手話通訳士の荒井は拠点を東京から埼玉に移し、聾者の起こした強盗や傷害事件の通訳をする生活の中、恋人の娘の緘黙症の同級生に手話を教えることになった。同級生の少年は手話を積極的に憶えていくが、突然殺人事件を目撃したと話し始めた。NPOに出入りする男が何者かに殺害された事件は、少年の自宅から目と鼻の先だった。果たして緘黙症の少年の証言は有効なのか? 手話通訳士の優しさと、家族との葛藤を描いたミステリ連作集。書評サイトで話題を集めた『デフ・ヴォイス 法廷の通訳士』に連なる、感動の第二弾。
早速第二弾を読みました。
短編集だと思っていたのですが連作短編集だったんですね。完全につながっていました。
前作から2年後なんですね。前作の荒井に向けて言ったみゆきの言葉が好きで、荒井も変われるかなって思ったけど、やっぱりそう簡単には変われなかったんだな…とも思ったりして。
荒井とみゆきの関係は変わったような変わっていないような悪い方向へ向かっているような←
でも、美和とはいい関係を築いていて素敵だなとも思います。2人で手話で会話しているの素敵。みゆきがいらいらするのも分かるけど^m^
私は小中学生の時に習い事へ行くのにバスを利用していたのですが、近くに聾学校があってバスの中で手話で会話している方を何度かお見掛けしたことがあるんですよね。最初はびっくりしたんですけど、耳が聞こえないから手話で会話をしてると知ってからは、どんな会話をしているんだろうと思ってちらちら見た記憶があります。
強盗の疑いをかけられた林部の1番の焦点だった声。デフ・ヴォイス、私も少し聞いたことがあります。自分で自分の声が聴こえないと不安ですよね。音量とか、聴こえ方とか…。終わり方が凄く好きでした。警察の言葉は怒りを覚えたけど、記者さんが素敵でした。
最後の殺人事件はびっくりでしたね…連作短編集だから最初から伏線が張られていてミステリとしても楽しめました。
聾という字の由来、諸説あるみたいですけど、今回登場した由来が好きでした。
<東京創元社 2018.2、2020.6>2022.10.8読了