コロナ禍の2020年春、手話通訳士の荒井の家庭も様々な影響を被っていた。刑事である妻・みゆきは感染に怯えつつも業務をこなし、一方の荒井は二人の娘の面倒を見るため手話通訳の仕事も出来ない。そんな中、旧知のNPO法人から、女性ろう者が起こした傷害事件の弁護団への通訳としての参加依頼が届く。些細な口論の末に実母をナイフで刺した事件。聴者である母親との間に何が? コロナ禍でのろう者の実態と苦悩を描く、〈デフ・ヴォイス〉シリーズ最新長編。
シリーズ第4弾です。もうそんなになるんですね…。瞳美は4歳に、美和は中学3年生になりました。早すぎる…。美和は高校受験で英知君も通う予定の高校を志望し猛勉強中。美和と瞳美のあれやこれやも気になりましたが、ディナーテーブル症候群という言葉を初めて聞きました。
CODAの逆の状態ですよね。お互いに分かり合えないからと諦めてしまうのがつらいですね。瞳美は全員が手話を使えるからそこまでではないけど、みんながしゃべっている姿を見て疎外感をこれから感じてしまうかもしれない。みゆきの母親が好意でやってしまったこともわかるけど、でも軽々しくやっていいわけでもなくて、難しいな…と思います。
母親をナイフで刺した当事者である女性の気持ちもすごく伝わってきて、つらかった。それでも、少し遅かったのかもしれないけど分かり合えたところもあって良かった。
これからも数々の試練があるだろうけど、荒井家の今後を見守っていきたいです。
<東京創元社 2021.8>2023.3.28読了