山田(松山ケンイチ)は、北陸の小さな街の塩辛工場で働き口を見つけ、社長(緒形直人)から「ハイツムコリッタ」という古い安アパートを紹介される。家族も生き甲斐もなく、「ひっそりと暮らしたい」と無一文のような状態で引っ越してきた山田。ある日、隣の部屋の住人・島田(ムロツヨシ)が風呂を貸してほしいと上がり込んできた日から、山田の静かな日々は一変する。夫を亡くした大家の南(満島ひかり)、息子と二人暮らしで墓石を販売する溝口( 吉岡秀隆)といった、なぜだか住人たちと関わりを持ってしまい… 。図々しくて、落ちこぼれで、人間らしいアパートの住人たちに囲まれ、山田は少しずつ「ささやかなシアワセ」に気づいていく― 。

荻上監督作品ということで楽しみに観ました。
あまり内容は知らず、あらすじだけを読んでから見始めたのですが、他人と関わろうとせず無機質な感じの山田を見て、きっと前科がある人なんだろうなってちょっと察してしまいました。工場長の言葉もあったし。でも、きっとやってしまったことは犯罪だけど、そうしようと思ってやったわけじゃなくてだから後悔して生きる意味も失いつつあるのかなと思ったりして。
なのにそんなのをぶち壊すような島田の登場(笑)ムロさん、ああいう変な人を演じたら天才ですよね(褒めている)初対面の汗だくの中年男性にお風呂貸してなんて言われても、嫌ですよねー
なぜかご飯が炊けたらやってくるし、勝手に2杯食べるし。
でも、ある日突然来なくなって、凄く違和感を感じて呼びに行っちゃう感じ、上手いなぁと思いました。思わず笑ってしまいました。
前科を知られてしまって、社長にもつい愚痴ってしまって。でも、隣にいた中島さんは最初から分かっていて自分を受け入れてくれていた。きっと嬉しかったんじゃないかなぁ。社長の沢田さんはなんか励ましが空回りしているような気が最初はしていたけど、だんだん重みを感じてきて、それがちゃんと山田にも伝わっている気がしました。
周りの人たちとの関わりも凄く好きでした。
吉岡さんがああいう役をやるのなんて見たことが無かったので新鮮で、素敵でしたし、笹野さんの役も好きでした。あとエンディングで薬師丸ひろ子さんの名前が出てきてえ!?どこに!?と思ったらあの電話の方でしたか!!!気づかんかった!!!
そして満島さんの役も良かったなぁ。管理人さんらしいちょっと肝っ玉っぽい感じもありつつ、旦那さんをずっとずっと愛している感じが徐々に伝わってくるのが良かった。あの骨に触れるシーンは凄く官能的で、美しかったです。
W座だったのでお2人の感想も聞けたんですけど、小山さんがおっしゃるように出てくる人たちみんなが愛おしく感じました。みんなを抱きしめたくなります。
「食べることは生きること」小さい頃、とあるマンガを読んでいたら出てきた言葉で、ずっと心に残っていました。死にたくなるくらい辛いと思うときも、私はこの言葉を思い出しながら食べていたなって。山ちゃんと島田さんがご飯を食べるシーンも好きだったけど、私は皆ですき焼きを食べるシーンが凄く好きでした。みんなで楽しそうでこの中に入っていきたいなと思いました。
私もただここにいるだけで、生きているだけでいいんだって思えました。
私もこの映画のように生きている中での小さな幸せを見つけてそれを嬉しいと感じながら生きていきたいなと思いました。