苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

島本理生

憐憫 島本理生4

憐憫
島本 理生
朝日新聞出版
2022-11-07


かつて子役だった沙良は、芸能界で伸び悩んでいた。自分の正体をまったく知らない人間に出会いたい──そんな折に酒場で偶然出会った柏木という男に、たまらない愛しさと憐憫(れんびん)を感じた──。愛に似て、愛とは呼べない関係を描く、直木賞作家の野心作。

子どもの時から芸能の世界に足を踏み入れ、大人になって身近な大人が自分を食い物にされていたことを知る。心に深く傷を負い、仕事に復帰できるまでに時間を要したことで今伸び悩んでいる。
柏木という男に惚れてしまった気持ちは少しわかる。自分のことを全く知らない。でも自分の心のうちは分かってくれている。でもお互いに深くは知らないから深入りせず互いに癒しを求める。
結局最後まで柏木という人間は年齢も含めて分からないことばかりだったけど、きっと2人とも今いる場所から抜け出して前に進めたのではないかと思う。自分のことを理解できる人がいたということだけでも分かれば、生きる支えになる気がするから。
沙良がちゃんと実力で芸能界から注目を浴びるようになって良かった。多分家族とも訣別できたはずだ。いつか変わってくれるはず、分かってくれるはずと願うのは、家族にも他人にも思わない方が良い。自分が傷つくだけだから。沙良の親族は、本当に沙良のことを金の生る木としか思っていないようで腹ただしかった。夫も、私は読んでいてあんまり好きじゃなかったな。沙良への愛情は感じとれなかったし、きっと人のことを言えないことを数々してると思われ。だからと言って沙良と柏木の関係を擁護するわけではないけど…。

<朝日新聞出版 2022.11>2022.12.23読了

星のように離れて雨のように散った 島本理生5

星のように離れて雨のように散った
島本 理生
文藝春秋
2021-07-28


幼い頃に失踪した父、書きかけの小説、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。大学院生の春は、父との記憶を掘り起こすうちに、現在の自分の心の形が浮き彫りになっていき…。「私」をめぐる旅の物語。『別册文藝春秋』掲載を単行本化。

この本を読み終えてHP等を拝見して知ったのですが、失踪した父というくだりは島本さんの実体験と重なっていたんですか…?知らなかったです。
私は島本さんと真逆で、宮沢賢治の作品は好きでした。小学校5年生の時に「雪渡り」を習い、「どんぐりと山猫」を先生が朗読してくれて、面白い物語だなと思ったのが最初の記憶です。その年がちょうど宮沢賢治が生誕100年の年だったので、大きくスペースを設けている書店も多かったんですよね。それで親に頼んで買ってもらったのですが、大人用の文庫だったので小学生が読むには難しく、しばらく放置していたのも今となってはいい思い出です^m^
なので、宮沢賢治について書かれているというこの作品を楽しみにしていました。「銀河鉄道の夜」に関する考察も多く描かれていてとても興味深かったです。私は正直に言うと島本さんの書かれる女性ってあまり好きではないんです←多分私が恋愛体質じゃないからだと思います。なので基本的に恋愛小説は読まないのですが島本さんの作品は新刊が出ると読みます。恋愛だけではない様々なテーマが興味深くて引き込まれるからだと思います。
父親のこともそうだけど、春は母親のことも子供ながらに見限っていたんですよね。親戚は敵だし。だから大人に嫌われないように自分を殺して生きていくしかなかった。分かるなんて言ったらおこがましいけど、その気持ちは少しだけ分かりました。私も自分を出すのは苦手。多分人に嫌われたくないから。それは大人になってだいぶ改善された気がしますけど。人に嫌われまくっているような気がしますけど^^;まあそれはそれとして。春は自分を見つめなおして自分と向き合えてよかったのだと思います。亜紀との関係もどうなるんだろうと思いましたけど、何とかなりそうで良かった。2人は離れないでほしいなと思っていたので。2人で自分の正直な気持ちを少しずつ打ち明けながら幸せになっていってほしいなと思います。
個人的に気になったのが春と父親が一時期一緒に過ごしていたという山梨県のとある場所。主人公と世代は合わないけど、島本さんとは同世代なので山梨県で宗教関係…今は無きあの村を思い出しました。多分その村がモデルですよね。当時悪い形で有名になって、子供ながらに可哀そうだなぁと思った記憶があります。90年代を思い出した作品でした。

<文藝春秋 2021.7>2021.8.13読了

2020年の恋人たち 島本理生4

2020年の恋人たち (単行本)
島本 理生
中央公論新社
2020-11-20


ワインバーを営んでいた母が、突然の事故死。落ち着く間もなく、店を引き継ぐかどうか、前原葵は選択を迫られる。同棲しているのに会話がない恋人の港、母の店の常連客だった幸村、店を手伝ってもらうことになった松尾、試飲会で知り合った瀬名、そして……。楽しいときもあった。助けられたことも。だけどもう、いらない。めまぐるしく動く日常と関係性のなかで、葵が選んだものと選ばなかったもの――。直木賞受賞後長篇第一作。

色んな男が葵によってきて男と関わるのめんどくせぇ…と思いました←っていうか葵に寄ってくる男たちがみんな面倒くさそうな人ばかりなのかな^^;
30年以上愛人をしていた母。その家族の娘におねえちゃんと言われる葵。分かりやすく毛嫌いしている義兄。人間関係が入り組んでますねー。
出てきた男の人の中で1番良いと思ったのは松尾君かな。後腐れがなさそう^m^飲食店で働いてきた気遣いがいろんなところで垣間見えて素敵な人だと思いました。海伊も良い人だとは思ったけど、葵とは合わないだろうなと思ったよねー…
女性の方が魅力的だったかな。弓子も好きだし特に芹が好きでした。こんな女性になりたいと思いました。弓子がズバズバと葵と自分の姉である葵の母親の関係について言うシーンが好きだったな。母親よりも海外に住んでいる叔母の方がよっぽど葵の事を見て心配していた。こういう人が身近にいて良かったね…。

<中央公論新社 2020.11>2021.2.4読了

まっくろいたちのレストラン 島本理生 平岡瞳5



まっくろいたちは、ぶきみな牙がコンプレックス。
そのために孤独だったまっくろいたちは、レストランをはじめました。
やってきたのは、うさぎのお嬢さま。
愛する人のため、できることは?
島本理生と平岡瞳が灯す、森の奥の愛のお話。

恋の絵本シリーズ3冊目です。
主人公はまっくろいたち。ぶきみな牙を持っているために親は自分を捨てたのだと思いひとり寂しく暮らしていました。
孤独だったまっくろいたちはレストランを始めます。
うさぎのおじょうさまがレストランにやってきて、まっくろいたちが顔を見せないことを不思議に思います。
うさぎのおじょうさまのまっすぐな気持ちが素敵でしたし、いたちも勇敢で優しかったですね。
ふたりの最後の姿にほのぼのしました。

<岩崎書店 2020.5>2020.8.1読了

夜はおしまい 島本理生4

夜 は お し ま い
島本 理生
講談社
2019-10-25


島本さんの小説はいつも、自分は傷ついているのだと気づかせてくれる。――藤崎彩織
深い闇の果てに光を掴もうとする女性たちの、闘いと解放。直木賞作家の真骨頂!
性とお金と嘘と愛に塗れたこの世界を、私たちは生きている。ミスコンで無遠慮に価値をつけられる私。お金のために愛人業をする私。夫とはセックスしたくない私。本当に愛する人とは結ばれない私―。秘密を抱える神父・金井のもとを訪れる四人の女性。逃げ道のない女という性を抉るように描く、島本理生の到達点。

4つの短いお話なのにどれも重たくて余韻が残るような作品でした。読んでいるとじわじわと体を傷つけられるような気分になりました。女という性別を無遠慮に価値づけられたり、女を武器にしてお金を稼いでいたり。男を利用しているようで過去に傷つけられていたり。本当に抉られているような感じでした。
どの作品にも金井神父が登場します。金井神父は妹のために神父になり、過去の過ちを引きずって生きていて、だからこその懐の深さのようなものを感じます。
更紗さんの弟の言葉が一番しっくりと来たような気がします。出来た弟ですね。私は20代の時にパワハラを受けたからか基本的に男性は苦手で信用できないと思ってます(ごめんなさい)だから自分で稼いで自分のお金で好きなことを好きなようにしていきたいと思っている。それでも女という性別が邪魔をすると思う時がある。これは多分一生付きまとう問題なんだろうな。結婚していてもしていなくても、子どもがいてもいなくても。なんかそれを突きつけられた気がしました^^;

<講談社 2019.10>2019.11.26読了

あなたの愛人の名前は 島本理生5



直木賞受賞第一作!
すれ違う大人の恋愛を繊細に描く、全六篇の作品集。
「あなたは知らない」……私を「きちんと」愛してくれる婚約者が帰ってくる前に、浅野さんと無理やり身体を離して自宅までタクシーでとばす夜明け。ただひたすらに「この人」が欲しいなんて、これまでの人生で経験したことがない。
「俺だけが知らない」……月に一、二回会う関係の瞳さんは、家に男の人がいる。絶対に俺を傷つけない、優しく笑うだけの彼女を前にすると、女の人はどれくらい浮気相手に優しいものなのか、思考がとまる。
同じ部屋で同じ時を過ごしていながら、絶望的なまでに違う二人の心をそれぞれの視点から描いた1対の作品。他の収録作品に「足跡」「蛇猫奇譚」「氷の夜に」「あなたの愛人の名前は」など。

タイトルが強烈だったので、ドロドロなお話なのかと思ったのですが、短編集だったんですね。そして6編がどこか繋がっているのが良かったです。
「足跡」同じ団地の幼馴染と結婚した主人公。どこか満たされない気持ちでいる中友人から既婚者のみが行くことが出来る治療院があると紹介を受け真白という男性と出会う。この2人の関係は不倫ではないと思う。むしろ真白という人物は夫婦間を上手くいかせるためのきっかけというか…。難しいところですけど。それでもこの夫婦はこれがきっかけで更に夫婦愛が育まれそうで安心しました。可愛らしい夫婦でした。
「蛇猫奇譚」チータという猫目線で描かれる飼い主夫婦の話。新婚夫婦に子供が出来たのですが、母であるハルちゃんの様子がおかしくなっていきます。
「あなたは知らない」「俺だけが知らない」結論としてどっちもどっちって思ってしまう私はダメなのかな^^;最後は何となくそうなるんだろうなと思ったけど瞳さんが頑張って創り上げたものを「趣味」じゃなくて「仕事」としてくれる人の元に行くのが1番だったんじゃないかなと思います。
「氷の夜に」私はこの物語が1番好きです。お互いを想い合う優しさ、愛しさ、不器用さ。それがたまらなく愛おしかったです。30代後半で自分以外の人に好きな人がバレバレなんて可愛すぎやしませんか^m^私もこんな人に愛されたいなー。
「あなたの愛人の名前は」フリーターとニートを繰り返す「私」が半ば強引にマカオへ旅することになり、そこで家族について回想していきます。両親の問題については同情するしかないけど、それでもマカオに旅したことによって明らかに変化が生まれているのが分かって面白かったです。
帰国してすぐの会話が良いですね。何だか良い展開が生まれそうな予感を募らせて終わる感じが良かったです。

<集英社 2018.12>H31.1.8読了

ファーストラヴ 島本理生5

ファーストラヴファーストラヴ
著者:島本 理生
文藝春秋(2018-05-31)
販売元:Amazon.co.jp

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。

面白かったです。内容的にこの表現はふさわしくないかもしれないけど、面白かった。引き込まれて続きが気になって一気読みでした。事件の全貌を明らかにするために、臨床心理士の由紀と弁護士の迦葉が環菜の抱える闇に迫っていきます。
娘が父親を殺した。事実はそうなのかもしれない。それでも環菜が少しずつ過去を語り出し、周りの人たちに話を聞き、分かってきた真相。
環菜が無罪であるとは言いません。でも、この事件は環菜だけが起こした事件とは思えませんでした。幼少期から抱えていた想いが可哀想すぎました。子供でも心を大人にしなければならなかった、演じなければならなかった少女が切なくて。生きていくためには仕方がなかったのかなとも思います。
そして由紀の過去。迦葉との過去。2人の関係も兄弟のようでしたけど、それを丸ごと包み込んでいる我聞さんも素敵すぎました。
環菜も、最後にちゃんと自分を出すことが出来て良かったです。

<文芸春秋 2018.5>H30.6.27読了

わたしたちは銀のフォークと薬を手にして 島本理生4

わたしたちは銀のフォークと薬を手にしてわたしたちは銀のフォークと薬を手にして
著者:島本 理生
幻冬舎(2017-06-08)
販売元:Amazon.co.jp

「どこへ行きましょうか」 「どこへ行くか」
30歳の私は、あの日、夕方の春の海辺で、どこへ行けるか分からない恋を始めた。限られた時間の中にいる男女の行く末を描いた、渾身の恋愛小説。
年上のエンジニア・椎名さんと仕事先で出会った知世。美味しいものを一緒に食べる関係から、少しずつ距離が近くなっていったある日、椎名さんは衝撃の告白をするが……。

何だか色々考えながら読んでしまった…。
同世代の主人公たちの話していることが他人事とは思えなくて…。
それでもやっぱり、知世たちの恋愛は良いなと思いました。
美味しいと思えるものが一緒って幸せなことだと思う。
エイズという言葉を久しぶりに聞いたな。久しぶりって言うのがおかしいんだけど。
でもみんな、エイズだと知ったら止めなという。反対をする。
その人だから好きになったのにどうしてそう言うことになるんだろうって不思議で。
当事者じゃないただの読者だからそう思うんだろうか。
そしてとにかく知夏と母親には嫌悪感しか抱かず…。
旦那さんは何故結婚したのだろうか…。人の悪口ばっかり言って。一緒にいたら疲れちゃいますよ。
それでも2人が知世に対していった言葉は、私の妹や母も少しは思っていることなのだろうかとつい考えてしまったりして。
好き勝手に生きていいねなんて、思ったりもしているんだろうか。
私は結婚も家族を作ることも魅力を感じない。結婚したいとも思わない。
大学を卒業してから社会人になっていろんなことがあって、もがいて苦しんで自分の居場所を見つけたいと思っていたらいつのまにかこんな年になっていて。独身だから好き勝手やっているわけではないのに、世間では何となくそんな風に思われがちですよね。
そして結婚する事こそが幸せだと、それが当たり前だと言ってくる。
「どうして人生には、結婚以外の正解が用意されていないのだろう。」という飯田ちゃんの言葉が凄く胸に突き刺さりました。本当にそう。
まあ色々言われても自分の人生は自分のもの。人に言われて選択して失敗したとして人のせいにしたくないから。やっぱり自分の思うように生きていきたいです。
時間は有限だという言葉もとても心に響きました。

<幻冬舎 2017.6>H29.7.20読了

イノセント 島本理生4

イノセントイノセント
著者:島本 理生
集英社(2016-04-26)
販売元:Amazon.co.jp

やり手経営者と、カソリックの神父。美しい女性に惹き寄せられる、対照的な二人の男。儚さと自堕落さ、過去も未来も引き受けられるのは―。『ナラタージュ』『Red』を経て、島本理生がたどり着いた到達点。あふれる疾走感。深く魂に響く、至高の長編小説。

会社経営者の真田、カソリックの神父如月、そしてシングルマザーの比沙也。
三角関係という言葉では収まらない関係が良かったです。
始めは3人とも好きになれなくて、気持ちも分からなくて何だかなぁと思いながら読んでいたのですが、3人が3人と関わることでどう変わっていくのか気になって読む手が止まりませんでした。
比沙也の考えていることが読めないし、その割に脇が甘いし男性に頼ってるしこれは同性に嫌われそうな人だなぁと思いましたけど^^;まあ、何とかなってよかった。
真田はもう大っ嫌いなタイプでしたねぇ。っつーか百歩譲って旦那が亡くなってるのは分かるだろうよ。鈍すぎるでしょ。こんな軽くて30代後半なんて信じられないと思いましたけど比沙也と如月と出会って良かったですね。
如月も闇を抱えていましたけど乗り越えることが出来て良かった。
最後はとても良い終わり方でした。

<集英社 2016.4>H28.6.21読了

夏の裁断 島本理生3

夏の裁断夏の裁断
著者:島本 理生
文藝春秋(2015-08-01)
販売元:Amazon.co.jp

小説家・萱野千紘の前にあらわれた編集者・柴田は悪魔のような男だった―。過去に性的な傷をかかえる女性作家。胸苦しいほどの煩悶と、そこからの再生を見事に描いた傑作。

物凄く具合が悪くなる作品でした…著者さんからしたらしてやったり?
千紘の気持ちが何一つ分からなかったです。柴田に惹かれる意味が分からない。ビクビクしながらもついていく意味が分からない。距離をいきなり縮めたり引き離したり。確かに悪魔のような男だったけど文面を見たら関わらなければいいじゃないとしか思えなくて^^;辛口ですよねすみません。
文章は素晴らしいですし惹きつける力も素晴らしいです。
それでも、物語自体は私は納得できませんでした。ごめんなさい。
純文学というジャンルはやっぱり私は相性があまりよくないのかな…
でも読んでいて一番つらかったのは、恋愛の部分ではなくて本が裁断されていく場面。以前テレビでも見たことがありますが、記録が残るからって私にはそんな残酷なことできません…。

<文芸春秋 2015.8>H27.9.6読了

匿名者のためのスピカ 島本理生4

匿名者のためのスピカ匿名者のためのスピカ
著者:島本理生
祥伝社(2015-07-23)
販売元:Amazon.co.jp

法科大学院生の笠井修吾は同級生の館林景織子に、衝撃の過去を告白される。いまでもその彼らしき人物から執拗なメールが届くと怯える景織子を修吾は守ると誓った。交際を始めた二人だったが幸せな日々は突然終わりを告げる。元彼の高橋が景織子の弟に暴行を働き、彼女を連れ去ったのだ。だが実は、景織子は自ら高橋の車に乗り込んでいた。なぜ彼女はストーカーまがいの男と行動をともにするのか?彼女の真意とは?東京から日本最南端の島・波照間島へ、修吾は彼らを追うが…。著者が初めて挑む極限の恋愛サスペンス!

なんというか…島本さんの作品!っていう感じでしたねぇ←どんな感じだ
ダメ男のオンパレード!!ダメ男より取り見取り揃ってます!という感じ^^;
それに輪をかけて景織子という女性もダメダメだったなぁ。
でも景織子だけが悪いのかというとそういうわけではなくて…笠井の父親も七澤の母親も、景織子の母親も、何だか変な人たちだったなぁ。みんな極端だったけど、こういう人も実際にいるんだろうなと思うとぞっとしました。
笠井は真っ直ぐに育ったんだろうなという印象。ひたすら真面目でしたね。
私も笠井のような人嫌いじゃないです。
ただ、女の人にいっぱい利用されそうで心配です^^;実際景織子に利用されたわけだし。その理由も色々ありましたけども。
七澤は不思議な人でしたね。でも家庭環境が可哀想すぎる…私は景織子よりも同情しました…。でも太一という叔父さんがいるのは救いでしたね。
私、七澤は笠井の事が好きなんじゃないかななんて思ってました。
景織子と境遇が似ているからって言うのもあるけど、真面目な笠井が突っ走って傷つくのを見たくなかったんじゃないかなぁなんて。
あらすじで極限の恋愛サスペンス!って書かれているけどそこまでじゃなかったかな。
どうなるのどうなるのとドキドキしながら読みましたけどね。

余談ですけど南十字星を日本で唯一見れるのは波照間島だって書かれていましたけどそのシーンを読んで凄く懐かしかったです。
金田一少年の事件簿でそれがキーワードとなる事件が昔あったので^m^
私も星を見るのが好きなので、南十字星を見に波照間島へいつか行ってみたいなと思いました。でも1年中見れるわけじゃないんですね。それは知りませんでした。

<祥伝社 2015.7>H27.9.1読了

週末は彼女たちのもの 島本理生5

週末は彼女たちのもの (幻冬舎文庫)週末は彼女たちのもの (幻冬舎文庫)
著者:島本 理生
幻冬舎(2013-08-01)
販売元:Amazon.co.jp

婚約者に結婚の延期を告げられた女、新しい恋を失ったシングルマザー、彼氏の代役をさせられた大学生、永遠を信じない実業家。そんな男女に突然訪れる新しい恋の予感。信号待ちの横断歩道、偶然立ち寄ったバーのカウンター…。いつでも、どこででも恋は生まれる。臆病なあなたに贈る、人を好きになることのときめきと切なさに溢れた恋愛小説。

読み始めはショートショートなのかなぁと思ったのですが、この短編の数々は全て繋がっていると気付いたら展開が気になってあっという間に読んでしまいました。
モデルのミナにシングルマザーの奈緒、実業家の吉原に、大学生の樹。そして関わる人々。たくさんの恋の予感にトキメキました^^
私が好きだったのは「再会」の二人。すんごいベタでドラマのよう。でも、こんなことがあったらいいななんて思わせてくれる素敵な恋愛でした。
ミナと奈緒の境遇は異なるのだけど、2人の友人関係がとても好きでした。こういう友人関係が良いですよね。
そしてラスト。ミナと奈緒の恋の行方がとても気になって、幸せな気持ちで読み終えました。恋っていいなって思わせてくれる作品でした。
島本さんの作品で恋っていいなって思うことが少ないので^m^新鮮でした。

〈幻冬舎 2013.8〉H27.3.25読了

Red 島本理生4

RedRed
著者:島本 理生
中央公論新社(2014-09-24)
販売元:Amazon.co.jp

三年間もセックスレスじゃなかったら―大人の恋愛と官能の世界。妻、母を生きる女が一線を越えるとき、そこにはどんな世界が待っているのか―。充実した毎日を送っていたはずの女は、かつての恋人と再会し、激しく身体を重ねた記憶に導かれるように快楽の世界へと足を踏み入れていく。島本理生が官能の世界に初めて挑む!

うわー…いやーだー…引いたわー…何が引いたって旦那とその家族に引いたわー…。
官能小説と書かれているし、不倫もしているのだけど、この小説のテーマは主人公塔子の成長物語だと思いました。
不倫は絶対にしてはいけないと思うのだけど、こんな生活してたら仕方ないって思ってしまうわ…。っていうか何で結婚したんだ、っていうか別れちまえよそんな旦那←
こういう会話が噛みあわない夫婦ってたくさんいるんだろうなぁ…
育った環境が違うから、価値観が違うのは当たり前だと思うんですけど、それにしても酷い。子供がそのまま大人になったみたい。マザコンとは違う気はしたけど、母親のいう事をそのまま信じて疑いもせずに大人になったんだろうなぁと思いました。
ラブホテルや風俗に対しての考えが何かまんまお母さんに言われたことそのまま鵜呑みにしてそうだし。その考えでもいいけどさ、結婚記念日に2人で食事に行ってその帰りにラブホテルの前に行ったらそりゃ奥さんは期待しちゃうと思いますよ。なのにその前の自販機で飲み物買って「たまに炭酸飲みたくなるよなー」っつってそのまま家に帰ろうとしてたら私はお前ふざけてんのか?って思うと思うよ^^;
塔子が自分を低く見積もりすぎているのも問題だと思うけど、それにしても塔子に対して見下してる感がハンパなくてイライラし通しでした。それも自分が正論で悪気がないと思っているのがものすごくタチが悪い。
塔子は社会に出て良かったと思います。鞍田と再び出会ったことも良かったと思うけど、私は小鷹君との出会いも良かったと思いました。小鷹君は最初酷い奴だと思っていたんですけど、2人が互いに自分のことを話していったあたりからは好感が持てました。明け透けに自分が思ったことをずばずば言ってくれる人ってたまにすごく必要ですよね。
結末には私は納得がいかなかったですけど、でもまあ私は結婚したことがないのでこれでよかったのかなと思うしかありません^^;
私が言うのもおこがましいですが、島本さんの作品を順番に読んでいくと島本さんの成長物語を読んでいるような気もしました。
「ナラタージュ」は10代の物語だったし、20代女性の物語、そして今回30代女性の物語。ちゃんと調べてないですけど、きっと島本さんは母親になったんじゃないかなぁと思って読んでいました。だからきっとこの作品がかけたんだろうななんて思いまして。
島本さんの作品は読むのが辛い時もありますが^^;これからも読み続けていきたいと思います。

〈中央公論新社 2014.9〉H26.10.11読了

よだかの片想い 島本理生4

よだかの片想いよだかの片想い
著者:島本 理生
集英社(2013-04-26)
販売元:Amazon.co.jp

左の目から頬にかけてアザがある理系女子大生の前田アイコ。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と対談企画で出会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めてゆくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への思いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる…。
遅い「初恋」を通して成長する女性の内面を瑞々しく描いた意欲作!

良かったですー…良かったーと心から思えた作品でした。
顔にあざのある大学院生、アイコの恋物語です。
あざに対してのコンプレックスがあって、それでいろいろ苦労していて諦めたこともあったのだけど、まりえに誘われて雑誌のインタビューに応えた事でアイコの人生が少し変わり始めます。
飛坂とアイコの関係はとても好きでした。
飛坂は飛坂なりにアイコを好きでいると思いました。
でも、好きという価値観は人それぞれだから、最後はしょうがない選択だったのかなと思います。
アイコはとても魅力的な女性でした。人見知りだろうけど常識はちゃんとあるし、面倒見も良いなと思いましたし。ちゃんと大切に育てられたんだろうなというのが分かります。
アイコの真っ直ぐさは素敵だけど、窮屈で危険な気もしていました。良い面も悪い面もどっちも飛坂には見せられたのかなと思います。
2人が一緒になってほしかったけど、こういう終わり方もいいのかなと思いました。
原田君がかっこよかった!こっちはこっちで良いなと思いました。
タイトルも好き。読んでいくと中でも少し関連しているのだけど「よだかの星」を思い出したので。
最近の島本さんの小説が私はあまり合わなくて、相性が悪くなってきたのかなぁなんて失礼ながら勝手に思っていたのですが。そうじゃなかったです。良かった。

〈集英社 2013.4〉H25.6.28読了

B級恋愛グルメのすすめ 島本理生4

B級恋愛グルメのすすめB級恋愛グルメのすすめ
著者:島本 理生
角川書店(角川グループパブリッシング)(2013-02-01)
販売元:Amazon.co.jp

ふらっと出掛けた街角で見つけた美味しい恋と食のエピソードに、男女を隔てる永遠の謎。すぐ傍にある日常的な出来事たちを恋愛小説の書き手の視点で見ると……? 等身大で赤裸々な傑作エッセイ!

いつも思うのですが島本さんは小説とエッセイが別人のようですね。と思ったらあとがきにそのような事を言われると書かれていて考えていることは皆さん同じなんだなと思いました。
島本さんが語る食べ物が本当に美味しそうでした。ラーメンが食べたくなりました。
島本さんが同じ方と再婚されたことは何かで知りましたが、今度は結婚式を挙げられたんですねー。確かに島本さんは白無垢が似合いそう。今度こそお幸せに。
島本さんのエッセイを読んでいたら何となくしをんさんと被るなぁと思いました。まあ、しをんさんは神がかってるので^^;少しですけど。友人たちも面白いですね。元ホストの小説家M氏が一体誰なんだろうと思って調べたら分かりました。私も1冊だけ読んだことがあります。確かに顔はかっこよかったけど、何だか不思議な怪しげな雰囲気を醸し出していたなぁ…。
後輩の男の子は…どんなにかっこよくても付き合いたくないなと思った。絶対耐えられない。いろんな意味で…。

〈角川書店 2013.1〉H25.2.24読了

七緒のために 島本理生3

七緒のために七緒のために
著者:島本 理生
講談社(2012-10-31)
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主人公の私=雪子は中学2年生。以前通っていた女子校に馴染めず、東京の中学校へ編入してきた。そのクラスで出会った本好きの少女・七緒に誘われて美術部に入り、予測のつかない彼女の言動に翻弄されながらも、きらめくような日々をともに過ごす。しかし次第に七緒がクラスから浮いていること、その言葉にウソが混じっているらしいことに気づき始める。美術教師の突然の死やカウンセラーとの関わりの中で、ふたりが共有した真実と嘘の間で揺れ動く私。やがてある事件を経てふたりは疎遠になっていく・・・。
純粋さゆえに傷つけあう少女同士の関係、友情の輝きと痛みが詩情あふれる筆致で描かれた珠玉作。

久しぶりに島本さんの作品を読みました。10周年書き下ろし作品がちょっと私の中では・・・だったので^^;読むのどうしようかなと思ったのですが、それでも今まで読んできた作家さんなので読みました。
恋愛じゃなくて学生時代の友情ものって珍しいですよね。
何となく辻村作品に似てるなぁと思ったら帯に辻村さんの名前が。ちょっと納得です。
七緒は近くにいたらいち早く逃げます、私。巻き込まれたくないし、嘘に翻弄されたくないもの。
でも、私も学生時代は似たような部分もありました。
大学生の時だけど、いつもそばにいた友人といたために、他の友人が近づかなくなったときがあって^^;私はそれに全然気づかなくて気づいたときには遅かったという…。
卒業してその人に会わなくなったら他の人と普通に会えるようになりましたが。
人間関係って難しい。それが学生の時は尚更です。
それでも七緒は特に変な子でした。どんな理由があってもああはないよねぇ…と何一つ共感できませんでした。残念。

〈講談社 2012.10〉H24.11.11読了

アンダスタンド・メイビー 島本理生3

アンダスタンド・メイビー〈上〉アンダスタンド・メイビー〈上〉
著者:島本 理生
中央公論新社(2010-12)
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アンダスタンド・メイビー〈下〉アンダスタンド・メイビー〈下〉
著者:島本 理生
中央公論新社(2010-12)
販売元:Amazon.co.jp
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「おまえは俺のこと、見つけられるって」少女は踏み込んだ、愛と破壊の世界へ。デビュー10周年記念書き下ろし作品。

実は読んで40ページくらいで挫折しそうになって読むのをやめようかと思ったのですが、島本さんの作品だし、デビュー10周年の書き下ろしだしやめちゃダメだ。と思って頑張って読んだのですが、私には「頑張って」読んだという感想が1番近いと思いました。
まず上巻は主人公の黒江の言動がいちいち気に入らないというか突っ込みまくっていてハラハラして終わった気がします。
彌生君と付き合い始めたのは良かったんだけど、それ以降の男性遍歴やら何やらかんやらが本当に信じられなくて、お前は何がしたいんだ!とひたすら突っ込んでました。特に賢治なんて、付き合うほうがどうかしてる。数ヶ月ほっとかれて連絡が来てそれでさよならすれば良かったのに、のこのこついていくし。あれは末路がどうなるか、黒江以外の読者はみんな分かったと思う。
ダメ男の次はダメ女なのか!?と思ったのだけど、最終的にはダメ男からこの物語は始まっているんだなと思ったし、黒江が何か大きなトラウマを抱えているのは分かっていたけどちゃんと最後まで理解できた時は、精神的にもろい理由も分かったのだけど。
それでも。
作品の中でも書かれていたけど、彌生君も浦賀さんも完璧な人間じゃないし、ましてや彌生君なんて同級生じゃないか。
いろいろ抱えていたとしても、黒江を丸ごとひっくるめて守るなんて無理だと思う。
黒江の辛い過去も分かるけど、男性を翻弄しすぎ。本当に自分の事しか考えていないのだと思う。
何だか最後までもやもや感が残ってしまいました。
すみません、辛口で。
始めから彌生君とずっと付き合っていたらよかったのに。
それじゃ、物語にはならないのだけど。
そういえばクロエって前にやった何かのゲームのキャラクターでいたなぁ。忘れてしまったけど。

〈中央公論新社 2010.12〉H23.1.28読了

CHICAライフ 島本理生4

CHICAライフ
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付き合うのは問題のある年上男(「問題のある男」)ばかり。幽霊が見えるダンサーの母(「幽霊VS.母の話」)を反面教師に、恋愛の相性が完璧な弟(「弟コンプレックス」)を可愛がってみたり、引きこもる“ゲーマー”の彼と同棲(「オタク(?)の生態」)してみたり。まともなのは島本さんだけなのか、それとも…?『ナラタージュ』の切なさはどこに?恋愛小説の名手・島本理生のリアルワールド。

島本さんのエッセイがあることを知りませんでした。
日頃使っている図書館には置いていなかったので。勤めている図書館で借りて読みました。
こういっては失礼ですが、島本さんの作品にダメ男ばっかり登場する理由がわかったような気がします・・・。そして本当にいそうな理由も・・・。
どうしてそんな変な人とばっかり付き合うんですか!?
付き合ってまもなくて同棲する意味も私にはわからない。。。
島本さんは1度作家合コンをしたことがあるらしい。
作家さんの名前までバッチリ載せていましたが、それはその場にいた乙一さんが作家の名前までエッセイにバッチリかいてしまったかららしい。
「小生日記」私、読んだんだけどなぁ。そんな話があったこと、全くもって覚えていないです^^;そこに、かつての旦那様もいらしたそうですが。それがきっかけではないらしい。
でも、このエッセイ、多分時系列どおりではないですよね?この合コン話で後に旦那になるって言っているんですが、その話の後に「ナラタージュ」が出ますっていってたので、順番ではないのかと思ったのですが、どうなんだろう・・・
そしてこの作品を読んで、島本さんのイメージは思いっきり変わりました^^;
恋多き女性だったり、若干しをんさんっぽい文体の時もあったり、ご家族の事とかいろいろ。
面白かったです。
にしても、やっぱり島本さんは芥川賞の受賞を逃したのは悔やまれていたんですね。落ちてしまったけど、そのときはちょうど最年少芥川賞作家誕生と言われていたとかかれていたので^^;
でも、賞を獲っても、作家さんは書いて本を出さないと意味がない気がするんです。
島本さんは受賞できなかったけど、コンスタントに出されていて、たくさん世に出されているので、それはそれで良いのではと思ったのですが、やっぱりダメでしょうか。
後半で同居人が登場しましたが、あれは言うまでもなくあの方ですよね。ゲーマーでもいいけど、何でもエロゲーに例えられるのは嫌だなぁ。
というか。島本さん、結婚して離婚されてたんですね^^;てっきりまだ結婚されたままだと思っていたのでびっくりしました。

〈講談社 2008.6〉H22.7.10読了

あられもない祈り 島本理生2

あられもない祈り
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〈あなた〉と〈私〉……名前すら必要としない二人の、密室のような恋――山本文緒・行定勲・西加奈子・青山七恵さん絶賛の至上の恋愛小説。読売新聞、毎日新聞でも話題になった島本理生の新境地!

この作品、私はダメでした。
なにもかもが読んでいて腹が立って悲しくなって、恋愛に対して今以上に怖くなりました。
主人公の「私」が心に傷を持っている事は分かります。
親を知ったら、苦労したんだろうなってことも分かったし。
でも、「あなた」に執着する理由も、直樹と一緒にいる理由も分かりませんでした。
特に直樹なんかカラオケに行って酔っ払って部屋に拉致されて歌わされて褒められたから付き合うって言う神経がわからない。
母親だって、娘をただの自分の都合のいい道具にしか思ってないように見える。
それじゃなければ、あんた、生まれてこなかったのよ。
って言う台詞があるけど、
私はそんな事をこんな母親に言われたら
「こっちは産んでくれなんて頼んでない」って言い返してしまうような気がします。
「あなた」の魅力も全く伝わってこなかったし。
島本作品の中で1番私はダメでした。
すみません、辛口で・・・。

〈河出書房新社 2010.5〉H22.7.5読了

真綿荘の住人たち 島本理生4

真綿荘の住人たち
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「青少年のための手引き」
大和葉介は大学に合格し、東京へいくことになった。母の計らいで、下宿先が決まり、真綿荘にやってくる。そこには、大家の綿貫さん、綺麗な女性の椿さん、女子大生の鯨井さん、そして、綿貫の内縁の夫という真島晴雨がいた。
「清潔な視線」
椿は八重子と言う高校生と付き合っている。八重子に、ダブルデートをしてくれないかと誘われる。
「シスター」
鯨ちゃんは同じ下宿の大和君を好きになっていた。でも、大和君は大学で知り合った女の子の話しかしてくれない。同じサークルの荒野先輩が鯨ちゃんのことを気にかけていた。
「海へむかう魚たち」
大和君は絵麻という先輩の事が気になっていた。彼女は、OBの原田のことが好きらしいのだが。大和君は絵麻に振り回され、駆け落ちしようかと誘われる。
「押入れの傍観者」
男性が、一人旅でやってきた大学生に向かって、自分の顔の大きな傷が出来た過去について話し出す。
「真綿荘の恋人」
綿貫さんは出版社の須磨さんが自分に好意を寄せてくれている事に気付いていた。晴雨との関係について、改めて考え始める。

真綿荘に住む人々のそれぞれの想いを綴った作品です。
島本さん、文章がとても上手くなった気がする・・・とか言ったら失礼ですね、すみません。私なんかが。
でも、そう思ったのです。文章の言い回しや文体がとても読みやすくて引き込まれるなぁと思って。とても面白かったです。
中でも好きだったのは、鯨ちゃんの話。ぽっちゃりしていて自分に自信がない鯨ちゃんだけど、とっても気遣いが出来るし、いまどき珍しい可愛い女の子。
自分に恋愛は無縁だと思っているけど、凄く近くで好きになってくれている事に気づかず、自分も好きな人がいる。
特殊な人たちが多い中、鯨ちゃんの恋愛や生活が1番リアルに感じたから。
自分を好きでいてくれる人と付き合うけど、何だか同情で付き合ってないかなとちょっと心配になった。それは、ないとは思うけど。
椿さんと八重子ちゃんの恋愛も、可愛くて素敵だと思いました。
自分の弱さを曝け出す事が出来るって、大切で大事な事だと思いますし。
でも、大和君は嫌いです。
道産子だからおおらかみたいな感じで出てましたけど、後先考えずにあんなにストレートに自分が思った事を吐き出す人は嫌いです。何だかバカ丸出しな感じで。鯨ちゃんに対する言動が、悪気がない分タチが悪かったです
まあ、駆け落ちした事で大和君も成長したようですし、長い目で見てあげますけど(何様?)
ただ、綿貫さんと晴雨さんの関係は最後まで分からなかったです。
出会いも唐突で、17年もの間どうして晴雨さんを側にいさせているのかも分からないし、2人は好き合っているのかも分からなかった。
最後は2人の今後にとっては良かったのかなと思うけど、きっと誰もが「そっちか〜い!」って思ったはず^^;
でも、物語は本当に好きでした。新刊もあと少しで来ると思うので、楽しみです。

〈文芸春秋 2010.2〉H22.6.10読了

君が降る日 島本理生4

君が降る日
君が降る日
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「君が降る日」長き夜の章・浅き春の章
志保は交通事故で彼氏の隆一を失った。隆一と一緒に車に乗っていた五十嵐は、お金はいらないから働かせてほしいと隆一の家の店を手伝い始める。隆一の弟祐嗣は喜んだが、母親と志保は複雑だった。
「冬の動物園」
英会話スクールでであった年下の男の子、森谷葉二は年下である私を「美穂ちゃん」と呼び、まとわりついてくる。私は5年付き合っていた恵吾に突然別れを突きつけられ、現実から逃げていた。
「いばら」
乾佳乃は雨の日に大野祐と知り合い、友達になった。彼の家に出入りするようになり、彼の兄、聖人に好意を寄せるようになる。

久しぶりでした、島本作品。島本さんの書かれる作品から醸し出されるほわんとしたあったかい雰囲気、好きです。この作品も、私に合ってました。
表題作は、志保が隆一のことでもがき苦しんでいる事が切ないほど伝わってきました。人の記憶は曖昧になっていくけど、いつまでも鮮明に残るものも勿論あって。
志保のお母さん、素敵でした。
温泉地で志保にいった言葉、感動でした。ちゃんと娘を良く見てる。素敵なお母さんでした。
志保は、隆一のことを忘れることはできなくても、前を向いて生きてほしいと思いました。
個人的に好きだったのは「冬の動物園」
私も最初は森谷をウザイ奴だと思ってたけど、美穂の事をちゃんと好きなんだろうなーと思って。2人の関係が好きでした。
歳が離れてるっていっても5個か6個でしょ。私はお似合いだと思いました^^
どの作品もそうだけど、男の人たちは、相手の女性の事を良く見てて、いいところをちゃんと伝えくれるのがいいなぁと思いました。
私もそんな人に出会えたらいいなぁ・・・。なんて。

〈幻冬舎 2009.3〉H21.6.25読了

波打ち際の蛍 島本理生4

波打ち際の蛍
波打ち際の蛍

川本麻由はある出来事をきっかけに仕事を辞め、カウンセラーの相談室に通うようになった。
そこでであった植村蛍という、一回り近く年上の男性に出会う。
かつて付き合っていた男性によって傷つけられた心を、蛍は少しずつ癒してくれた。
しかし、麻由は心の距離を感じていた。

久しぶりに読みました、島本さんの作品。
島本さんらしいという言い方はなんですが、そんな感じ。
やっぱりダメ男が登場しましたね…。DVはダメですよ、DVは。
関口の人柄があまり登場しなかったので、詳しくは分かりませんが、私は麻由のような形までとってまで傍にいてほしいとは思わない。と思う。
蛍は懐の広いというか、あったかくて、麻由を本当に大事にしているよね。
2人は一緒になって、2人とも幸せになってほしいなぁと思うのだけど。
ただ、私も前に付き合っていた人と2人でしかも誕生日に出かけるって言うのは信じられないですけど。
私は別れたら記憶を抹消する人間なので^^;
麻由の感情はじれったいと思うところもあったけど、納得できる所もたくさんあった。
自分が悪いと思っていなくても、相手に言われたら理不尽だと思っても納得してしまう所、あるから。
自分が悪かったんだって、思っちゃうんですよね。
何とかしなきゃいけないと思うんですが。
だから、麻由もそういう性格を克服してほしいなぁと思いました。

〈角川書店 2008.7〉H20.10.28読了

あなたの呼吸が止まるまで 島本理生4

あなたの呼吸が止まるまで

舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。夢は、作家になること。
一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力。
そして、少女が選んだたった一つの復讐のかたち。
いつかあなたとの話を書きます。たとえ何十年後でも――。待望の最新長篇。

母親が出て行き、舞踏家の父と二人暮らし。
関わるのは父と同じ舞踏家や舞台に携わる大人の人。
だからか、家事もできるし気配り上手だし、喋り方も考え方も大人びてる朔。
読んでいても朔は大人だと思った。
でも、中身はやっぱり子どもなんだよ。人生経験の少ない子ども。
子どもの恋に似た想いにつけ込んで行った佐倉の行為は犯罪といっても言い過ぎではないと思う。
佐倉がどう思ってるかは分からないけど、30過ぎた男がやることじゃないよね。
最初は騙されたけど^^;やばいか…。
結局佐倉も子どもなんだろうな。こういう人、島本さんの作品では多い気が…。
でも、朔が復讐を決め、生きようと思ってくれて良かった。
出来れば田島くんと?幸せになってほしいな。良いこだよねぇ。
朔のお父さんも、朔の事を大事に思っているのももちろん、一人の人として見ているのはよかったかなと思う。勘も鋭いし。
ダメ男予備軍の気はするけど。実際舞踏に没頭しすぎて朔への連絡を怠るのはひどいと思うし。
でも、どれだけ不安にさせているのか、何だか分かったようだから、お父さんは大丈夫かなと思う。
お父さんが言った「お父さんは娘を可愛がってくれる女の人がタイプなんだよ」と言う言葉は、ちょっと感動しました。

〈新潮社 2007.8〉H20.5.28読了

クローバー 島本理生4

クローバー

ワガママで思いこみが激しい、女子力全開の華子。
双子の弟で、やや人生不完全燃焼気味の理科系男子冬冶。
今日も今日とて、新しい恋に邁進せんとする華子に、いろんな意味で強力な求愛者・熊野が出現。
冬冶も微妙に挙動不審な才女、雪村さんの捨て身アタックを受け…
騒がしくも楽しい時は過ぎ、やがて新しい旅立ちの予感が訪れる。
ふたりの恋と未来は?

あっという間に読んでしまいました。島本さんの新刊。
短編かと思いきや、連作短編だったのですね。
最初、2人は同棲しているカップルかと思っていたのですが、双子の姉弟とは。
2人ともくせのある性格でしたね〜。
華子は凄い。
私は1日も一緒に暮らせない。
ワガママで、身勝手で、彼氏もとっかえひっかえで。
私はきっと友達にはなれないタイプだな。
だけど、弟のピンチの時は、何だかんだでアドバイスをしたりする憎めない人なのかなとも思う。
冬治も普通の学生だけど、面倒なタイプだなとちょっと思った。
小さなことでも何でも考えすぎ。
もっと「何とかなるさ」って、考えればいいのになぁと思ってしまった。
でも、最後は、かっこよかったです。
そして、冬治と雪村さんの関係がなんだか学生の恋って感じで可愛らしかったです。
個人的には、熊野さんが好きかな^^
華子だって、結局は熊野さんに甘えてるんだろうなと思ったし。
島本さんの書く恋愛模様は好きですね。

〈角川書店 2007.11〉H20.1.13読了

大きな熊が来る前に、おやすみ 島本理生4

大きな熊が来る前に、おやすみ。

徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。
だけど今が手放しで幸せ、という気分ではあまりなくて、むしろ転覆するかも知れない船に乗って、岸から離れようとしている、そんな気持ちがまとわりついていた―。
新しい恋を始めた3人の女性を主人公に、人を好きになること、誰かと暮らすことの、危うさと幸福感を、みずみずしく描き上げる感動の小説集。
切なくて、とても真剣な恋愛小説。

やっと読めました・・・
今、生保の試験が控えていて全然読めないんですよね^^;
この本、明日までに返さなきゃいけなかったので、ちょうどよかったです。
あ〜・・・2週間で1冊か〜。
で、本編。
主人公の女性達の気持ちはとっても分かるんです。
私も恋愛経験は少ないし、多分天然記念物なくらい堅物で昔っぽい人だと自分でも思いますし。
でも、相手の男の子の良さがわからーんのでした。
心の問題や育った環境からの性格だとは思うんだけど。
女性に暴力を振るってしまったり、相手の気持ちを考慮せずに話したり。
ちょっとそういうシーンが嫌でした。
1番すきなのは最後の「猫と君のとなり」です。
荻原くんの優しさがとっても伝わってきます。
志麻の不器用で、過去の恋愛から恋に恐怖心を抱いている所も。
2人を結びつける事になった過去の出来事が、可愛らしくって素敵だなと思いました。
色々言いましたが^^;好きな作品です。

〈新潮社 2007.3〉H19.5.19読了

一千一秒の日々 島本理生4

一千一秒の日々

小さな明かりの灯った夜の中で、私たちは長い会話とキスを交わしながら、何度夜を明かしただろう。
ふたりだけの愛おしい日々が溶けていく―生真面目で不器用な恋人たちを清新なイメージで描いた七色の連作短篇集。
(esbookより引用)

これで島本さんコンプリートです〜^^
島本さんの書く恋愛模様、好きですね。
真琴じゃないけど、ゆっくり。な所がやっぱり良いのかも。
共感できる所もたくさんあるしね。
今回はダメ男は出てなかったかな・・・。
う〜ん。。。哲と長月君はそうかな〜。まあ、人それぞれですね^^
個人的には加納君が好きです。何となく「リトル・バイ・リトル」の周君とかぶります。
真面目な人が好きなんだなぁと再確認。
あ、針谷君もいいな〜結局みんな良い^^;
どの作品も、良かったです。
ただ、最後の作品は、単発では良いと思うのですが、話の流れを考えると、最後なのはちょっと気になりました。
作品自体は良いんですけどね。

〈マガジンハウス 2005.6〉H18.11.6読了

生まれる森 島本理生5

生まれる森

高校3年生の時、予備校でサイトウ先生に出会い、彼の事が好きになった。
しかし、彼には奥さんがいて、別れを告げた。
それから自暴自棄となり、誰が父親かわからない子どもを宿す。
家族の間が気まずくなり、大学に入ってからの初めての夏休み、友人の加世ちゃんが帰省するというので、部屋を貸してくれることになった。
束の間の一人暮らしの間、唯一秘密を打ち明けたキクちゃんと、その家族で出かけるようになる。

大学にある島本作品は制覇しました^^あとコンプリートまで1冊。
「ナラタージュ」の感想を書いている方が、よく「生まれる森」もコメントにでてきているのを見て、何でだろうな〜と思ったんですが、納得。
私はこちらの方が好きだったりする・・・。
サイトウ先生がちゃんと終わりだといっている事。
サイトウ先生にとっては、本気の恋じゃなかったのかなぁとも思うんですが。
ただ、気になったのは、子どもが出来て、おろしてしまったことに対してあまり触れていない事。
心の傷も、中絶したことっていうよりはサイトウ先生との別れみたいだし・・・。
そこが気になりました。
島本さんって、ダメ男をよく書くって言うけど、好感の持てる男の人もかいてると思うな。
キクちゃんの兄、雪生さんがなかなか素敵でした。
雪生さんも、心に傷を負っているからか、言う言葉に重みがある。
だから、合ってるのかなぁ。
夏生君もなかなか素敵だけどね^^
この作品も好きだな〜。

〈講談社 2004.1〉H18.9.17読了

ナラタージュ 島本理生4

ナラタージュ

オススメ!
大学2年の泉の元へ、1本の電話がかかってきた。
相手はかつての高校で演劇部の顧問をしていた葉山と言う教師だった。
卒業公演をするのに、人手が足りないからでてほしいという。
1年半ぶりの会話。
「それだけの理由ですか?」と問うと、「久しぶりに声が聞きたくなった」と先生は言った。

島本作品では珍しく、凄く長編だな〜と言う印象。
いつもの作品より長く感じた。
それほど、泉と葉山先生の恋愛が細かく描かれていると言う事なのかな。
初めに読み進めていったとき、かつての生徒と先生という関係から、甘酸っぱい恋物語なのかななんて思っていたけど、そんな簡単には言えない作品でした。
泉が葉山先生を思う気持ちは痛いほど伝わってくる。
だから、決して結ばれないのだとわかっていても、忘れられずに思っていることもわかる。
凄く切ない恋物語。
そして小野君という、自分の事を好きでいてくれる人と出会い、付き合って段々小野君の事を好きになって言ったけど、いつの間にか歯車が狂ってしまっていた。
先生を忘れられずに想う気持ちもわかるし、小野君が泉を離したくない為にしてしまった行動もやりすぎだとは思うけどわからなくはない。いや、泉にした態度はひどいものもあったけど。
でも、元々の事の発端は葉山先生から来た1本の電話。
泉は別れて新しい未来を生きようとしているのに、自分の都合で泉に電話をかけてくる。
葉山先生は、登場する誰よりも子供なんだなぁと思ってしまった。
身勝手で、迷惑な、でも愛おしくて忘れられない存在なんだろうな。泉にとって。
泉はわかりやすくて可愛らしい存在だったけど、相手に対する思いはハッキリとしているし、伝えもする。
そこが素敵で魅力的だとも思う。
最後はいい結末だったのかなぁとも思う。
「きっと君は、この先、誰と一緒にいてもその人のことを思い出すだろう。だったら、君といるのが自分でもいいと思ったんだ」そう言ってくれる男性に出会えて。
最後まで、葉山先生は子供だったなって、思ったけど。

p369「子供だったから愛とは違うとかじゃなくて、子供だったから、愛してるって言う事に気付かなかったんだよ」

〈角川書店 2005.2〉H18.9.12読了

シルエット 島本理生4

シルエット

過去のトラウマから、女性の身体に嫌悪感を覚える元恋人の冠くん。
冠くんと別れ、やけで付き合った遊び人の藤井。
今の恋人、大学生のせっちゃん。
人を強く求める事の喜びと苦しさを、女性構成の内面から鮮やかに描いた恋愛小説。
他に「植物達の呼吸」「ヨル」を収録。
(著作より引用)

もの凄く久しぶりな島本さん。
やっぱりこの人の作品は好きだなぁと再確認。
大きな展開はないけれども、女子高生の「わたし」の人を求める思いや感情は凄く伝わってくる。
人と付き合うことの苦しさや嬉しさ。
10代で、ここまで書けるのは凄いなぁと思う。
いや、10代だったからかけるのかなぁ?
私はどっちにしても書けない^^;
主人公の「わたし」はとてもしっかりしていて、大人びてる気がする。
冠くんとの別れは、可哀相でせつないね。
他の島本作品もたくさん読んでいこうと思います。

〈講談社 2001.10〉H18.8.16読了

リトル・バイ・リトル 島本理生5



リトル・バイ・リトル

ふみは母と妹の3人暮らし。ふみと妹ユウは異父兄弟。
その2人とも母は離婚している。
学費の収入源を失ったふみは受験を1年待たなくてはならなくなった。
1年は学費をためるバイト生活である。
母親は整骨院で働いており、そこでふみ好みのかっこいい少年がいるという。
ふみは興味を持たなかったが、整骨院でその噂の少年市倉周と出会う。
ふみの1つ年下で、キックボクシングをしていると言う。
試合を見に行き、少しずつ2人は心を通わしていく。

これは好きな本だね〜。
凄い展開はないんだ。
でも、それがいい。
2人の関係が凄く好き。
ほのぼのしていて、かわいくって。
周もいいなぁ。私も好きなタイプだわ^^でも、今時こんな男の人、あんまりいないかも・・・。
ふみの想いとか、結構共感できる部分があって、だから尚更良かったんだな。
おすすめ〜^^

〈講談社 2003.1〉 H15.5.27読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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