
動物園に、1頭のオオカミがいた。
そのオオカミは片目がなく、どんな人間に見られても背を向けていた。
ある日、1人の少年が、オオカミの前に現れた。
その少年は、ただじっとオオカミを見つめていた。
オオカミは少年を相手にしなかったが、少年はオオカミと同じように片目を手で覆い始め、ずっと見つめていた。
その姿を見て根負けしたオオカミは、自分の過去について話し始める。
面白いと言える作品ではなかった。
でも、オオカミの過去、少年の過去は、実際にも起こりえる現実であると思った。
心に傷を負うような辛い過去。
1匹と1人の共通点は、人間によって翻弄されたと言う事。
人って言うのは、人以外の動物にも人間にも危害を加えるんだよなぁ。
なんて、考えさせられたり。
オオカミと少年の友情ってのは、新鮮でよかったようにも思う。
これから明るい未来が、オオカミと少年に訪れるといいなぁとも思う。
〈白水社 1999.9〉