宙ごはん
町田そのこ
小学館
2022-05-27


宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

町田さん、以前から気になっていましたが初読みでした。
章が進んで行くごとに数年が経過していて、宙は少しずつ成長していきます。
最初の宙が大人びすぎていてびっくりでしたけど^^;でも花野と暮らしていくんだったらこれくらいしっかりしていないと無理だっただろうなという気もします。
花野は母親業に向いていない人で、どうしようもない人だと思っていました。でもそれは間違いだったんだと読み進めていくうちに感じました。表面だけを見てはいけないと思います。
それにしても、花野の祖父母に関しては100歩譲って仕方がないとしても風海や宙の彼氏の伯母の考え方がちょっと異常すぎて気持ち悪かったなーイマドキそこまでの人いる?特に伯母さん。40代くらいでしょ?
宙が成長していくのと一緒に花野も母親として成長していく感じが良かったです。その2人をずっとそばで支え続けたやっちゃん。…辛すぎる。どうしてこんなことにならなければならないのか…
やっちゃんのことから宙も自分の出生のことや父親のことも知ることになります。
私は被害者側にも加害者側にも立ったことがないから分からないけど、宙の父親やあの少年がやっていることは自己満足でしかなかったのだとは思いますよね…。赦してほしいから、なんて被害者側からしたら怒りしか沸いてこないのは分かります。この一連のくだりはさだまさしの「償い」を思い出しましたよね。何が正解というのは無いし分からないけど、でも、誰もが少しでお前を向いて生きていってほしいと思いました。そこまで考えるのは大変だと思うけど、でもそれが出来た花野は凄いなと思いました。肝っ玉母さんみたいだったし最初の雰囲気からは想像もつかなかった^m^
ラストも良いラストでした。最後まで読んで、宙とマリーはどこかで再会していて、お友達になっていたらいいなーなんて思ったりもしました^^

<小学館 2022.5>2022.7.1読了