寺さんや川端さんはどうかと想像してましたけど、蕗子は鈍いですよねー。読んでいるだけで分かりましたけど。
そこら辺の展開も想像しつつ、温かい気持ちで読み終えました。

<KADOKAWA 2019.5>2019.6.28読了

叡智の図書館と十の謎 多崎礼5



どこまでも続く広大な砂漠の果て、そこには古今東西の知識のすべてが収められ、至りし者が神に等しい力を手にできる図書館があるという―長い旅路の末、たどり着いた旅人がひとり。鎖に縛められたその扉を開かんとする彼に守人は謎をかける。鎖は十本、謎も十問。旅人は万智の殿堂へたどり着けるのか!?知の冒険へ誘う傑作長篇!

タイトルが気になって手に取りました。初読み作家さんです。
一つ一つの物語も面白かったし、謎の答えも納得でした。物語がファンタジーや古代ものから近代やSFっぽくなっていくのが歴史をたどっているようで良かったですし、物語からなる答えが最後に更に繋がっていくのがまた面白かったです。
叡智の図書館での最後の答えにはもう納得です。その言葉が1番ふさわしい。
解説で著者さんが十の物語について話してくれていますが、海外の物語もあれば日本のものもありました。とても幸せな気持ちで終わる物語もあればただただつらく切ない物語もありました。そしてその物語の中でも繋がっているものもあったりして読み返したり。引き込まれました。
守人の出した答えが真っ直ぐで純粋で。だからそれを裏切ってはいけないという気持ちになりました。

<中央公論新社 2019.2>2019.6.15読了

花だより みをつくし料理帖特別巻 眦聴5

花だより みをつくし料理帖 特別巻花だより みをつくし料理帖 特別巻
著者:眦聴
角川春樹事務所(2018-09-01)
販売元:Amazon.co.jp

澪が大坂に戻ったのち、文政五年(一八二二年)春から翌年初午にかけての物語。店主・種市とつる家の面々を廻る、表題作「花だより」。澪のかつての想いびと、御膳奉行の小野寺数馬と一風変わった妻・乙緒との暮らしを綴った「涼風あり」。あさひ太夫の名を捨て、生家の再建を果たしてのちの野江を描いた「秋燕」。澪と源斉夫婦が危機を乗り越えて絆を深めていく「月の船を漕ぐ」。シリーズ完結から四年、登場人物たちのその後の奮闘と幸せとを料理がつなぐ特別巻、満を持して登場です!

シリーズ完結から4年が経ち、ついに特別巻が刊行!
ずっと読んでいた方からすると待ちに待ったですよね。私は読み始めたのが遅くて、10巻目を読んだのが今年の7月なのでちょっとしかあいていないのでちょっと得した気分というかなんというか^^
「花だより」本当に種市さんは純粋で素直ですよねー。占いなんて!と思いつつもうじうじ気にしちゃってる姿が愛おしかったです。でも、たくさんの人が心配してくれて、とても幸せな人になったなぁと思いました。そして勘違いが分かってやらかしちゃうのとかホント種市さん。健康に気を付けて長生きしていただきたいものです。個人的には太一ちゃんと健坊が仲良しなのが嬉しくて微笑ましかったです。
「涼風あり」小松原様のお話。ずっと気になっていました。澪のためとはいえ違う方と夫婦になるというのは寂しいものがありましたが、乙緒とは何だかお似合いな気がしました。小松原様が幸せそうで良かったです。
「秋燕」野江ちゃんの話はもう涙なしでは読めませんでした。ずっと気にかけていた又次のこと。2人の間にあんな過去があったとは…お互いに命の恩人だったんですね。又次だってきっと野江ちゃんには家族を持って幸せになってほしいと絶対に願っているはずです。これからもきっときっと絶対に幸せになるはずです。
「月の船を漕ぐ」最後は澪のお話。大坂に来ても色々ありますね。また眉が下がっちゃいます。源斉先生の事がとても心配でしたが、本当に良かったです。澪と同様に涙が出ました。お人好しで不器用な夫婦ですから、きっとまた何かあるかもしれませんが、それでもこの2人だからこそ乗り越えられるはずです。最後はもう涙涙でした。
本当に終わっちゃったんだなぁと名残惜しく、余韻を残したまま読み終えました。

<角川春樹事務所 2018.9>H30.12.1読了

フェルメールの街 櫻部 由美子5

フェルメールの街フェルメールの街
著者:櫻部 由美子
角川春樹事務所(2017-09-01)
販売元:Amazon.co.jp

光の魔術師ヨハネス・フェルメールと、微生物学の父アントニー・レーウェンフック。ふたりの天才を結ぶ、大切な約束―。時を超える友情、運命の恋、謎の少女。角川春樹小説賞受賞後第一作、渾身のアートミステリー!

タイトルを見て予約をした1冊。
週末に無事に辿り着ければ東京のフェルメール展へ行く予定なのでタイミングが良かったです。
内容はフィクションですが、登場人物はフェルメールにレーウェンフックと実在の人物です。2人が住む小さな町で起きたミステリと、史実に基づいた内容が織り交ぜられているような感じでしょうか。
フェルメールとレーウェンフックは同い年で同じ街出身のため、著者や専門家は2人は知り合いだったのではないか、更に仲が良かったのではないか、と仮説を立てているそうです。実際に、レーウェンフックはフェルメールの遺産管財人にもなっているそうですから私も知り合いでそれも仲がいい方だったんじゃないかなと思います。この作品の中でも2人は信頼し合っている感じが良かったです。
ミステリに関しては職人が数人、突然失踪し、警察が捜索するも見つからないまだ事件とは言えないくらいのものです。それにフェルメールとレーウェンフックがいつの間にか関わっていってしまいます。
2人の会話の中でフェルメールの作品も絡めた話も出てきたりして思わずにんまりしたりもしました。実際「天文学者」と「地理学者」という作品はレーウェンフックがモデルと言われているそうです。
フェルメールの作品は30数点しかないと言われていて、どれもがフェルメールの自宅から半径500m以内の狭い空間で描かれているものだそうです。
この作品の通り、フェルメールはアムステルダムに行くことを夢見つつ、地元で一生を過ごしたのかもしれないですね。フェルメールは晩年(と言っても若いですが)貧乏で苦労したみたいで、そう言われている前の時代で物語は終わっているので輝かしい未来を感じられる終わり方がまた良かったと思いました。

<角川春樹事務所 2017.9>H30.10.3読了

砂上 桜木紫乃3

砂上砂上
著者:桜木 紫乃
KADOKAWA(2017-09-29)
販売元:Amazon.co.jp

直木賞作家の新たな到達点! 書くことに取り憑かれた女はどこへ向かうのか
空が色をなくした冬の北海道・江別。柊令央は、ビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から振り込まれる慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたい。そう思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま、気づけば四十代に突入していた。ある日、令央の前に一人の編集者が現れる。「あなた今後、なにがしたいんですか」。責めるように問う小川乙三との出会いを機に、令央は母が墓場へと持っていったある秘密を書く決心をする。だがそれは、母親との暮らしを、そして他人任せだった自分のこれまでを直視する日々の始まりだった。自分は母親の人生を肯定できるのか。そして小説を書き始めたことで変わっていく人間関係。書くことに取り憑かれた女はどこへ向かうのか。

久しぶりに読みました。桜木さん。
どうして読もうと思ったかというと、新井賞受賞作だったからです。
新井賞とは?と思った方はネットで調べてください。話すと長くなるので←
新井さんが選んだ作品だから!と思って読みましたが、やっぱり私は桜木作品はもう良いかな…。どうしようもない、分かっている厳しい現実を突きつけられるから。夢を見ていてもそんなのは叶わないんだよ、現実を見なよってぶった切られているような気分になります^^;
多分、私の今の気持ちと合わなかったんだと思います。私の気持ちがもう少し晴れていたら、また印象は変わるのかな。気持ちが前向きの時に読まないと、桜木作品はダメですね、落ち込んじゃう。
登場人物の中では私は美利がすきだったかな。ちゃんと自分を持っていて地に足付けて生きていて、しっかりしていて頼もしかったです。だから、令央を見ていてイライラするのも分かるなーと思いました。
ミオも若い時はちょっとあれだけど、年を取ってからのミオは素敵でした。こんな風に年を取れたら良いな。太るのは嫌だけど。申し訳ないけど、令央の事はあまり好きになれなかったな。最後、少しだけ変わったのは良かったかなと思うけど。

<KADOKAWA 2017.9>H30.9.12読了

32歳ひとり不幸OLが幸せ引き寄せちゃう話  櫻井千姫5

32歳ひとり不幸OLが幸せ引き寄せちゃう話 (小学館文庫キャラブン!)32歳ひとり不幸OLが幸せ引き寄せちゃう話 (小学館文庫キャラブン!)
著者:櫻井 千姫
小学館(2018-05-08)
販売元:Amazon.co.jp

吉永杏珠は、都内で仕事をするおひとりさま女子。でも最近、公私共にトラブル続きで、気付けば不幸のどん底に。そんなある夜、ひとり暮らしの杏珠の部屋に、突如クラッカーの音が鳴り響いた。「おめでとうございまーす!!あなたには天界のキャンペーンで一億人にひとりが当選する、幸せへのヒントを知る権利が与えられましたー!!」ハイテンションで登場したのは、ゴスロリ衣装に身を包んだ妖精ヴィクトリカ(自称三百歳)と、その旦那(!?)でクマのぬいぐるみの妖精クラウド。ふたりは杏珠に、ハッピーになる「引き寄せの法則」を授けると言うのだが…。

タイトルが気になって図書館で借りたのですが、自己啓発本でした。
「引き寄せの法則」は聞いたことがありますし、実際そういう本も持ってます。
私はそういうことは信じているほうだと思うんだけど…どうなのかな。
杏珠は不幸だって思っているかもしれないけど、人として印象は悪くはなかった。不倫はしていたけど。それでも周りの言葉とか自分の境遇とか、頑張っているつもりでもふっとその頑張っている糸が切れそうになってしまう時ってありますよね。
自分が辛いとどうしても自分が1番辛いような気持ちになってしまうけど決してそんなことはなくて。
毎日小さな幸せを見つけて感謝すること。はいつでもどこでもできそうだし見つけられる気がするから、私もまずはそれからやってみようかな。

<小学館 2018.5>H30.9.11読了

天の梯 みをつくし料理帖 眦聴5

天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2014-08-09)
販売元:Amazon.co.jp

『食は、人の天なり』――医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。どのような料理人を目指し、どんな料理を作り続けることを願うのか。澪の心星は、揺らぐことなく頭上に瞬いていた。その一方で、吉原のあさひ太夫こと幼馴染みの野江の身請けについて懊悩する日々。四千両を捻出し、野江を身請けすることは叶うのか!?厚い雲を抜け、仰ぎ見る蒼天の美しさとは!?「みをつくし料理帖」シリーズ、堂々の完結。

9冊目まで読んで、次で簡潔なのに色々まだ問題は山積みだけど本当に終わるの!?と思って最終巻も読み始めました。もう…見事でした。綺麗に一件落着でしたね。
佐兵衛が抱えていた罪、あさひ太夫の身請け、どちらの件もどうなるか、ドキドキしましたがいい方向へ向かって良かったです。
また佐兵衛の罪が明らかになった時は、あの人が助けてくれて…。
2人の目線だけでの会話が切なかったです。
彼はずっと遠くで見守ってくれていたんですね。
そして、澪を近くで見守ってくれていた人もちゃんといました。
小松原様とのことがあって、もう二度と恋はしないと決めた澪。でも、まだ24歳ですもんね。そう決めるのは早いです。
今まで大変だった分、たくさんたくさん幸せになってほしいです。
最後の夜の種市の言葉、涙が出ました。自分に言ってくれているような気がして、私も頑張ろうと思えました。
そして最後に付録のような形で付いていた番付。涙腺が崩壊しました。
かなり出遅れて読み始め、完結してからもだいぶ経ってしまいましたが、読んで良かったです。素敵な物語に出合えました。
自分の記録用に、種市の言葉を残しておこうと思います。
私が言うのもなんですけど、澪にはどうかどうか幸せになってほしいです。

<角川春樹事務所 2014.8>H30.7.26読了

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美雪晴れ みをつくし料理帖 眦聴5

美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2014-02-15)
販売元:Amazon.co.jp

名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい―。一方で澪も、幼馴染みのあさひ太夫こと野江の身請けについて、また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた…。いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。幸せの種を蒔く、第九弾。

いよいよ9冊目まで来ました。あと1冊…
芳が嫁ぐことになり、つる家が騒がしくなってきます。ずっと読んでいて切ない話が多かったから、今回の困る感じは幸せの兆しが見えて微笑ましくも感じました。
ずっと苦労して辛い思いをしてきたつる家のみなさんだから、本当にみんな幸せになってほしいです。
あさひ太夫の身請けについても少しずつ動きが出てきましたね。
前作から摂津屋の動きが気になっていましたが、悪い方向へ向かわなかったので良かったです。澪のこと、そして野江のこと、ちゃんと慮っているのが分かりました。だから澪も正直に打ち明けたんでしょうね。澪も野江のためとはいえ、思い切ったことをしますね。
先が見えるような見えないような…
あと1冊。どうなっていくのでしょうか。早く読みたくなってきました。
そして、最後に書かれていた短編。切ない…忘れてない…忘れてないよ…。

<角川書店 2014.2>H30.5.21読了

額を紡ぐひと 谷瑞恵4

額を紡ぐひと額を紡ぐひと
著者:谷 瑞恵
新潮社(2018-02-22)
販売元:Amazon.co.jp

事故で婚約者を喪った額装師・奥野夏樹。彼女の元には一見額装不可能で、いわくありげな依頼ばかりやってくる。ヤドリギの枝、小鳥の声、毛糸玉にカレーポット―。表具額縁店の次男坊・久遠純は夏樹の作品の持つ独特な雰囲気に惹かれ、やがて彼女自身にも興味を持つのだが…。『思い出のとき修理します』著者が紡ぐ、心温まる手仕事小説。

今回の主人公の職業は額装師。また変わった職業ですね。魅力的です。
その額装師である奥野夏樹は婚約者を亡くした過去があり、その死に関係がある人物に近づきます。そして久遠純はそんな夏樹に魅力を感じ、近づきます。純もまた過去に臨死体験をし、そのことでいまだに心の後遺症が残っている。
夏樹、純、池畠、それぞれの過去に焦点を当て、心の根底に迫りつつも額装を求めるお客様の本心にも迫っていきます。
亡くなった婚約者の弘海が額装師だったからと同じ職業になった夏樹。でも、不思議な額装の依頼にも真摯に受け止め、お客さんにふさわしい額装を作っていきます。
その職人魂は年数は関係ないのかなと思いました。
それぞれの想いもだんだん明らかになっていって、読む手が止まりませんでした。
面白かったです。3人が今後どのような関係性になっていくのか、それも読んでみたい気がします。

<新潮社 2018.2>H30.4.4読了

残月 みをつくし料理帖 眦聴5

残月 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)残月 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2013-06-18)
販売元:Amazon.co.jp

吉原の大火、「つる家」の助っ人料理人・又次の死。辛く悲しかった時は過ぎ、澪と「つる家」の面々は新たな日々を迎えていた。そんなある日、吉原の大火の折、又次に命を助けられた摂津屋が「つる家」を訪れた。あさひ太夫と澪の関係、そして又次が今際の際に遺した言葉の真意を知りたいという。澪の幼馴染み、あさひ太夫こと野江のその後とは―――(第一話「残月」)。その他、若旦那・佐平衛との再会は叶うのか? 料理屋「登龍楼」に呼び出された澪の新たなる試練とは・・・・・。雲外蒼天を胸に、料理に生きる澪と「つる家」の新たなる決意。希望溢れるシリーズ第八弾。

様々な展開を見せた第8弾。慈しむように読んでいきたいと思いつつ、読み始めたら止まらなくて、あっという間に読んでしまいました。もったいない。でも止まらない。
又次の死を乗り越え、そして又次が命を懸けて守ったあさひ太夫の行方。摂津屋の動向も少し気になる。次回また出て来そうな予感。そして佐平衛との再会。少しずつ、本当に少しずつですけど、つる家の方々に幸せの兆しが見えてきた気がしました。
芳さんの展開が驚きましたけど、前作でも何となくもしかして…と思うところがあったので素直に素敵!良かった!と思いました。
残りあと2冊。展開が気になってしょうがないです。

<角川春樹事務所 2013.6>H30.4.3読了

夏天の虹 みをつくし料理帖 眦聴5

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2012-03-15)
販売元:Amazon.co.jp

想いびとである小松原と添う道か、料理人として生きる道か…澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。「つる家」で料理を旨そうに頬張るお客や、料理をつくり、供する自身の姿を思い浮かべる澪。天空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には、決して譲れない辿り着きたい道が、はっきりと見えていた。そして澪は、自身の揺るがない決意を小松原に伝えることに―(第一話「冬の雲雀」)。その他、表題作「夏天の虹」を含む全四篇。大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、“悲涙”の第七弾。

久しぶりに、小説を読んで号泣しました。涙が止まらなかった…辛い…哀しすぎる…
このシリーズの最初の頃も、澪たちの境遇が辛すぎて悲しいと思ったけど…それとはまた違う辛さでした。
前回のつづきで、小松原様と添い遂げるのか料理人としての道を歩むのか、その選択は予想はしていましたけど、それからのことも本当に切なくて、悲しかったです。小松原様の最初で最後の「澪」と言った言葉が胸に来ます…
そして表題作。
ドラマ化された際のあらすじか何かを見たか読んだかしてしまったので、又次の事は何となくわかってしまっていました。でもそれがいつのことになるのか分からなかったので、あぁ…今回だったかと読んでいて感じました。
私、勝手に又次はおじさんだと思っていたんですよね^^;でも、りうさんがやたらと色目を使っていたから←若い人だったのかと思ったんですよね。
今回は2か月も一緒にいるから、本当に家族みたいで、種市さんがお父さんでふきが娘みたいなそんな雰囲気がとてもよくて。でも良ければよいほどなんかフラグを感じてしまって…あぁ、また涙が出そう。
「つる家」のみなさんは本当に辛い想いばかりしているけど、それでもそれを乗り越えて小さなことにも幸せを感じることが出来る。人と人とのつながりを大事にできる。
当たり前であることの幸せを改めて感じ、伝えてくれる物語だと思います。
あと3冊。慈しむような気持ちで読み進めていこうと思います。

<角川春樹事務所 2012.3>H30.3.23読了

心星ひとつ みをつくし料理帖 眦聴5

心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2011-08-10)
販売元:Amazon.co.jp

酷暑を過ぎた葉月のある午後、翁屋の桜主伝右衛門がつる家を訪れた。伝右衛門の口から語られたのは、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、との話だった。 一方登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の登龍楼を、居抜きで売るのでつる家として移って来ないか、との話が届いていた。登龍楼で奉公をしている、ふきの弟健坊もその店に移して構わないとの事に、それぞれが思い揺れていた。つる家の料理人として岐路に立たされた澪は決断を迫られる事に―― 野江との再会、小松原との恋の行方は!?

久しぶりになったこのシリーズ。第6弾。
何だか展開が目まぐるしくて読む手が止まりませんでした。
最初のお話では大きな選択を迫られたつる家。どちらを選んでも誰かの夢が絶たれてしまう。澪が選んだ道は正しかったのだと思いました。誰に何と言われようと自分が信じた道を進めばいいと思います。自分の器を大きくする。素敵な言葉です。
と思ったら終盤につれて更なる大きな展開が!
妹さん…行動的〜。そしてお母様、病状が悪化していたのですね。以前会った時も具合が悪そうだったけど息子と澪は身分が違うから諦めなさいと言っていたのに…。
好きな人と添い遂げることが出来るのは幸せなことだけど、そのために大好きな料理を手放すことまでしていいのか…。澪自身の幸せも望んでいるけど、お寮さんや種市さんやふきや野江ちゃんの想いも叶えたい…。と、読んでいても思いました。
そして源斉先生…切なすぎる…。
早く次が読みたいです。

<角川春樹事務所 2011.8>H30.3.6読了

みさと町立図書館分館 高森美由紀4

みさと町立図書館分館みさと町立図書館分館
著者:眇 美由紀
産業編集センター(2017-10-13)
販売元:Amazon.co.jp

みさと町立図書館分館に勤める遥は、33歳独身の実家暮らし。遥が持参する父お手製の弁当に、岡部主査はいつも手を伸ばし、くすねていく。人事異動でやってきた彼は、図書整理もできないネットサーファー(死語)で砂糖中毒だ。本の貸借トラブル&クレーム対処をはじめ、家庭内の愚痴聞きや遺失物捜索など色々ある“図書館業務”は、ままならないことが多い。でも小さな町の図書館分館では、訪れる人たちの生活が感じられる。理解もできる。だから、ここではちょっと優しくなれるのだ。いなかの図書館を舞台に描かれる、小さな町のハートフル・ストーリー。

タイトルに惹かれて読みました。初読み作家さんです。
図書館に勤めているということで、図書館やレファレンスに関する話が主なのかなと思ったのですが、少し違いましたね。図書館に関する専門用語も多少出てきましたけど、メインの話は遥の身の回りの出来事、周りの人たちとの出来事でした。
遥は父親と二人で暮らしている。3年前に母親を病気で亡くした。
生きているものがこれからも生きていくために、2人は前を向いていく。
かつて母親が生きていた時に、家族旅行をしようと計画していた温泉を、キャンセルせずに2人で行ったという話が好きでした。旅行中の空気は悪かったけど、2人とも生き残った者が生きていくという覚悟が生まれたというか、吹っ切れたような感じが何だか良いなと思いました。
また図書館に勤める他の職員も家族については思い悩むことがあり、それぞれ悩み答えを出していくところも良かったです。
仕事があって元気で生きていること、その当たり前の大切さを改めて教えてもらった気がします。

<産業編集センター 2017.10>H30.1.4読了

古書カフェすみれ屋と悩める書店員 里見蘭5

古書カフェすみれ屋と悩める書店員 (だいわ文庫)古書カフェすみれ屋と悩める書店員 (だいわ文庫)
著者:里見 蘭
大和書房(2017-03-11)
販売元:Amazon.co.jp

「この本、買っていただけませんか?」「それってつまり―いまわたしが話した不可解さの答えがこのなかにあると?」すみれ屋の古書スペースを担当する紙野君がお客様に本を薦めるとき、きっと何かが起こる―。初デートの相手のつれない行動の理由も、見つからない問い合わせ本のタイトルも、恋人が別れを匂わせた原因も、…すべてのヒントと答えは本のなかにある!?日常ミステリー第2弾!大切な一歩を踏み出す誰かを応援する、スウィート&ビターな4つのミステリー!

続編ですね。待ってましたー。出てくる料理はどれもおいしそうだし、紙野君のおすすめする本もどれも気になるし、こんなカフェが近くにあったら通うんだけどなーって前にもカフェが出てきた小説で言ってた気が。でもどちらも行ってみたい。
すみれと紙野君の関係は相変わらずだけど周りの環境が少し変わったりしてましたね。そして悩めるお客さんの対応がまた素晴らしい。カラクリを知ってからなるほどーと思うことばかり。読んでいて楽しかったです。
「ほろ酔い姉さんの初恋」常連知穂さんがインターネットで出会った男性と食事に行き、また会いたいと思うのに相手から返事が来なくて落ち込んでいる。何か悪いことをしてしまったのか…。相手が連絡しなかった理由が分かった時、相手の気持ちも少し分かってしまった。上手くいくと良いなぁ。
「書店員の本懐」紙野君のかつての同僚堺君が来店。新人の日向君があまりに仕事ができるため悩んでいるらしい。嫉妬してしまう気持ちはわかるけど、仕事ができないのに無駄にプライドが高い人とかもいるからぜいたくな悩みだと思ってしまった私←夏目漱石の本の謎は何となくわかりました^^
「サンドイッチ・ラプソディ」いつもパンを買っているパン屋さんから知り合いのおばあさんが求めるハンバーガーを作ってほしいと頼まれたすみれ。同時に情報誌から独自のホットドックを作ってほしいとも依頼を受ける。どちらの話もすみれの真面目さと食を大切にしていることが伝わってきて良かったです。ハンバーガーもホットドックもどっちも食べたいなー。
「彼女の流儀で」華道の家元とプロの大道芸人の恋愛。2人の結婚に彼の親戚は反対している。彼女の料理で皆をもてなそうと料理を作るが彼女が作った料理は初めに考えていたものとは違っていた。私も始めは彼氏が言う理由で料理を変えたのだと思ったけどまさかまさかでした。いやだなーそういう人。2人が結婚して幸せになれることを祈ってます。

<大和書房 2017.3>H29.10.11読了

政略結婚 高殿円5

政略結婚政略結婚
著者:高殿 円
KADOKAWA(2017-06-24)
販売元:Amazon.co.jp

江戸末期・明治大正・昭和、百二十年の間に女性の生き方はこう変わった!
金沢城で生まれた私の結婚相手はわずか生後半年で決まった。(中略)早すぎると思うかも知れないが、当時ではごくごく当たり前のことで、大名の子の結婚はすべて政略結婚、祝言の日まで互いに顔を合わせず、文も交わさぬのが慣習である。
私の生まれた文化の世とはそういう時代であった。――第一章「てんさいの君」より
不思議な縁(えにし)でつながる、三つの時代を生き抜いた三人の女性たち。
聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らを三部構成でドラマチックに描き出した壮大な大河ロマン!
―――
加賀藩主前田斉広(なりなが)の三女・勇(いさ)は、生後半年で加賀大聖寺藩主前田利之(としこれ)の次男・利極(としなか)のもとに嫁ぐことが決まっていた。やがて生まれ育った金沢を離れ江戸へと嫁いだ勇は、広大な屋敷のなかの複雑な人間関係や新しいしきたりに戸惑いながらも順応し、大聖寺藩になくてはならない人物になっていく。だが、石高十万石を誇る大聖寺藩の内実は苦しかった。その財政を改善させるような産業が必要と考えた利極と勇が注目したのは――(「第一章 てんさいの君」)。
加賀藩の分家・小松藩の子孫である万里子。パリで生まれ、ロンドンで育った彼女は、明治41年帰国し、頑なな日本の伝統文化にカルチャーショックを受ける。やがて家とも深い縁のある九谷焼をアメリカで売る輸出業に携わることとなり、徐々に職業夫人への展望をいだくが、万里子の上に日本伝統のお家の問題が重くのしかかる。日本で始めてサンフランシスコ万博の華族出身コンパニオンガールになった女性は、文明開化をどう生きるのか――(「第二章 プリンセス・クタニ」)。
貴族院議員・深草也親を祖父に持つ花音子は、瀟洒豪壮な洋館に生まれ育ち、何不自由なく暮らした。だが、花音子が幼稚園に上がるちょうどその頃、昭和恐慌によって生活は激変。すべてを失った花音子と母・衣子は、新宿の劇場・ラヴィアンローズ武蔵野座に辿り着く。学習院に通いながら身分を隠して舞台に立つ花音子は一躍スターダムにのし上がるが――(「第三章 華族女優」)。

三人の女性の人生を描いた中編小説。江戸末期、明治、大正、昭和と時代が流れていきますが、割と近年と言えるこの時代でも血筋というのは大事にされていたんだなということがとてもよく分かりました。
始めの主人公勇は物心がつくずっと前から結婚相手が決まっていて、特に反対もせずにその話を受け入れていました。こういう時代だったという言葉が何度も出てきましたが、昔は特に女性が生きにくい時代だったのかなと思います。生きにくいとは違うかな。道筋が同じというか生きる道が決まっていたというか。3人の主人公の中で勇姫だけは実在された人物だったんですね。こちらで書かれていたことはすべて史実なのでしょうか、お子さんのこととか。それなら本当に波乱万丈の人生ですね。でも気品高く誇りを持って生きている姿が素敵でした。
第二章の万里子は帰国子女で日本の堅苦しい文化があまり好きではないようで、学校になじめないもの分かりましたね。それでもそういう性格にあこがれを抱く同性もいるわけで、ミコとの関係はとても好きでした。明治、大正という時代でも昔ながらの風習やお家についての諸々は根強かったんですね。この時代の華族の話とかあまり知らなかったので勉強になりました。私はこの章が1番好きでした。万里子の生き方はかっこいいし憧れます。
第三章は昔ながらの日本に別れを告げるような今につながる物語でした。華族は昭和22年に廃止になったんですね。家を守る、血筋を守る、それを代々受け継いできた家柄の人たちにとってはそれは命をなげうつくらいにショックな出来事だったのかもしれないですね。ある意味花音子はそういう時代に翻弄された女性だったかもしれませんが、それでもちゃんと自分を持って生きていて、魅力的でした。お友達にはなれなそうだけど^^;
昔を生きた女性の生き様を読むことが出来て良かったです。
面白くて一気読みでした。

<角川書店 2017.6>H29.10.6読了

小夜しぐれ みをつくし料理帖 眦聴5

小夜しぐれ (みをつくし料理帖)小夜しぐれ (みをつくし料理帖)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2011-03-15)
販売元:Amazon.co.jp

季節が春から夏へと移ろい始める如月のある日。日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。果たして、美緒の縁談の相手とは!?――(第三話『小夜しぐれ』)。表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾!!

シリーズ第5弾。今回は割と安心して読めたかな。いつも澪たちの身に酷いことが起きるから、読むのが辛かったんですけど…
それでも「迷い蟹」は切なかったです。種市の亡き娘のおつるさんが亡くなってしまった経緯…それは辛い。本当に辛い。つる家の人たちはどうしてこんなに辛い想いばかりしているのでしょう。だからこそ、人に寄り添い、また優しさも感じるのですけど。種市が思いとどまってくれてよかったです。
そして「小夜しぐれ」美緒にも、美緒の父親にも勘違いされているけどこのままでよかったんでしょうか…。まあこの時代19歳だったら遅いくらいなのかもしれないから良かったのかもしれませんけど…。でも美緒の事を気にかけてくれる人だからきっと幸せになれますよね。
個人的には「嘉祥」が1番好きでした。澪が登場しない小松原(小野寺)の周りの出来事。竹馬の友との会話や妹との会話が何だか可愛らしかったです。お菓子についてひたすら考え、その中で澪が呟いた煎り豆で菓子を作ろうとする小松原。何だか微笑ましくて切なかったです。妹が言ったつぶやきが、真実になれば良いな。
他にも吉原のことやお芳の息子のことも少し登場しましたね。
あと5冊を楽しんで読んでいきたいと思います。
にしても21歳で大年増とは…。今の私はじゃあなんだろう、おばあさんかなミイラかな←

<角川春樹事務所 2011.3>H29.3.28読了

主君 井伊の赤鬼・直政伝 高殿円5

主君 井伊の赤鬼・直政伝主君 井伊の赤鬼・直政伝
著者:高殿 円
文藝春秋(2017-01-27)
販売元:Amazon.co.jp

大河ドラマ井伊直虎を描いた『剣と紅』に続き、井伊家第17代当主で「赤鬼」の異名を取る井伊直政と家臣木俣守勝の歴史ドラマ。
おまえの“主君”は誰だ。人はなんのために人に仕えるのか。家康に寵愛され、「赤鬼」と呼ばれた男の生涯―

以前、同じ著者さんが書かれた「剣と紅」がめちゃくちゃ面白かったので今回も読むのを楽しみにしていました。いや〜…想像通り、面白かったです。
井伊直政については、この作品を読む以前はあまり知らなかったですね。「軍師官兵衛」を見ていた時に登場していて、徳川四天王の一人だということは知っていましたがそれ以上のことは存じ上げず。それでも「剣と紅」と今作を読んで生涯を知ることが出来て本当に良かったです。
「剣と紅」では徳川家康と井伊直政が直虎について語るところから始まり、今作では徳川家康と木俣守勝が直政について語るところから始まります。そのつながりもなぜか感慨深いような気がして。それだけでちょっと感動しました。
直政の闘い方、生き方は本当に無謀というかなんというか…強運以外の何物でもなかったと思います。運が無かったらとっくに死んでいたかもしれませんね。でも、その無謀な闘い方には意味があった。それは分かる気がします。2歳で実の父が殺され、自分の身も追われて匿われ、井伊家は自分が守らなければ滅亡してしまう。それは今の大河ドラマを見ていても分かりますが、井伊家の男性はことごとく殺され、井伊家の一族の希望を一身に背負って生きてきたんですよね。よほどの覚悟がないと出来なかったのだと思います。それをちゃんと成し遂げた直政。井伊家の血は現在までつながっています。それを考えると何だか涙が出そうです。42歳なんて早すぎますね。直虎も確かそれくらいでした。井伊家を守った人たちは早世ですね。
逆に南渓は随分長く生きたんですね。自分の次の世代、次の次の世代、たくさんの人を見送って行ったのでしょうね。それもまた、辛いお役目ですよね…。
また、この作品を読むまで木俣守勝という人物を知りませんでしたが、今回守勝目線で物語が語られるのでこの方の事も知ることが出来ました。なかなか家族関係が複雑で切なかったですね。それでも、奥さんに恵まれ、家族に恵まれ、幸せだったんじゃないかなと思いました。
あ〜面白かった!大河ドラマもこの間直政がちょうど誕生しましたし^^これから楽しみです。読んでよかった!

<文芸春秋 2017.1>H29.3.14読了

世界一ありふれた答え 谷川直子5

世界一ありふれた答え世界一ありふれた答え
著者:谷川 直子
河出書房新社(2016-10-14)
販売元:Amazon.co.jp

離婚して未来を見失った女。ピアノを弾く時だけ、指が動かない病いのピアニスト。人生のどん底で出会った二人の再生を描く今年最高の感動作!

お友達にオススメされて読んでみました。初読み作家さんです。
40歳で夫に離婚を迫られうつ病となったまゆこと、ジストニアになり指が動かなくなったピアニストのトキオの物語。
最初は2人ともうつ病なのでひたすら暗かったです^^;
病院で出会ったトキオとまゆこ。トキオがまゆこを呼び、2人で会うようになります。
トキオにとってまゆこは恋愛感情で呼んだわけではなく、自分と同じようにもしくは自分よりも悪い状態である人を傍に置いて安心したかったから。読んでいてそれは感じたので嫌な気分にはなりましたけど、でも気持ちが分かる部分もありました。自分が悪い状態の時、自分の方がまだましだと思える存在があると失礼ながらほっとしたりするときもあるから。
それでもまゆこがカウンセリングに通い、少しずつ症状が緩和されていくことで2人の関係の均衡が崩れていきます。前向きになっていくまゆこを見ていると置いてけぼりにされたような気分になるんですかね。
トキオは支配的で女の敵のような気もするんですけどでも憎めない。病気のこともあるけど死にたいと言いつつも生きていて生きることにもがいている姿はまゆこ同様なんとかしてあげたいという気持ちになりました。ピアノだけが全てだった人生をそれだけじゃない人生にしたっていいじゃないかと思い、まゆこを応援していました。
途中登場したセリナとカノンがまた良かったですね。2人はしっかりした前向きな女性でした。2人に出会ったことがまゆこにとって大きな転機となったんですよね。だからトキオにもちゃんと想いを伝えることが出来たんだと思います。もともと、人の役に立ちたいと思って生きてきた人なんですもんね。変わっていくまゆこが素敵でした。
最後も良かったです。読んでよかった。ドビュッシーのアラベスクを聴きたくなりました。
このトキオという人物は、著者さんがオカダをモデルにして書かれたそうですね。オススメしたお友達に「私とオカダの物語だから(笑)」と紹介されたので^m^もう脳内がその2人で構成されたので困りました←
映像化されたら暗いけど優しくて最後は明るい素敵な物語になりそうだけど、でも、もう大作ばかりやって現代人をなかなかやらなくなった←オカダは演じることが出来ないかもなぁ…と、ちょっと寂しくなったりもしました^^;

<河出書房新社 2016.10>H29.1.23読了

今朝の春 みをつくし料理帖 眦聴5

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2010-09-15)
販売元:Amazon.co.jp

月に三度の『三方よしの日』、つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁使いの指南役を任されて――(第一話『花嫁御寮』)。戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは――(第二話『友待つ雪』)。おりょうの旦那伊左三に浮気の疑惑が!? つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは――(第三話『寒紅』)。登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる家。澪が生み出す渾身の料理は――(第四話『今朝の春』)。全四話を収録した大好評シリーズ第四弾!

前回読んでから時間が経ってしまいました。何だか不意に思い出して読んでみました。
多分澪の境遇が読んでいて辛くてだからちょっと止まっちゃったのかな^^;でも今回は割と安心して読めました。
ただ、今回小松原の正体が分かって、予想はしていたけど叶わぬ恋だったんだなということも分かって、切なかったですね。それでもあの女性の言葉はただ突き放しているだけではないと思いました。
澪が料理の事を考えて幸せそうなところが私は凄く好きです。澪は本当に料理人になるべくしてなったんだなぁということを改めて感じます。まあ、きっかけは辛いものだったかもしれませんけども…。
あさひ太夫のことが本になってしまうとハラハラしていた澪がそもそも野江が花魁となってしまった元凶の男に放った言葉がかっこよすぎました。澪をお嫁にもらいたい…。
カメよりも遅いくらいのゆっくり具合ですが読み進めていこうと思います^^

<角川春樹事務所 2010.9>H28.12.16読了

思い出のとき修理します4 永久時計を胸に 谷瑞恵5

思い出のとき修理します 4 永久時計を胸に (集英社文庫)思い出のとき修理します 4 永久時計を胸に (集英社文庫)
著者:谷 瑞恵
集英社(2016-05-20)
販売元:Amazon.co.jp

不仲に思えた両親の絆、亡き妻への秘めた思い…時計店には今日も人々の「思い出」が持ち込まれる。そんな中、秀司が作ってくれているドレスウォッチの完成が近いと聞き、喜びとともに複雑な気持ちになる明里。秀司の元に、スイスの時計工房から手紙が届いているらしいからだ。ともに商店街で暮らす未来を夢見つつ、本当は秀司がスイスで修業を続けたいのではないかと悩み…。ついに完結!

ついに最後なんですね。とても好きなシリーズだったので終わってしまうのが残念です。
と、言いつつも読むたびにこの前はどんな話があったっけ?なんて思ったりしてしまうのですが^^;
今回も、どのお話も切なくて温かくて、素敵なお話ばかりでしたね〜。
最後はやはり秀司と明里の話。
明里が選択した形が私はベストだったと思うな。自分のせいで夢を諦めてほしくないし、夢を諦めてしまった分自分が相手を幸せにできるかって考えたら自信ないもの。
2人が決めた道は周りは良い顔をしないかもしれないけど、私は力強く応援したいなと思いました。
これで終わっちゃうの寂しいなぁ。番外編でも良いので期待しています。

<集英社 2016.5>H28.8.23読了

古書カフェすみれ屋と本のソムリエ 里見蘭5

古書カフェすみれ屋と本のソムリエ (だいわ文庫)古書カフェすみれ屋と本のソムリエ (だいわ文庫)
著者:里見蘭
大和書房(2016-04-07)
販売元:Amazon.co.jp

「僕は信じてるんです。たった一冊の本が、ときには人の一生を変えてしまうこともあるって」
すみれ屋で古書スペースを担当する紙野君が差し出す本をきっかけに、謎は解け、トラブルは解決し、恋人たちは忘れていた想いに気付く──。
オーナーのすみれが心をこめて作る絶品カフェごはんと共に供されるのは、まるでソムリエが選ぶ極上のワインのように心をとらえて離さない5つの小さな謎。
きっと読み返したくなる名著と美味しい料理が愉しめる古書カフェすみれ屋へようこそ!
本を愛するすべての人へ贈るミステリー!

初読み作家さん。完全にタイトルに惹かれて買いました。
面白かった〜。本が登場するのがもうたまらなかったです^^
古書カフェに訪れるお客様の悩みに一冊の本を差し出す本のソムリエ紙野君。
名前を聞いたことのある本ばかりでしたがどれも未読でした。悔しい。
私は一生を変えるような作品にはまだ出会っていないけど、背中を押してくれた作品はたくさんあります。本って偉大だなと思います。
読んでいたら紙野君は「図書館の主」の御子柴を思い出す感じでした。
ってマニアックかな^^;紙野君は御子柴君よりも柔和ですけど。
っていうか5つの謎も気になりますけど、すみれと紙野君の関係も凄く気になるんですけど!何よりもすみれ鈍すぎだろ!!神野君結構凄いこと言ってるよ!言ってるよ!!←
最後ももどかしいったら!!
2人の関係も含めて紙野君がすすめる本をもっと知りたいので続編も期待します。

<大和書房 2016.4>H28.8.5読了

この世にたやすい仕事はない 津村記久子

この世にたやすい仕事はないこの世にたやすい仕事はない
著者:津村 記久子
日本経済新聞出版社(2015-10-16)
販売元:Amazon.co.jp

「コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」燃え尽き症候群のようになって前職を辞めた30代半ばの女性が、職業安定所でそんなふざけた条件を相談員に出すと、ある、という。そして、どんな仕事にも外からははかりしれない、ちょっと不思議な未知の世界があって―1年で、5つの異なる仕事を、まるで惑星を旅するように巡っていく連作小説。

タイトルが凄く胸に突き刺さり、でも今読んだ方がいいような気がして手に取りました。
主人公が14年間働いた職場を辞め、職を転々とする1年間の物語です。
どこまで本当か分からないですけど、いろんな仕事があるんですね…。
仕事はね、お金をもらっているわけですから、私もこの世にたやすい仕事はないと思っているんです。でも、苦痛に感じたり体を壊してまでやることなのかと言ったらそうではないと思ってます。
いろんな仕事を経験して、自分に向いている仕事なのか模索する主人公。別にやる気がないわけじゃないし、どの仕事もちゃんとこなしている印象でした。
それでもきっと、心の中に引っかかっていたのは1番最初に勤めていた仕事だったんだろうなと思います。
心身ともに疲れて、全く違う仕事に就いて見ようと思って5か所の仕事を巡って。
どの仕事も大変そうな部分もありましたし、やりがいを感じられそうな部分もありました。どの仕事も、人に恵まれていたんじゃないかなと思います。
帯に書かれていた文章が好きでした。
「やりがいのある、好きな仕事に裏切られたから、やりたい仕事より、できる仕事からやってみる。いつか、自分にふさわしい仕事を見つけるために。」
私は逆でした。やりたい仕事はなかなかやれないから、早々と諦めて受け入れてくれる仕事をしてました。いったんはやりたい仕事に就けたけど、でも給与面などの待遇でこれから一人で生きていくことに不安を感じて自ら安定を選んで手放してしまって。
そこを後悔しているわけではないけど、私は好きなやりたい仕事をしたいから、また目指してみようと思っているところでした。
主人公のようにかなりの遠回りな私だけど、遠回りした分得られたものもあるはずだ。と思って、これからも頑張って行こうとこの本を読んで改めて思いました。

<日本経済新聞出版社 2015.10>H27.11.17読了

がらくた屋と月の夜話 谷 瑞恵5

がらくた屋と月の夜話がらくた屋と月の夜話
著者:谷 瑞恵
幻冬舎(2015-08-01)
販売元:Amazon.co.jp

仕事も恋も上手くいかないつき子は、ある日、道に迷い、一軒の骨董品屋に辿り着く。そこは、モノではなく、ガラクタに秘められた“物語”を売る店だった。古い時刻表、欠けたティーカップ、耳の取れたぬいぐるみ…。がらくたばかりの「河嶋骨董店」を、今日もまた忘れてしまった大切な何かを探しにお客たちが訪れる。トランクいっぱいに、あなたへの物語が詰まっている。「河嶋骨董店」へようこそ!

温かい物語でした。がらくた一つ一つに秘められた物語がどれも温かく、そして切なかったです。装丁の中村さんの絵に惹かれて手に取ったのですが、読み終えてから表紙を見直すといろんなものが散りばめられていてじんわりします。
どのお話も良かったですが、やっぱり天地の物語が切なかったです。
1人の少年が背負った事実はあまりにも重たい。
天地が抱える闇は深くて、壁を感じました。
それでもつき子はその闇に手を差し伸べようとします。
つき子の純粋な想いが天地の心を動かしたのだと思います。
2人の今後がとても楽しみです。

<幻冬舎 2015.8>H27.11.5読了

剣と紅 高殿円5

剣と紅剣と紅
著者:高殿 円
文藝春秋(2012-11)
販売元:Amazon.co.jp

井伊直政は家康にむかって話を続ける。それを訊く家康の相づちは実に楽しげだ。
「十五の年、養母は、この男だけは絶対にいけないと強情なまでに言いはり、ついには髪を下ろしてしまいました。当時、今川義元公の庇護の下、繁栄を極めた駿府より、ありとあらゆる贅沢品を用意した縁談相手を前に、養母は一言、こう言い放ったそうです」
──紅はいらぬ。剣をもて。
戦国の世、女地頭と呼ばれた徳川四天王・井伊直政の養母、井伊直虎。彼女の熾烈な一生を描いた、『トッカン』の著者がおくる渾身の歴史エンターテインメント!

出たときから気になっていたのですが何だかタイミングが合わなくて読めないでいたのですが。今回再来年の大河でこの方の生涯が描かれるということでこれはいい機会だと思い手に取りました。
面白かった…もっと早く読めばよかった。っていつも言ってますね^^;
「軍師官兵衛」で直政が登場していたので誰の事を差しているのかはわかりましたが、井伊家ってこんなに壮絶な歴史があったんですね…短い期間に男性陣が非業な死を遂げていて、どこまで負の連鎖が続くのかと読んでいてとても辛くなりました。
直親と香が何事もなく結婚できていたら、全く違う人生で歴史も全然違ったんだろうなとも思いました…。すべては「たられば」なんですけどね。
直虎の生き様、かっこよかったです。真似なんてできません。
小法師と呼ばれ、実際に千里眼のような能力を持っていてもそれで未来を変えることは出来ない。読んでいてとても辛かったです。
歴史小説ですがこちらは女性が主人公なので合戦のシーンはあまり出てきません。
それよりも女性の闘いが色濃く描かれているように思います。
直虎の生き様もそうですが、井伊家に嫁ぎ、夫に先立たれた女性たちの闘い。
直政の母、日夜が選んだ道が素晴らしかった。直虎がそうしてほしいと言ったのだけど、すべてを受け入れて分かった上での決意が素晴らしかった。輝も、きぬも素敵な女性でした。
大河ドラマではどう描かれるんでしょうか。
私は連続ドラマを見るのが非常に苦手なのですが^^;
見ようかなぁ。
高殿さんの作品はトッカンを始め前々から気になっていたのですが、これを機に他の作品も手にとってみようと思いました。

<文芸春秋 2012.11>H27.9.18読了

五十坂家の百年 斉木香津5

五十坂家の百年五十坂家の百年
著者:斉木 香津
中央公論新社(2015-04-24)
販売元:Amazon.co.jp

その朝、双子の老姉妹が手に手をとり崖から飛んだ。葬儀のため集まった家族は、武家屋敷の床下から四体の遺骨とある秘密を掘り起こす…怒涛のカタルシスを呼ぶ、淫靡で切ない長篇ミステリー。

タイトルとあらすじを読んで気になって借りてみました。初読み作家さんです。
一気読みでした。面白かった…。
五十坂家の各世代が語る五十坂家の人々。
「人喰い」の家系だと揶揄されてきたその由来と、家族がずっと隠してきた真実とは。
五十坂家のそもそもの発端はそれこそ「人喰い」と呼ばれた祖先なのだろうけど…
なんだろう…一言では言い表せないです。
語りの中で1番昔の璃理子。この人が魔女だったのかな…でも、甘やかしてしまった両親にも責任はありますよね。
そして璃理子のせいで人生が変わってしまった弥生。弥生が可哀想すぎました。
弥生がしたことは決して許されることではありません。未遂に終わったことも含めて人として間違っています。でも、そこまで追い詰めてしまったのは誰のせいか…そう考えると弥生だけを責めることは出来ません…。
蘭子と蝶子だって、魔法使いのようだと言われていましたけどこちらだって6歳の時に大人にならざるを得なかったわけだから悪いとは言えないし…
だから何が悪いのかと言ったら、血が悪いのでしょうか…答えは出せません。
全てが分かってから、一枝と公子がした行動が微笑ましいと感じてしまいました。
諸手を挙げて応援したくなりました。
由羽も取り返しが付かなくなる前に想いを吐き出せて良かったね。
これからの五十坂家の血筋はきっと安泰ですね。そう思える最後でした。

<中央公論新社 2015.4>H27.6.10読了

思い出のとき修理します 3 空からの時報 谷瑞恵4

思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)
著者:谷 瑞恵
集英社(2014-12-16)
販売元:Amazon.co.jp

穏やかな交際を続ける明里と秀司。ある日「秀司の時計店を女が手伝っている」と教えられた明里は、店で骨董店の娘・郁実と出会う。東京での仕事を辞めて帰ってきたという彼女は、商店街のお祭り準備で秀司が不在がちの今だけ、店番をしているのだという。自分と境遇の似た彼女に共感を覚えつつも、秀司との関係に少しだけ不安を感じて…。切なく温かく、心を癒やす連作短編集、シリーズ第3弾。

今回は特に明里の家族について考える場面がありましたね。
実父の事、養父の事、血のつながり。家族って難しいですね。
第1弾の話なんてスッカリ忘れてしまっているので^^;2人がどうやって付き合うようになったのかすら忘れているという…もったいない。
でも2人がちゃんと愛を育んでいるのが分かります。素敵です。
あとがきによるとこの作品をシリーズ化するつもりはなかったみたいですね。だから1冊目で付き合っているんですねー。
今回はライバルが現れたりしてなかなか面白かったです^m^
時計にまつわる4つのお話も素敵でした。

〈集英社 2014.12〉H27.2.24読了

想い雲 みをつくし料理帖 眦聴5

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2010-03)
販売元:Amazon.co.jp

土用の入りが近づき、澪は暑気払いに出す料理の献立に頭を悩ませていた。そんなある日、戯作者・清右衛門が版元の坂村堂を連れ立って「つる家」を訪れる。澪の料理に感心した食道楽の坂村堂は、自らが雇い入れている上方料理人に是非この味を覚えさせたいと請う。翌日、さっそく現れた坂村堂の料理人はなんと、行方知れずとなっている、天満一兆庵の若旦那・佐兵衛と共に働いていた富三だったのだ。澪と芳は佐兵衛の行方を富三に聞くが、彼の口から語られたのは耳を疑うような話だった―。書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、待望の第三弾。

今回もまた嫌がらせやら何やらかんやらありましたねぇ…。もう読んでいて凄く辛かったです。澪のために売った簪。戻ってきて再びお寮さんの元に戻ってきた嬉しさ。戻してくれた種市さんの優しさ。それにほっこりしていたのに。どうしてこんなにつらい思いをしなければならないんだろう。嫌がらせだって澪たちは何も悪いことはしていないのに…でも分かる人はちゃんとわかってくれていましたね。味方もだんだん増えてきて、心強かったです。
そして澪が吉原に行った時の出来事。仕事の休憩中に読んでいるんじゃなかったら泣いてました。泣きたかった。野江ちゃーーーん!!って私が叫びたかった←
野江ちゃんのことも小松原さんとのこともじれったくてたまりませんが、料理が一番の澪なんだからしょうがないですよね。気長に読んでいこうと思います。まだ7冊もあると思えるのも嬉しいです。
最後のふきと健坊の話もハラハラしましたけど本当に良かった。みんないい人たち。みんな幸せになってほしいなぁ。

〈角川春樹事務所 2010.4〉H26.8.20読了

花散らしの雨 みをつくし料理帖 眦聴5

花散らしの雨 みをつくし料理帖花散らしの雨 みをつくし料理帖
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2009-10-15)
販売元:Amazon.co.jp

元飯田町に新しく暖簾を掲げた「つる家」では、ふきという少女を下足番として雇い入れた。早くにふた親を亡くしたふきを、自らの境遇と重ね合わせ信頼を寄せていく澪。だが、丁度同じ頃、神田須田町の登龍楼で、澪の創作したはずの料理と全く同じものが「つる家」よりも先に供されているという。はじめは偶然とやり過ごすも、さらに考案した料理も先を越されてしまう。度重なる偶然に不安を感じた澪はある日、ふきの不審な行動を目撃してしまい―――。書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、待望の第二弾!

第二弾を読みました。
あらすじを読んでもう読むのが辛くなってしまったんですけど…読みました。
どうして澪にばかりこんな困難ばかりやってくるのでしょう。
それなのに、澪は本当に強くて健気な子です。強くならざるを得なかったとも言えますが…
ふきとの関わりは懐の深さを感じましたし、清右衛門との会話は面白かったし、あさひ太夫との関わりには涙が出そうでした。美緒との会話も良かった。
そして料理がまたとてもおいしそうです。特にこぼれ梅。食べてみたくなりました。
おりょうさんと太一君もどうなることかと思ったけど、良かった…
第3弾も読みますよ〜。もう少しで完結編が出ちゃいますからね^^

〈角川春樹事務所 2009.10〉H26.8.1読了

八朔の雪 みをつくし料理帖 眦聴5

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
著者:高田 郁
角川春樹事務所(2009-05-15)
販売元:Amazon.co.jp

神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大坂と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが・・・・・。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!

前々から気になっていたのですが読めていませんでした。
今年8月に刊行予定の10巻で完結だという話を伺い、これを機に読んでみようと思い手にしました。
こういう話だったんですね・・・。
澪のあまりにも辛すぎる境遇に読んでいて悲しくなりましたけども、でも澪は本当に強い子でした。そして天性の味覚を持っているんですね。それが幸福も悲劇も生み出しているような気もしますが・・・。
澪自身の努力も素晴らしいですが、周りの人たちにも恵まれましたね。店主の種市も、源斉先生も小松原もおりょうも伊佐三ももちろん芳も。
あさひ太夫の正体もすぐに気付きましたし、ストーリーもベタなんですけどそのベタさが好きです。温かくて優しい作品でした。
特に最後の章が読んでいて辛かったです。どす黒い人間の底を見せられたような。
これからもきっと辛い場面がたくさんあるんだろうなぁとも思いますが、それでも時間がかかっても読んでいこうと思いました。

〈角川春樹事務所 2009.5〉H26.7.19読了

いろは匂へど 瀧羽麻子3

いろは匂へどいろは匂へど
著者:瀧羽 麻子
幻冬舎(2014-04-24)
販売元:Amazon.co.jp

京都麩屋町で小さな和食器店を営む30代半ばの紫(ゆかり)に、草木染めの魅力を教えてくれたのは、50歳の草木染め職人・光山(こうざん)だ。彼は、静かな独身生活を楽しんでいた紫に、恋する気持ちも思い出させてくれた。しかし、無邪気で大胆な一方で、強引なことをしない彼に、紫は心を持て余す。実は、光山には想像もつかない過去があった。無邪気に口に出せない30代女子の恋。寺町、西陣、大原、鴨川、麩屋町…京都の街を舞台に、ちょっぴりビターなラブストーリー。

読みました。あらすじを読んで気になって読みました。
読んだんですけど、どうも納得がいかないというかなんというか・・・。
途中までは紫の気持ちに共感できたんですけど、どうして光山に惹かれるのか私は分かりませんでした。少し強引なところ、素直なところ。魅力的な部分はたくさんありましたけど、女性に関してはだらしがないというのとは違うんですけど何だかもやもやするし…。
どうしてブライアンに行かないの?って凄く思いました。
私はブライアンが良いです←
あんなに思ってくれる人がいるのにどうして?
私は愛するよりも愛されたい人です。
愛されてそれが分かって、私も好きになっていくのだと思います。何となく。
それは凄く恋い焦がれるように好きになったことがないからだろうなーと冷めて見たりしますけど。
紫が思い悩む気持ちは分かりますがはっきりしてほしかったなー。
最後はっきりしてたのかな?してないよね?
鈍い私にはわかりませんでした。
やっぱりブライアンがいいよー(しつこい)

〈幻冬舎 2014.4〉H26.7.2読了

こんなわたしで、ごめんなさい 平安寿子

こんなわたしで、ごめんなさいこんなわたしで、ごめんなさい
著者:平 安寿子
実業之日本社(2013-07-11)
販売元:Amazon.co.jp

「婚活の外へ」梅津成美25歳は職場の「みんなで幸せになろう」会に出席し、一人の男性に見初められる。全てにおいて完璧なその男性。しかし成美はそのプロポーズに答えられないでいた。
「どうか小さな幸せを」豊中東子は巨乳である。そのせいで今までずっと苦労してきた。男性にはいつも胸ばかり見られ、女性には何もしていないのに妬まれた。
「イガイガにチョコがけするのも年の功」安永泉は35歳。同級生の既婚者である奈津子がやたらと泉の世話を焼き、見合い話を持ってくる。
「自然の法則に従って」山科未和は30歳。かつて同じ職場の上司と付き合っていたが相手の浮気を知り別れることになった。なぜかその浮気相手とかかわるようになる。
「じれったい美女」洋子は自分が綺麗じゃないと早く見限った。睦美という友人はとても美人なのだがそれが元で今まで苦労をしてきたため、洋子は睦美の今の状況をもったいないと思っていた。
「カワイイ・イズ・グレート! 」義妹は50歳を過ぎてもカワイイひらひらふわふわの服を着て過ごしている。痛くてみっともないと梢は思っていた。
「こんなわたしで、ごめんなさい」女性管理職・学者の妻・15歳の娘の母親、の三役をこなし、前向きで明朗快活なわたしは皆が羨む存在!…だったはずの菅野早弓(44歳)は、最近職場で孤独を感じ、暗い毎日を送っている。なぜなら…

ずっと気になっていた作家さんでしたが今まで読んでいませんでした。初読みです。
いやー面白かった。さまざまな悩みを持つ女性たち。巨乳の人の気持ちは全くわからないけど^^;それ以外はなんとなくわかるなーと思って読んでいました。
周りはいいと思っているのに自分はいいと思っていない。ひねくれた答えを出す。相手の希望に応えられない結果になる。
だから、こんなわたしでごめんなさい。なんですね。
でもわかります。しょうがないよね。しょうがない。
人に言われて初めて気づくこと、たくさんあるもの。
良いことも悪いこともあがいてあがいて、結婚するにしてもしないにしても、仕事に生きるとしてもしないとしても、みんな頑張っていこうよって言われている気がしました。
面白かったです。

〈実業之日本社 2013.7〉H25.12.25読了

思い出のとき修理します2 明日を動かす歯車 谷瑞恵4

思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)
著者:谷 瑞恵
集英社(2013-09-20)
販売元:Amazon.co.jp

寂れた商店街の片隅に、「思い出」を修理してくれる時計屋さんがある──。時計師・秀司のもとには、傷を抱いた人たちが今日も訪れる。優しく温かい、癒やしの物語、第2弾!
「きみのために鐘は鳴る」飯田時計店に若い女性がやってきた。太一が見かけたというその女性に明里は思い当たる人がいた。それは10歳年下の妹。明里と妹香奈は半分しか血が繋がっていない。一方香奈は喫茶店で一人の女性に出会う。似た境遇だった女性は香奈に時計の預かり所を託す。
「赤いベリーの約束」商店街にある宝果堂の奥さんである葉子さんが家出したのだという。夫の保と耀子には共通の友人がいた。若本光一という友人との過去が2人を縛り付けていた。
「夢の化石」明里の高校時代の先輩弘樹が秀司に石の時計を渡し、それを直してほしいと依頼をしてきた。どう見ても直せるはずのないものだが秀司は引き受ける。
「未来を開く鍵」飯田時計店に女性が現れた。以前鍵を渡していたのだが事故に遭い、その内容をすっかり忘れてしまったのだという。

シリーズ第2弾です。
恋人同士になりたての秀司と明里が可愛かったです。いい年して中学生みたいな恋愛^m^でもその恋愛がとてもうらやましかったです。
手を握ってドキッとしたり、ぎゅっと抱きしめ合って嬉しいとか、心地いいとか感じたり。
秀司はとても優しいけど、いつも笑顔だから本心は見えにくいなと思ってました。
でも、明里の先輩が登場した時に妬いてるんだよって言ったり、甘えた姿が見たいと言ったり、正直に言ってくれるのが良いなーと思いました。
今回の4編はどれも素敵なお話でしたが、あまりにも偶然過ぎるなーと思ったり、私でさえも展開が読めてしまったり。そういうお話もありましたが、それでも心が温かく幸せな気持ちになれる作品でした。
秀司と明里の恋愛模様が本当にゆっくりなのでやきもきしますが、展開の発展に期待しつつ第3弾も楽しみです。

〈集英社 2013.9〉H25.12.21読了

誰もいない夜に咲く 桜木紫乃4

誰もいない夜に咲く (角川文庫)誰もいない夜に咲く (角川文庫)
著者:桜木 紫乃
角川書店(2013-01-25)
販売元:Amazon.co.jp

寄せては返す波のような欲望にいっとき身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる。

短編集です。この作品は以前出た「恋肌」に加筆修正を加えた作品なんですね。
新刊なのに文庫?と思ったので。なるほど。
どの作品もやっぱり暗くてさびしくなります。それでもみんな懸命に生きていて。
でも、女性はこんなに逞しくなきゃダメなのかなぁなんて思ったりもして。
男の人に縋って甘えて生きていったって良いじゃないって桜木さんの作品を読んでいると思います。
出てくる女性の試練が辛すぎるんだもの。短編になるとそういう作品が多いから体調不良の時に読むとちょっとつらくなります^^;
加筆した「風の女」が1番好きでした。
ちょっと矛盾しているかもしれないけど、こういう女性の生き方もかっこいいなと思いました。

〈角川書店 2013.1〉H25.4.24読了

黄金の庭 高橋陽子4

黄金の庭黄金の庭
著者:高橋 陽子
集英社(2013-02-05)
販売元:Amazon.co.jp

お寺の閻魔様が動き回り、池の蓮の花からお釈迦様が現れる。不思議なことがおこる町に引っ越してきた青奈夫婦。ある日、質屋で手に入れたオパールの指輪がしゃべり出し…。不思議な町の平凡な日常を描く、新しい大人のファンタジー。第36回すばる文学賞受賞作。

すばる文学賞受賞作です。受賞作じゃないと多分知らないまま、読んでいなかったと思います。
良かったです。面白かった。楽しかった。じゃなくて、良かった。ですね。
主人公の青奈は結婚して3年経つのに子供に恵まれず、義理の家族にプレッシャーを与えられて焦っていた。更に色々重なって無職になり、職探しの日々。そんな中、怪しげな千ちゃんから仕事をしないかと持ちかけられます。
青奈の仕事面でも家庭面でも必死なのが伝わってきました。その気持ちが凄く伝わってきて切なくなりました。そういう現実的なところもあり、アーちゃんというどんなに悪い事をしても許される子どもの存在がどこかファンタジーで、でもそれがこの物語の鍵でもあって…
言葉で説明するのが上手くいきませんが、青奈のプレッシャーを感じている初めからの心の変化がとても良く書かれているなと思いました。
初めて気味が悪くて怖いと思っているアーちゃんの存在も変わっていきましたし、怪しい男の千ちゃんの印象も変わりましたし、何より旦那さんへの想いも変わっていったと思います。
その心の変化が良かったと思いました。
質屋で仕入れた「おしゃべりオパール」もなかなか面白かったです。長く生きているだけあっていうことはまともなんですよね^^
上手く伝えられないのが残念ですが。良い作品でした。

〈集英社 2013.2〉H25.3.14読了

ホテルローヤル 桜木紫乃4

ホテルローヤルホテルローヤル
著者:桜木 紫乃
集英社(2013-01-04)
販売元:Amazon.co.jp

恋人から投稿ヌード写真撮影に誘われた女性店員、「人格者だが不能」の貧乏寺住職の妻、舅との同居で夫と肌を合わせる時間がない専業主婦、親に家出された女子高生と、妻の浮気に耐える高校教師、働かない十歳年下の夫を持つホテルの清掃係の女性、ホテル経営者も複雑な事情を抱え…。

道東にあるホテルローヤルに纏わる男女の物語です。
連作短編集でホテルの従業員やお客さんなどの想いが描かれています。
ホテルローヤルが廃墟と化している時代にはじまり、経営されている時期、またできる前のお話が最後を締めくくります。時がだんだん遡って行くんですよね。それが上手いなと思いました。
女性の悲愴さを書いたら桜木さんはNO.1だと思います。褒めてます。
読んでいて痛々しくて辛いのに、どうしてか読みたくなって読んでいたら止まらなくなる。桜木さんの作品はいつもそう思います。だから、新刊が出れば必ず読んでいます。過去の作品も読みたいなと思ってます。
お客としての物語も良かったですが、このホテルを作った家族の物語が印象的です。
家族がいるにも関わらず若い女性と付き合い、子供が出来て新しい家族でホテルを経営することになって。
始めにホテルの末路や家族の末路が分かっているので1番最後の物語「ギフト」を読んだときは切なくて仕方なかったです。前の物語を読見返して悲しくなったり。
それでも短編集どの作品も何だか光があるような気がして、だから心に染み入る部分もあったりして。だから桜木さんの作品は止められません。
「シャッターチャンス」
「本日開店」
「えっちや」
「バブルバス」
「せんせぇ」
「星を見ていた」
「ギフト」

〈集英社 2013.1〉H25.1.28読了

思い出のとき修理します 谷瑞恵4

思い出のとき修理します (集英社文庫)思い出のとき修理します (集英社文庫)
著者:谷 瑞恵
集英社(2012-09-20)
販売元:Amazon.co.jp

仕事にも恋にも疲れ、都会を離れた美容師の明里。引っ越し先の、子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街で奇妙なプレートを飾った店を見つける。実は時計店だったそこを営む青年と知り合い、商店街で起こるちょっぴり不思議な事件に巻き込まれるうち、彼に惹かれてゆくが、明里は、ある秘密を抱えていて…。どこか懐かしい商店街が舞台の、心を癒やす連作短編集。
「黒い猫のパパ」引っ越してきた商店街にあるパン屋店主の恋人が黒い猫を捜していた。名前はパパという。幼いころに亡くなった父の代わりに飼っていた黒猫をパパのように感じていたのだという。
「茜色のワンピース」明里はハル洋裁店のハルエさんから頼まれごとをする。それはハルエさんがかつて着ていたワンピースを着て縁日を歩いてほしいのだという。春江さんには後悔していることがあった。気になってたまらなかった人に、思いを伝えることが出来なかった。
「季節外れの日傘」老婦人がぶたのぬいぐるみを捜しているのだがこのあたりにないかと尋ねてきた。また同時期に20歳くらいのツインテールの女の子も全く同じぬいぐるみを捜していると言っていた。
「光をなくした時計師」時計屋さんの元へ女性が訪ねてきた。名前で呼ぶ女性に明里は今まで意識したことがなかったにも関わらず気になる。時計屋さんがなぜこの商店街で時計店を営んでいるのか、その真実を知りたいと思った。
「虹色の忘れ物」時計屋さんの事が気になってきたが、明里は時計屋さんが知る過去の自分とは違うことをずっと気にかけていた。明里はこの商店街にひと月だけやってきたときの事を思い出す。

書店で表紙を見て気になり、図書館に入ったので予約しました。
予約を待っている間に予約者が増える増える。あれ?そんなに人気の作品なの?と思ったら「伯爵と妖精」シリーズを書いている方なんですね。私は読んだことがないですが、図書館では良く見かけます。シリーズものは読みたいと思ってももう追いかける元気がありません・・・気になっているシリーズはたくさんあるんですけどねー。
ということで今作。可愛らしいほっこりするお話でした。
ちょっとSFっぽくてメルヘンっぽさも感じますけど、それでもやっぱり最後に幸せを感じる作品って良いですよね。
時計屋さんの過去に明里の過去、それが繋がった時になるほどと読んでいる側も腑に落ちました。2人とも傷ついたけど、その分これから幸せになれるって信じています。
時計屋さんって本当に緻密ですよね。海外には凄い技術を持っている方がいると聞いた事があります。何か、階ごとに偉さが変わるとか・・・凄く曖昧^^;
私はタイチ君もお気に入りでした^^見た目はきっとイマドキな男の子だと思うのですが意外と古風でちゃんとした子なんですよね。そして要所要所で良い仕事をするんですよ^^
癒されるお話でした。
機会があったら(あるのか?)伯爵と妖精シリーズも読んでみたいです。何冊あるんだっけ?・・・さ、30巻・・・ム、ムリ〜。

〈集英社 2012.9〉H24.12.4読了

左京区恋月橋渡ル 瀧羽麻子4

左京区恋月橋渡ル左京区恋月橋渡ル
著者:瀧羽 麻子
小学館(2012-04-23)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

初めて恋するときめきを描いた純情恋愛長編
四年間の学生生活を送った京都で、山根は四月一日から工業化学科の大学院生として新たなスタートをきった。学部生のころから暮らしている学生寮には、生物学科の安藤をはじめ電気電子工学科の寺田などゆかいな仲間たちのほか、数学科の龍彦もときどき遊びにやってくる。研究室でその日、明け方までかかってやっと山根は仮説を裏づける数値を導き出したが、教授から簡単な計算ミスを指摘され、ひとり居残りを命じられる。気分転換に糺(ただす)の森を訪れると突然の雷雨に見舞われ、豪雨の中に浮かび上がる満開の山桜の向こうに、白いワンピースを着たそのひとがいた。あれこれ考える前に楼門の下まで駆け寄り、自分の傘を彼女の足もとに置いて、一目散に立ち去っていた山根。ずぶ濡れになったせいか熱を出し、熱が下がってからもどうも様子がおかしい。そして京都御苑での花見の席で、龍彦のガールフレンドの花にいとも簡単に見抜かれる。「山根くん、もしかして好きなひと、できた?」。花は言う、もう一度姫に会いたければ、下鴨神社に毎日参拝すべし――と。

ネタバレあります

「左京区七夕通東入ル」の続編です。前回主人公だった龍彦君と花ちゃんの友達、山根君の物語です。
山根君のおそらく初恋物語。あまりにも奥手な山根君が可愛くて可愛すぎて母性本能をくすぐりましたよ。どうしてそうなるー!とツッコミどころが満載すぎます。
でも、山根君は頑張りましたよ。最初は花ちゃんのアドバイス通りでしたけど、正直に話してからは自分から頑張りましたし。
きっと報われないんだろうなぁと思いましたけど←
女性との関わりが皆無に近かった山根君にとってはいい経験だったのではないでしょうか。まあ、中学生のデートみたいだったけど(失礼な)
前回はあまり登場しなかった寮長、料理人、管理人の皆様もいい味出してました。
龍彦と花もあまり登場しなかったけど、2人の距離は更に縮んで、全然雰囲気の違う二人だったのに何だか似てきているのが分かって可愛らしく見えてきました。
山根君はこの恋愛をバネに、良い恋もしてほしいなと人の事を言ってる場合かと思いつつも思いました。

〈小学館 2012.4〉H24.9.25読了

氷平線 桜木紫乃4

氷平線 (文春文庫)氷平線 (文春文庫)
著者:桜木 紫乃
文藝春秋(2012-04-10)
販売元:Amazon.co.jp
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真っ白に海が凍るオホーツク沿岸の町で、静かに再会した男と女の凄烈な愛を描いた表題作、酪農の地を継ぐ者たちの悲しみと希望を牧草匂う交歓の裏に映し出した、オール讀物新人賞受賞作「雪虫」ほか、珠玉の全六編を収録。北の大地に生きる人々の哀歓を圧倒的な迫力で描き出した、著者渾身のデビュー作品集。
「雪虫」札幌で事業に失敗し、自己破産して実家の農家を手伝っている達郎はすでに結婚している四季子との関係を終えられずにいた。あるとき、親が女性を買い、フィリピンから嫁を迎えることになる。
「霧繭」和裁師として独立したばかりの真紀は、得意先の呉服問屋の顧客課長と付き合ったことがあり、男は問屋のおかみとも関係を持っていた。2人でいるときは気まずい。
「夏の稜線」京子は東京から北海道の僻地へ嫁いできた。農業を営んでおり姑は男が生まれるのを待っている。近所でもよそ者扱いされ、今日子は居場所がなかった。
「海に帰る」昭和49年。25歳で独立し理髪店主の圭介は偶然店を訪れたキャバレー勤めの女性と関係を持つ。
「水の棺」歯科医師の良子は勤める歯医者の院長との関係を断ち切るためにオホーツクの僻地にある歯科へ行くことを決意する。
「氷平線」誠一郎はこの僻地と両親から逃れるために東大へ合格し10年後、税務署長として北海道へ戻ってきた。その時にかつて肌を合わせた女性と再会する。

予想はしていましたけど、暗くて切なかったです。
北海道に住む人々がその場所で生きていく姿。それは何だか諦めもあるような感じで。
最後は前向きになれるのかと思ったら、そういう作品もあるけど悲しい結末だったり…本当に読んでいてやりきれなかったです。
それでも読む手が止まらない。桜木さんの作品は何だかとても引き込まれます。
桜木さんは見たことのある場所じゃなければ書けないと言われたそうです。だから北海道の特に釧路を舞台にすることが多く、また経験のある美容師という仕事を書かれることが多いんですね。そして情景が目に浮かぶようです。何だか、寒さが伝わってきます。
どの作品もどこか危なげで心配な終わり方ばかりだったのだけど、頑張ってきた彼、彼女たちだから、幸せになってほしいと思って本を閉じました。

〈文藝春秋 2007.11
        2012.4〉H24.8.29読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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