英雄
真保 裕一
朝日新聞出版
2022-09-07


何者かに射殺された大企業・山藤グループ総帥の南郷英雄が、実の父親と知らされた英美。犯人を捜し求める英美がたどり着いた、父の知られざる半生と驚愕の真実とは…。

真保さんの作品を久しぶりに読みました。
重厚で、でも読む手が止まらなくて引き込まれました。
実の父親が大企業の創始者で、銃殺されていたことを知る英美。
英美は純粋に自分の父親はどんな人だったのか知りたいと思い、ゆかりのある人たちに話を聞きに行きます。きっと聞いていくうちに真実にたどり着くんだろうなと思いましたが、予想以上に波乱に満ちた人生でした。戦後、学歴もなく、富を得て生き抜いていくために言葉の通り血のにじむような努力をして上り詰めた人だったのだろうなと思いました。
英美は両親の血をしっかり受け継いでいる聡明な人でした。
非嫡出子だから異母兄弟の面々にいじめられたり罵倒されたりするのかと思ったのですが、色々予想外でした。それはタイトルにもつながっているんですよね。読んでいる途中と読み終えた後ではタイトルの意味が変わっていきます。
英美が選んだ道はいばらの道かも知れませんが、きっと家族で乗り越えていけると信じて読み終えました。

<朝日新聞出版 2022.9>2022.12.1読了