苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

外国作品

永遠の王 アーサーの書 上 T・H・ホワイト4

永遠の王 上: アーサーの書 (創元推理文庫)
T・H・ホワイト
東京創元社
1992-01-30


アーサー王伝説を描いた史上最高のファンタジイ
ブロードウェイミュージカル『キャメロット』原作
坂本昌行 桐山照史(ジャニーズWEST) 唯月ふうか 入野自由 今井清隆
2023年、日本初上演!!
ブロードウェイミュージカル『キャメロット』
10/7(土)〜10/28(土)日生劇場
11/4(土)〜11/20(月)大阪松竹座
音楽:フレデリック・ロウ脚本・歌詞:アラン・ジェイ・ラーナー
演出:宮田慶子 翻訳・訳詞:高橋亜子製作:松竹株式会社
少年の名はウォート。孤児だ。いずれ騎士の従者となって一生を過ごす。それが少年の運命のはずだった。そう、森のなかで奇妙な老人と出会うまでは。予言者マーリン、時間を逆に生きる魔法使い。彼にはウォートが何者なのかわかっていた。少年こそは、イングランドを統べる伝説の王アーサーその人だったのだ! 史上最高のファンタジイ。

ミュージカルを観劇する前に予習をしておこうと読み始めました…が。時間がかかった…
アーサー王という人物が実在の人物だと知らなくて^^;本当に予備知識がないので尚更時間がかかったのかなと思います。この人物が描かれた作品って数多くあるんですね。
上巻はほとんど少年時代の話で、預言者のマーリンと出会い、マーリンが教育係となって成長していく姿が描かれています。預言者の教育だから奇想天外でファンタジーなんですよね(笑)
それが下巻にどうつながっていくのか読むのが楽しみです。
…でも、上巻も下巻も500ページ以上あって下巻を読み切ることが出来るだろうか…とちょっと自信がないです^^;

<東京創元社 1992.1>2023.9.22読了

ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ5

【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】ザリガニの鳴くところ
ディーリア・オーエンズ
早川書房
2020-03-05


ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……
みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。

ずっと読みたいと思っていた作品。ようやく読めました。
6歳で家族に捨てられてから、ずっと独りで生き続けたカイア。
テイトから読み書きを教わっていた時間がとても可愛らしくて、この時間がずっと続いてほしいと思っていたのだけど、テイト自身の夢を追うために離れ離れに。
カイアはここにいるだけなのに、周りが勝手に自分の元を去って行く。
カイアの言葉では表せないほどの孤独感が文面から伝わってきて、とても辛かったです。
テイトがいないくなり、妙齢の美しい女性に成長したカイアの元へチェイスが近づいてくる。
読んでいるこちら側はそいつは危険だ!関わっちゃだめだ!と思ってはいるけど、人とほとんど関わりがないカイアにとってはただ、話し相手が欲しいだけなんですよね。
周りはカイアの存在を知りつつも見て見ぬふりをして「湿地の少女」と言って蔑んで。
読んでいて辛かったです。
そんなカイアの唯一の味方だったジャンピンとメイベルの存在が本当に大きかったのだと思います。本当の両親のようにカイアを気遣っている姿が好きでした。
カイアのその後の展開は驚きましたが、学校で学んでいない分、いろんなことを純粋に吸収できたからなのかなと思います。
更に事件の展開と真相には驚きました。
ただただカイアが事件後に穏やかに幸せに生きていたのなら良いと思い、読み終えました。
余韻が残る作品でした。

<早川書房 2020.3>2023.6.9読了

ソフロニア嬢、空賊の悲報を探る ゲイル・ギャリガー4

ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る
川野 靖子
早川書房
2013-03-29


吸血鬼や人狼らと人類が共存するヴィクトリア朝英国。おてんばなわれらが主人公ソフロニア・テミニック嬢は、上流階級の子女が集まる花嫁学校(フィニシング・スクール)に入れられてしまうことに。ところがそこは、情報収集や毒物の使い方、異界族への対処などといった技術を教える、女スパイ養成所だった!? さらにソフロニアは、空盗賊がらみの謎解きにも巻きこまれる……。歴史情緒とユーモアにみちたスチームパンク冒険奇譚、新シリーズ開幕!

<英国パラソル奇譚>シリーズに続いて日本で出版された新シリーズ。
アレクシア女史が活躍した時代から25年前の設定なんですね。
吸血鬼と人狼と人類が共存する世界なのは同じですが、その世界観は前回に比べると薄味だったような気がします。学校に人狼や吸血鬼はいるけどそこがポイントではなかったですし。
それにしてもこの世界の女性はおてんばで勇気がある人が多いですね←
ソフロニアも14歳?とは思えないくらい度胸が据わってます。これは母親も手を焼きますし、自分が関わらない場所へぶち込みたくなる気持ちも分かりますね(笑)
14歳の世界と考えると壮大な冒険譚のような気もします。ソフロニアにはたくさんの仲間も出来て、これからさらに世界が広がりそうですね。
アレクシア女史が関わる規模が大きすぎたのでそれに比べると物足りなさも少し感じますがこれからに期待ですね^^
そしてあとがきを読んで気付きましたがシドヒーグはあっちのシリーズに登場していたんですね。あらすじを読み返して何となく思い出しましたよ。こちらのお話でもマコン卿の名前が出てきてニヤニヤしてました。

<早川書房 2013.2>2023.6.4読了

クリスマスに少女は還る キャロル・オコンネル5

クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)
キャロル オコンネル
東京創元社
1999-09-23


クリスマスを控えた町から、二人の少女が姿を消した。誘拐か?刑事ルージュの悪夢が蘇る。十五年前に双子の妹が殺されたときと同じだ。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れた―「わたしはあなたの過去を知っている」。一方、監禁された少女たちは力を合わせ脱出のチャンスをうかがっていた…。巧緻を極めたプロット。衝撃と感動の結末。新鋭が放つ超絶の問題作。

以前読んだ「Another side of 辻村深月」の中で辻村さんが「クリスマスに少女は還る」のような作品が書けたら死んでもいいとおっしゃっている文章があって。私は読んだことが無かったので気になって手に取りました。
いやー…長かったー…^^;3月までは通勤時間が長かったのでそこで大体本は1〜2日で読めていたんですけど、通勤時間がほぼ無くなった環境になったとはいえ1週間以上かかりました。こんなにかかったのは久しぶりかも。
クリスマスを数日後に控えたある日、2人の少女が失踪。
一人は学校の問題児、もう一人は副知事を母に持つ知的な美少女。
警察は誘拐事件と判断し、捜査を始めます。刑事の一人であるルージュ・ケンダルは今回の事件と同じように15年前にクリスマスに一卵性双生児の妹を殺されています(男女の一卵性双生児は何十億分の1の確率だそう)。すでに犯人は逮捕され服役中ですが今回の事件が当時の事件と酷似しているため誤認逮捕だったのでは?という意見も浮上します。
更にルージュの過去を知っていると言う顔に大きな傷を持つアリ・クレイ。彼女も重要な人物です。
登場人物がそこそこいていろんな人のいろんな視点が交錯するためとてもお話は長いです。でもその分じわじわ犯人を追い詰めてきているようなそんな感覚になります。
そして1番のキーマンは誘拐されたサディーとグゥエンだと思います。たった10歳の少女たち。2人の生きようとする意志が凄まじかったです。逞しかった。
サディーの母親が言った「みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ」という言葉。読者にも同じことが言えると思います。
もう少しで犯人が分かる。だから頑張って2人とも生き抜いて…!と思いながら最後はドキドキしながら読み進めて言ったのですが最後のまさかの真実に驚きました。結末に関しては賛否両論あるかと思いますが、私は賞賛したいです。
全て読み終えた後に邦題の「クリスマスに少女は還る」を見ると叫びたくなります…そういうことだったのか…と。実際のタイトルはJUDAS CHILD「囮の子」という意味だそうです。そちらも良いな…
読み終えた直後は正直読み終えたという達成感ばかりが募ったのですが(笑)15年前の過去も含めてすべての伏線が回収され、素晴らしい作品を堪能できて本当に良かったです。
でもやっぱり長かった…^^;

<東京創元社 1999.9>2023.5.25読了

ミッドナイト・ライブラリー マット・ヘイグ5

ミッドナイト・ライブラリー (邦訳版:The Midnight Library)
マット・ヘイグ
ハーパーコリンズ・ジャパン
2022-02-09


ノーラはその日人生のどん底にいた。飼っていた猫を亡くし、仕事をクビになり、いくら悲しくても話を聞いてくれる家族も友人もいない。頭をめぐるのは後悔ばかり。
「私がもっといい飼い主だったら」「両親にも亡くなる前にもっと親孝行ができていたら」「恋人と別れなければよかった」「故郷に戻らなければよかった」
生きている意味などもうないと、ノーラは衝動的に自らの命を絶とうとする。
だが目覚めたとき、目の前には不思議な図書館が佇んでいた――。

図書館でこちらの本を見つけ、ライブラリーという言葉が気になり手に取りました。この作品は有名人が読んだということでも話題になったそうですね。読んだ後に知りました(笑)
主人公のノーラは絶望の淵にいて自ら死を選ぼうとしていた。死を選んだ先にあったのは図書館でそこには懐かしい人物が司書として佇んでいた。ノーラはオリンピックを目指せるくらいの水泳の実力があり、兄とともにバンドでデビューできた可能性もあり、結婚を考えた相手もいた。でも、そのどれも選ばなかった。もしもあの時あの道を進んでいたら、自分はどうなっていたのだろう。そのもしもの道を実際に選び経験していきます。
それでもどの人生も良いところも悪いところもあり、当然自分の周りにいる人たちの人生も変わっています。
たくさんのもしもの人生を歩んでいく事で、死にたいと思って死を選んだはずなのに、死にたくないと思っている自分に気づきます。そして、かつて傷つき悩んでいた過去の真実が違っていたことも分かって行きます。
図書館司書のエルム夫人との関わりもノーラの未来にとってはとても重要なことで生きる指針へと変わっていきます。
海外作品は読みにくくて長いというイメージがあって^^;私はあまり手に取らないのですが、こちらの作品は例によって長かったですが、読んで良かったです。
結局ノーラが戻ってきた世界は何も変わっていなかったけど、ノーラの気持ちひとつで未来は変わっていく。それは私たちにとっても同じことなんですよね。人生に遅すぎるということはない。過去は絶対に戻ってこないけど、それでも未来は変えられる。ノーラの生きると決めた後の言葉の数々に、なんだか泣きそうになりました。
素晴らしかったです。
余談ですが翻訳は浅倉卓弥さんでした。「四日間の奇蹟」や「君の名残を」が大好きだったことを思い出しました。

<ハーパーコリンズ・ジャパン 2022.2>2023.5.14読了

青いパステル画の男 アントワーヌ・ローラン4



パリの弁護士ショーモンは古いモノが好き。仕事は順調、稼ぎも良いが、趣味の骨董収集に妻も周囲も全く関心を持ってくれない。ある日、自分そっくりの18世紀の肖像画を落札したショーモンは、その男の正体を探す旅のなかで、奇妙な偶然に巻き込まれていく……。

未読なのですが「赤いモレスキンの女」は聴いたことがありました。でもこちらがデビュー作なんですね。幼少のころから物を集めるのが好きだったショーモン。大人になってからもその趣味は続き、妻は呆れている。確かに肖像画の落札額が異常でしたよ…怖い。
本当に、おとぎ話でしたね。18世紀の肖像画の正体を探して言っていたはずなのに自分自身も巻き込まれていきました。すぐにばれるだろうと思っていましたけど、まさか真坂の展開に驚きました。それでもまあ、嘘をつき続けていても周りが分かっているならそれはそれでいいのではないかな。だってずっと望んでいた自分ではない人生を歩むことが出来たのだから。
こちらは第3弾のようなので他のおとぎ話も読んでみたくなりました。

<新潮社 2022.12>2023.2.15読了

シェイクスピア全集 13 オセロー シェイクスピア4

オセロー―シェイクスピア全集〈13〉 (ちくま文庫)
ウィリアム シェイクスピア
筑摩書房
2006-04-01


ヴェニスの貴族でムーア人の将軍オセロは、元老院議員ブラバンショーの美しき娘デズデモーナと結婚し、幸福の絶頂にあった。だが、部下イアゴーの奸計により、愛する妻と信頼する副官が不義の関係にあると誤解。怒りと嫉妬の末に訪れる結末は……。シェイクスピア四大悲劇の傑作を待望の新訳で贈る。

健ちゃんが「オセロー」をモチーフにした関西人のヤクザ役をやるということで(なにがなんやら)原作を読んでみました。そういえばちゃんと読むのは初めてだな…
四大悲劇の一つだからきっと何一つ報われないで終わるんだろうなと思ったらやっぱりそうでした^^;なんだこれは。誰も何も報われない。
オセローも側近じゃなくてちゃんと奥さんのことを信じれば良いのに…素直で純粋すぎるよ←
デズデモーナが可哀想すぎる…ただ純粋にオセローを愛していただけなのに。
そして2人の濡れ衣を晴らしたのがイアゴーの妻というのが皮肉ですね。
これが関西人のヤクザにどう表現されるのか楽しみです(笑)

<筑摩書房 2006.4>2023.1.12読了

図書室の死体 マーティ・ウィンゲイト3

図書室の死体 初版本図書館の事件簿 (創元推理文庫)
マーティ・ウィンゲイト
東京創元社
2022-06-30


わたしはイングランドの美しい古都バースにある、初版本協会の新米キュレーター。この協会は、アガサ・クリスティなどの初版本の収集家だった故レディ・ファウリングが設立した。事務局は彼女の住まいだった館にあり、図書室にはその膨大なコレクションが所蔵されている。そんな図書室で、ある朝、死体が発見された。被害者は、勉強会で館を使っていた、文芸サークルのメンバーで……。本を愛する人に贈る、ミステリ・シリーズ第1弾!

タイトルが気になって手に取りました。
アガサクリスティー…読んでみたいとずっと思っているのですが未だに読んでいません^^;そこは主人公と同じかも。でも1冊読んだだけでそんなに覚醒するかな…と思ったり^^;とても前向きに働いている姿は素敵だと思うけど彼氏は微妙だし娘にはちょっと甘過ぎじゃないか…な…
働いている環境は羨ましかったです。住み込みのようなものだけどこんな館なら住んでみたいし掃除もしてくれるなんて最高すぎる←
事件の真相についてはそうか…という感じ^^;そこまでまさか…!というのは無かったかな。ちょっと残念だったかも。

<東京創元社 2022.6>2023.1.7読了

窓辺の愛書家 エリー・グリフィス4



本好きの老婦人ペギーが死んだ。彼女は「殺人コンサルタント」を名乗り、数多くの推理作家の執筆に協力していた。死因は心臓発作だが、介護士のナタルカは不審に思い、刑事ハービンダーに相談しつつ友人二人と真相を探りはじめる。だがペギーの部屋を調べていると、覆面の人物が銃を手に入ってきて、ある推理小説を奪って消えた。謎の人物は誰で、なぜそんな行動を? 『見知らぬ人』の著者が本や出版をテーマに描く傑作謎解きミステリ。

こちらってシリーズものだったんですね←
タイトルが気になって手に取ったので気づきませんでした^^;
90歳の老婦人ペギーが心臓発作で亡くなる。高齢であったため始めは自然死かと思われていたが、介護士のナタルカが不審に思い、独自で調べ始めます。
このナタルカがとても個性的でしたねー。舞台はイギリスですがナタルカはウクライナ人です。
母親は母国に住んでおり、弟は行方不明。
ナタルカは薄給の介護士であるにもかかわらずどこか金回りが良いように見える…って凄く狙われそうな感じじゃないですか?しかも美人みたいですし…。
ウクライナ人が登場するということがこれほど大きな意味を持つことになるとは、著者さんは想像していなかったですよね、きっと。
犯人は予想外でしたし、最後にどんでん返しもありました。
私は海外作品はあまり読まないのですがこちらはとても面白かったです。せっかくシリーズものに手を出したから他の作品も読んでみましょうか^^

<東京創元社 20022.8>2022.12.15読了

読書セラピスト ファビオ・スタッシ4

読書セラピスト (海外文学セレクション)
ファビオ・スタッシ
東京創元社
2022-02-19


悩める人々に文学作品を処方する読書セラピーを始めたヴィンチェ。彼のスタジオの階下の女性が失踪、状況証拠から夫が疑われる。読書家の彼女が読んでいた本のリストからヴィンチェは真相を探り出す。失踪女性の物語は、「失踪」「別の人生」「入れ替わり」が大きなテーマだ。人々の様々な悩みと彼の処方する作品の数々は味わい深い。シェルバネンコ賞受賞のビブリオ・ミステリ

タイトルが気になって手に取りました。
ヴィンチェは国語教師の順番待ちをしていて、カウンセリングの資格を持っているということで読書セラピーを始めるわけですが、悩みに対する言葉に関してはあんまり心に響くものではなかった気がしますね^^;最初のお客さんのキレ方、怖かった…
それでもヴィンチェの読書量はすさまじく、その人に勧める本に関してとても詳細に説明していきます。
1冊だけ日本の本が登場してびっくり。著者さんの読書量が凄いんですよね。
女性の失踪事件は予想だにしていなくて驚きました。

<東京創元社 2022.2>2022.6.2読了

怪物があらわれた夜 「フランケンシュタイン」が生まれるまで リン・フルトン フェリシタ・サラ5



今から200年前、男性中心の社会や科学万能主義の風潮に疑問を抱く一人の女性がいた。やがて彼女は現代まで読み継がれる一冊の本を世に送り出す。『フランケンシュタイン』誕生の知られざる背景を描くノンフィクション絵本。

メアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」を思いつくまでを絵本にして描いたものです。
私は「フランケンシュタイン」の舞台を観劇するために予習として原作を読みました。その時に著者は若い女性で、フランケンシュタインは怪物の名前ではなく、怪物を造った博士の名前であることを知ります。先入観って恐ろしいなと思いました^^;
なのでこの本のタイトルを見て読んでみたいと思いました。イラストのタッチがとても好きです。ちょっと怖いけど魅力的な絵です。そしてこの絵本から当時の女性の社会的立場も描かれていて、時代背景も分かってきます。絵本で手軽に読めるからこそ、たくさんの人に読んでほしいです。そしてこの本を読んだ後に原作を読んでほしいとも思います。

<光村教育図書 2018.12>2021.9.11読了

キャクストン私設図書館 ジョン・コナリー5

キャクストン私設図書館
ジョン・コナリー
東京創元社
2021-05-19


読書好きのバージャー氏が発見した〈キャクストン私設図書館&書物保管庫〉。そこは初版本や手稿本が所蔵された図書館であり、人々に広く知れ渡ったがゆえに実体化した物語の登場人物たちの住処でもあった。アンナ・カレーニナ、シャーロック・ホームズ、ハムレットなどをめぐる事件を描いた表題作や、ダーク・ファンタジー『失われたものたちの本』のスピンオフ作品、怪奇現象をもたらす奇書『裂かれた地図書』の物語ほか、「本」にまつわる傑作短編集。

キャクストン図書館みたいな図書館があったら絶対に働きたい!なんで私は選ばれないの!←
この図書館には小説の登場人物が実際に暮らしていて、お話することもできる…なんて素敵な図書館。さらにこの図書館には大きな秘密が…あるんですよねー。
シャーロック・ホームズにまつわるお話が特に面白かったなぁ。
キャクストン図書館の間に挟まれたスピンオフの「虚ろな王」と「裂かれた地図書」が救いようがなさ過ぎて読んでいてどんどん堕ちていきましたよね…。何の救いも望みもなかった…それもそれで面白かったのだけど。
1冊でたくさんの物語を読んだような感覚になりました。面白かったです。

<東京創元社 2021.5>2021.9.2読了

失われたものたちの本  ジョン・コナリー4

失われたものたちの本 (創元推理文庫)
ジョン・コナリー
東京創元社
2021-03-11


第二次世界大戦下のイギリス。本を愛する12歳のデイヴィッドは、母親を病気で亡くしてしまう。孤独に苛まれた彼はいつしか本の囁きを聞いたり、不思議な王国の幻を見たりしはじめる。ある日、死んだはずの母の声に導かれて、おとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが蠢く、美しくも残酷な物語の世界の王国に迷い込んでしまう。元の世界に戻るため『失われたものたちの本』を探す旅に出るが……。少年の謎に満ちた旅路と、困難を乗り越えて成長する姿を描く異世界冒険譚。

タイトルが気になって手に取りました。
内容としてはファンタジーだと思うのですがそこに私たちが幼いころから読んできたぐりム童話がちりばめられていて面白いです。ただ、私たちが知っているはずの物語が、この世界では少し違うお話になっていて、そこがダークというか大人向けの物語にさせている気がします。特に赤ずきんちゃんとかヤバくないか?(笑)まあもともとグリム童話は残酷さもあるのでそこは許容範囲ではありましたが。
いきなり見知らぬ世界に来ることになって命を狙われて、デイヴィッドが出会ったきこりや騎士ローランドがかっこよかったですね。2人に会えてよかった。
初めはオドオドしていた少年が一人で立ち向かい闘う姿はまさに成長物語でかっこよかったです。

<東京創元社 2015.9>2021.7.22読了

ぼく モグラ キツネ 馬 チャーリー・マッケジー5

ぼく モグラ キツネ 馬
チャーリー・マッケジー
飛鳥新社
2021-03-18


ぼくは、モグラとキツネと馬と、旅に出た。
そこで見つけた本当の“家"とは。
少年とモグラ、キツネ、馬の冒険と心の交流を美しいイラストとともに描いたアート絵本“THE BOY, THE MOLE, THE FOX AND THE HORSE"の日本語版。

世界一受けたい授業で紹介されていた作品。ようやく読めました。
私は根暗でネガティブな人間なので^^;1度落ち込むとしばらく落ち込んでいます。どうせ私なんかってうじうじしてる人です。そんな私にピッタリな作品だったと思います。
読んでいたら私は生きていて良いんだって思えました。
自分は自分で良い。人と比べなくていい。自分は自分。
改めてそう感じられた作品でした。
手元に置いておきたい1冊です。

<飛鳥新社 2021.3>2021.7.18読了

新訳ペスト ダニエル・デフォー4

新訳ペスト
ダニエル・デフォー
興陽館
2020-09-18


見えない死の恐怖が襲いかかる。自粛要請、医療破綻、都市封鎖、地方への脱出。富む人と貧しい人の格差。渦巻くデマとパニック。それでも感染は止まらない。1665年ロンドンを襲った“ペストの大流行”は10万人の死者を出して人々の生活を一変させた。膨大な資料の圧倒的事実から書かれた迫真のドキュメンタリー小説!新訳書き下ろし!

9月に「100分de名著」で取り上げられた「ペストの記憶」を読んでみたいとずっと思っていました。
番組で紹介されたものと出版社も翻訳の方も異なりますが同じ作品です。
1665年にロンドンを襲った感染症のペスト。H.Fという人物がペストが蔓延しているロンドンの状況を記したドキュメンタリー風に書かれた小説です。
このダニエル・デフォーという方は実体験をもとに書かれたのかなと思ったのですが、ペストが流行した時に著者さんは5歳だったようで、大人になってから取材したことを基にしたようです。主人公は伯父さんだという説があるみたいですね。
内容はとにかく悲惨でした。感染症が広がったことによる人々の色んな部分を垣間見た気がしました。小説ですけど実際に体験したかのようなリアルを感じました。1年間の記録だと思うのですがその間の時期が結構とびとびになっていて、これはいつの時?流行はじめ?半ば?終わり?って分からなくなることがよくありました^^;まあそれでもこの時期の悲惨さが分かったのでいいのですが。
当時は「菌」というものが知られていなかったため(のちに北里柴三郎が発見しますよね)「得体のしれない何か」という表現をしています。「菌」というものすら分からなかった時代に、何かがどんどん侵食していき、人を死に至らしめるなんて本当に恐怖ですよね。感染した兆候を見つけると半狂乱になってそのまま亡くなる人も多かったというのも分かります。
死と隣り合わせの毎日だけど、H.Fは市の動きを褒めていました。死者は多かったけど早めに対処していたため、街はいつもきれいだったと書かれていました。市民への対応も早かったと。原因も何もわからない状態で迅速に対応していたというのは大きいですよね。
それにしても、人間の気持ちの部分というのは今も昔も変わらないんだなぁと思いましたね。自分は大丈夫という思い、罹った時の心理、そして気持ちの緩み。特に死者や感染者が多いままなのに横ばいになっていたり、多いままだけど以前より減少したりした場合にもう大丈夫なんだと勝手に解釈して外に繰り出し人が集まるようになったとか、今も同じじゃないかと思いました。神に身を委ねているような信仰の違いはありましたけど。現在のコロナ禍は収束の兆しはありません。ペストは約1年で収束したようですが、今回は終わらなそうです。少し先か遠い未来かにコロナが収束した時に私たちはどういう想いを抱くのだろうかと思ったりしながら読み終えました。

<興陽館 2020.9>2020.11.27読了

刑罰 フェルディナント・フォン・シーラッハ5

刑罰
フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社
2019-06-12


ダイバースーツを着て浴室で死んでいた男。裁判で証人の抱える孤独に同情してしまった参審員。人身売買で起訴された犯罪組織のボスを弁護する新人弁護士。高級ホテルの部屋で麻薬常習者になったエリート男性。――実際の事件に材を得て、法律で裁けない罪をめぐる犯罪者や弁護士たちの素顔を、切なくも鮮やかに描きだす。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』、第二作『罪悪』を凌駕する珠玉の短篇集。短篇の名手が真骨頂を発揮した最高傑作!

現役の弁護士さんが書かれた刑事事件がテーマの短編集です。
短編集なのでこの著者さんを知ることになった「犯罪」や「罪悪」を思い出しました。
事件の内容はバラバラだし、結末も切なかったり、ちょっと前向きだったりするものもあったりするのですが、やはり書かれている方が弁護士さんなので事件がとてもリアル。実際に起きた事件を参考に書かれたみたいですね。短編なのにどの作品もずしっときます。
どの作品も面白かったけど「逆さ」の結末が面白かったかな。
悲しかったのは「青く晴れた日」最愛の子供を失い、更には裏切られ、本当に悲しい結末でした。
「リュディア」は読み手にも結末を考えさせるような内容だったし、「ダイバー」もそうかな。
最後の「友人」も本当に切なかった…。
海外作品だけど、日本でも通ずる事件の内容もあって、面白く読みました。

<東京創元社 2019.6>2019.7.20読了

ハツカネズミと人間 スタインベック5

ハツカネズミと人間 (新潮文庫)ハツカネズミと人間 (新潮文庫)
著者:ジョン スタインベック
新潮社(1994-08-10)
販売元:Amazon.co.jp

一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って静かに暮らす―からだも知恵も対照的なのっぽのレニーとちびのジョージ。渡り鳥のような二人の労働者の、ささやかな夢。カリフォルニアの農場を転々として働く男たちの友情、たくましい生命力、そして苛酷な現実と悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描いたスタインベックの永遠の名作。

健君の舞台が決まってからすぐに購入していたのですが、ちゃんと時間をかけて読みたいなと思っていたらいつのまにやら舞台初日が近づいていました。びっくり!え?いつの間に?←
舞台はアメリカ・カリフォルニア。
ジョージとレニーは自分たちの農場を持つことを夢見て、レニーの失態により北より逃げてこの地にやってきた。4日間の物語です。
レニーは大男だけど中身は子どもでジョージに頼り切っている。ジョージはレニーがいなければもっといい人生を送れたのにと言いつつもレニーの事を放っておけない。
レニーが大好きな、ジョージの語り。2人の夢の話。
レニーは全部覚えているのに、自分が話すと違うことを言ってしまうからジョージに話してほしいといつもせがむ。
何度も話しているうちに本当のことのように感じてくる。
その話をしていく中で、片手がない老人キャンディがお金を持っていると言ったことから2人の夢が現実味を帯びていく。
2人の昔からの夢。遠い遠い夢。叶いそうだった夢。
なのに、最後には残酷な現実が待っています。
短いお話なのに、4日間の話なのに、とても長く感じました。
レニーの純粋さが救いでもあり残酷でもあり。
最後の事は事故だとは思います。それでもそれで片づけることは出来ない。
最後のジョージの佇む姿がなぜだか目に浮かぶようでした。
この舞台で健君は、どんなジョージを演じるのでしょうか。
切なくて哀しい物語だけど、ジョージを演じる健君を見たいと改めて思いました。

<新潮社 1994.8>H30.9.24読了

アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る ゲイル・キャリガー5

アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)
著者:ゲイル・キャリガー
早川書房(2012-09-20)
販売元:Amazon.co.jp

人類と異界族が共存する19世紀英国。伯爵夫人アレクシアは社交界に、〈陰の議会〉に、特殊能力をもつ2歳の娘プルーデンスの子育てにと多忙な日々を送っていた。そこへ世界最高齢の吸血鬼マタカラ女王からエジプトへの招待が届く。かつて〈神殺し病〉で異界族が消えたその地で、一行は古代より続く恐るべき秘密にふれることに――歴史情緒とユーモアに、人狼殺害事件の謎を絡めた大人気冒険譚、惜しまれつつも堂々完結!

英国パラソル奇譚がついに終了。この最終巻を読むまでに時間がかかりましたし、この本も読むのに時間がかかりましたが^^;この物語の世界を楽しみました。
アレクシアたちの珍道中、今回も色々ありましたね。そしてこのシリーズの最大の謎も明らかになりました。ずっと気になっていたアレクシアの父親の事も分かりました。
今作から登場した「チビ迷惑」であるプルーデンス。いやー本当にチビ迷惑!←
あのアレクシアが翻弄されるなんて!でも、それくらいがいいのかも?^m^
子育てに追われる中でもアレクシア達は様々な厄介ごとに巻き込まれて行きます。自分で突っ込んでいっている感も否めませんが。
何百年も生きてきたコナルが飽きないのも分かります。
吸血鬼マタカラ女王がアレクシアとプルーデンスをエジプトに呼んだ目的は何か?意外な結末を迎えます。そしてなぜか一緒にエジプトに来たアイビィ夫妻たち。こちらもまさかの展開でした。私最初はアイビィ嫌いだったんですけどね←
このシリーズが終わってしまうのは寂しいですが新たなシリーズも出ていますし、プルーデンスが成長した物語もあるみたいなので読むのが楽しみです。

<早川書房 2012.9>H30.8.20読了

わたしの名前は「本」 ジョン・アガード ニール・パッカー5

わたしの名前は「本」わたしの名前は「本」
著者:ジョン・アガード
フィルムアート社(2017-11-25)
販売元:Amazon.co.jp

親愛なる読者へ。
わたしは、あなたのためにここにいる。
伝えること、読むこと、書くこと、広めること、残すこと。
「本」がおしえてくれる、大切な「本」の物語。
本には数え切れないほどの物語があります。
では、もし、本が自分の物語を語ったら……?
粘土板、パピルスの巻物、中世の写本、印刷された紙、そして電子書籍のスクリーン。
本の形は時代によってさまざまに変化して、人々の元にやってきました。
音や声が、言葉となって、文字として記され、束ねられて綴じられて「本」となり、わたしたちのこの手でページがひらかれるまでの、 つつましくもけなげな「本」の長い長い冒険譚。

図書館の新刊でこの作品があり、気になって借りてみました。
本のタイトルの通りです。「本」が「本」が生まれてから今に至る歴史を語っています。
文字が生まれるまで、パピルス、羊皮紙を経て紙が生まれるまで、そして本が生まれ、電子書籍との会話まで書かれています。過去、現在、未来。本のすべてが143ページの中に詰まっています。その歴史の中で様々な人の遺した言葉も収められています。
特に印象的だったのは
「木を知らなかったら森で迷ってしまう、物語を知らなかったら人生で迷ってしまうだろう」というシベリアの長老が遺した言葉です。物凄いインパクトです。冒頭に登場しますが胸に突き刺さります。
そして図書館の事も書かれていたことが嬉しかったです。「記憶の家」「魂をいやす場所」「宝石の海」どれも素敵な表現!なんだかワクワクします。
アルゼンチンの詩人で作家のホルヘ・ルイス・ボルヘスさんは「わたしは昔から、天国とは図書館のような場所だと想像していた」という言葉を遺されたそうです。あぁ、素敵!私もそう思います!
カーネギーさんの言葉も良かったです。言葉が長いので割愛しますがカーネギーさんも図書館に救われたことがあったのだろうなと感じました。
素敵な物語でした。でも、史実でもあるんですよね。この本に出合えてよかったです。

<フィルムアート社 2017.11>H30.3.6読了

君が人生の時 ウィリアム・サローヤン5

君が人生の時 (1950年)
著者:ウィリヤム・サローヤン
中央公論社(1950)
販売元:Amazon.co.jp

舞台はサンフランシスコの波止場の外れにある、安っぽいショーを見せるニックが経営する場末の酒場。そこには様々な事情を抱えた客がやって来ては去っていく。ピアノの名手、ダンサー、港湾労働者、哲学者、警察官、娼婦……。誰もがそれぞれの想いを抱えながら酒を飲み、本音をポツリと語り、時の流れに身を委ねる。
若く美しい放浪者のジョオは、いつからかこの店にやって来て毎日朝から晩までシャンパンを飲んで過ごす不思議な男だった。この店で出会いジョオの弟分となったトムは、客の一人、自称女優の魅惑的な女性キティに恋しているが思いを打ち明けられずにいた。

坂本君の舞台、観に行けなかったのでせめて頭の中で妄想しようと思い←戯曲を読みました。戯曲が出版されたのは1950年、昭和25年ですよ!65年以上前に出版された本を普通に読めるんだって思いましたよね。
でも、漢字が旧字体だったので解読も大変でした^^;恋が戀とか。体が軆とか。
それでも内容は分かりやすくて1日で読めるくらいでした。きっと中身は変わっているところもあったんでしょうけど、こういう物語だったんだろうなという全体像が見えて良かったです。それでも、難しいですよね。多分ちゃんと時代背景が分かっていれば理解も深まるんだろうなと思います。1930年代。不況に戦争に、重苦しい時代なんですよね。小さな酒場で沢山の客が訪れ、そこにいつからか入り浸るようになったジョオ。自分では過去を語らず、金をたくさん持ち、ジョオに命を助けられ、弟分となっているトムに自分が欲しいものを買わせに行く。
何だか憎めなくて、実は周りから尊敬されているジョオ。
最後までジョオは何者で何がしたいのか、よく分からなかったです。ジョオの両親はアイルランド出身ということなので、祖国を捨てなければならなかった過去がきっとあったはずですよね。足も不自由なようだし、お金はきっと働いて稼いだお金ではきっとなくて。賭け事のくだりがあったから、賭け事で儲けたお金なのかな。ラスベガス近いし(そういう問題か?)
ジョオ自身過去に様々な経験をしていて、だからこそ有り余る憎き金を困っている人に使う。
どことなく哀愁の漂う男ですよね。想像だけでもまーがとてもかっこいいです←
多分舞台上で大きな展開は無いと思うのですが、それでも登場人物たちの心の動きがたくさん垣間見えて読んでいて面白かったです。

<中央公論社 1950.4>H29.7.24読了

ハリー・ポッターと呪いの子 J・K・ローリング4

ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 単行本ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 単行本
著者:J.K. Rowling
Pottermore from J.K. Rowling(2016-11-11)
販売元:Amazon.co.jp

8番目の物語。19年後。『ハリー・ポッターと死の秘宝』での戦いから19年が経ち、父親となったハリーが2人目の子どもをホグワーツ魔法学校へと送り出したその後の物語です。ハリー・ポッターとして生きるのはもちろんたいへんなことだったのですが、その後のハリーも決して楽ではありません。今やハリーは、夫として、また3人の子を持つ父親として、魔法省の激務に押しつぶされそうな日々をすごしています。ハリーがすでにけりをつけたはずの過去と取り組まなければならない一方、次男のアルバスは、望んでもいない“ハリー一家の伝説”という重圧と戦わなければなりません。過去と現実は不吉にからみあい、父も子も痛い真実を知ることになります。

シリーズ第8弾…って言って良いんでしょうか。番外編かな。
この作品は舞台化されたものの戯曲なんですよね。
ハリーポッターたちは40歳になっています。ハリーは相変わらずかな。凄い魔法使いのはずなのに凄さをあんまり感じない。いい意味で普通の人。でも、周りがそうさせてはくれないし、子どもたちにもそれは引き継がれる。大変ですよね、偉大な親の子供って。
だからアルバスが反抗してしまうのは分かります。もどかしさもありましたけど。
アルバスの唯一の友がスコーピウス、ドラコ・マルフォイの息子って言うのが皮肉なのか運命なのか。でも、2人の関係はとても良かったです。ここにローズが加わればハリーたちと同じ組み合わせになりますよね。
今回のテーマは過去。
ハリーポッターシリーズで登場した場面が登場します。それがいろんな展開を見せて、正直どうなってしまうんだろうと不安になり、以前読んだものが消えてしまったらどうしようと思いながら読んでいました。
過去が変わってしまって未来が変わってしまったりするのだけど、どんな境遇になってもロンとハーマイオニーはお互いに相手を意識していたりして、何だか可愛かったです。
過去に縛られ続けているハリーとアルバス。ハリーが言った言葉が印象的でした。
自分は自ら冒険をしようと思ったわけではない。巻き込まれたんだ。
一人で闘ったことはない。いつも仲間と一緒だった。
若干言葉に誤差はありますがこんな言葉を言っていました。たしかにそうですよね。
最初にアルバスがしようとしたことは安直で許されるものではありませんでした。
それでももしもの世界で、とある人が登場し、私はすごく嬉しかったです。
その人の行動、言葉がどれも素敵でした。当時はあんなに嫌っていたのに←
読みながら何だかなぁ…未来は書かなきゃいけなかったのかなぁ。どうなのかなぁ。と思っていた時もありましたが^^;
結果、読んでいて面白かったです。戯曲スタイルではありましたが、またハリー達にあえて嬉しかったです。
奇しくも今日はハリーポッターが最初に発売されて20周年の記念日だとか。
まあ日本で発売されたのはもっと後だとは思いますが、時の流れを感じますね。
良い時期に読めたと思います。

<静山社 2016.11>H29.6.26読了

小さなトロールと大きな洪水 トーベ・ヤンソン4

小さなトロールと大きな洪水 (講談社 青い鳥文庫)小さなトロールと大きな洪水 (講談社 青い鳥文庫)
著者:トーベ ヤンソン
講談社(1999-02-15)
販売元:Amazon.co.jp

パパはいないし、おなかもぺこぺこ。ムーミントロールとママは、あたたかくて気持ちのいい場所をもとめて、暗くて寒い森の中をさまよいます。たどり着いた一軒の家。中から出てきた赤い髪の少年はパパに会ったことがあるようで…。第二次世界大戦期、トーベ・ヤンソンが安らかさをもとめて描いた、ムーミン童話の記念すべき第一作。

ムーミンシリーズの第1作目です。まだムーミンという名前でもないし、姿かたちも少し違います。パパは旅に出てしまっていないし、ムーミントロールとママは家を失って旅に出ています。
散々北欧が好きだ、ムーミンが好きだと言っておきながらムーミンの本をちゃんと読んだことがなかったなぁと思い、手に取りました。
2人が不安げに旅をしているところから物語が始まります。児童書なので文章は分かりやすいですが2人の行く先々でいろんなことが起きるのでドキドキします。
少しずつ仲間が増えたりパパの情報が手に入ったり、物語の動き方も良かったです。
最後がとても素敵なお話でした。
著者さんがこの物語を作ったのは戦争真っただ中の時。現代のお話を書くのが辛くて嫌で、「昔々あるところに…」という御伽話を想像して書こうと思い、ムーミンが生まれたと言います。
確か1冊だけ読んだことがあるのですが大学生の時でしたし、すっかり忘れてしまっているので^^;改めてムーミンシリーズを読み直そうと思います。

<講談社 1999.2.15>H28.12.20読了

テロ フェルディナント・フォン・シーラッハ4

テロテロ
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2016-07-11)
販売元:Amazon.co.jp

2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカースタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊急発進した空軍少佐が独断で旅客機を撃墜する。乗客164人を殺して7万人を救った彼は英雄か?犯罪者か?結論は一般人が審議に参加する参審裁判所に委ねられた。検察官の論告、弁護士の最終弁論ののちに、有罪と無罪、ふたとおりの判決が用意された衝撃の法廷劇。どちらの判決を下すかは、読んだ「あなた」の決断次第。

読んでいたのに記事をアップしていませんでした。
いつ読んだか忘れましたが確か10月下旬です^^;
著者さんは弁護士さんなので、いつもある事件の物語を書いています。今回もそうでした。
今回は戯曲形式になっていて、法廷劇がずっと続いていきます。
そして最後は有罪と無罪とどちらのパターンも描かれていて、どちらの判決が正しいのか、それは読者の判断で決まるような形になっています。
著者さんはいつも読者に投げかけます。「罪とは何か?」
去年、この著者さんが原作の舞台を観に行きました。「TABU」という舞台です(原作は「禁忌」)この舞台もほぼ法廷劇です。最後に被告人として法廷に立っていた青年は弁護士に聞きます。「罪とは何ですか?」と。きっと観客にも問いかけていたんだろうなぁ…
私は分からないままです。この作品も、被告人は有罪なのか無罪なのか、私は決められませんでした。でもやっぱり犠牲者は出してはいけない。何か方法があったのではないかと思わずにはいられません。
金田一少年の事件簿のとある事件で、一人だけを犠牲にすればほかのみんなは助かるというシーンで男性が一人の少女を犠牲にしたというくだりがありまして(それが原因で連続殺人が起きるのですがそれは以下略)美雪が「もしも同じ状況になったら一ちゃんはどうする?」と聞くと一は「俺は考えるだろうな。みんなが助かる方法をさ!」と答えます。その考えが、この被告人には足りなくて、ただ人数の問題だけで判断したんだろうなぁ…なんてことも思ったりしました。
何だか本の感想じゃなくなってきましたが^^;
答えが一つではない問題は難しいです。でも色々考えることが出来るというのは大事だなと思いました。

<東京創元社 2016.7>H28.10読了

星の王子さま サン=テグジュペリ5

星の王子さま (新潮文庫)星の王子さま (新潮文庫)
著者:サン=テグジュペリ
新潮社(2006-03)
販売元:Amazon.co.jp

砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった…。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後六十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。

今更ながら読みました。
ずっと気になっていたのですがなぜか読まず…。
でも、先日某雑誌で某芸能人(言わずもがな)が小さい頃に読んだ本ということで紹介していたのでそれを機に読みました。
ストーリーすら全然知りませんでしたが…。こういうお話だったんですね。
70年以上前に作られた作品とは思えませんでした。ずっと語り継がれてきている理由が分かる気がします。
王子さまの純粋な言葉たちが愛おしくて、王子さまごと抱きしめたくなりますね。
そしてキツネの言った言葉。
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」
私もいちばんたいせつだと思えることにいつか出会えるかな。
最後に訳者さんがサン=テグジュペリの経歴を書かれていましたね。
パイロットだったことも知りませんでしたし、44歳という若さで亡くなっていることも知りませんでした。
また、消息不明でいまだに行方が分かっていないというのがまた王子さまと少し被ります。
ここまで読むと、王子さまもパイロットも著者さんを彷彿とさせて不思議ですね。
読んで良かったです。

<新潮社 2006.4>H28.6.27読了

カールの降誕祭 フェルディナント・フォン・シーラッハ4

カールの降誕祭カールの降誕祭
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2015-11-12)
販売元:Amazon.co.jp

ドイツでは、クリスマスに最も殺人が多い。十世紀から続く貴族トーアベルク家のクリスマスの惨劇を描いた表題作と、日本人の女子留学生に恋をしたパン職人の物語「パン屋の主人」、公明正大だった裁判官の退職後の数奇な運命を描く「ザイボルト」を収録。本屋大賞翻訳小説部門第1位『犯罪』のシーラッハによる珠玉の短編を、気鋭の版画家タダジュンの謎めいたイラストが彩る。ふたりの天才が贈るブラックなクリスマス・プレゼント。

とても薄い本で帰りの電車で40分くらいで読めました。
その中に3編の小説が書かれています。
いやー・・・どの作品もシュール・・・シュールすぎる・・・。
特に印象的だったのは「パン屋の主人」でした。
海外作品で日本人が登場すると、おお!と思いますよね。
今年は「TABU」が舞台化されて来日もされていましたよね。
東京の舞台が当たっていたらお目にかかりたかったなー。
どの作品もそうですけど、著者さんが弁護士さんだからそもそもの「罪とは何か?」という部分をいつも考えさせられます。この3作品もそうでした。
答えは三者三様で明確なものはないのかもしれませんが、「罪」というものについて考える機会を与えていただいている気がします。
またタダジュンさんのイラストが怖さをそそります。今までの作品でも良くタッグを組まれていますよね。

<東京創元社 2015.11>H27.12.8読了

コリーニ事件 フェルディナント・フォン・シーラッハ4

コリーニ事件コリーニ事件
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2013-04-11)
販売元:Amazon.co.jp

2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。

著者の作品は全部読んでいると思ったら全部じゃなかった!と思い読みました。
以前読んで舞台も観た「禁忌」と似た感じですね。どちらも法廷劇。
そして弁護士がどちらも圧巻。「禁忌」の方はベテランでしたがこちらは心配弁護人ライネン。最初は頼りなさそうでしたが、でも段々優秀さが発揮されてきましたね。
コリーニは本当に殺人を犯したのか、犯したのならなぜ接点が見つからない被害者を殺したのか、その展開が見事でした。
そしてこちらでも問題提起された気がします。「罪」とは何か?
読み終えたときに何が正しくて何が間違っていて、誰が良くて誰が悪いのか、分からなくなりました。
最後が衝撃でしたが、でもライネンが弁護を受けたことで、コリーニは救われたのだと私は思います。
著者さんの経歴、そして血の歴史、そして弁護士という仕事。それが相まってこのような作品が生まれるんですね。

<東京創元社 2013.4>H27.7.18読了

アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂う ゲイル・キャリガー5

アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂(うれ)う (英国パラソル奇譚)アレクシア女史、女王陛下の暗殺を憂(うれ)う (英国パラソル奇譚)
著者:ゲイル・キャリガー
早川書房(2012-04-09)
販売元:Amazon.co.jp

異界族と人類が共存するヴィクトリア朝ロンドン。伯爵夫人アレクシアは妊娠八カ月を迎えた。お腹の子の異能を恐れる吸血鬼の執拗な攻撃に、人狼団はある秘策を打つ。そんななか消滅寸前のゴーストが現われ、女王暗殺をほのめかした。凶事を防ぐべく暗中模索の捜査を始めたアレクシアは、やがて夫マコン卿と人狼団にまつわる過去の秘密と出会う―謎解きとユーモアと叙情が贅沢に織りなすスチームパンク冒険奇譚、第四弾。

第4弾まで読みました。あと1冊で終わっちゃうんですね、寂しい…。
にしても。今回はアレクシアは妊婦、しかも臨月で出産間近。
とは思えないほどの働きっぷりです。
ビフィへの気遣いから始まり、大量のハリネズミとの戦いにゴーストから聞いた女王暗殺計画により首謀者は誰か探し回るし、スパイはするしそのお陰で女王暗殺とは関係なかったウールジー人狼団の歴史も知っちゃうし、首謀者を阻止し、狙われている人を守るために動き回るし…いやはや、妊婦だろうが関係ないですね、しかも途中怪我までしてるのに…
そして、ようやく誕生しましたね「チビ迷惑」ちゃん。
でも、生まれてからのチビ迷惑ちゃんの動向が気になってしょうがない…一体この子はどんな運命を背負って生まれてきたのでしょう。次で分かるのかな。
次が最後。楽しんで読みたいなと思います。次の舞台がエジプトってまた興味をそそる。
お父さんのことも、ちゃんと分かるのかなー。

全然関係ないけど最終巻の英語のタイトルが「Timeless」でちょっとぐっときた←
(本当に全然関係ない)

<早川書房 2012.4>H27.6.30読了

禁忌 フェルディナント・フォン・シーラッハ5

禁忌禁忌
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2015-01-10)
販売元:Amazon.co.jp

ドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルク。彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。被害者の居場所を吐かせようとする捜査官に強要され、彼は殺害を自供する。殺人容疑で起訴されたエッシュブルクを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪か―。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。ドイツのみならずヨーロッパ読書界に衝撃をもたらした新たなる傑作。

著者の作品は短編2冊を読みましたがそれがとても面白くて今回の長編を楽しみにしていました。内容を知らずに予約したのですが何とも重たい内容だったんですね←
著者さんが弁護士さんだからか以前の作品からこういった事件や罪について書かれた作品が多い気がします。
今回は特にその「罪」についてを問いかけていた気がします。
あらすじを読むと罪についてが主なのかと感じると思いますが、まあ確かにそうなんですけど半分がエッシュブルクの生い立ちについてです。おそらくここにたくさんの伏線がはりめぐられていると思います。恐らくということではい、私たぶん全然わかっていません^^;
主人公は「共感覚」の持ち主で生い立ちが書かれている部分は読みにくいわけじゃないんですけど淡々としているような…独特な感じでした。「夜中に犬に起こった奇妙な事件」を思い出す感じです。あちらはアスペルガーか。全然違うんですけど、でも文章は彷彿とさせるような…。
そして後半は怒涛の展開。ある事件の容疑者として捕まるエッシュブルク。弁護士のビーグラーが主人公となります。このビーグラーもなかなか個性的な人。読んでいて面白いです。ある意味人間味があふれているかも。
事件の真相は驚愕。開いた口が塞がらないとはこのこと。
うわぁぁぁぁぁと思い表紙を見て更にぞぞっとする感じ。
シーラッハさんが「日本の読者の皆さんへ」というあとがきを書いてくださっています。こちらもぜひぜひ読んでほしい。
この作品を待っている最中に舞台化の話を知りました。
いやー・・・この青年を真田君が演じるの?もう、観たいに決まってるじゃないですか。
弁護士役は橋爪さん。こちらも気になります。
チケットが取れたら(ここ一番大事)観たいと思いました。
真田君がエッシュブルク(役名がそのままかは分かりませんが)をどう演じるのか、観たいです。
困ったなー。20周年のためにお金貯めなきゃいけないのにー←

〈東京創元社 2015.1〉H27.2.19読了

極短小説 スティーブ・モス/ジョン・M・ダニエル4

極短小説 (新潮文庫)極短小説 (新潮文庫)
新潮社(2004-03)
販売元:Amazon.co.jp

妻殺しを企む男を襲う恐怖のピロートーク、結婚か別離かの選択をコインにゆだねるカップル、サンタクロースへの手紙の山を抱える郵便配達夫が選んだ解決法、等々…。スヌーピーの生みの親チャールズ・M・シュルツをはじめ、有名無名の作家たちが、愛と殺人、笑いと涙を題材に挑んだ、世界一短い小説157編を収録。

先週のすずらん本屋堂のテーマがショートショートでゲストの皆様が好きなショートショートを紹介していました。林家正蔵さんが紹介していたのがこの作品。実際に朗読をする方をお呼びして朗読もしていたのですが、それが面白くて!
正直私はショートショートってあまり好きではなかったのですが^^;久しぶりに手に取ってみました。番組の中で紹介された作品ももちろん面白かったですがそのほかの作品も面白かったです。よく分からなかったのもありますが←
中でも私はブラックな感じのものが好きだったかな。言いたいけどショートショートだからちょっと言っただけでネタバレになってしまうのが難しいところです。
小説を読むことが苦手な人も、ショートショートなので楽しめるかなと思います。

〈新潮社 2004.3〉H27.2.10読了

アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う ゲイル・キャリガー4

アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (英国パラソル奇譚)アレクシア女史、欧羅巴(ヨーロッパ)で騎士団と遭う (英国パラソル奇譚)
著者:ゲイル・キャリガー
早川書房(2011-12-07)
販売元:Amazon.co.jp

異界族と共存する19世紀の英国。人狼団の長マコン卿は、妊娠が発覚した妻アレクシアを放逐した。人狼に繁殖能力はないからだ。不貞行為の濡れ衣をかけられたアレクシアは、男装の発明家ルフォーと旅に出た。だがイタリアを目指す一行を吸血鬼が襲う! 一方、ロンドンではアケルダマ卿が姿を消し、マコン卿の副官ライオールが謎を追って奮闘していた――歴史情緒とユーモアで贅沢に飾られた懐古冒険スチームパンク第三弾!

前回、ここで終わり〜!?と思ったところからの始まり。
自分の子供だと信じない夫を見限りアレクシアはイタリアへ向かい、マコン卿はホルマリンを飲んで酔いつぶれ^^;最初はしっちゃかめっちゃかな感じでしたが。
アレクシアが妊娠し、生まれてくる子供は何者なのか。その真実を調べるためにアレクシアご一行とライオールが奮闘するのですがライオールが本当にお疲れ様です。という感じですね…可哀相に^m^
アレクシアは毎度の事命を狙われていますが今回もまあ大変でしたねぇ…^^;
チビ迷惑の正体も少しわかって、前途多難ですが少し前進して良かったです。

〈早川書房 2011.12〉H26.10.4読了

アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う ゲイル・キャリガー5

アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う (英国パラソル奇譚)アレクシア女史、飛行船で人狼城を訪う (英国パラソル奇譚)
著者:ゲイル・キャリガー
早川書房(2011-06-30)
販売元:Amazon.co.jp

異界族の存在を受け入れた19世紀のロンドン。この地で突然人狼や吸血鬼が牙を失って死すべき人間となり、幽霊たちが消滅する現象がおきた。原因は科学兵器か疫病か、あるいは反異界族の陰謀か。疑われたアレクシア・マコン伯爵夫人は謎を解くため、海軍帰還兵で賑わう霧の都から、未開の地スコットランドへと飛ぶ――ヴィクトリア朝の格式とスチームパンクのガジェットに囲まれて、個性豊かな面々が織りなす懐古冒険奇譚!

英国パラソル奇譚第2弾です。
19世紀のロンドンが舞台。人狼や吸血鬼が人間とともに生きている世界です。
前作でコナル・マコンと結婚し、マコン夫人となったアレクシア。
魂なき者として議長も務め、忙しい日々を送っているさなか、人狼や吸血鬼が人間となり能力を失う現象が起き始めます。そしてコナルも夫人に何も告げずにかつて自分が過ごしていたスコットランドへ飛び立ちます。
さまざまな謎に包まれた今回もどうなるか、ドキドキしてとても楽しめました。
アレクシアの大胆かつ聡明な言動は見ていて惚れ惚れするほど。
前回は冒頭でしか活躍しなかったパラソルも大いに大活躍!いやー面白い。
ただ、アイヴィとフェリシティのアホさ加減はどうにかならんものか。どうしてアレクシアとアィヴィって友達なんだろう。2人の自分のことしか考えてない、自分の身なりや流行しか考えない。
凄く危機的状況なのにちゃらんぽらんなことを言っていて、いらぁ!っと何度もしましたよ^^;
それでもまあ、なんとかなりましたが。
でもまさかの最後の展開。
私も少数派の意見を信じたいなぁ。
あとがきでこれからの展開が少し書かれていました。
アレクシアのお父さんのことも少しは分かるのかなぁ。楽しみです。

〈早川書房 2011.6〉H26.6.16読了

モルグ街の殺人事件 エドガー・アラン・ポー4

モルグ街の殺人事件 (岩波少年文庫 (556))モルグ街の殺人事件 (岩波少年文庫 (556))
著者:エドガー・アラン・ポー
岩波書店(2002-08-20)
販売元:Amazon.co.jp

密室殺人事件の意外な犯人を推理する天才デュパン。自分とそっくりな人間の影におびえる男。船をのみこむ恐ろしい大渦。ぶきみな黒猫を嫌悪する男…。謎解きのおもしろさと恐怖に満ちた7編を収録。

ポーの作品、初読みです。
森晶麿さんの黒猫シリーズを読んでからずっとポー作品が気になっていました。
きっと難しいだろうなと思ったので^^;児童書で読みました。
私が読んだものは7編収録。表題作や「黒猫」「アッシャー家の崩壊」などはタイトルだけ聞いたことがあります^^;
どれもミステリであり不気味であり。これがポーの世界観なんですね。
やはり時代が違うので、読むのに難しい部分がありはしましたが、面白く読みました。
私が1番印象的だったのは「黒猫」かな。あとは「赤死病の仮面」が怖かったです。
短い作品なのにどれも確立されていて人間の心理が如実に表れていて、そういう部分も怖かったりします。
他の作品も読んでみたいと思います。
そして黒猫シリーズを改めて読み返したら何か感じるところが…あるかなぁ?^^;
分かるかなぁ、自分。

H26.5.31読了

夜中に犬に起こった奇妙な事件 マーク・ハッドン4

夜中に犬に起こった奇妙な事件夜中に犬に起こった奇妙な事件
著者:マーク ハッドン
早川書房(2007-02-28)
販売元:Amazon.co.jp

数学や物理では天才なのに、他人とうまくつきあえない自閉症の少年クリストファー。お母さんを心臓発作で亡くした彼は、お父さんとふたり暮らし。宇宙飛行士が将来の夢だ。ある夜、隣の家の飼い犬が殺された。シャーロック・ホームズが大好きなクリストファーは探偵となって犯人を捜し、その過程を一冊の本にまとめようと心に決める。お父さんは反対するし、人との会話もすごく苦手だし、外を出歩いた経験もほとんどない。でも、彼の決意はゆるがない。たぐいまれな記憶力を使って、クリストファーは調査を進めるが、勇気ある彼がたどり着いたのはあまりに哀しい真実だった…。冒険を通じて成長する少年の心を鮮烈に描き、ウィットブレッド賞ほか数々の文学賞を受賞した話題作。

読みました。剛君の誕生日に読み終えるなんて…偶然ですけども←
面白かったです。こういう作品だったんですねー。
剛君がこの作品の舞台をすると決まらなければ私は手に取らなかった作品だったと思います。外国作品自体あまり読まないので…
この作品はクリストファー目線で終始語られるので、正直読みにくかったです。クリストファーの考えていることが難しかったり不思議だったり文章が読み取りにくかったり。読んでいて「アルジャーノンに花束を」を思い出しました。あの作品は最初凄く読みにくくて途中読みやすくなってまた読みにくくなりますけどこの作品はずっと同じ^^;
ミステリと言えばミステリなんですけど全体のテーマはクリストファーの成長であり冒険を描いた物語なんですね。
ウエリントンの犯人を本人は捜査してるつもりなんだろうけどもう言動が怪しすぎて読んでいるこっちはハラハラしました^^;そのあとにもっとハラハラする展開になるのだけど。最後まで読み終えてほっとした感じ。
自閉症、アスペルガー症候群、病気の名前は一言で言えますが症状は人によってそれぞれで、考え方も重度も異なり、また見た目は健常者と呼ばれる人間と同じだから勘違いされやすい。クリストファーの場合記憶力や数字に関しての能力が素晴らしく、上級試験を受けられるほど。
アスペルガー症候群のイメージってあくまで私の意見ですけどふんわりした曖昧な感情とか人の心の中とかそういう予測が出来ないからはっきり言ってくれないと理解できない印象があります。クリストファーもそうでした。両親に対しても学校の先生に対してもちゃんと言葉で伝えないと理解が出来ない。難しい問題ですね。
クリストファーは理解できなかったみたいだけど、両親は両親なりに、ちゃんとクリストファーを愛していて真摯に向き合っていると思いました。感情があらわになったり手が出てしまうこともあったけど、仕方がなかったのかな…。どう接していいかわからなくて分かってほしくて…という想いは伝わってきたから素直に手を出すのはダメ!とは思えなかったです。
この今の両親の想いがクリストファーに伝わっていれば!ともどかしくなるシーンもたくさんありました。
クリストファーの能力を生かしてこれから家族みんなが幸せに生きていくことが出来ればいいなと思いながら読み終えました。
この作品…どうやって舞台にするんだろう。観たいなぁ。剛君がどう演じるかとても楽しみ。癇癪起こしたりパニックになるシーンを凄く見たい←
どんな髪型になるのかなー。可愛くするんだろうなぁ。剛健でまた双子ちゃんになっちゃうんでしょ。いやーもう楽しみ!(論点がずれてきている)

〈早川書房 2007.2〉H26.2.20読了

フランケンシュタイン メアリー・シェリー5

フランケンシュタイン (光文社古典新訳文庫)フランケンシュタイン (光文社古典新訳文庫)
著者:メアリー シェリー
光文社(2010-10-13)
販売元:Amazon.co.jp

天才科学者フランケンシュタインは生命の秘密を探り当て、ついに人造人間を生み出すことに成功する。しかし誕生した生物は、その醜悪な姿のためフランケンシュタインに見捨てられる。やがて知性と感情を獲得した「怪物」は、人間の理解と愛を求めるが、拒絶され疎外されて…。若き女性作家が書いた最も哀切な“怪奇小説”

私事ですが、昨日『Forever Plaid』を観に行ってきました。その感想は後ほど書くとして。
東京へ行く際に持って行ったのがこの本でした。開場前、雨の中外でこの本を読みながら待ってました。健全なファンでしょ?^m^
冗談は置いておいて、なんとなくストーリーは知っていましたが改めて読んだのは初めてでした。
最後に訳者のあとがきが書かれていたのですが「作品名ほど著者の名前が有名ではない」「フランケンシュタインは怪物の名前だと思っている人が多い」と書いてあり、私はバッチリ当てはまる人間でした^^;
著者さんの名前は初めて知りましたし、女性だとは思っていませんでした。
更にフランケンシュタインは怪物の名前だと思っていました。怪物は怪物なんですね。
ってダブル主演の部分で役名が書かれていただろうに気付かなかった私。先入観とは恐ろしいものです。
改めて知ることができて、まーに感謝ですね。
ということで感想です。
訳者さんも書かれていましたが、私も読む前は怪奇小説だと思っていたのですが、そうではなく悲しい小説だと思いました。
「どうして私を造ったのか」それがそもそもの始まりで、フランケンシュタインは自分が想像していたものとは違う生命体を作り上げてしまった。そして怪物は自分がどうして生まれてきたのか、人から疎まれるのか、命を狙われるのか、その想いを繰り返し自問自答しながら創造主を探すことだけを糧として生きていきます。
もしも怪物が普通の容姿で生まれてきていれば、そもそもこんな不幸で悲しい物語にはならなかった。愛情と共感を知って生まれてきたのだから、悪魔と呼ばれる行為をすることもなかった。
フランケンシュタインが精神を病むくらい逃げて後悔してしまって、自業自得だと言ってしまえばそれまでなのだけど、逃げてしまう気持ちもわかって、ひどい後悔に苛まれていることも伝わってきて。
うまく言えないけど、ただただ切なくて悲しかったです。
後悔の念を叫ぶフランケンシュタインの言葉も切なかったけど、私は怪物の言葉のほうが胸に突き刺さりました。
ヒガシさんとまーは、フランケンシュタインと怪物をどのように演じるのでしょうね。
今から凄く楽しみです。

そういえば、『Forever Plaid』を見たときにフライヤーがあったんですけど、やっぱり2人は美しくてあのビジュアルにギャーなりました^^;
怪物をどう表現するんでしょうね。二人とも美しいのに…←

〈光文社 2010.10(原作1818年出版)〉H25.10.5読了

アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う ゲイル・キャリガー5

アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)
著者:ゲイル・キャリガー
早川書房(2011-04-08)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

19世紀イギリス、人類が吸血鬼や人狼らと共存する変革と技術の時代。さる舞踏会の夜、われらが主人公アレクシア・タラボッティ嬢は偶然にも吸血鬼を刺殺してしまう。その特殊能力ゆえ、彼女は異界管理局の人狼捜査官マコン卿の取り調べを受けることに。しかしやがて事件は、はぐれ吸血鬼や人狼の連続失踪に結びつく――ヴィクトリア朝の歴史情緒とユーモアにみちた、新世紀のスチームパンク・ブームを導く冒険譚、第一弾。

同期の司書に面白かったよと言われて手に取った作品です。
私は外国作品に関しては本当に疎いので、同期にオススメされなければ絶対に気づかなかった作品だと思います。
読んでよかったです。面白かった。
外国作品を避けてしまう理由としては登場人物を全然覚えられないということと^^;何となく文章がまどろっこしくてスラスラ読めないんです、私。
この作品もその部分に関しては例外ではなく…SFでもあるので世界観に入り込むまでには時間がかかりました。
それでも、吸血鬼に人狼に普通?の人間が共存する世界ですよ。好きな人にはたまらないですよね^^私はちょっと「ときめきトゥナイト」を思い出しました^m^
<魂なき者(ソウルレス)>と呼ばれる彼女はブラックリスト化されており、吸血鬼や人狼は彼女には近づきません。なぜなら近づくと能力がなくなりただの人になってしまうから。
しかし、そのことを全く知らなかった吸血鬼がアレクシアに近づき、誤ってその吸血鬼を刺殺してしまいます。そこからアレクシアは問題ごとに巻き込まれていきます。
ストーリーも気になりますが出てくる人たちも個性的。アレクシアと始めは犬猿の仲だったマコン卿とまさかまさかの展開になるし、吸血鬼のアケルダマ卿もなかなか強烈。そしてアレクシアの家族が本当に嫌いでした。妹たちとは半分しか違繋がっておらず、母親もアレクシアの父とどうして結婚してしまったのか、後悔していたりします。みんな何となくアレクシアを邪魔者扱いしていてバカにしています。読んでいる側からすればアレクシアの方がよっぽど聡明で、その他は結婚とおしゃれにしか能のない頭の悪い人達にしか見えなかったから。
そしてマコン卿との関係は初めはじれったくてじれったくて「きー!」ってなりながら読んでました^^;人と人狼だから慣習が違うのは分かるけどなんだその駆け引き!と軽くツッコミながら読んでました。まあ何とかなってよかったですが。
終盤はどうなることかとヒヤヒヤしましたが、最後はほっとしました。最後までアレクシアは冷静でしたね。そして怒涛の展開が待っていてアレクシアの環境がガラリと変わります。変わってからのアレクシアを読むのが楽しみです。
全部でこのシリーズは5冊あるようなので、あと4冊、楽しみに読もうと思います。

〈早川書房 2011.4〉H24.10.27読了

アルカード城の殺人 ドナルド・ウェストレイク3

アルカード城の殺人 (扶桑社ミステりー)アルカード城の殺人 (扶桑社ミステりー)
著者:ドナルド&アビー・ウェストレイク
扶桑社(2012-06-30)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

時は一八九×年、トランシルヴァニアの森に建つアルカード伯爵の古城。蔵書整理のため到着したばかりの司書が殺害される。容疑者は、夜にしか活動しない伯爵とその娘、うろんな博士と言動のおかしい助手、いわくありげな女占い師など怪しげな人物ばかり。はたして真犯人は誰なのか?容疑者たちの証言から真相を推理する探偵役は読者であるあなた。キングやストラウブも出演したミステリーイベントを、主催者であるウェストレイク本人が小説化した犯人当てゲームの逸品。

司書の先輩から、司書が殺される作品なんだと伺い気になって^^;手に取りました。
普通の小説とは異なり、ニューヨークのモホンク・マウンテンハウスで1977年から毎年開催されているホテルの滞在客が参加する犯人当てのミステリー劇のイベント「ミステリー・ウィークエンド」を再現した書籍化企画なのだそうで、実際にそのイベントで撮影された写真がいくつも掲載されています。
本格的に自分で考えて犯人を特定しろと読者に挑戦状を出しているようです。クイズもありましたし。私はクイズはあんまり考えないで解決編を読んじゃいましたけど。
殺人が行われるまでの流れと、容疑者たちの証言をもとに犯人を考えます。
多分あの人じゃないかなぁと思ったりもしましたけどちゃんとした理由付けが私はなかったので^^;読み終えてなるほどと思った次第です。
私は海外作品をあまり読まないので、著者が2008年に75歳で亡くなるまでに100作以上の小説を書かれた凄い人だということを知りませんでした。
ページ数も多くないですし楽しんで読めるので、小説をあまり読んだことがない人にもオススメだと思います。伏線は何か動機は何かと自分で考えるのは楽しかったです。(私はなんとなくさらーっと考えた程度でしたけど^^;)

〈扶桑社 2012.6〉H24.8.21読了

罪悪 フェルディナント・フォン・シーラッハ5

罪悪罪悪
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2012-02-18)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。麻薬密売容疑で逮捕された孤独な老人が隠す真犯人。―弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。刑事事件専門の弁護士が、現実の事件に材を得て描きあげた十五の異様な物語。世界各国を驚嘆せしめた傑作『犯罪』の著者による、至高の連作短篇集。ドイツでの発行部数30万部突破。ドイツCDブック賞ベスト朗読賞受賞。

昨日に引き続き読みました。同様に弁護士が必要となる事件が次々生じます。
そこは前作と同じ感じなのですが、今回の作品はタイトル通り罪悪が残る感じで、物凄く後味の悪いお話も多いです^^;うーわーって思うのが多かったです。報われないとかぷつっといきなり終わっちゃうとか。真犯人が分からずに泣き寝入りみたいなのもあったし・・・
後味が悪いのに読むのが止まらなくなるんです。結構短い短編もあるのに不思議です。
今回好きだったのは「ふるさと祭り」「寂しさ」「秘密」ですかね。
好きっていう言い方をすると人格を疑われるような気がしますが^^;
こうきたか!っていうのと後味の悪さに度肝を抜かれました。
特に「秘密」1番最後の作品なんですけど、最後の文章に驚きました。
えぇぇぇ〜そう来るか〜怖い〜っていう^^;
面白かったです。

〈東京創元社 2012.2〉H24.7.7読了

犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ5

犯罪犯罪
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2011-06-11)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。ドイツでの発行部数四十五万部、世界三十二か国で翻訳、クライスト賞はじめ、数々の文学賞を受賞した圧巻の傑作。

いつもお邪魔しているブログの方が読んでいるのを何度か見かけ、気になって手に取りました。この著者さん、小説家であり弁護士でもあるんですね。
短編集なのですが、一つ一つの物語がとても濃厚です。
弁護士さんが書かれているものなので事件に関して加害者、被害者、その知人、家族、と事件を取り巻く人達の書き方が見事だなと思いました。
また、法律に関してもやはり何だか微妙なところを突いてくるのですよ^^
それがまた凄いです。
どの作品も納得でしたが特に好きだったのは「タナタ氏の茶盌」「ハリネズミ」「エチオピアの男」ですかね。
ちょいちょい日本人が登場したのも嬉しかったです。
悍ましくて怖い殺人事件ばかりが取り上げられているのに読むのが止まらない、不思議な作品でした。
「罪悪」も手元にあるので読みます^^

〈東京創元社 2011.6〉H24.7.6読了

ようこそ、自殺用品専門店へ ジャン・トゥーレ4

ようこそ、自殺用品専門店へようこそ、自殺用品専門店へ
著者:ジャン トゥーレ
武田ランダムハウスジャパン(2011-09-15)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

10代続く老舗の「自殺用品専門店」へようこそ!どんな死に方をお望みで?首つりロープ、切腹セット、毒リンゴにタランチュラ。ふつうの死に方から、男らしい死に方、女らしい死に方まで、死を願うすべての人の希望を叶える商品を取り揃えております。店はわれわれテュヴァッシュ家が代々経営していますが、おかげさまで、いつもそこそこに繁盛しています。われわれ一家はこの店にふさわしく、暗く、陰鬱で、笑ったことなど一度もありません。だからこそ、お客様にも信用していただけるのです。長男のフィンセントはいつも頭痛に悩まされ、頭は包帯でぐるぐる巻き。現代のゴッホのような風格です。長女マリリンはものぐさで覇気がないけど、店の雰囲気を壊したりはしません。…なのに、末っ子アランが生まれてから、すべてがめちゃくちゃです!この子がベビーカーのなかで笑うのを見たときから、イヤな予感はしていたんです…フランスでベストセラーになったブラックユーモアあふれる物語。

久しぶりに読んだ海外作品です。
タイトルがあまりに衝撃で、だからかなおさら気になって手に取りました。
10代続く自殺用品専門店に生まれた二男のアラン。彼が生まれる前まではお店にふさわしい家族だったのに、アランは陽気でどんな言葉にも前向きで。
よくこんな家族の中で暮らしているのに暗くなったり悲観的になったりしないなと思いました。
最初は読んでいても暗くなるような内容で、自殺したいと思っている人たちの言い分も誰かしら抱えているような悩みで身近にも感じて陰鬱となっていったのだけど。
それでもアランがいることで徐々に家族にも明るい部分や前向きな部分が出てきて洗脳されてきて、最後にはみんな幸せそうで、素敵なラストになるんだと思いました。
・・・最後の1行を読むまでは。
始めは意味が分からなくて、それで終わりだと思わなかったのでページをめくったらあとがきになっていて、どういう事だ?と何度も最後のシーンを読み返しました。
正直どうしてこうなってしまったのか、読み終えた今でも理解が出来ていません。
ブラックユーモアっていっていいのか?^^;
心の中のモヤモヤ度がハンパないです。
うーん・・・うまく言葉に表せません。まだこの物語の余韻から抜け出せないでいます。
ずっとその想いを離さない。それだけで衝撃作であり著者の思惑通りになったという事なのでしょうか。

<武田ランダムハウスジャパン 2011.9>H24.2.3読了

怪傑ゾロ ジョンストン・マッカレー5

快傑ゾロ (角川文庫)快傑ゾロ (角川文庫)
著者:ジョンストン マッカレー
販売元:角川書店
発売日:1998-08
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

覆面の騎士ゾロは、強きをくじき弱きを助く、大盗賊にして紳士。その首には賞金がかかったお尋ね者だが、男気溢れる快刀乱麻の活躍ぶりに、密かに応援する者も少なくなかった。元大地主の美しい一人娘ロリータは二人の青年から救婚されていた。ちょっと気弱な大富豪の息子ドン・ディエゴと、野心たっぷりの青年将校ラモン。ところが、彼女は追われてわが家に逃げ込んできたゾロに一目惚れしてしまう…。決闘あり仁義あり、恋も笑いもスリルも溢れる、一大冒険活劇の大傑作。

来年に坂本君がゾロでミュージカルをするということで、ちゃんとストーリーを知らない!と思い、読んでみました。
面白かった!
1920年に書かれた作品なのに、全く古さは感じなかったですし、とにかくゾロがカッコイイです!
突っ込みどころはまあ多少ありましたけど^^;
でも、ゾロの立ち振る舞いが本当に紳士で、素敵でした。
軍曹たちには悪人扱いされて、勝手に脚色されてますけど、本当に弱いものを助ける素敵な人なんですよね。
戦いの描かれ方も良くて、読みやすかったです。
ゾロの正体は最初のほうで分かりましたけどね〜。
ゾロを坂本君で当てはめて読んじゃいました。
マスク被ってゾロになってる写真が新聞に出てましたし。
妄想して読んでいるだけでかっこいい〜って思ってニヤニヤしてしまいます^m^
ロリータとシーンが本当に素敵。
あんなふうに口説かれたら、もう他の人は目に入らないですよね。
愛を貫く姿も素敵。
あぁ・・・ミュージカル・・・。
私は坂本君の舞台を初観劇、初ミュージカル観劇予定なのですが・・・
当たるかなぁ・・・。そして飛行機はちゃんと飛ぶかなぁ・・・^^;

〈角川文庫〉H22.9.4読了

ずっとお城で暮らしてる シャーリイ・ジャクスン4

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)
ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)
すべての善人に読まれるべき、本の形をした怪物である――桜庭一樹
過去に一族のほぼ全員が毒殺されたブラックウッド家。幼いメリキャットと姉のコンスタンス、そして二人の伯父ジュリアンの三人だけが生き残った。十八歳になったメリキャットは、毒の影響で不自由な体となり、狂気に冒されつつあるジュリアン、毒殺魔と噂されるコンスタンスとともに、閉ざされた屋敷で静かな暮らしを営んでいた。
週二回、食料品を買いに村へゆくと、ブラックウッド家に敵意を抱く村人たちが彼女を待ち受けている。だが、メリキャットは強固な空想の中で生き、彼女なりに村人たちを軽蔑し、憎むことで己を守っていた。
空想に彩られた穏やかな日々を過ごす三人の元に、突然、今まで連絡の無かった従兄のチャールズが訪れる。世慣れた様子の彼に惹かれるコンスタンスと、忌み嫌い追い払おうとするメリキャット。だが、美しく病める箱庭世界は大きな変化を迎えようとしていた……。

皆様のブログを拝見し、何度かこの作品が取り上げられているのを見つけ、気になっていました。
図書館になかったため、読めないなぁと思っていたら、「書店はタイムマシーン-桜庭一樹読書日記」に登場し、桜庭さんが絶賛されていたため、文庫本を買ってしまいました。
その本を読んで、文庫本が出ていると知ったので。
ジャンルとしては、ホラーなんですよね。
キャーって思う怖さとは違って、心の中がすうっと冷えてしまうような、何だか物悲しい怖さを感じました。
ブラックウッド家はかつては資産家で、家族で幸せに暮らしていた。
でも、毒殺事件によって家族はコンスタンスとメリキャットと叔父のジュリアンだけとなってしまう。
それでも、街の人たちには不気味がられてからかわれても、この3人で生活は成り立っていて、幸せに暮らしていた。
はず・・・だったのに、従兄弟のチャールズによってその幸せな生活が崩れていく。
私は最初、チャールズが真実を知っていて、3人を光の指すほうへ導いてくれるのかと思っていたのだけど、全然違いましたね。
チャールズがやってきた後にまた大きな出来事があるのですが、そのときの街の人たちの3人に対する言葉が胸に突き刺さりました。
人は怖い。軽はずみな言動でも、言って良いことと悪いことがあります。
それを読んでいて強く感じたから、2人は2人っきりで生きていくのも、ありなのかなとも思ってしまいました。
コンスタンスとメリキャットにとっての幸せは、この屋敷で2人で暮らしていくことなんですよね。
とても怖かったし、それがいいことなのかは分からないけど、でも2人にとってそれが幸せならば、それもありなのかなとも思いました。
いやはや、凄い作品だったな。

〈創元推理文庫 2007.8〉H21.10.2読了

ロミオの青い空 鏡京介 原作リザ・テツナー4

ロミオの青い空 (竹書房文庫―世界名作劇場)
ロミオの青い空 (竹書房文庫―世界名作劇場)

家族のため人買いルイニに買われミラノで煙突掃除夫となったロミオ。
想像以上に厳しい生活に耐えられるのは、親友アルフレドとの誓いと煙突の先の青空があるから—。
やがて、不良グループ「狼団」から煙突掃除の少年達を守るため「黒い兄弟」が結成された。
少年同士の熱き友情は『世界名作劇場』の伝説となった。

アニメのノベライズ本です。世界名作劇場の文庫版は何冊か出ています。
私は何作か見ていますが、「ロミオの青い空」が1番好きです。放送されたのは1995年。13年前か〜。
原作の「黒い兄弟」も読みました。
登場人物はフィクションですが、煙突掃除夫として奴隷のように働かされていた子ども達がいた事は事実なんですよね。
肺に煤がたまり、食べ物もろくに与えてもらえず、死んでしまった子どももたくさんいたと言います。
そういう史実があったと言う事を忘れてはいけないと思うし、そういう子ども達を作ってはいけないと、思わせてくれる重い作品だと思います。
でも、出てくる子ども達はみんな明るくて前向き。
主人公のロミオも前向きで挫けず、明るいとってもいい子です。
原作ではジョルジョという名前なのですが、多分日本人には聞きなれない名前だからアニメでは変わったのかな。
先の見えない不安もたくさんあるのに、周りを明るくしてくれる。博識のアルフレドも、病弱なアンジェレッタも、強気なビアンカもみんなロミオの事が好きで、信頼できる仲間だと思える、そんな子。
ノベライズ本はやっぱりアニメを見ていないと分かりにくい所もあって入り込みにくかったけど、やっぱり素敵な作品でした。
世界名作劇場の中でも放送回数が少なかったらしいですが、それでも心に残る作品でした。
アルフレドとロミオの友情は、好きだったなぁ〜。
主題歌も好きでした。この文庫、主題歌とエンディングの収録されているCD付きなんです。だからこの作品が文庫化されるのをずっと待っていて、発売された時に速攻で買ったんです。
のわりに、読んだのは4年後だったけど^^;

〈竹書房 2004.7〉H20.11.14読了

ハリーポッターと死の秘宝 J・K・ローリング5

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

7月31日、17歳の誕生日に、母親の血の護りが消える。
「不死鳥の騎士団」に護衛されてプリベット通りを飛び立ったハリーに、どこまでもついていくロンとハーマイオニー。
一方、あれほど信頼していたダンブルドアには、思いがけない過去が。
分霊箱探しのあてどない旅に、手掛かりはダンブルドアの遺品だけ。
ハリーは全ての分霊箱の在りかを探し出し、ヴォルデモートを倒す事ができるのか。

ネタバレありかもです。

読みましたよ〜。苦労しました^^;
7巻を読み始めるのと6巻まで読み終えるのが大変だった…。
でも、頑張った価値がある作品だったと思います。
ダンブルドアが亡くなり、ハリーただ一人で分霊箱を探すこととなる。
そう思っていたけど、ロンとハーマイオニーは何年も前からハリーとともに戦う事を決めていた。
そして、それをダンブルドアも分かっていたのか、3人にある遺品を残す。
その意味が分かった時は、深いなぁと思いました。
ロンが一時離脱したり、大事な人との別れがあったり。
たくさんの危険が迫っていても、ハリーたちは怖気ることなく立ち向かいます。
ハリーとヴォルデモートの戦いの中のハリーの台詞の数々は惚れ惚れしてしまいます^^
でも、中でもとても印象的なのは翻訳者と同じく33章です。
何かあるなとは思っていたのですが、見事に騙されていました。
なんて切ない人生だったのでしょう。
そして、なんて純粋な人なんだろう。人生を懸けてずっと一人の人を愛し続けるなんて。1番感動したかも。
最後は幸せになってよかったねと思いました。

〈静山社 2008.7〉H20.9.8読了

ハリー・ポッターと謎のプリンス J・K・ローリング5

ハリー・ポッターと謎のプリンス ハリー・ポッターシリーズ第六巻 上下巻2冊セット (6)

ヴォルデモートの復活のせいで、夏だというのに国中に冷たい霧が立ち込めていた。
そんな中を、ダーズリーの家にダンブルドアがやって来るという。
いったい何のために?そして、ダンブルドアの右手に異変が……。
17年前の予言は、ハリーとヴォルデモートとの対決を避けられないものにした。
過酷な運命に立ち向かう16歳のハリーに、ダンブルドアの個人教授が始まる。

頑張った…。読み終わった…。
今日、図書館に第7巻を取りに行くんです^^;それまでに読み終わらなければと思い、昨日丸1日かけて読み終えました…
時間を有効に使ってるんだか使ってないんだか…。
この作品を読む前に7巻のあらすじを読んでしまって、微妙にネタバレを知ってしまってたんです。
なので、失敗したなぁと思います。
でも、その過程や犯人が誰なのか、分かっていなかったのでそれはスッキリしましたけどね。
6巻はハリーにイライラする事はなかったですね、やはりハリーも成長したのでしょうか^^;
それとも、自分の使命を嫌でも知ることとなり、大きな重圧がのしかかっている事を知ったからでしょうか。
16歳の少年にとって、この運命は過酷過ぎますよね。
7巻がどうなってしまうのか気になります。
にしても、酷いですね。本当に酷い。暗いです。報われないです。
ハリーがかわいそすぎます。
もっと青春を謳歌するべき年頃なのに。勉強も恋も。全て諦めなければならないんですから。
でも、友達には恵まれましたよね。
ロンとハーマイオニーも大人になったなぁと思います。
何だかんだ言いましたが、次が最終巻です。
終わっちゃうのは寂しいですが、早く読みたい。

〈静山社 2006.5〉H20.8.17読了

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 J・K・ローリング4

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)

復活したヴォルデモートとの戦いはいつ始まるのか?
ハリーにはなんの知らせも来ない。そして突然ハリーは吸魂鬼に襲われる。
「不死鳥の騎士団」に助けだされたハリーは、「騎士団」が何か重大な秘密を守っていることを知る。
新学期が始まり、恐ろしい新任教授アンブリッジと黒い扉の夢に悩まされ続けるハリーに、チョウ・チャンが微笑みかける…。

最終巻「ハリー・ポッターと死の秘宝」が発売されたと巷で話題になっているときにこんな前の作品ですみません^^;
5巻も6巻も持っていたのですが、タイミングを失い、図書館で7巻を予約したら何だかそろそろ来そうな感じだったので^^;
あわてて読みました。
映像化されているから、キャストを想像して読んでしまうのですが、まだ3人は15歳なんですね…。
何だかもっと歳をとっている気になってました。
だからかどうも違和感が…。
前にも書いたかもしれないけど、ハリーの気持ちが幼い部分が残っていて、姿と感情がアンバランスな気がするのです…。
5巻は何だかイライラしてしまったなぁ^^;
ハリーに対して、どうしてまたそういうことするの!って突っ込みを入れたいところが多々ありまして^^;
相手の思う壺なんだから止めなさいって、言いたくなりましたよ。
どういう展開になっていくのかとても気になって読んでいきましたが、段々確信に迫ってきていますね。
ずっと秘密にしていた事が明らかになったり、ついにあの人が…!って言う場面もあったし。
最後はとてもせつないラストでした。
6巻はどうなっていくのかな。
また、急いで読まなくちゃ^^;
やっと読んだので、映画も今更ながら見れます…。

〈静山社 2004.9〉H20.8.3読了

ラベルのない缶詰をめぐる冒険 アレックス・シアラー4

ラベルのない缶詰をめぐる冒険

くるくる天然パーマに牛乳瓶めがねをかけて、「天才少年」にしか見えない少年、ファーガルのひそかな趣味は、スーパーで安売りされる、「ラベルのない(取れてしまった)」缶詰を集めること。
ある日、振るとカラコロ音がする、不審な缶詰を開けると、そこに入っていたのは金のピアス。
こうして、ファーガルの、ラベルのない缶詰をめぐる冒険がはじまった—。

久々のアレックス・シアラーさんです。
凄いです。本当に。どうしてこんなストーリーが思い浮かぶのでしょう。
着眼点が凄いです。
装丁が可愛くて、何だか気になるタイトルだったので読んだのですが、あんなスプラッタな展開になるとは…。
引き込まれますね〜。面白かった。
ちょっとネタバレになってしまうので、あまりいえませんが、缶詰を集める趣味からあんな展開になるとは…という感想です。
面白かった!
でも、私はもう、キャットフードとラベルのない缶詰はあけられないかも^^;怖くて。
関係ないけど、アレックス・シアラーさんの訳ってほとんど金原瑞人って方がされているのですが、芥川賞作家金原ひとみさんのお父さんなんだってね。
娘さんの作品は読んだ事がないけど驚きました。

〈竹書房 2007.5〉H20.7.18読了

たのしいムーミン一家 ヤンソン4

たのしいムーミン一家

長い冬眠から覚めたムーミントロールと、仲良しのスナフキンとスニフが海べりの山の頂上で黒い帽子を発見した。
その帽子は、物の形や姿を変えてしまう魔法の帽子だった。
この帽子を拾ってしまった事で、ムーミン一家の周りではたくさんの不思議な事がおこるようになる。

「かもめ食堂」に触発されて、読んでみました。
私はアニメもあまり観た事がないのですが、思ったとおり愛くるしいキャラクターですね^^
スナフキンがムーミン達と暮らしていたって言うのが驚きでした。
最後には旅に出ちゃったけど・・・。次回はでるかな。
ミイやミムラは出てこなかったなぁ。
これから出てくるかな。
他に7冊あるので、ちょこちょこ読んでいこうと思います。

〈講談社 1978.4〉H19.1.8読了

白い犬とワルツを テリー・ケイ3

白い犬とワルツを

長年連れ添った妻コウラに先立たれ、自らも病に侵されたサムは、暖かい子ども達の思いやりに感謝しながらも一人で余生を生き抜こうとする。
妻の死後、どこからともなく現れた白い犬と寄り添うようにして。
犬は、サム以外の人間の前にはなかなか姿を見せず、声も立てない。
始めは追い払おうとしていたサムだったが、段々その白い犬を愛おしく思うようになる。

う〜ん・・・感動的なのを想像していたのですが。
ちょっと違いましたね。
家族や奥さんの愛はたくさん感じましたが。
でも、娘さん二人を好きになれなかったな〜
父親を心配しているのはわかるけど、病気についてとか決め付けすぎ!
父親の事、ちゃんと見てるのかなって思っちゃう。
義理の息子達の方がしっかりしてると思っちゃったよ。
それは私がまだ子供の考えだからなのかなぁ。
う〜むむむ。
嫌いではないんですけどね^^;

〈新潮社 1998.3〉H18.10.1読了

片目のオオカミ ダニエル・ペナック3

片目のオオカミ

動物園に、1頭のオオカミがいた。
そのオオカミは片目がなく、どんな人間に見られても背を向けていた。
ある日、1人の少年が、オオカミの前に現れた。
その少年は、ただじっとオオカミを見つめていた。
オオカミは少年を相手にしなかったが、少年はオオカミと同じように片目を手で覆い始め、ずっと見つめていた。
その姿を見て根負けしたオオカミは、自分の過去について話し始める。

面白いと言える作品ではなかった。
でも、オオカミの過去、少年の過去は、実際にも起こりえる現実であると思った。
心に傷を負うような辛い過去。
1匹と1人の共通点は、人間によって翻弄されたと言う事。
人って言うのは、人以外の動物にも人間にも危害を加えるんだよなぁ。
なんて、考えさせられたり。
オオカミと少年の友情ってのは、新鮮でよかったようにも思う。
これから明るい未来が、オオカミと少年に訪れるといいなぁとも思う。

〈白水社 1999.9〉

スノードーム アレックス・シアラー4

スノードーム

チャーリーの所属する研究所で、若い科学者クリストファーが姿を消した。
彼は、絶対的に不可能とされる「光の減速器」の研究を続ける、ちょっと変わった青年だった。
失踪の際、彼は同僚のチャーリーにある原稿を残した。
そこには、不思議な物語が綴られていた。
彼が残した物語は、真実か、それともまったくの空想か。

ネタバレ注意!

最初は文章がわかりずらくて、読みにくいなぁと思っていたのだけど、あっというまに惹かれました。
研究所での会話だからね。わからないのも仕方ないのかな。
クリストファーの残した物語に変わると、いつもの作品と同じように、読んでいて止まらなくなった。
クリストファーの人生を大きく変えたエックマンの行動は、稚拙だとしか言いようがない。
読者の中には、エックマンに愛情も沸いてくるといっている人もいるけど、私はそうは思わなかった。
醜い顔をした人の目線が気になる芸術家。
彼のした事は、子どもじみていて、救いようがない。って、私は思ってしまった。
クリストファーやロバート、ポッピーの事を何も考えていない。
ただ、エックマンの最期は、想像するとなんとも悲しい。
そのあとにクリストファーがしたことも、正しくはないかもしれないけれど、そうしなければならないような衝動に駆られたんだろうな〜。
ラストは意外・・・でもなかったけど、良い終わり方だったのかな。

〈求龍堂 2005.1〉H18.8.20読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
Categories
Archives
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

記事検索
Recent Comments
ブログリスト
カウンタ





  • ライブドアブログ