クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)
キャロル オコンネル
東京創元社
1999-09-23


クリスマスを控えた町から、二人の少女が姿を消した。誘拐か?刑事ルージュの悪夢が蘇る。十五年前に双子の妹が殺されたときと同じだ。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れた―「わたしはあなたの過去を知っている」。一方、監禁された少女たちは力を合わせ脱出のチャンスをうかがっていた…。巧緻を極めたプロット。衝撃と感動の結末。新鋭が放つ超絶の問題作。

以前読んだ「Another side of 辻村深月」の中で辻村さんが「クリスマスに少女は還る」のような作品が書けたら死んでもいいとおっしゃっている文章があって。私は読んだことが無かったので気になって手に取りました。
いやー…長かったー…^^;3月までは通勤時間が長かったのでそこで大体本は1〜2日で読めていたんですけど、通勤時間がほぼ無くなった環境になったとはいえ1週間以上かかりました。こんなにかかったのは久しぶりかも。
クリスマスを数日後に控えたある日、2人の少女が失踪。
一人は学校の問題児、もう一人は副知事を母に持つ知的な美少女。
警察は誘拐事件と判断し、捜査を始めます。刑事の一人であるルージュ・ケンダルは今回の事件と同じように15年前にクリスマスに一卵性双生児の妹を殺されています(男女の一卵性双生児は何十億分の1の確率だそう)。すでに犯人は逮捕され服役中ですが今回の事件が当時の事件と酷似しているため誤認逮捕だったのでは?という意見も浮上します。
更にルージュの過去を知っていると言う顔に大きな傷を持つアリ・クレイ。彼女も重要な人物です。
登場人物がそこそこいていろんな人のいろんな視点が交錯するためとてもお話は長いです。でもその分じわじわ犯人を追い詰めてきているようなそんな感覚になります。
そして1番のキーマンは誘拐されたサディーとグゥエンだと思います。たった10歳の少女たち。2人の生きようとする意志が凄まじかったです。逞しかった。
サディーの母親が言った「みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ」という言葉。読者にも同じことが言えると思います。
もう少しで犯人が分かる。だから頑張って2人とも生き抜いて…!と思いながら最後はドキドキしながら読み進めて言ったのですが最後のまさかの真実に驚きました。結末に関しては賛否両論あるかと思いますが、私は賞賛したいです。
全て読み終えた後に邦題の「クリスマスに少女は還る」を見ると叫びたくなります…そういうことだったのか…と。実際のタイトルはJUDAS CHILD「囮の子」という意味だそうです。そちらも良いな…
読み終えた直後は正直読み終えたという達成感ばかりが募ったのですが(笑)15年前の過去も含めてすべての伏線が回収され、素晴らしい作品を堪能できて本当に良かったです。
でもやっぱり長かった…^^;

<東京創元社 1999.9>2023.5.25読了