パンデミック、飢餓、天変地異、戦争……
人類の歴史は災厄との戦いの歴史でもある。
画家たちは、過酷な運命に翻弄され、抗う人々の姿を描き続けてきた。
ムンクは疫病で死にゆく者が生き残る者へ示したあふれる愛を、ミレイは天災から立ち直ろうとする若者の強靱さを、ゴヤは怒りでいっぱいになりながら人間の蛮行を、それぞれキャンバスに塗り込め、叩きつけた。
本書は、そんな様々な災厄の歴史的背景を解説しながら、現在も人々の心をつかむ名画の数々を紹介する。
今回はテーマが災厄なので、全体的に暗めの絵画が多かったですね。
色んな災厄を示す絵があるんだなぁと見ていて面白かったです。なかなかにえげつないものもありましたが^^;
以前も著者さんの作品の中で見たことのある「レディ・ジェーン・グレイの処刑」が印象深いです。これから処刑されるジェーンの白さが際立っていてそれがさらに絶望を引き立てている気がします。そして「皇女タラカーノヴァ」も気になりました。こちらも絶望しかないんですけどちょっとドラマティックに描かれている気がします。
今回も興味深く読みました。
<日経BP 日本経済新聞出版 2022.12>2023.2.27読了