料理人のキドウは異国の地で、8年前に飢饉に苦しむ祖国を揺るがした、ある事件で出会った因縁の相手・カルマと再会する。彼らが口にするのは、事件解決の際に奇策を弄した、行商人・フェイとの思い出話。しかし、新たな疑問がキドウの中に生まれる。「あのとき祖国で、本当は何が起こっていたのか?」。真実を知ろうとするキドウに、カルマは奇妙な寓話を語り出す。「不思議なナイフで自らの”影”を切り離した男の物語」だ。物語の幕が下りるとき、8年前の事件の驚愕の真実が浮かび上がる、第7回ミステリーズ!新人賞佳作「商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)」。どんな賭けにも負けない少女の運命を描く「あれは子どものための歌」や、あらゆる傷を跡形なく消し去る医者の秘密を暴く「対岸の火事」ほか、全5編。魔女との契約で、不思議な力を得た彼らをめぐって起こる殺人や陰謀に、人間が推理の力で立ち向かう! 自在な語り口で本格ミステリの謎解きを描く、連作集。
出版社の編集者さんがツイッターでおススメしていて気になっていた作品です。初読み作家さん。
こちらの1番初めに載っていた「商人の空誓文」は2010年に新人賞佳作を獲られた作品!
それから少しずつ発表されて書き下ろし2作を含めようやく発表された作品だったのですね。12年前、著者さんは大学生。いやはや素晴らしい作品でした。ファンタジーを感じるし異国も感じる。しっかりとミステリ要素もあって引き込まれました。
5編の連作短編集で繋がってはいるのですが物語1つ1つは別物で、壮大なお話を読んでいるような気持になりました。登場人物で繋がりもあるのですがそれが分かってくると前を読み返したくなるし、そういうことだったのか!と分かるところもあります。してやられます^^;
暗雲が立ち込めるような物語の展開ですが、最後はスカッと快晴が似合うような展開になるのも大好きなところです。素敵な物語に出会えました。
<東京創元社 2022.1>2022.4.19読了