可燃物 (文春e-book)
米澤 穂信
文藝春秋
2023-07-25


群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って犹瓢Ν瓩靴燭里?(「崖の下」)
榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)
太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」)
連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

「崖の下」冒頭からなんだか読んだことがある気がするなぁと思ったらやはり既読でした。「神様の罠」というアンソロジーに収録されていました。こちらを読んだ時は、その時登場した葛警部のシリーズが出来るなんて想像していませんでした^^;こちらの事件は凶器を知った時に背筋が凍りました。そして痛い…
「ねむけ」強盗事件と交通事故、両方に関わる人物について調べているために眠らない日々が続き、その眠気によって真相に到達した葛警部すご!となりました。
「命の恩」なぜ死体を切り刻んだのか。その理由が分かった時、なぜそこまでする?できる?となった。そして当の本人は何の感情も抱いてなさそうなのがまた辛い…ケースワーカーってことは生活保護を受けるようになったんだろうな…
「可燃物」なぜ放火が起きたのか。なぜ放火が起きなくなったのか。その動機が本末転倒でちょっと読み終わった後に失笑してしまいました。本人にとっては切実だったんだろうけど、それでもちょっとやりすぎでしたね。
「本物か」立てこもり事件が発生して、みんなが犯人を特定して中を探る中、葛警部の機転は流石だと思いました。哀しむ人が一人でも減って良かった。それにしても犯人は周りも巻き込んで人殺しまでして迷惑な奴だったが。
葛警部はシリーズ化されるんでしょうか。上司にも部下にも人望がなさそうで^^;でも検挙率は高いから仕事に関してだけは信頼されているんだろうと思うけど、読んでいる側は若干辛いかもしれない(笑)