札幌の珈琲店「タセット夕暮れ堂」には、後悔を抱えた人を過去へ連れていき爐笋蠶召鍬瓩鬚気擦討れる魔女がいるという。チャンスは一度、珈琲を淹れる4分33秒の間だけ。
果たして今日のお客は未来を変えられるのか、それとも同じ過去を繰り返して時間遡行を終えるのか――。優しくもちょっぴり苦い、感動のファンタジー。

新シリーズですね。
将来を嘱望され、幼いころからピアニストになるため留学していた陽葵。事故に遭い手にけがをしたために帰国し、日本の中学校に通うことになる。
1か月遅れの登校でいじめられるのではないかと足がすくんで動けなくなる陽葵。そんな陽葵に声をかけたのがカラフルな洋服を着た杉浦さんという女性。彼女のお陰で学校へ行くことが出来た。お礼を言おうと翌日彼女の姿を探すも見つからず、みんなは存在すら知らないようなことを言う。
彼女が存在していたことを証明するために、オススメされた珈琲店へ向かう。そこで出会った店主の2人から、思わぬ事実を告げられる。
タイトルからファンタジーだろうなと思っていたのですが、陽葵を始め珈琲店を訪れる人たちが抱える過去は辛いものが多かったですね。そして陽葵が持っている能力。自分の過去を変えられないのは悲しい。でも、陽葵が後半にやっていることはやっぱり賛成はできないよな…と思ったりしました。他人の人生を勝手に動かしてはいけないと思うし、過去を変えたら代償が発生するだろうことも想像がつくもの。
終わりが近づいてきているのに陽葵の母親の毒親っぷりは変わらないし、きっと妹は陽葵のことが嫌いなんだろうけどそこも書かれていないし、何よりも千歳くんのことが気になっていました。何となく予想は付きましたけど、やっぱりそうでしたか。
とても気になるところで終わっているので次回が楽しみです。

<文藝春秋 2023.4>2023.6.11読了