ついでにジェントルメン
柚木 麻子
文藝春秋
2022-04-08


編集者にダメ出しをされ続ける新人作家、女性専用車両に乗り込んでしまったびっくりするほど老けた四十五歳男性、男たちの意地悪にさらされないために美容整形をしようとする十九歳女性……などなど、なぜか微妙に社会と歯車の噛み合わない人々のもどかしさを、しなやかな筆致とユーモアで軽やかに飛び越えていく短編集。

「ComeComeKan!」新人の小説家と文藝春秋に置かれている銅像の菊池寛さんとのお話(笑)菊池寛さんは失礼ながら著作も読んだことがないですし人となりもあまり知らなかったのですが、こんな感じだったんすか…?こんな感じだったら面白いなー。でもきっと手広くいろんなことをされていたみたいだから、柔軟な方だったんだろうなとは思いますよね。斬新で面白かったー
「渚ホテルであいましょう」毛利は典型的な昭和の男でしたね―考え方が。ダサ!めっちゃダサ!やることも古い!若い女性にそんなことしたら怖がるに決まってるじゃないの!(ひどいいいよう)とある家族と出会って、多少視野が広くなって良かったね←
「勇者タケルと魔法の国のプリンセス」この作品が1番良くわからなかったな…現代の主人公がちょっと気持ち悪かった…ごめん。
「エルゴと不倫鮨」この作品、どこで読んだか忘れたのですが既読でした。読み終えた後にスカッとしますよね。いい気味!って言いたくなりました^m^女の子たちの目が覚めて皆が仲良くなって良かった。
「立っている者は舅でも使え」面白かったなー。夫の浮気が原因で地元へ帰ってきて、まさか舅までも家を出てくるとは思わないですよね(笑)でも、何やかやで良いコンビになっている感じが読んでいる側は楽しかったです。舅さんは最終的には地位を手に入れたわけだけど、昔は貧乏で苦労もあったからか順応性があっていい人だなぁという印象でした。まあ、それを奥さんが生きている間にもすればよかったんですよね(と厳しいことも言ってみる)
「あしみじおじさん」この作品好きでした!主人公の女の子が整形しようと待合室でたまたまとった世界名作全集を読み、自分自身が変わらないまま幸せになっていく世界の名作の少女たちを知って自分もそうなりたいと思っているのが斬新で面白かったです。なぜ美容整形に世界名作集があったのか、それも後々分かって行くし、人が繋がっていくのも面白かった。特に昌美が好きでしたね。自分のことを分かっていて周りも俯瞰して見られる聡明さを感じました。亜子もちゃんと自分で自分の道を切り開けそうで何よりです。
「アパート一階はカフェ―」大塚女子アパートメントの存在を知りませんでした。昔だったらこうした女性専用のアパートとか矢面に立たされるだろうけど、それにしても出てくる男性陣が虫唾が走る人たちばかりで気持ち悪かったです…不躾で偉そうで…。菊池寛さんがこちらにも登場。気持ち悪い男性ばかり登場したので菊池さんがすんごい紳士に見えましたね。紳士なんですけど^^

<文藝春秋 2022.4>2022.5.25読了