これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。思いがけない大波にさらわれ、夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。

山本さんの訃報を聞いた時のことを覚えています。
新刊が出て、病気もされたけどこれからちょくちょく新刊が出てくるのかな。出たら良いなーなんて思っていた矢先でした。こちらを読んだら分かりますけど、新刊が出るまで生きることが一つの目標だったんですね。良かった。発売されるところを見れて、本当に良かったです。
膵臓がんは本当に発覚した段階では手遅れなことが多いんですね…。体調がなんだかおかしいなと思って病院に行って余命宣告までされるなんて、想像が出来ません…
それでも山本さんは受け入れて、闘っていました。病気を抱えていても書くことを止めなかった。文章からは直接感じることは少ないけど、執念のようなものを感じました。
身体が辛いはずなのに、たくさんの幸せを感じていることが文章から垣間見えて、何度も泣きそうになりました。
私がとやかく言うのはおこがましすぎるので何も言いません。
でも、がんと闘って闘い抜いた山本さんの姿を、たくさんの人に読んで欲しいと思いました。
読んでいない山本さんの作品がたくさんあります。改めて読み進めていきたいと思いました。読みます。

<新潮社 2022.10>2022.12.20読了